コミュニティバス(community bus)とは、地域住民の移動手段を確保するために地方自治体等が実施するバスである。本稿では日本におけるコミュニティバスについて説明する。コミュニティバスは、市街地で公共交通サービスを提供するもののほか、市街地内の主要施設や観光拠点等を循環する路線などさまざまな種類のものがある。いずれも従来の路線バスによるサービスを補う公共交通サービスとして運行されている。先駆けは東京都武蔵野市が1995年に運行を開始した「ムーバス」とされており、日本各地に広がっている。自治体が民間のバス会社に運行を委託し、運行経費の赤字分を自治体が補填する方式が一般的であるが、新宿区のようにバスの購入費のみを自治体が補助する場合もあるなど、その形態は様々である。狭隘路線であったり利用者が少ない場合は、小型のバスが使用されることが多い。「コミュニティバス」は法的に明確に定義されている概念ではない。法的には、普通の路線バス(乗合バス)と同様、道路運送法などの規定に従う。高齢者や身体障害者等が公共施設・医療機関に行きやすくするなど、地域住民の交通の利便性向上を目的として、地方公共団体が何らかの形で運行に関与している乗合バスを一般にコミュニティバスと呼ぶ。コミュニティバスは、既存のバス事業者またはその子会社が運行するもの、貸切バス事業者が運行するもの、地方自治体が運行するものなどがある。自治体が運行する場合にあっても、地方自治体が国土交通省から運行許可を取得し、実際の運行は地元の貸切バス事業者や交通局(地方公営企業)に委託することもある。これは、コストや車両管理、運転士の雇用の関係である。京都市醍醐地区の「醍醐コミュニティバス」、四日市市の「生活バスよっかいち」などのように、沿線住民が路線の設定等、運行計画に当初から関与していくケースがある。この他にも外部の大学教授などが提案を行う例もある。事例としては少ないものの、特定非営利活動法人などに事業の運営を委託するケースもある。これらは、道路運送法21条または同法80条に基づき運行されている。また廃止代替バスの形態で運行されることもある。旅客需要数や道路幅の関係でバスではなく、乗合タクシーとして運行されることもある。宮城県石巻市稲井地区の「いない号」や岩手県雫石町のあねっこバスなどが該当する。通常の乗合バスですら高速バスを除き経常的な赤字の状況であり、ましてやコミュニティバスは乗合バス事業者が運行しない、または撤退した地域を運行し、しかも運賃は低廉であることから、収支均衡させることは極めて困難であり、純然たる営利事業として捉えることは適当でない。経常的収支で赤字計上は覚悟せざるを得ないものの、交通空白地帯の解消、公共交通の確保という公益的な観点から、市町村から運行費用の補助(赤字補填)が行われるのが一般的である。市町村自身が、路線、便数、停留所位置などコミュニティバスの基本的な要素を計画したうえ、運行の委託を地元貸切バス会社に委託することも多い。なお、通常の路線バス(4条バスと呼ばれる)においても、国土交通省や都道府県、地元市町村による赤字補填の仕組みがあり、路線形態、延長、実行実績によって役割分担が決まっている。実際の運営方式は、大まかには以下のように分類できる。このように、コミュニティバスと一般の路線バスの線引きは大まかにしか出来ず、またそれぞれを混同しやすくなっている。ひとつの自治体やバス事業者に上記のような複数の運営方式のバス路線が存在すること、コミュニティバスのはっきりとした定義が存在しないことなどが、その一因と考えられる。日本のコミュニティバスの導入の発端は、香港で盛んに運行されるpublic light bus(「ミニバス」)であるといわれる。香港のミニバスは2種類あり、車体が緑のものが決まった運行系統を持ち停留所も決まっている。車体が赤のものは商業地区と住宅地区を結び、通勤や買い物の路線として自由乗降が可能でファジーな運行を行うバスである。日本の交通行政関係者が香港を訪れたときに、非常に稠密、安価、かつ合理的な経営をしていたことに驚きを感じ、日本でも短距離、小輸送力、かつ安価な同様のバス路線が運行できないかと検討した結果生まれたものとされている(なお、同様の地域密着型のバスは、香港に限らず、韓国の「マウルバス」等他にも存在する)。香港のミニバスは「降車を知らせる押しボタンがないものが多い」「運転手のサービスや身なりが悪い」「立ち席がない」などの欠点があり、日本のコミュニティバスの導入の際は、それを克服した形での導入となった。日本での先駆けは、1980年の東京都武蔵村山市の市内循環バスであるとされる。市が車両を購入し、立川バスに運行を委託した。これに続いて、1986年に東京都日野市で「ミニバス」が始まった。これは日野市が行政サービスの一環として、市内のバス路線のない地域に小型バスによる路線バスを運行するというものである。市が直接バス路線を開設することは現実的でないため、日野市内で路線バスを運行していた京王バスが路線開設と実際の運行管理を引き受けた。この「ミニバス」は見た目としての運行形態はそれまでの路線バスと一線を画する全く新しいものだった。そのため、全国各地で似たような形態での路線バスサービスを開始する自治体が続出し、それらは「コミュニティバス」と呼ばれるようになった。ただし当時は全国的に有名にはならず、この種の運営形態が続出し始めるのは1995年の武蔵野市におけるムーバスの成功に触発されたところが大きい。この成功によりコミュニティバスの呼称が急速に広まった。また、金沢市における金沢ふらっとバスは斬新な車体で、商店街アーケードの中を走行する(トランジットモール)など、従来のバスにない発想のもとに運行されており、注目を浴びた。特徴については次項で記す。概ね次のような特徴を持つ事が多い。
出典:wikipedia
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