ラック・メガンティック鉄道事故(ラック・メガンティックてつどうじこ)は、東部夏時間2013年7月6日1時15分頃にカナダのケベック州で発生した鉄道事故である。原油を輸送していた貨物列車が無人の状態で暴走し、カーブで一部の車両が脱線・爆発・炎上した事で、少なくとも33人の死者と17人の行方不明者を出した。事故を起こした貨物列車は73両編成で、5両の機関車が68両のタンク車を牽引していた。タンク車には1両あたり11万3000リットルの原油が満載されており、この編成の合計では768万4000リットルに達する。列車はの線路をアメリカ合衆国のノースダコタ州からカナダのニューブランズウィック州セントジョンの製油所に輸送する予定であった。7月5日23時25分頃、列車は事故現場となるラック・メガンティックから約11km西方のナントに、乗員の交代のため到着したが、このとき機関車で、8ヶ月前に応急的に修理した燃料パイプからの漏れに起因する小規模な火災が発生しており、5分後の23時30分頃、消防士が消火した上で列車の安全を確認し、立ち去った。この時点で列車は完全に無人となった。この時、消防士が誤って空気ブレーキを解除し、機関車の5両目とタンク車の編成の連結部分が外れ、列車は暴走を始めた。停車位置から事故現場までは下り勾配である。翌6日1時15分、列車はラック・メガンティックの市街地にあるカーブに突入し4両が脱線した。脱線の衝撃でタンク車に積まれていた原油に引火し、爆発・炎上した。合計4回から6回の爆発は約2km離れた地点でも熱を感じるほどであった。爆発によって13日時点で33人の死者が確認されているが、連絡の取れていないものがまだ17人おり、その17人の生存も絶望的と見られている。カナダにおける平時の災害では、1956年に62人が死亡した以来の規模になると推定されている。DNA鑑定が出来ないほど激しく損傷した遺体もあるため、身元確認は歯形による鑑定が行われる予定である。爆発に巻き込まれた建物の1つに飲食店があり、当時50人ほどが店内にいたと考えられている。また、住宅など40棟の建物が爆発で破壊された他、最初の爆発・火災の影響で約1000人、有毒ガスの発生の懸念から追加で約1000人の人が避難した。これはラック・メガンティックの人口の約3分の1である。また、避難住民の一部には帰宅が許可された。火災はなかなか収まらず、最初の20時間は火災の激しさから消火活動が出来なかった。別の2両が爆発する可能性も懸念されたが、150人体制の消火活動により約2日後に火は収まった。消防士は現場を「戦場のようだった」と形容している。また、爆発地点に水道管が通っていた事から断水が発生しており、給水車が避難所にある。近くを流れるオタワ川にも推定10万リットルの原油が漏れ出し、オイルフェンス設置のため一部地域に取水制限が勧告された。近くの湖にも原油が流れ込み、生態系に重大な影響を与えた。直接の事故原因は、貨物列車が無人の状態で暴走したことである。貨物列車は高台に停車していたが、乗員が列車から離れた後、無人のまま走り出した。そのままカーブに突入したため、一部の車両が脱線、タンク車に積まれていた原油に引火して爆発・炎上した。無人のまま暴走した直接の原因については事故直後から地元警察が捜査し、当初は何らかの理由で空気ブレーキと連結が外れた為と見られていた。乗員が離れる際にブレーキが適切にかけられていたかを調べていたほか、当初は、事件の可能性も否定できないとしていた。8日15時頃、カナダ運輸安全委員会が機関車のブラックボックスの回収を発表していた。その後の調べで、事故前の停車時に小規模な火災の対応に当たった消防士が、引火防止のために機関車のエンジンを止めたため、エンジンからの圧縮空気の供給によって働くブレーキが解除されていたことが判明した。消防側は現場に派遣された鉄道会社の社員にエンジンを停止したことを伝えていたが、その鉄道会社の社員は機関士でも整備士でもなく保線担当者でエンジンやブレーキについての知識はなく、出火の可能性が低いことだけを確認して、エンジンを稼動させずに現場を去った。また、停車していた場所は9‰の勾配があったため、タンク車の長編成による重さに耐え切れず機関車とタンク車の連結部分が外れ動き出し、次第に速度を増し続けて結果的に暴走に至った。本来、この重さの車両はこの勾配ではハンドブレーキを26両以上掛けなければならないのにもかかわらず、7両にしか掛けられていなかった。これは運転士と、運転士に教育を施すべき運行マネージャーがこの勾配を認識していなかったことにあり、また運転マネージャは運転士に十分な教育を行っておらず、運転士も機関車のマニュアルを読んでおらず、いつも7両にしかハンドブレーキを掛けていなかった。さらに、普段は当該列車は待避線に止めていたが、この時は待避線に故障車が停車しており、待避線に入れないため指令が本線に停めるように指示していた。このナント停車場から街までの約20kmの区間は列車を止める安全装置や信号も取り付けられていなかった。最終的に、上記の複数のヒューマンエラーが積み重なって起きた事故であると結論付けられた。事故後膨大な賠償金を請求された鉄道会社は事実上破産した。そして事故の原因を作ったとされている運転士や運行指令員や責任者であるマネージャーなどが過失致死罪に問われ、刑事裁判を控えている。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。