『ダロス』(DALLOS)は、スタジオぴえろが制作し、バンダイから発売されたOVA。1983年12月16日に発売された世界初のOVAである。第1巻は1万本が売れ、全4巻合計で2万本を出荷した。制作費は総計1億円であった。当時、販売用ビデオソフトが1万円以上した中で6,800円という低価格で発売されたことで業界の注目を集め、本作によりOVAというジャンルの歴史と市場が形成されていった。監督の鳥海永行による小説版が1984年10月、講談社X文庫から刊行されている。当初は、打ち切りが決まっていた『魔法のプリンセスミンキーモモ』の後番組として、バンダイの要請でアニメ制作会社の4社に提出させたテレビアニメ企画4本のうちの1本だった。しかし『モモ』の放送延長が決まったため、『モモ』の後番組としての企画としては流れた。その後もテレビ番組として模型や玩具のマーチャンダイジングを検討したが、キャラクター商品の展開が難しいことからテレビ企画は断念。ビデオのみで発売する作品として企画は継続され、結果的に世界最初のオリジナルビデオアニメとして、テレビアニメ企画の52話の序盤をダイジェスト編集して映像化、全4巻で発売されることになった。1巻に1話の構成で、第2話が最初に発売された。これは地味な作風の1話ではなく、戦闘シーンがあり派手な2話を先にすることにより販売に弾みをつけるためである。鳥海永行と押井守の2人の監督が立てられ、映画『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』の作業があった押井守は後から参加し、鳥海が先行して作業に入っていた。鳥海が1話、押井が2話で同時進行で制作したため、1話と2話でキャラクターがまるで違ってしまった上、製作段階で、人間ドラマにしたい鳥海と、状況描写に重きを置きたい押井と、二人の目指す「ダロス」が全く異なっていることが明らかとなり、絵コンテから演出、色指定に至るまで対立し、双方で勝手に書き換えるなど現場は混乱した。なぜ監督が二人になったのか、今となっては分からないという。両者話し合いで歩み寄りして、以降はストーリーラインは鳥海が担当し、戦闘シーンやアクションシーンの演出を押井が役割分担することになった。バンダイ側が『機動戦士ガンダム』の路線を希望し、同作の安彦良和タッチのキャラクターで、主人公は機械いじりの好きな少年(=アムロ・レイ)、ヒロイン役に鵜飼るみ子(=フラウ・ボゥ)、ライバル役が池田秀一(=シャア・アズナブル)と『ガンダム』の設定を踏襲していた。当初、階級闘争を戦う無名のテロリストたちの群像劇として、映画『アルジェの戦い』のようなドキュメンタリータッチでやりたいと張り切っていた押井守は、内容面と2人の監督がいる制作体制の混乱とに不満を抱えた。本格的なメカものをやれたことが経験になり、後に『機動警察パトレイバー』に参考になったとはしているが、特に思い出すことはないと総括している。鳥海は打ち上げの挨拶で「あと一時間半位の枠で完結させたい」と語ったが、実現することはなかった。21世紀末。地球連邦政府は、人口増加や資源枯渇などの諸問題を解決するために月面開拓計画を開始した。多大な犠牲を払いながらも計画は成功し、月の裏側に都市「モノポリス」が建設された。潤沢な鉱物資源は地球を甦らせ、人類に永続的繁栄を約束した。だがその一方、月面開拓民(ルナリアン)に対する扱いは冷淡なものへ変質し、彼らは死ぬまで外すことが出来ない頭の認識リングによって常に行動を監視されて昔の豊かさを取り戻した地球への留学や旅行さえも禁止された上、死者は肉体を化学処分され、墓標を立てて弔うことすら許されないなど、徐々に奴隷民のように冷酷な扱いを受け始めており、それについて連邦政府に対する異議申し立てが一切できなくなるほど統轄局「スカラー」の厳しい管理政策によるストレスに苦しんでいた。そんなルナリアンが心の拠り所としたのは、モノポリス近郊に聳える巨大な機械構造物「ダロス」であった。人の顔のようにも見えるそれは、あきらかに地球科学の水準を超えた超科学の産物であると同時に、はるか古代から存在しており、いかなる文明が建造し、何を目的に活動し続けるのかなど、全てが謎に包まれている。あたかも虚空を凛と見据えるかの如き威容に、未来永劫、地球の姿を見る事が出来ない人々は大いに畏敬の念を覚え、特に、計画初期から苦難を重ね、大事故発生時には避難壕として使用したこともある開拓民第一世代の老人たちにとっては、神に等しい存在であった。しかし、月で生まれた若い世代が台頭するにつれて同じ(地球)人類でありながら、閉塞した管理統制で民主国家の国民として地球の同世代人が享受している最低限度の自由さえ与えられない社会環境に対する不満をささやく声が広がり始め、反連邦政府の機運さえ高まる中、ルナリアン第三世代の少年シュン・ノノムラと幼馴染みのレイチェルは、自らの意志と無関係に、偶然知り合ったゲリラのリーダーであるドグ・マッコイが主導する独立運動へと巻き込まれて行く。ドグ・マッコイ率いる過激派ゲリラは、統轄局軍司令官アレックス・ライガーの恋人で、地球連邦政府要人の令嬢メリンダ・ハーストがモノポリスを訪問した際に彼女を誘拐、人質とした上で統轄局に対する破壊活動を活発化させ、地球連邦政府に対し、ルナリアン独立へ向けた交渉のテーブルに着くことを要求した。しかしアレックスはこれを拒絶。徹底的な武力による事態鎮圧を図る。同時にルナリアンの精神的支柱であるダロスを、体制にとって不都合な存在であると判断し、ただの機械に過ぎないことを見せつけるため、大規模な抗議集会が繰り広げられる中、内部への潜入調査を口実に破壊することを指令。ダロスをアジトとしていたゲリラたちと遭遇、交戦の末にこれを完遂する。ダロスが破壊されたことにより、過激派の若者に距離を置いてきた一般市民も各所でストライキを開始し、事態は先鋭化の一途を辿る。更に、地球出身者であるアレックスの独断専行に不満を募らせる、カテリーナ副領事を中心とした統轄局内部のグループが、彼を陥れるために、ゲリラ掃討を名目とした居住区への無差別攻撃を決行、数多くの死傷者を出す結果となる。これが大規模な暴動を引き起こし、ドグの行動に難色を示す第一世代ルナリアン開拓民評議会もついに重い腰を上げ、全面ストライキを発令。両者の対立が頂点に達しようとした時、破壊されたはずのダロスが自己修復によって復活、活動を再開した。ゲリラは再度ダロスに集結し臨戦体制を整え、統轄局軍も総攻撃を決定。最終決戦の火蓋が切られる。担当声優は「声の出演」を参照。
出典:wikipedia
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