『遊星からの物体X』(ゆうせいからのぶったいエックス、原題:、別題:)は1982年のアメリカ合衆国製SFホラー映画。南極基地に現れた謎の宇宙生物とそれに立ち向かう隊員達を描く。ジョン・カーペンター監督、ターマン・フォスター・プロ製作。SFX担当は当時22歳のロブ・ボッティンで、同監督の「ザ・フォッグ」(1979年)に続いての登板となる。1951年の映画「」については『遊星よりの物体X』を参照。物語より約10万年前、宇宙から飛来した飛行船が地球の重力に捉えられ大気の断熱圧縮により炎に包まれる。1982年の南極。ノルウェー隊のヘリが、1匹の犬を追ってアメリカ南極観測隊第4基地へ現れた。銃や手榴弾を使い執拗に犬を狙うが失敗し、手違いからヘリは爆発。一人生き残ったノルウェー隊員は基地内へ逃げた犬を追って銃撃を続け、基地の隊員を負傷させるが基地の隊長により射殺される。殺害するべく犬を追っていたノルウェー隊を恐慌に陥らせたのは何か?真相を究明すべくノルウェー基地へ向かったヘリ操縦士のマクレディらが見つけたものは、自殺し凍りついた隊員の死体、何かを取り出したと思しき氷塊、そして異様に変形し固まったおぞましい焼死体だった。一行は調査のため、記録フィルムと焼死体を持ち帰る。逃げのびた犬は犬小屋に入れられた。やがて夜になり、犬はグロテスクな生物に変形した。おぞましい姿となったThe Thing(それ)は他の犬へ触手を伸ばし、咆え声を聞いて駆けつけた隊員たちの火炎放射器によって撃退される。雪原の巨大なクレーターと、約10万年前のものと推測される氷の層にある巨大な構造物を調査するノルウェー隊の記録フィルムが残されていた。その頃、持ち帰った焼死体が融けだし、中からそれが出現、人間達に感付かれぬよう隊員らを同種の生命体として細胞を乗っ取りヒトに擬態し潜伏する。調査の結果、それは取り込んだ生物に同化・擬態し、更に増殖できることが判明する。隊員達は誰がそれに同化されているか判断できなくなり、吹雪により通信も途絶し孤立した環境の中、疑心暗鬼に陥る。知らぬ間に取り憑かれていく南極越冬隊員たち。このままでは皆がそれと化してしまう。試算によれば、人間社会に辿り着いたそれが全人類を同化するまでに必要な時間はおよそ2万7000時間。果たして隊員の、そして人類の運命は?『遊星よりの物体X』(1951年)のリメイクというよりも、原作となった短編小説『影が行く』に対する忠実な映像化となっている。「通信機能が麻痺してしまった南極越冬基地」という閉鎖空間において、「誰が人間ではないのか、自分が獲り込まれたのかすらも分からない緊迫した状況下における、隊員達の心理状態と、難局を打開しようとする姿」を描き、最後まで明快な結末は見えない。原作と大きく異なる部分は「物体Xの形状」「登場人数」「それを退治する方法」などである。また、映画では地球外生物の同化する様子、増殖し擬態する生態をSF的理論の範囲内でまとめ、説明も行っている。1975年、ユニバーサル映画のスチュアート・コーエンが友人のカーペンターに『遊星よりの物体X』のリメイク企画を打診。2年後、『エイリアン』のヒットによって企画にゴーサインが出たものの、脚本は難航した。1981年初頭、プロダクションアート担当のデイル・キュイパース(Dale Kuipers)(『おかしなおかしな石器人』)がクリーチャーデザインを進める途中で事故に遭い離脱、後を引き継いだロブ・ボッティンがデザインを大幅に変更した。撮影は同年8月頃から行われたが、特殊効果の作業は本編終了後も続き、それは1982年4月にまで及んだ。細胞単位で生存し、あらゆる生物を同化するそれの姿を、ありふれたモンスター的なデザインとはせず、地球上の様々な生物やその一部の形状を混ぜ合わせたおぞましいものにまとめ、CGによるVFXが全盛の現在においても全く見劣りしないリアリティーを与えたロブ・ボッティンの造形は、後のSFXやクリーチャーデザインに多大な影響を与えた(DVDには特典映像として、デイル・キュイパースによる「モンスター的な宇宙生物のデザイン」が収録されている)。小屋の中で変容する「犬」は1982年初頭までデザインも決まっておらず、時間的な都合からスタン・ウィンストンの率いるチームによって製作された。ノルウェー人はノーバート・ウェイサーと、本作アソシエイト・プロデューサーのラリー・フランコによって演じられた。フランコは事前にノルウェー語のレクチャーを受けなかったため適当に喋っており、台詞はノルウェー語ではない。吹替版ではノルウェー人の声も独自の台詞をつけて吹き替えられていた(声優はコッパー役の宮川洋一が兼任)。終盤に床板を突き破って出現するブレア・モンスターは、当初ストップモーション・アニメで撮影されていたが、カーペンター監督の評価基準に合致せず、アニマトロニクスで作り直された結果、断片的な採用となった。暗闇に消えたノールスについては、巨大化したブレアに吸収される様子が絵コンテで残っており、当初の構想を伝えている。なお、どちらもDVDに映像特典として収録。ラストシークエンスには息をしていないように見える人物が登場し、それに同化されたことを示す演出だという説が出たが、監督はこれを「照明の加減で息が見えにくかっただけ」と否定している(ベニングスに同化したそれの息はハッキリと確認できる)。本作の続編として、2003年にアメリカ合衆国のBLACK社からPC及びPS2用ソフト『遊星からの物体X episodeII』が発売された。日本語版はコナミ社が発売している。数度の頓挫と公開延期を経て2011年秋に『遊星からの物体X ファーストコンタクト』(原題:The Thing)が公開された。内容は、1951年、1982年作品のリメイクではなく、ノルウェー隊が3日前に「物体X」の円盤を発見し、「物体X」の蘇生と隊の全滅、生き残った隊員が犬に姿を変えて逃げ出した「物体X」をヘリコプターで追跡するまでが語られる前日譚(prequel)である。共同プロデューサーは1982年版で製作総指揮を務めたローレンス・ターマン。オランダのCFディレクターで劇映画は初監督となるマティス・ヴァン・ヘイニンゲンJr.がメガホンを取り、ジョエル・エドガートンやウルリク・トムセンといった男性隊員役に加えて女性もメアリー・エリザベス・ウィンステッドとキム・バッブス(カナダの女優/声優)の2名が出演している。1982年版で「犬」の効果を担当したウィンストンのもとで『エイリアン2』などに携わったアレック・ギリスとトム・ウッドラフJr.率いるアマルガメイテッド・ダイナミクスが、「物体X」の造形・操演を手掛けた。音楽は『エイリアン』のジェリー・ゴールドスミスに師事したマルコ・ベルトラミが1980年代を意識したオリジナル楽曲を提供しているが、終盤にはエンニオ・モリコーネによる1982年版のエンディング曲が使用されている。1982年版でモンスター製作を手掛けたロブ・ボッティンは、撮影にほとんど常時立ち会ってモンスタープロップの調整にあたり、プロップをゼラチンと血糊で覆ったり、焦点を外して撮影したり、逆光で映させるなど照明を暗くすることで、作り物に映ることを避け、脚本にも「物体の浸潤には寄生主と暗中の接触が必要」という設定を盛り込ませていたが、今作ではアニマトロニクスやカーペンター監督が使用を避けたモンスタースーツといった1982年当時も使用可能だった古典的なSFXテクニックを、CGIプロダクションのイメージエンジンによるデジタル加工でスケールアップする手法(背景やプロップの色彩調整はもちろん、プロップを直接炎上させていた1982年版と異なり、炎を任意の演出規模で後付けできる)を採用しており、製作上の制約が減ったために一部の設定が撤回されている。その代わり、同化時にピアスや歯の詰め物など体内の無機物は複製できずに排出されるという設定が盛り込まれた。日本ではなかなか配給が決まらずインターネット上では『遊星からの物体X ビギニング』という仮題で呼ばれていたが、本国でDVD/BDが発売された後の2012年8月4日に上記題名で小規模ながら公開が始まり、日本版DVD/BDが2013年1月9日に発売された後も限定的に上映が続いた。
出典:wikipedia
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