『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(きどうせんしガンダム ジ・オリジン)は、安彦良和の漫画。原案は矢立肇・富野由悠季、メカニックデザインは大河原邦男。アニメ『機動戦士ガンダム』をベースにしたコミカライズ作品ではあるが、設定の見直しや外伝的エピソードの追加など独自のアレンジが施されている。ガンダムシリーズ専門漫画雑誌『ガンダムエース』創刊号(2001年6月発売)より2011年8月号(2011年6月発売)にかけて連載された。2014年からはウェブコミックComic Walkerにてフルカラー版が順次無料掲載されている。最終話の掲載号においてアニメ化が発表され、2015年よりエピソードを分けて制作・公開されている。詳しくは後述。テレビアニメ『機動戦士ガンダム(ファーストガンダム)』においてアニメーション(作画)ディレクター、キャラクターデザイナー、メカニカルデザインのクリーンナップなどを務めた安彦良和による、同作のコミカライズ作品である。TVアニメ版をベースにしており、劇場版でカットされたルナツー攻防戦やセント・アンジェのエピソードなども描かれている。また見せ場であったシーンや決め台詞なども多くが生かされ登場している。一方で、現在の視点からすると不自然であったり、現実世界の変化に合わなくなった設定などの変更や、新規キャラクターの追加、既存キャラクターの設定見直しが行われている。本作は当初、サンライズによって日本国外へ『機動戦士ガンダム』を紹介するためのコンテンツとして企画された。安彦良和は残りの人生を漫画家として送るつもりであるうえ、安彦自身の弁によれば「そもそもガンダムという物語は、自分が関わったとはいっても富野さんの作品だという意識も強かった」ため、当初この企画に難色を示していた。しかし、病気で入院することとなり、手持ちぶさたに「ガンダム」の物語のネームを切り始めたところ、一気にガルマ・ザビ戦死のくだりまで描き進められたこと、さらに富野由悠季からも「自分も楽しみにしているから好きにアレンジして欲しい」と言われたことで、本作の執筆を決めたとのことである。ガンダム35周年の間、安彦にとってはガンダムの存在が「鬱陶しい尻尾」と評するほど今作の漫画でリライト化はやっと「ガンダムの安彦」が薄れていった後だったので、正直迷惑だった上に最初は固辞するほどであった。作成するきっかけは、「シャアの事を殆ど理解していなかった」事である。その原因はファーストガンダムの欠点でもある「シャアに対する誤解」。シャアの生い立ちが描かれていない事である。シャアはザビ家への復讐に、全てをかけた可哀想なキャラクターで、知力、身体能力が超人的に高いがゆえに、世界を破滅にしかねないネガティブヒーローであるが、それが一般に受け止められていると語っている。しかしながら、自身は「ネガティブキャラとして愛している」事を述べている。TVアニメ『機動戦士ガンダム』は永井一郎のナレーションで始まるが、それまで描かれていなかった、一年戦争の疑問を逆算し答えを出して、以下のように構想している。そのため、『ファーストガンダム』はグラウンドデザインが良くできていて、綺麗にピースをはまっていくので、ジグソーパズルの様な楽しさであったと語っている。設定を改変するにも、変に深読みせずに、それを遠慮なくできるのは当時を知っている、自分だけであり、連載を終えて今回の仕事が宝物の1つになったと語っている。更に今作品は「『ファーストガンダム』の成り立ちの話である」と発言している。また、漫画版『新世紀エヴァンゲリオン』を手がけた貞本義行との対談で、「キャラクターデザイナーという作品へ強い影響力を持つ人間が漫画版を書いても構わないんだ」と気付かされたと語っており、執筆のきっかけの1つになったことを明かしている。講談社への企画持ち込みから紆余曲折を経て、掲載は角川書店にて行われることとなり、当初は一気に100ページを超える分量を掲載するというスタイルであった。それも、この100ページが終わってなお、アムロがガンダムに乗り込んでいないというほどの分量である。しかしこれでは、既存の漫画雑誌には連載できないという事情から、ガンダムを専門とする雑誌『ガンダムエース』が創刊された。当初は季刊であったが、その後にペースが若干上がり隔月刊となり、ガンダム関係のコンテンツが十分揃った時点で月刊化された。また、当初の企画どおりに、海外向けにも翻訳・発行されている。連載開始時のキャッチコピーは「誰もが待っていた。これが本当のガンダムだ」である。人類は、宇宙世紀(以下、U.C.と記す)0001より、増えすぎた人口をスペースコロニーへと移住させることで地球の人口過密状態とエネルギー問題を解決し始めていた。コロニーへと移住した人々は「棄民」と揶揄された一方、コロニーへと移住することなく地球に「残り、住み続けること」は、その行為自体が特権(エリート)的行為とされた。前者をスペースノイド、後者をアースノイドと呼ぶようになった。それぞれのコロニーは自治政府が統治する形態をとりつつも、そこで生産される農産物などの資源は地球連邦への貢納を義務づけられ、地球連邦を脅かすような大規模な軍隊も持つことが許されず、各コロニーには連邦軍が駐留する形をとっていた。そのなかでも、特に地球からの独立の気運が高いコロニー、サイド3:ムンゾ自治共和国の最高責任者ジオン・ズム・ダイクン議長と彼を支持する有力者達は、地球連邦国家からの独立を、主に共和制議会制度を利用し目指してきた。しかしその独立運動の象徴たるダイクンが、議会での対連邦重要演説中に急死してしまう (U.C.0068)。求心力を失った政治混乱の中、彼と共に独立運動を支えてきたデギン・ソド・ザビ一派とジンバ・ラル一派の政争が始まり、ムンゾ自治共和国防衛隊(後のジオン公国軍の母体とされている)や私兵集団である保安隊という暴力装置を一族で押さえていたザビ派が泥沼の政争を制する。その結果、デギンが共和国議長となり、更には自ら一族がジオン独立運動の正当な後継者であることを示すため、ジオン共和国を名乗り、彼の長男であるギレン・ザビ国民運動部長主導による対連邦戦争遂行体制の整備が進められていく。こうした世相の中、ジオン・ズム・ダイクンの遺児であり、本作の準主人公ともいえるキャスバル・レム・ダイクンとアルテイシア・ソム・ダイクンの兄妹が、ザビ家の権力争い、更には前述した政争に乗じてザビ家内の自らの主導権を固めんと暗躍するザビ家の長女キシリア・ザビ親衛隊隊長によって翻弄されながら、懸命に生き延びていく。更にはキャスバルが、対地球連邦独立のためにジオン共和国内に設立されたスペースノイド合同宇宙軍士官養成学校に身分を偽ってシャア・アズナブルとして入隊し、「ザビ家への復讐」を胸に、軍人としてしたたかに成長していく。デギン共和国議長の戦争回避策への思いとは裏腹に、ギレン主導で地球連邦との開戦準備を進めるジオン共和国は、連邦軍との戦力差を埋めるために独自の戦略を打ち立てていく。軍産複合体の象徴、巨大軍需産業資本ジオニック社と提携し、社の技術顧問であったT.Y.ミノフスキー博士の助言のもと、モビルワーカーとその完成形としてのモビルスーツの開発に成功する。軍事大国化していくジオンへの危機感を持ったミノフスキーは、ジオンと袂を分かち連邦へ亡命することを決意するが、この際に行われた史上初のモビルスーツ戦である月面スミス海の戦闘において、ジオン側のモビルスーツが連邦側のモビルスーツ部隊を壊滅に追い込み、亡命劇は失敗に終わる。この惨敗は、連邦側が提携していた軍需産業資本アナハイム・エレクトロニクス社の当のRX計画担当技術社員テム・レイに衝撃を与え、軍首脳部を説得し、本作の主役機となるガンダムを開発させる契機となった。U.C.0079、デギン議長は公国制を敷き、ジオン公国を名乗ることで旧ムンゾ共和国におけるザビ家の事実上の世襲権を獲得する。長兄ギレンは総帥職に就くことで新生ジオン公国の全権を握り、地球連邦への宣戦を布告、手始めに、反ジオンのスペースコロニー共和国群の制圧に取り掛かる。まず、抵抗するサイド2:ハッテ自治共和国の首都島市民を毒ガスにより無差別に虐殺、その後多くの市民の死体を乗せたコロニー自体を連邦側の軍機関の中枢ジャブローに向けて落下させる(ブリティッシュ作戦)ものの、3つの塊へと分裂したコロニーは当初の目標を外れて地球の主要都市などに激突し、結果として地球総人口の約半数を葬り去る。この人類史上未曾有の殺戮行為を正当化する演説におけるギレンは、地球連邦に裁きの鉄槌を下すことを思索していた故ジオン・ダイクン議長が乗り移ったかのようであった。次なる標的とされたサイド5:ルウム自治共和国近郊での艦隊決戦(ルウム戦役)において、ドズル・ザビ中将の指揮する主力艦隊は、おとりの艦隊を犠牲にした戦略とモビルスーツを巧みに利用した戦術により大勝し、連邦軍総司令官を捕虜とすることに成功する。前述のコロニー落としの惨劇による異常なまでの戦争被害と、ルウムでの敗北にもかかわらず、デギン公王から和平への期待を託されて連邦側に戻された敗将レビルは戦争の継続を主張する大演説を行い、連邦とジオンの両国は戦時協定(南極条約)を結んだ上での星間戦争 (star wars) の継続を選択する。南極条約締結後、制宙権を握ったジオン公国側はキシリア少将揮下のマ・クベ中将を司令官とする地球侵攻部隊を降下させ、地球攻略戦を開始する。しかし戦線の急速な拡大に、国力に劣るジオン公国軍は地球圏での情勢に即応した対応が取れないまま、戦争は膠着状態へと陥る。このような戦局の中、モビルスーツの戦術上の重要性に関心を持たざるを得なくなった連邦軍側は、モビルスーツ開発計画を本格化するため、軍首脳に接触していたテム・レイを責任者とする極秘の計画を発動させる。そしてその連邦側の動きを察知したドズル・ザビは、ジオン公国軍きってのエースパイロットに成長していたシャア・アズナブルに対し計画探索を命じる。シャアが地球圏からサイド7へと向かう一隻の「民生輸送船」を追う場面から、物語はアニメ『機動戦士ガンダム』で語られた世界へとつながっていく。ここでは本作の原作となるテレビアニメ『機動戦士ガンダム』(通称:ファーストガンダム)との差異を記載する。地球連邦軍側のモビルスーツ (MS) については大きな設定の見直しが行われ、ガンタンクが10年以上前に量産化された大型主力戦車であり、ガンキャノンはザクIに対抗して開発・実戦投入された地球連邦軍初の量産型MSとされた。デザインはこの設定を前提に、原作のメカデザイナーであった大河原により見直され、安彦に提供されている。『ファーストガンダム』において、地球連邦軍では当初宇宙戦艦ホワイトベースに搭載された3機の試作機しかMSが存在せず、それらばかりが活躍しているという点は不自然であるとしばしば指摘されていたが、安彦もインタビューで同様の認識を示して変更したものである。量産機であるため、物語の主な舞台となるホワイトベースにも、ガンタンクとガンキャノンは物語開始時点において複数が稼動可能な状態で搭載されている。ジオン軍側でも開戦以前のMSの登場や、アニメ版では量産が間に合わなかったとされていたゲルググのソロモン防衛戦への投入など、いくつかの変更点が見られる。アニメ版ではほとんどが試作機とされていたモビルアーマー (MA) の多くが実戦投入されていることも特徴である。物語の発端となるジオン・ズム・ダイクンの死もザビ家による暗殺という陰謀的な趣よりも、混沌とした情勢の中での不慮の死といった面が強調され、小説版に活字でのみ存在していたキャラであるサスロ・ザビの暗殺やドズルの暗殺未遂も発生することで争乱期の危うい状況下で、老獪なデギン、手腕に長けたギレン、人望に厚いドズル、策謀家のキシリアという多彩な人材を抱えていたザビ家が“結果的に台頭した”という設定になっている。また、物語の黒幕はギレンではなくキシリアに変更されている。主役機となる「ガンダム」や、ジオン軍側のMSについても安彦の考えを元に、大河原がアレンジを施したデザインに変更されている。これらの大河原によるメカニックデザインは、あくまでも作画のための資料として描かれたものであり、安彦は必ずしもそのまま使っていない。また、年代的に近い作品である『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』や『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場したメカニックデザインも随所に取り入れている。ジャブローから出発する直前の時点で本編は一旦中断され、シャア・アズナブルとセイラ・マスの兄妹の過去を追う形で、アニメ版のみならずそれ以外の作品でもほとんど描かれることの無かった過去の物語が、作者独自の解釈によって描かれている。特に文字設定のみであったジオン共和国と地球連邦政府の対立から一年戦争開戦までの流れを、初めて一貫して描いている。ジオン・ズム・ダイクンの遺児キャスバル(=シャア)、アルテイシア(=セイラ)兄妹とランバ・ラル親子との関わり、ザビ家がダイクン家に代わりサイド3の実権を掌握する過程、公国制を布いたジオンと地球連邦間の確執から来る緊張感、キャスバルが公国軍のエース「シャア・アズナブル」となった経緯、モビルスーツ開発前史、開戦からルウム戦役に至る一年戦争前半期などのエピソードが描かれる。「開戦編」「ルウム編」は安彦の当初の構想にはなく、編集部から勧められる形で執筆することになった。連載とは別に、『公式ガイドブック』描き下ろしや、本編完結後の新作描き下ろしなどで短編が発表されている。特別番外編以外の作品は愛蔵版に収録され、2015年2月にカドカワコミックス・エースで第24巻・特別編としてまとめられた通常版の2巻分を1巻にまとめ、連載時のカラーページをカラーのまま収録。ただし、通常版第2巻収録の「激闘編」1-4は、「始動編」5-8と章名が変更になっている。また短編のうち「その前夜」が「ルウム編」に、「キャスバル 0057」「アルテイシア 0083」「アムロ 0082」の3作が「めぐりあい宇宙編」に収録されている。各巻の巻末にはアニメーターや漫画家などによるエッセイ・イラスト・漫画などが寄稿されている。原作でのシャアとセイラの少年少女時代から一年戦争開戦までを描いた、通称「過去編」(コミックス9~12巻)を全4章構成で描く予定。原作最終話の掲載号においてアニメ化が発表となったが、公開時期やメディアについての詳細は不明であった。2014年3月20日に開催された『機動戦士ガンダム35周年プロジェクト』に関する発表において概要が明らかとなった。原作者である安彦良和が、約25年ぶりにアニメ制作に総監督として関わる。今作において安彦から、本作スタッフのおかげでアニメ制作で初めて「満足」のいった仕事が出来たと語っている。自身が手掛けたこれまでのアニメ作品は「満足」に達した作品はなかったため、それが要因でアニメ業界から去ったと述べていた。MSや戦艦などのメカニックや背景には、3DCGが多用されている。今作は「新しいガンダム」と称され、フジテレビの『めざましテレビ』では監督の安彦にインタビューを敢行した。また声優はアムロ、シャア、ギレンの3人以外はすべて『機動戦士ガンダム』から変更されている。さらに、2016年5月8日に開催された「決起の篝火 暁の蜂起 プレミア上映会」で安彦良和総監督は、「ルウム編」のアニメ化が決定されたことを話され、同年5月21日から6月3日までの「III 暁の蜂起 イベント上映」時は、「IV 運命の前夜」の次回予告後に「緊急告知 ルウム編制作決定」と映像が流れた。2017年公開予定。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル』(きどうせんしガンダム ジ・オリジン ワン あおいひとみのキャスバル)はアニメ版『THE ORIGIN』の第1章。2015年2月28日より2週間限定のイベント上映、および有料配信され、2015年4月24日にBDとDVDが発売された。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN II 哀しみのアルテイシア』(きどうせんしガンダム ジ・オリジン ツー かなしみのアルテイシア)はアニメ版『THE ORIGIN』の第2章。2015年10月31日より2週間限定のイベント上映、および有料配信され、2015年11月26日にBDとDVDが発売された。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN III 暁の蜂起』(きどうせんしガンダム ジ・オリジン スリー あかつきのほうき)はアニメ版『THE ORIGIN』の第3章。2016年5月21日より2週間限定のイベント上映、および有料配信され、2016年6月10日にBDとDVDが発売された。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN IV 運命の前夜』(きどうせんしガンダム ジ・オリジン フォー うんめいのぜんや)はアニメ版『THE ORIGIN』の第4章。2016年秋頃、2週間限定のイベント上映、および有料配信予定。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN Mobile Suit Discovery』は、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の世界観の中でのMSの発展・設定についての考証企画。いわば『THE ORIGIN』版のモビルスーツバリエーション(MSV)。略称は『MSD』。ガンプラでの展開も行なわれる。メカニカルデザインはカトキハジメ、コンセプトアドバイザーは今西隆志。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』アニメ版公式サイトと月刊ガンダムエース誌上にて2015年から連載。一年戦争(『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』本編で描かれた連邦とジオンの戦争)終結後の宇宙世紀0082年に、ジオニック社を吸収合併したアナハイム社が戦時中の開発資料や関係者の証言からこれまで未確認だったモビルスーツを公表したという設定。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN MSD ククルス・ドアンの島』は、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の外伝となる漫画作品。『THE ORIGIN』では未登場であったキャラクター「ククルス・ドアン」を中心に添えたエピソードとなっている。『ガンダムエース』2016年8月号から連載中。作画:おおのじゅんじ
出典:wikipedia
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