タラットスクス亜目とはジュラ紀前期から白亜紀前期にかけて生息したワニ目のうち、海生種と半海生種からなるグループである。そのため、このグループは俗に海ワニ(英語では"marine crocodiles"や"sea crocodiles")と呼ばれる。ワニ目の中でも水中生活によく適応した分類群であり、一部の種はサメのような尾鰭と鰭状の手足を発達させ、完全な水中生活へと移行した。タラットスクス亜目はFraas(1901)によって提唱された。古典的な分類ではワニ目、中鰐亜目に属する。この分類群を中鰐亜目の中に置く場合はタラットスクス下目となる。しかし分岐分類学的概念では、側系統群である中鰐亜目は無効となるため、最近はタラットスクスを独自の亜目に立てる場合が多い。タラットスクス亜目は現在のワニ(正鰐亜目)に繋がる系統から比較的早期に分岐し、子孫を残さずに絶滅した。現在のイリエワニが沿岸部に生息し、海水中でも活動することから「海ワニ」などと呼ばれることもあるが、タラットスクス亜目と現在のワニとの間に直接の系統関係はない。タラットスクス亜目は半海生のテレオサウルス科と、より海中生活に適応したメトリオリンクス科の2科からなる。テレオサウルス科のうち初期の数種は非海成層から見つかっており、原始的な種類は陸上中心の生活を営んでいたのかもしれない。の分類は混乱しており、テレオサウルス科に含める説やテレオサウルス科とメトリオリンクス科の姉妹群とする説がある。一方で、ペラゴサウルス属をメトリオリンクス科の基底的な属とする説もある。本項目ではペラゴサウルス属をテレオサウルス科の中に含めた。テレオサウルス科はジュラ紀前期()から白亜紀前期にかけて生息した。テレオサウルス科の特徴は現世のガビアルのように細長く伸びた吻部である。これで魚などの小動物を捕食していたと考えられている。皮骨板を持ち、手足も鰭にはなっていなかった(水かき程度はあったかもしれない)。化石はアフリカ(エチオピア、マダガスカル、モロッコ)、ヨーロッパ(イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ポルトガル、ロシア、スイス)、北アメリカ(オレゴン州)、南アメリカ(アルゼンチン)、インドから見つかっている。また中国からもこのグループと思しき化石が見つかっている。メトリオリンクス科はジュラ紀中期()から白亜紀前期()にかけて生息した。前足は縮小して鰭状になり、皮骨板は退化した。水中生活のため体は大型化し、サメの尾びれを逆さまにしたような逆異尾型の尾びれを持っていた。メトリオリンクス科は外洋での水中生活に完全に適応した主竜形類唯一のグループである(ただし水鳥を除く) 。手足を鰭状に変化させ、尾びれを発達させ、流線型の体型で水中生活に適応していった進化のパターンは同時代の魚竜や後代のモササウルス科と共通しており、一種の収斂現象と見なすことができる。メトリオリンクス科はオーストリアの動物学者によって1843年に提唱された。メトリオリンクス科はメトリオリンクス亜科とゲオサウルス亜科に分けられる。メトリオリンクス亜科の頭骨は細長く華奢であることから、メトリオリンクス亜科は魚類や頭足類などの小動物を中心に捕食していたと考えられる。一方、ゲオサウルス亜科の頭骨は頑丈で前後に短く、歯には鋸歯が発達することから、ゲオサウルス亜科は大型の脊椎動物を捕食していたと考えられる。メトリオリンクス科の化石は南アメリカ(アルゼンチン、チリ)と北アメリカ(メキシコ)、ヨーロッパ各地(イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ポーランド、ロシア、スイス)から見つかっている。
出典:wikipedia
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