外来語(がいらいご)とは、日本語における借用語のうち、漢語とそれ以前の借用語を除いたものである。おもに西洋諸言語からの借用であり、洋語(ようご)とも呼ばれる。また、カタカナで表記することが多いことからカタカナ語、横書きで表記する言葉として日本に入ってきたことから横文字とも呼ばれる。中国語やサンスクリット語などの中国経由で入ってきた漢字を用いた語は漢語と呼んで区別し外来語に含めない。洋語のほか、アジアなど欧米以外の諸言語から入った語も外来語とされる。たとえ中国語から取り入れた語であっても、現代中国語音や現代広東語などの方言音によるメンツやワンタンなどは外来語に含まれる。ただし借用の時期が古い「馬(うま)」や「梅(うめ)」などは漢語でも外来語でもなく大和言葉に分類される。古い朝鮮語との類似が指摘される「カササギ」、「寺(てら)」などの語は仮に借用語であったとしても外来語には含めない。アイヌ語やニヴヒ語(ギリヤーク語)のように日本またはかつて日本の支配が及んだ地域に土着する少数民族の言語由来の単語は外来語に含めないことも多い。なお、アイヌ語由来の語としては「ラッコ」「トナカイ」、ニヴヒ語由来の語としては「クズリ」などが挙げられる。英語などの音訳に漢字を当てたものは一般に外来語と見なされない。画廊 (gallery)、簿記(bookkeeping、あるいはbookingという説も)などがある。また、日本語に入った年代の古い語や日本人の生活や文化に深く浸透したものを指す語の一部(「タバコ」「イクラ」など)も外来語と認識されないことが多い。西洋からの外来語が本格的に増加するのは、日本が近代化する幕末期~明治時代以降であるが、それ以前にも、16世紀にポルトガル語から入ってきたタバコ、パン、江戸時代にオランダ語から入ってきたガラスなどが日本語としてよく定着している。これら比較的古い時代に流入した西洋語を「渡来語」と称し、近代化以降の外来語と区別することがある。西洋語が日本に本格的に入ってきたのは明治維新以降である。各分野それぞれにおいての技術輸入が多かったため、例えば、鉄道用語はイギリス英語、医学用語はドイツ語、芸術用語はフランス語起源のものが多く使われている。近年日本語では、和語(大和言葉)や漢語が同義の洋語に置き換えられるか、同義の洋語が和語や漢語より優勢になる場合もある。「ちち(乳、飲用の)→ミルク(milk)または牛乳」、「だいだいいろ(橙色)→オレンジ(orenge)」、「葡萄酒→ワイン」、「乗合自動車→バス(bus)」などの例がある。また戦後の日本語では、古くから使用されているポルトガル語・オランダ語等からの外来語が、英語からの同義の語彙に置き換えられたりする場合もある。「ズック (蘭: doek) →カンバス・キャンバス (canvas)」、「ビロード (葡: veludo) →ベルベット (velvet)」などの例が挙げられる。外来語の導入の理由では、物と一緒に自然に入ってきた外来語と、日本人の側が意識的に入れた外来語があると思われる。物と一緒に自然に入ってきた物とは、日本に無い物が日本に入ってきた場合に、当然それを指し示す日本語もないために入ってきた語である。日本人が意識的に入れた外来語とは、菓子をスイーツに言い直すように、外国語で言い換えると格好良いと一般的に思われているため、マーケティングの要求などで言い換えられる語である。日本語の場合、一般に外来語はカタ ナで表記して区別されるが、「瓦斯」(gas)、「米」(meter)などのように漢字を当てる場合や、「頁」(page)のように訓読みになっている場合もある。ほかに、外来語との認識の薄い語がひらがなで表記される場合もある(「タバコ」を「たばこ」など)。また、2文字以上の漢字で表記されて熟字訓で読まれることのある語もある(「メリヤス」を「莫大小」、「タバコ」を「煙草」)。また、外来語を表記するために、国字(和製漢字)が作られた例もある(「ブリキ」を「錻力」または「錻」)。また、英語において英語以外の言語に起源を求めることができる語のみにみられる"j"の文字、語頭に"v"を用いる綴り方(以上フランス語起源)、[k]と発音される"ch"(古典ギリシャ語、イタリア語)などのように、日本語についても同様に文字・綴り・発音の面において外来語に特有な次のような表記・表現がみられる。さらに外来語にのみあらわれる拗音風の仮名の組み合わせもある。「シ」「ジ」「チ」以外の「い段」音の仮名に「ェ」を組み合わせて「イェ」「キェ」等と表記したり、「い段」音以外の仮名に「ァ」「ィ」「ゥ」「ェ」「ォ」、または「ャ」「ュ」「ョ」をそれぞれ組み合わせて表記する。これらは、下の一覧表では外来語の表記に含めた。これらの拗音風の外来語の表記は、できるだけ本来の外国語の発音に近づけるために1モーラで発音することを期待した表記であるが、なかには日本語母語話者には発音が困難であったり、従来からの慣用があるため、下記のように2モーラに発音したり、別の1モーラに置き換えて発音することがある。特に、「シ」「チ」「ジ」を除く「い段」直音に「ェ」を付した「イェ」「キェ」「ニェ」などや円唇化された子音を頭子音に持つ「ウィ」「クァ」「グァ」「スィ」などで表現される語の場合、日本語母語話者の多くは日常会話では、その2文字目を普通文字で表記した2モーラの「イエ」「ウイ」「クア」などで表現される語とは、意味上はもちろん、発音の上でもその違いをほとんど認識することはなく、その発音の可否にかかわらず多くの場合、いずれも2モーラに認識する(例:イェス/イエス、ウェハース/ウエハース、クェスチョン/クエスチョン、グァテマラ/グアテマラ、スェーデン/スエーデン/スウェーデン)。外来語の中には、これまでに慣用の表記と発音がすっかり定着してしまっているため、拗音風の外来語の表記・発音がほとんどあるいはまったく使われないものもある(例:エチケット/エティケット、ラジオ/ラディオ/レイディオ)。平成3年に内閣告示された『外来語の表記』では、このうち国語化の程度が高い語に使われる仮名は第1表に、国語化の程度がそれほど高くない語、またはある程度外国語に近く書き表す必要のある語に使われる仮名は第2表に収められている。一般に、日本語には母音の長短の区別があるとされ、外来語の表記には「ー」を用いて長音をあらわす。ただし、日本語がその元となった言語の母音の長短の区別を本当にとり入れているのかどうかは疑問である。パーキスターンやイーラーンと言った国名はそれぞれ、パキスタン、イランと短母音で取り入れている。アフガニスタンの首都のカーブルや、パキスタンの都市のペシャーワル、料理の名前のシシカバーブ、言語名のタミル語なども、それぞれカブール、ペシャワール、シシカバブー、タミール語などと、本来伸ばすべき所を伸ばさなかったり、逆に伸ばさなくて良い所を伸ばしたりして取り入れている。これは、元来日本語自体が母音の長短の区別に疎いと言うことも考えられる。また外国の地名や人名の場合、現地の言葉からではなく、英語を介して取り入れているため、英語話者のアクセントの位置を長音にして取り入れている場合もある。、タミール語のように、おそらくパミール高原などの他の地名などの発音から類推されてとりれられたのではないかと思われるものもある。他の言語との接触頻度や形態に地域差がある場合、一部の地域においてのみ借用が行われることがある。日本語における方言特有の外来語の例をいくつか挙げると、朝鮮語で「友達」を意味する「チング」は長崎県や山口県の一部など朝鮮半島と距離的に近い地域で日常的に使用されている。長崎県の郷土料理「ハトシ」は広東語からの、鹿児島弁などで「黒板消し」を意味する「ラーフル」はオランダ語からの外来語と考えられ、西九州地方の「縁台・長椅子」を意味する「バンコ」は「ベンチ」を意味するポルトガル語由来であり、西日本および北陸地方で「かぼちゃ」を「ボーブラ」と言う地方があるが、これもポルトガル語からとされる。また、琉球方言には「咆腹了(チュファーラ=満腹の意)」など中国語由来の外来語が散見されるほか、現代沖縄方言(ウチナーヤマトグチ)には英語由来の単語や表現が日本本土とは異なる表記・発音で取り入れられている。外来語の浸透にともなって、和製英語を含む和製外来語など、外来語からの造語も用いられるようになった。また、「テレビジョン」を「テレビ」、「コンビニエンスストア」を「コンビニ」というなど独自の略語も用いられている。中には「コスチュームプレイ」から派生した「コスプレ」のように日本語以外の言語に逆輸入の形で広がり示す言葉も存在する。ある言語の中に極めて大量の借用語がある場合、国立国語研究所による「外来語」言い換え提案のように、利便性や言語の自立性の観点から言い換えが提案されることがある。また、日本では和語で表現できる事物ですら外来語や漢語に言い換えられることがしばしばあるため、外来語が必要以上に多用されることで意味がわかりにくくなっているという教育関係者からの批判もある。特に外来語は、なるべく漢字を用いた語に言い換えたほうが分かりやすいとされる。国立国語研究所「外来語」委員会 は「オンデマンド」を「注文対応」のようにカタカナ語を漢字に置き換える例を提案している。一方、外来語だけでなく、日本語すべてをカタカナにすべきとする団体「カナモジカイ」(1920年発足)もあった。現代国語の外来語の使用頻度は高いが、あらゆる言語は他の言語からの借用語を含むものであり、このような主張は言語の自然な変化というものを無視した意見であるという主張がある。日本では明治維新後、近代化に伴って外来の事物を表現するために漢語や外来語の使用を増やし、従来固有語で表現していた事物ですら漢語に置き換えたが、アイスランド語のように新しい事物や概念を取り入れた際も固有語での表記を原則としている言語や、トルコの言語純化運動、スペイン、ポルトガルでのイベリア半島の言語純化運動、韓国や北朝鮮での朝鮮語の国語純化運動など、借用語の置き換えなどをおこなって言語を純化した例もある。国語学者の山口仲美は、言い換え案のほとんどは漢語であり、ただでさえ多い漢語をふたたび増やし、同音異義語の問題を大きくしてしまうと主張している。和製漢語は中国文化が浸透していた時代にあっていた方法なのであって、現在の日本はアメリカ文化が浸透しているのだから、片仮名の外来語のままにしておいて意味の定着を待つべきではないかと主張している。外来語は、言語接触によって自然に起こる現象であり、多数の言葉が入り交じる地域ではむしろ当然のようにあらゆる言語から借用語として取り入れられている。例えば、ノルマン・コンクエストでイングランドがノルマン人に支配されることによって多くのフランス語の単語が英語に取り入れられた。イスラム教徒に支配されたイベリア半島のスペイン語、ポルトガル語にはアラビア語やベルベル語から大量の単語が流入した。キリスト教徒によるレコンキスタ完了後はイベリア半島の言語純化運動が起こるものの、ポルトガル語ではアラビア語単語の追放に成功したが、スペイン語ではいまだに多くのアラビア語の単語がみられる。また、多くの民族が流入したタイのタイ語はその3分の2が外来語といわれている。交通網、マスメディア、インターネットが発達した現在では、よほどの未開地の言語でもない限り、世界中のどの言語も外来語の影響を常に受け続ける環境にあるといえる。しかし、自然に起こりうる外来語ではなく、外国への憧れや崇拝などによる外来語もある。例えば、アメリカでも英語本来の語彙があるのに、フランス語の単語を使用する例がある。これはフランスもしくはヨーロッパ文化をより高いものと観ているからと思われる。
出典:wikipedia
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