ワカメ(若布、和布、稚海藻。学名: )は、褐藻綱コンブ目チガイソ科の海藻である。日本海側では北海道以南、太平洋岸では北海道南西部から九州にかけての海岸、朝鮮半島南部の両岸の、低潮線付近から下に生育する。根状の部分で岩などに固着し、葉状部を水中に伸ばし、長さは2mにも達する。葉状部の中心には主軸があって、それを中心に左右に広く伸び、大きく羽状に裂ける。広がった葉の基部には、とても厚くなった葉状部がちぢまり、折れ重なったような部分がある。これをメカブ(和布蕪)と呼び、生殖細胞が集まっている部分である。ワカメは世代交代を行なう。一般に知られているワカメは胞子体(複相世代)であり、メカブで作られた遊走子から発芽した配偶体は、ごく小さなものである。海苔と同じく、古くから日本人に親しまれてきた海藻であり、『万葉集』にも現れている。主に食用として用いられ、酢の物、汁物の具として使われたが、豊作祈願の神事などにも利用されていた。ワカメは、世界の侵略的外来種ワースト100 (IUCN, 2000) 選定種の1つである。ワカメの遊走子が日本からの商船のバラストタンクに注入されたバラスト水に混入した状態でニュージーランドやオーストラリア、ヨーロッパ諸国の沿岸域に運ばれ、そこで水と共に放出されて増殖しており、外来生物として問題になっている。同じ属のものとしては日本には以下の2種がある。どちらの種もワカメのように葉状部が大きく裂けることはない。アオワカメは中肋が発達しないことでワカメ・ヒロメと区別できる。これらはいずれもワカメと同様に食用となる。ワカメは乾燥が容易で、軽く移動も容易であったこともあり、先史から日本で広く食べられていたことが確認されている。縄文時代の遺跡からは、ワカメを含む海藻の植物遺存体が見つかっており、この時代から食されていたことが明らかになっている。和語では古くは、藻類の「も」に対し、食用の海草一般を「め」と呼んでいた。漢字では、古くは「海藻」(平城宮木簡)、「軍布」(万葉集、藤原京木簡)、「和布」(色葉字類抄)などと当てられていた。古代に食されていた海藻の主体はワカメであったらしく、この「め」は、特にワカメを指していた。また一説には女性(海女)の手で採られたことから「メ」と云われたとも伝わる。後にカジメ(搗布)・ヒロメ・アラメ(荒布)・ホソメ(細海布)等々の海藻にも「布(メ)」があてられた。ワカメという語は、「ワカ+メ」、つまり若い(新しい)海藻に由来する。「ワカ」を「タマ(玉)」などと同じ美称と捉えれば、古代にあっては海藻類一般を指していた可能性があり、それがワカメを特定する名称となったのは中世以降かもしれない。万葉集には「和可米」「稚海藻」(いずれも訓は「わかめ」)の他、「和海藻」(「にぎめ」、やわらかいワカメのこと)が見られる。他に、万葉集に頻出する「玉藻(たまも)」も、歌によってはワカメを指すかもしれない。各地で採れたワカメを朝廷への献上品としていたことが確認できる(平城宮木簡)。延喜式(927)によれば、ワカメを含む多くの海藻が神饌として奉納されており、さらには『正倉院文書』などによると、給与としても用いられていた。旬のものであれば生で流通することもあるが、主に葉の部分を塩漬けしたり乾燥させたりして保存性を高めて商品化される。使うときは水に漬け、塩抜きあるいは戻して用いる。メカブは湯通ししてからそのまま食べるか、乾燥させてから細かく切って流通されることが多い。市販のワカメは緑色であるが、生きた状態では褐色であり、湯通しすることで緑色となる。ワカメは味噌汁などの汁物の具としてよく使われる。他にも酢の物、炒め物、サラダ、地域によっては天ぷらやしゃぶしゃぶ等幅広く料理される。メカブは細かく叩いて粘りを出したものがパックになって売られることもある。旨み成分を多く含み、また低カロリーであることから、ダイエット食品としても適している。ワカメに多く含まれる栄養素は、食物繊維、アルギン酸、フコイダンなどで、血中コレステロール値を下げたり、動脈硬化や心筋梗塞を防ぐなどの効果があると言われている。ワカメを食用に供する習慣はほぼ日本と朝鮮半島にしかなく、日本や朝鮮半島と同じく海藻を食べる習慣が一応ある中国ですら食べなかった。しかし中国でも近年は日本からの養殖技術の導入により、日本向けの輸出用に養殖されたものが中国国内の市場に出回り、食べられるようになっている。一方で、朝鮮半島ではワカメを日本以上に多食し、韓国国民一人あたりの年間ワカメ平均消費量は、日本の三倍と言われている。出産の時には、乳児への授乳を通じての栄養補給のために、ワカメを茹でてスープを作って食べる習慣を持つ。同様に、誕生日にワカメのスープ(ミヨックク)を飲む習慣がある。日本と異なり、韓国では天然ワカメと養殖ワカメに歴然としたブランド差があり、天然ワカメは非常に貴重視され高値で取引される。天然ワカメが取れる磯や海域は畑や田と同じ不動産扱いされ、厳しい管理のもとで一族に代々相続される。横浜の「みなとみらい地区」の地先海域では、「夢ワカメ・ワークショップ」という環境教育のプロジェクトを行っており、地元の小学生など総勢三百名で横浜港でワカメを養殖している。ワカメは海中のリンや窒素を取り込みながら成長し、海水をきれいにする。タクシー運転手の間では隠語として「回送」の意(海藻にかけて)、もしくは酔っ払いの客の意(揺ら揺ら揺れている事から)で使用される。また陰毛を表す隠語として用いられる事もある(わかめ酒)。また、コンパクトカセットやVHSなどのテープメディアが損傷した時に形状がワカメのようにくしゃくしゃになってしまうことから用いられることもある。
出典:wikipedia
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