地域政党(ちいきせいとう)は、国の一部の区域で活動する政治団体もしくは政党を指す、マスコミや有権者による便宜上の通称である。ローカルパーティという呼び方もある。対義語は、全国政党・国政政党。日本の地域政党に関しては曖昧な部分が多く、政党のような確固とした定義づけはされていない。日本で「政党」とは一般に公職選挙法の政党要件を満たしている政治団体のことを指すが、政党要件を満たす地域政党は現在のところ存在しない。地域政党的な側面を持ち、国会に議席を有している政治団体は、沖縄県の沖縄社会大衆党と北海道の新党大地のみ。それぞれ一議席を確保している。前述の国会に議席を擁する政治団体や、大阪維新の会や減税日本のように、首長を擁し地方議会でも過半数以上を占める規模の大きい地域政党もあれば、逆に地方議員が1人も所属していない規模の小さい地域政党も存在する。無論、掲げる政策や理念も各地域政党ごとに大きく異なっている。このようにこれといった地域政党の定義はなく一概には言えないが、一般に国政政党のように国政志向ではなく、地方を重視して活動する政治団体が地域政党だとされている。ただし近年では、地域政党を標榜する政治団体の中に、既成政党を離脱した国会議員を受け入れる方針を掲げたり、地域の枠を超え全国に自党の候補の擁立を検討するなどの動きが見られるようになった。つまり地域政党という立場を脱して、国政政党化を目指す政治団体が複数登場してきたということである。そのため前述の定義も、今後変化する可能性もある。日本以外の場合、イタリア北部の分離独立・連邦制導入を主張する北部同盟や、カナダのフランス語圏であるケベック州の分離独立を主張するブロック・ケベコワ、イギリスのスコットランドにおけるスコットランド国民党などが代表的な地域政党で、地方議会のみならず中央議会にも議席を有している。日本における地域政党の先駆けは、明治初期に地方で相次いで誕生した民権派の地方政党である。しかし、1890年に成立した帝国議会で地方政党が活躍することはなかった。戦後間もなく行われた国政選挙では地方政党がいくつかの議席を獲得したが、後に中央の大政党に合流、解党するなどでして国会での議席を失った。現在につながる動きとしては、既成政党の政治家が政治権力を握る現状を変えるため、消費者団体が市民の代表・代理人を地方議会に送り込む「代理人運動」が1970年代後半から全国各地で盛んに行われたことが挙げられる。特に東京都の生活者ネットや神奈川県の神奈川ネットワーク運動は、都議会・県議会にも議席を持つほどの勢力となった。現在でも都市部を中心に一定の勢力と議席を維持している。アメリカ合衆国の施政権におかれた琉球諸島でも、多数の政治団体が結成された。多くは1972年の本土復帰後に党派の近い全国政党に合流したが、沖縄社会大衆党のように地域政党として存続の道を歩んだ政治団体も存在する。1990年代に入ると、世界では冷戦体制の崩壊やグローバル化の進行、日本国内でもバブル崩壊に伴う経済の不安定化などにより社会不安が増大化し、その影響で政界大きく変貌した。その結果55年体制は崩れ、既成政党への不信感から新党ブームが巻き起こり、1993年には初の非自民・非共産連立政権となる細川内閣が誕生した。政界のうねりは地方にも及んで、その際に地域政党の設立が相次いでいる。既成政党の地域組織が独立する例、革新系の地方議員ら結集し地域組織を設立する例、市民運動や環境運動を母体とする例など、成り立ちは様々であった。しかしその多くは長続きせず、いつの間にか消えてなくなっていった。2000年代後半頃から中央集権体制や東京一極集中への反発、地方分権への関心の高まり、既成政党への不信感、地方の行政と政治の改革を求める声の高まりなどを背景に、地域政党が注目を浴びている。改革派首長が結成した首長政党(しゅちょうせいとう)や改革派の議員と有志の市民らが結成した地域政党が代表的な存在である。前者の例としては橋下徹大阪府知事が結成した大阪維新の会や河村たかし名古屋市長が結成した減税日本が、後者の例としては地域政党いわてや京都党が挙げられる。その他、東北の地方議員らがつくる東北州政治家連盟など、各地で地方議員が設立した超党派の団体が注目されている。東北州政治家連盟は地域主権改革を目指して地域政党の設立の検討を始めた。2011年に行われた第17回統一地方選挙及びその前哨戦では、既成政党の凋落を尻目に減税日本が名古屋市議会で第一党の地位を獲得したり、大阪維新の会が大阪府議会、大阪市会、堺市議会で第一党の地位を確保するなど、地域政党の躍進が目立った。既成政党と地域政党の関係を「老舗勢力VS新興勢力」の対抗軸で表現したマスメディアもある。地方改革を行うため国政に圧力をかけるのを目的とし、国政進出を目指すと表明した地域政党も現れている。次期衆院選に向け候補者を養成する「政治塾」を開設する地域政党もある。特に全国から約2000人の受講生を集めた大阪維新の会の維新政治塾は各界の注目を浴びている。具体例をあげると、大阪維新の会や減税日本は、政治塾の塾生の中から選抜した者を、それまで活動してきた府県を超え全国に候補者を擁立する構えを見せている。ほか、前述の2党は既成政党の国会議員を取り込み国政政党化を目指す手法も取り始めている。また、岩手県で活動する地域政党いわてと京都府で活動する地域政党京都党が、2011年に連携協定を結んだり、対話でつなごう滋賀の会が2012年総会で、全国の地域政党との連携に乗りだす方針を表明したりと、地域政党同士が連携することで地域から日本の政治変革を行おうという動きもみられた。2015年には京都党を中心として「地域政党サミット」が誕生。こちらは現在も活動を続けている。2014年現在、数年前のような地域政党の結党ラッシュは収まっている。2000年代後半から2011年頃に結成された多くの地域政党は活動を停止してしまっており、今も精力的に活動する地域政党は一部の勢力が残るのみ。国政政党にふたたび吸収されたり、無所属に戻った政治家も多い。一時の地域政党の結成ラッシュは、選挙前の話題つくりにとどまってしまったという批判がある。以下のように、現在の衆議院選挙の制度では、政党要件を満たしている「政党」とその他の政治団体との扱いには大きな差異がある。そのため政党要件を満たさない地域政党は政党要件を満たす国政政党と比べて大きなハンディを持つ。都道府県知事や市町村長などが地方首長が中心になっている政党は首長政党(しゅちょうせいとう)と呼ばれる。「生活クラブ生協」や「グリーンコープ」などの生活協同組合を基盤とする代理人運動から発展したものなど。「緑の党グリーンズジャパン」と各地の「みどり」との関係は、既存政党の本部・支部の関係と異なり、独立・対等な関係。戦後沖縄の政党一覧も参照。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。