モコ("MOCO")は、スズキが製造し、日産自動車により販売されていた軽トールワゴンである。スズキのMRワゴンの姉妹車種(OEM版)である。軽自動車規格の乗用車(軽乗用車)で、2002年に初代モデルが登場した。日産の販売する軽自動車としては、1999年に独自開発した軽規格の電気自動車「ハイパーミニ」(実験的な位置付けで、200台余りが生産されたのみ)を別にすれば、実質的な第一号となる。日産はカルロス・ゴーン体制になってから軽自動車をラインアップに加えることを明言しており、前年の2001年4月2日にスズキとの共同プレスリリースで、軽自動車のOEM供給に関して合意したと発表していた。その車がこの「モコ」である。モコの販売は日産リバイバルプランの1つで、軽自動車購入層の取り込みを狙った物である。日産では自社およびグループ各社で軽自動車を手がけていないことから、最大手(当時)のスズキから「MRワゴン」のOEMを受け販売される車種で、軽であることを強調するために、テレビコマーシャルでは軽自動車で用いられる黄色いナンバープレートをデザインした広告展開がされた。日産の軽自動車はこの「モコ」を足がかりとして、翌年の2003年には三菱自動車工業から軽商用車「ミニキャブ」のOEM供給を受け、「クリッパー(現在のNV100クリッパー・NT100クリッパー)」として販売を開始。その後もスズキから2車種、三菱から3車種のOEM供給を受け、ラインナップを増やしていったが、現在、日産が販売する軽乗用車はこの「モコ」と2013年6月にオッティに替わって販売を開始した3代目eKワゴンとの共同開発車である「デイズ」、スズキ・エブリイワゴンOEM車種で軽ワンボックスカーの「NV100クリッパーリオ」、eKスペースとの共同開発車であるスーパーハイトワゴン「デイズルークス」の4車種である(デイズシリーズは製造自体は三菱)。基本的にOEM元であるMRワゴンと大きな違いはない。モコのコンセプトは「若いアクティブなママが、子供と一緒にどこへ行ってもジャストフィットできるベストパートナー」。エンジンは初代・2代目は直3 K6A型の自然吸気とターボ搭載の2種類で、トランスミッションは4速ATのみだったが、3代目では軽量・コンパクト設計の新型エンジンR06A型となり、自然吸気エンジンは吸排気VVT付に、インタークーラーターボエンジンも吸気側にVVT機構が搭載されたほか、トランスミッションも副変速機構付CVT(特に名称はない)となった。パーキングブレーキは足踏み式を採用することで運転席周りを広くとっており、サイドウォークスルーも実現。また、助手席座面をスライドさせると下に収納が現れることも、この車種の特徴。MRワゴンとの違いは、ボンネットとバンパーのデザインを変更し、フロントグリルを2002年当時のマーチやウイングロード、プリメーラなどと共通である日産の「ウインググリル」とし、他にも細かい意匠を変更することで、一目で日産車とわかる顔にしたことが第一に挙げられる。グリルの変更はボンネット等の変更を伴うため、モコ専用の「顔」を作らなければならなかったが、そこまでしても一目で日産車とわかることを強調することで、新生日産のイメージを顧客に向けて訴えている。2代目以降はグリルやバンパーのみならず、ヘッドライトまでも造形を変えたことでその印象が一層強まり、より日産車らしさを増している。他には、モコの専用内外装を追加したことやモコ専用のボディカラーを設定したこと(初代の「モコグリーン」以来、各改良時において「モコ○○」と名のつくボディカラーを設定)、MRワゴンでは一部グレードでオプションであったABSを全グレードで標準装備としたこと。ABSの標準装備は日産の安全基準によるもので、のちに三菱自動車工業からeKのOEMを受けたオッティも同様に標準装備された。また、モコの販売開始後に登場したMRワゴンの初代の派生モデルである「MRワゴン スポーツ」に相当するモデルはOEM供給されていないため、同車種に搭載されていた当時の「ワゴンR RR」や「Kei スポーツ」などの64PSのK6Aエンジン・ディスチャージヘッドランプ(スポーツも途中からオプション扱いとなる)は非搭載であった。MRワゴンの2代目・3代目の派生モデルである「MRワゴンWit」に相当するモデルもOEM供給されていなかったが、2013年10月に2代目「MRワゴンWit」をベースにした「ドルチェ」シリーズが追加されたことに伴って、MRワゴンの派生モデルがOEM供給されるようになった。2002年4月10日に発売。車検証上の型式はMG21S型となるが、社内型式はSA0型としている。搭載するエンジンは、K6A型 直列3気筒 DOHC VVTエンジン、および同型のDOHC インタークーラー付ターボエンジンの2機種。トランスミッションには4速ATが組み合わせられ、コラムシフトをとっている。後部座席はリクライニング機能の他に105mmの左右独立前後スライド機能を備え、またレバー1つでシートを倒せるなどシートアレンジが豊富になっている。前後スライド機能は、ベースとなった2代目スズキ・ワゴンRのプラットフォームからショックアブソーバーの取り付け位置を変更するなどリアサスペンションの改良を施すことで実現しており、後にワゴンR/マツダ・AZ-ワゴンにもマイナーチェンジにより同様の改良がされた。グレード構成は「B」、「C」、「Q」、「T」の4つ。Bはオーディオ関係・ボディ同色ドアノブを省略したモデル。Tはターボエンジンを搭載し、ルーフスポイラー、アルミホイールを標準装備としたスポーティ感を強調するモデル。Cはプライバシーガラス、CDデッキを標準装備とした普及モデル、Qは電動格納式ドアミラー、CD・MDデッキ、6スピーカーなどの装備を充実させたモデルである。また、バリエーションは圧倒的にMRワゴンが豊富であったがエクステリアデザインの差別化や販売網の巨大さもありOEM元のMRワゴンよりも販売台数が多い。2004年2月12日にはマイナーチェンジが行われた。前席がセパレート型からベンチシートへ変更され、新しい内外色の追加、後部座席スライド量の拡大(105mm→135mm)、専用ボディカラーの変更(モコグリーン→モコロゼ)、自発光式メーターの廃止などの装備の変更が行われ一部グレードにタコメーターが付いたほか、価格改訂も行われ軽自動車としては割高感を指摘されていた価格も引き下げられた。グレード構成も変更され、マイナーチェンジ後のグレードは「B」を廃止した、「C」、「Q」、「T」の3つで構成される。また、13インチアルミホイールが「Q」にも標準設定となった。2006年2月1日に「MRワゴン」より少し遅れて発売された。車検証上の型式はMG22S型となるが、社内型式はSA1型としている。フロントマスク(ヘッドライト・グリル・ボンネット・バンパーのすべて)およびエンブレムは専用のものが与えられており(リアまわりは共通)、ユーモラスかつフレンドリーな顔つきのMRワゴンに比べてシャープで凛々しい印象としており、同じ日産の「マーチ」や「ノート」といったコンパクトカーと共通のイメージを持たせている。またボディカラーにも「モコルージュパールメタリック」を用意し、また内装もシート表皮やドアトリムの布地にはモコ専用品を用いてMRワゴン以上に質感を向上させるなど、外装・内装ともにMRワゴンとの差別化が図られている。ボンネットについてもMRワゴンとは異なり、中央部分にプレスラインが入っており若干盛り上がった形状となっている。またこの2代目より、インテリジェントキーシステム(MRワゴンではキーレススタートシステム、両車とも機構は同じ )が採用されている。そしてMRワゴンでは一部グレードでオプション設定となるABSだが、モコでは日産の安全基準を満たすために全車標準装備となるのが大きな違いとなる。後期型でMRワゴンも標準装備となった。グレード構成は下から「S」(MRワゴンのGに相当)、「E」(同Xに相当)、「G」(同Tに相当)の3種。最上級グレードのGにはインタークーラーターボエンジンが搭載され、14インチアルミホイールが標準装備される。2009年6月18日に行われたマイナーチェンジでは、装備やメカニズム面については同月12日に改良を受けた姉妹車の「MRワゴン」に準ずる変更を受けた。2008年1月に発売された特別仕様車「Chocolatier Selection(ショコラティエセレクション)」を「E」と「G」、オーテックジャパン特装車となる「エアロスタイル」にも追加設定し、カタロググレード化に伴い「ショコラティエ」に改名した。また、シートリフター&チルトステアリングが全車標準装備となり、Gグレード全車にターンランプ内蔵ドアミラーと、メッシュ状の新デザイン14インチアルミホイール(MRワゴンWitと同デザイン)を採用し、またS以外の全車にオートライトシステムを標準装備(ただし、MRワゴンと違ってキセノンヘッドランプはオプションでも設定なし)するなど、装備の充実が図られた。インテリアはステアリングホイールとシート生地のデザイン変更(MOCOの文字をかたどったデザイン→星座デザイン)を行い、「ショコラティエ」以外の内装色はアプリコットカラーのみとなった。またNAエンジン搭載車は改良された新開発のエンジンヘッドに換装。このためFF全車で「平成22年度燃費基準+15%」を達成したため「環境対応車普及促進税制」に適合、減税対象車に認定された。また、ボディカラーは以前のイメージカラーであった「モコルージュパールメタリック」に代わって新色の「モココーラルメタリック」(モコルージュとは若干色調が異なるアンバーに近い感じの日産オリジナルのピンク)を新イメージカラーとして採用。他にもボディカラーの差し替えが行なわれた。2011年2月15日に「MRワゴン」に遅れてフルモデルチェンジされた。車両型式はMG33S型、社内型式はSA2型である。ヘッドランプ形状は「MRワゴン」とは異なり、シャープさと可愛らしさを兼ね備えた丸みのある形状で、フロントデザインもメッシュが入った専用の横長グリルとバンパーを採用。同時に、ボンネットもヘッドライト周辺の造形が異なるモコ専用品を採用している。ボディカラーもモコ専用カラー「モコベリーパールメタリック(MRワゴンに設定される「カシスピンクパールメタリック」よりやや明るめのピンク)」や「アーバンブラウンパールメタリック」等の新色を加えた計6色を用意。先代比65mm拡大された新プラットフォームを採用し、室内長も180mm拡大されたことでゆとりのある室内空間を実現。内装ではブラウンの千鳥格子柄のシートを採用したほか、インパネの広範囲に艶のあるピアノブラック調のフィニッシャーを採用して上質感を演出した。さらに、エンジン・トランスミッションの変更に加え、高張力銅板を効率的に多用した軽量ボディの採用により、全車で「平成17年基準排出ガス75%低減レベル(☆☆☆☆)」と「平成22年度燃費基準+25%(「G FOUR」のみ「平成22年度燃費基準+20%」)」を達成。グレード体系は「S」(MRワゴン「G」相当)、「Sアイドリングストップ」(同「ECO-L」相当、2012年5月15日追加発売)、「X」(同「X」相当)、「X アイドリングストップ」(同「ECO-X」相当、2011年6月8日追加発売)、「G」(同「T」相当、ターボエンジンを搭載)の5グレード(4WD車はそれぞれ「S FOUR」、「X FOUR」、「G FOUR」となる。アイドリングストップ搭載車は2WD車のみ)である。なお、モコは全車オーディオレスが基本で、MRワゴンでは全車標準装備が基本となるディスプレイ(タッチパネル式)付CD一体AM/FMラジオ+バックモニターは「S/S FOUR」を除く全グレードにメーカーオプションとなっており、MRワゴン「T」の2WD車に設定されているフロントシートSRSサイドエアバッグ、SRSカーテンエアバッグ、ESP(車両走行安定補助システム、ヒルホールドコントロール・ブレーキアシスト付)、可倒式アシストグリップ(運転式)のセットオプションもモコでは設定されていない。なお、アイドリングストップ搭載車は日産が展開するエンジン進化型エコカー「PURE DRIVE(ピュアドライブ)」の第5弾の車種となっており、同グレードのリアには「PURE DRIVE」エンブレムが装着される(一部改良を行った2013年7月以降、カタログの写真では「PURE DRIVE」エンブレムは装着されていないが、実際は装着されている)。
出典:wikipedia
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