販売時点情報管理(はんばいじてんじょうほうかんり)は、物品販売の売上実績を単品単位で集計する経営の実務手法。POSシステム(ピーオーエスシステム、ポス システム、)ともいう。単に「POS」というと、このPOSシステムに必須な個々の機器を指す場合もある。POSシステムは1970年代からアメリカ合衆国において、レジ担当者の不正防止や誤った売価での販売などを防ぐ目的で導入され、先行的に発展した。「POS」は「point of sale」の頭文字で、本来は小売店舗やレジのあるところなど「商取引がおこなわれる場所」を意味する語だが、情報管理の文脈では「商品を販売した時点での情報を管理する経営手法」の意味でこれを用いることが多い。主にスーパーマーケット、コンビニエンスストア、キヨスク、外食産業、ガソリンスタンド、ホテル、ドラッグストアなどのチェーンストア等で導入され、年々その機能が進化している。近年ではその簡易版が一般商店などにも普及している。POSシステム導入の最大の利点は、商品名・価格・数量・日時などの販売実績情報を収集して「いつ・どの商品が・どんな価格で・いくつ売れたか」という売れ行き動向が経営者にとって把握しやすくなる点にある。収集する項目はシステムを導入している企業により異なり、そのデータや算出方法は企業秘密となっている場合がほとんどである。またスーパーやコンビニなどでは、購入者の年齢層、性別、当日の天気などまでもをデータとして収集していることが知られている。各店舗から吸い上げられる売り上げ情報はメインフレームに集中化され、ビッグデータとなり、データマイニングの対象となる。世界初のスーパーマーケットは1916年にアメリカで開店した。薄利多売によってスーパーマーケットは徐々に店舗数を増やし、1960年代終盤にはアメリカの食品雑貨店ビジネスの4分の3を占めるようになった。しかし市場の成熟とは裏腹に利幅が減少し、1970年には売り上げに対する利益が1%という異常な状態となっていた。そこで登場したのがPOSシステムである。しかし当時はバーコードの共通規格がなかったため、POSを導入しても品目が膨大なスーパーマーケットでは商品コードを設定するだけでも大変な手間となり、大きな効果は得られなかった。1969年、全米食品チェーン協会は統一商品コードの策定に乗り出した。1970年には食品雑貨産業特別委員会が組織され、1973年に現在も使われているバーコードとその上の統一商品コード (UPCコード) が採択された。バーコード方式となったのは、バーコード印刷代の小売価格上乗せが小さくPOSを使わない小規模店舗が過剰な負担を負わないこと、バーコードスキャナが光学文字認識などより安価であること、バーコード自体は1951年に特許取得された枯れた技術であり信頼性が高いことなどからである。なお、初期のバーコードスキャナ(WAND式)は、先端にLEDとフォトトランジスタを内蔵しただけのペン型の安価なタイプだった。バーコードをペン先でこすり(マニュアルスキャン)、印刷された白黒のバーからの光反射量を電圧に変えて、POS(バーコードデコーダ)に送っていた。バーコード方式は急速に食品以外にも広がっていった。また、製造業、流通業、小売業の間で商品流通の電子化が進み、それによってPOSの採用も広がっていった。アメリカのスーパー業界は1980年代に大きく収益を上げたが、これはPOSの効果によって取り扱い品目が3倍に増加したためと分析されている。その一方でPOSを導入できない零細店舗の多くは姿を消す結果となり、食品製造についても商品コードの割り当てを受けないと全国的な流通網に乗せてもらえないことから、業界への参入障壁が高くなったといわれている。近年では自動販売機のように顧客が操作できるPOSシステムも一部の大型量販店で導入されている。これはひとつのPOS端末に従業員1名を配置する従来の方式を、複数の客が操作するそれぞれのPOS端末をひとりの従業員が監督する方式に転換することを可能とすることから、人件費を抑制することにもつながっている。販売店でのPOSでは、商品へのマーキングが必要不可欠となる。今日ではデータの収集と集計を容易にするためにバーコードを使ったマーキングを用いることが多い。バーコードを商品へ装着するマーキングには2種類の方法があり、商品の製造過程でバーコードを印字またはシールを商品に付けるものを「ソースマーキング」、販売店舗でバーコードを印字またはシールなどで付けるものを「インストアマーキング」という。インストアマーキングは、主に同じ商品でも量や重さやサイズなどで販売価格が異なる場合(食品や衣類など)に使用され、その店舗または会社内だけで使用可能なコードを用いる。ジャーナルはレシートと同じ内容のデータを記録したものである。売り上げデータとして活用するほか、店舗や企業では7年間の保存義務がある。伝統的には紙面にプリントしたものだったが、近年では磁気ディスク上に記録した電子ジャーナルも普及している。電子ジャーナルでは採取した基礎データを容易に売り上げ動向の指標として閲覧することができるほか、カテゴリ別に消費者の購入動向を把握することもできるため、仕入品目の数量決定や在庫管理には特に有用な情報となる。スーパーやコンビニで普及しているのは一般に「POSシステム」と総称されるもので、POSレジスタ(POSレジ)と呼ばれる商品単位の集計機能を持ったキャッシュレジスタでデータを採取し、オフィスコンピュータやワークステーションなどのオフィスサーバで集計を行うのがその基本である。簡単なものならPOSレジ単独で集計を行うことも可能で、この方式は主に一般商店で普及している。以下の3点が基本となるが、これ以外に専用端末が加わることもある。一般的には、販売店舗で売上会計を行うために店舗内に1台ないし複数台設置されるキャッシュレジスタを指す。近年ではWindows NTベースのOSを使用したPC POSにRDBMSを搭載した機種が多い。パソコンの小型化・高性能化を受けてマイクロソフト社主導で開発されたもので、Windowsの技術を活用することで開発コストを格段に抑えた周辺機器との接続仕様「オープンPOS」が発表された。またその普及を目指してOPOS協議会が設立され、参加する各社はその仕様に準拠した製品を開発、それらの導入例も増えている。近年では質の良いオープンソースソフトウェアの登場により、Linux を利用した製品も発表されている。以下はメーカーによって名称が変わる場合もある。ポータブルデータターミナルは商品の在庫管理に使用する装置である。棚卸しを簡易的に行う際に欠かせない。また、レストランなどでは注文時のデータ入力にも活用される簡単な無線ターミナルとなっている機種が多い。上記に加え、無線タイプの簡易的なポータブルデータターミナルを含むオーダーエントリーシステムを使用する。俗にバックヤード(裏庭)と呼ばれる店舗内の事務所に設置され、複数のPOSレジスタからの情報を統合したデータを作成する。また、ポータブルデータターミナルからの棚卸しデータも集計するとともに、仕入れ作業にも活用されている。チェーンストアでは商品発注機能も内包していることが多い。商品単品の仕入れ先毎のデータ集計などを容易に行うことができるほか、仕入時の過不足を極力低減して商品仕入れの精度を向上することができる。大手チェーンなどではさらに通信回線を使用して本社大型コンピュータに接続、そこで全国の在庫や販売の管理を行っている。大規模なPOSシステムでは雇用や勤怠管理など、売上で在庫以外の店舗全体の店舗管理機能を内包する場合もある。今日大手コンビニなどではWindows NTベースのOSやUNIXを使ったオフィスサーバ(オフィスコンピュータやワークステーション)を使用している。一般商店でもこれに追随して置き換えをおこなう傾向にある。また近年のADSL回線や光回線の普及をうけて、インターネットを通じてデータセンタにシステムを集約させることにより店舗に配置する機器の縮小を図る「インターネットPOS」の導入例も増えつつある。
出典:wikipedia
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