発熱(はつねつ、fever,calor)とは、病気や疾患に伴う症状の一つ。医療の場などにおいてはしばしば熱発(ねっぱつ)とも呼ばれる。体温は通常、脳内の視索前野および視床下部の体温調節中枢によって一定の温度にコントロールされているが、これが様々な要因によってその設定温度が高くなることにより生じる。熱中症とは異なる。感染などによる免疫系の活性化が原因となって生じる発熱に関しては、近年の研究によって、その発症メカニズムが解明されつつあり、以下のようなモデルが提唱されている。活性化された免疫系細胞から放出される、インターロイキン1やインターロイキン6といったサイトカイン類が脳内の血管の内皮細胞に作用すると、内皮細胞内でプロスタグランジン合成酵素群が作られ、この酵素群の働きによってプロスタグランジンEという物質が産生される。アスピリンに代表される市販の非ステロイド性解熱鎮痛剤の多くは、プロスタグランジン合成酵素群のなかのシクロオキシゲナーゼと呼ばれる酵素の働きを阻害することで、プロスタグランジンEを作らせないようにして発熱のメカニズムを抑えているのである。内皮細胞内で産生されたプロスタグランジンEは脳組織の中へ拡散し、視索前野と呼ばれる体温調節中枢に存在する神経細胞の表面にあるEP3と呼ばれる受容体に作用する。このことによって、発熱(体温上昇)にかかわる脳内の神経回路が活性化される。この発熱の神経回路の大部分は平時の自律的な体温調節にも関わるものであると考えられ、視床下部背内側核、(延髄)淡蒼縫線核、大縫線核および(脊髄)中間外側細胞柱などの脳・脊髄領域にある神経細胞が発熱シグナルの伝達に関わると考えられている。この神経回路によって、発熱シグナルは最終的に末梢の体温調節器官へと送られ、熱産生促進および体表面からの熱放散抑制が起こる。この2つの作用によって体の深部温度を上昇させるのである。脳・脊髄からの発熱シグナルによる末梢の体温上昇反応は、主に交感神経系と運動神経系を活性化することによるものである。褐色脂肪組織と呼ばれる効果器を支配する交感神経が活性化すると、その脂肪組織における代謝性熱産生が上昇する。また、皮膚内を走る血管の平滑筋を支配する交感神経が活性化すると、平滑筋が収縮し、血管径が縮小するので、体表面の血流が減少し、体表面からの熱放散が抑制される。一方、発熱シグナルによる運動神経の活性化は、骨格筋におけるふるえ熱産生につながる。このような方法によって体深部温を上昇させる生理学的意義としては、といったことが考えられている。よって、むやみに解熱剤を使用をすることは、生体に自然に備わった防御機能を妨害したり弱めることにつながると考えられる。ただし、過度に高温の発熱状態にある場合は、脳などへの障害を防ぐために解熱剤を投与することが適当である。一般に正常体温は36.5°C前後が最も多い。臨床的に発熱とは37.5°C以上のものを指す。人間の体力や基礎体温の違いなどの理由により程度に差はあるが、概ね次のような傾向が現れる。かつては診断上も重要といわれていた熱型だが、抗生物質の出現で型が保存されなくなってきている。バイタルサインは意識、血圧、体温、脈拍、呼吸などの項目をいい、最初に測るものとして位置づけられている。発熱の場合は他のバイタルサインも連動して動くことが知られており、体温が1°C上昇すると脈拍数も10拍/min増加する。体温0.55°C上昇につき10拍/分の増加までは生理的な変化の範囲内といわれている。また発熱とともに呼吸数が増加(通常30回/分以上。代謝性アシドーシスに対する代償性頻呼吸のために起きる)したら敗血症を疑い、血圧がさがってきたら敗血症性ショックを疑う。例外として比較的徐脈を呈する疾患と呼ばれるものがある。比較的徐脈とは体温の上昇の割りに脈拍の増加が目立たない状態であり、腸チフスで有名である。あえて列記するのなら、ブルセラ症、髄膜炎、レジオネラ、オウム病、腸チフス、サルモネラである。発熱の主な原因として、感染症によるもの、悪性腫瘍によるもの、自己免疫疾患の一つである膠原病によるもの、解熱剤などの薬剤によるもの、不明熱によるものである。
出典:wikipedia
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