E721系電車(E721けいでんしゃ)は東日本旅客鉄道(JR東日本)の交流一般形電車。本項では、仙台空港鉄道が所有する同型車両のSAT721系(SAT721けい)、青い森鉄道が所有する同型車両の青い森703系(あおいもり703けい)についても記述する。当初は仙台支社で運用されている在来線電車の車両更新と、仙台空港アクセス線での運用を目的に開発された車両である。2007年(平成19年)3月18日に開業した仙台空港鉄道仙台空港線(名取駅 - 仙台空港駅)の建設事業では、仙台空港鉄道仙台空港駅とJR仙台駅間の直通運転が計画されていた。この直通運転に必要となる車両として、E721系(500番台)とSAT721系が製作された。そして、JR東日本仙台地区在来線の国鉄形電車置き換え用としてE721系の0番台車が製作された。その後2014年には青い森鉄道では輸送力増強を目的に本系列をベースとした新型車両青い森703系が投入され、2016年からは仙台地区の719系の置き換えのため1000番台の増備が計画されている。製作を担当したのは0番台・500番台の一部とSAT721系が川崎重工業、0番台の一部が東急車輛製造、1000番台青い森703系が総合車両製作所である。低床化の実現などが評価され、E721系とSAT721系に対して、鉄道友の会より2008年度ローレル賞が贈られた。制御電動車クモハE721形(以下Mc車と記述)と制御車クハE720形(以下T'c車と記述)の2両で基本編成を構成する。ステンレス製の軽量構体で、客用扉は両開き式のものが片側に3か所設けられている。E721系は、バリアフリーの観点から、車体構造などの設計が従来車から細かく見直された上で製作された。その大きな特徴が低床化の実現である。床下機器が小型化された上、台車は台車枠の側枠中央部を引き下げた弓形台車枠とし、その上に枕ばね(空気ばね)を配置するとともに、車輪は従来車より50mm小さい810mm径が採用されたことによって、客室の床面高さが950mmとなり、ホームとの段差が190mm(760mmホームの場合)または30mm(920mmホームの場合)となり従来車に比べ小さくなった。従来車の床面はホームより200 mm以上高く、ホームと車両の間に大きな段差が生じていたため車両の乗降口にステップが設けられていたが、E721系では低床化によりステップは廃止された。また、「くつずり」の延長により車両とホームの間のすき間も小さくなっている。ただし、乗務員室の床面は従来車と同一の高さで、客室と段差が生じている。このため、注意喚起の目的で黄色い点字が施されている。客用扉の開閉ボタンの取付位置は従来車より低い位置に改められた。また、客室扉は、閉まる時に乗降客やその荷物を挟みこまないように、開口10 cm程度となった時点で閉扉動作が一旦停止してから扉締めを完了する機構が採用されている。ドアチャイムがついており、ドアが開くときは1回、閉じるときは2回鳴るようになっている。座席はセミクロスシート配置である。乗降扉の間にボックス式クロスシートが配置されており、それ以外の箇所はロングシートである。ボックス式クロスシートの座席間隔は1,585 mm、ロングシート部分の1人分の座席幅は460 mmで、従来車より広い。0番台車の内装はE233系に準じており、優先席の部分の床材が赤紫色と灰色のツートンカラー、つり革がオレンジ色になっており、優先席以外の空間との区別が明確にされている。空調機器には乗車率や車内・車外の温度を検知し、設定基準温度や風量を自動補正する機能が備えられた。トイレは、電動車椅子での利用にも対応可能な面積が確保されている。ごみ箱は設置されていない。自動放送装置は日本語と英語の2か国語対応のものが搭載され、ワンマン時・車掌乗務時ともに自動で案内放送が行われる。車外の行先表示器はLED式で行先のみを表示する。今後のワンマン運転を想定し、整理券発券器と出入口表示器の準備工事がなされている。そのうち500番台車とSAT721系には仙台空港線でのワンマン運転にあわせて運転台にドア開閉スイッチが設置されている。ただし、同線では運賃収受を各駅で行っているため、整理券発券器や出入口表示器は準備工事のままになっている。なお2010年10月に増備された編成5本にはワンマン運転が可能なように、整理券発券機・運賃箱・出入口表示器・液晶ディスプレイ式運賃表示器が設置された。701系との併結運転も実施されている。Mc車には主変圧器、主変換装置、集電装置といった主回路機器を、T'c車には空気圧縮機、補助電源装置といった補機類を搭載する。主変換装置は三菱電機製のCI14である。IGBT素子による3レベルコンバータ+2レベルインバータで構成されており、主変換装置1基で1台車(2基の主電動機)を制御する1C2M方式である。また、701系との協調運転が可能になっている。本系列は2種類の性能モードを有している。本系列単独走行の場合には起動加速度2.2km/h/sとなり、最高運転速度120km/h対応の性能となる。一方、701系併結時には701系に合わせた性能となり、最高運転速度は110km/hに抑えられる。補助電源装置は、IGBT素子を使用した富士電機製の静止形インバータ SC84 を搭載する。冗長性確保の観点から主回路部および制御部それぞれを完全に二重化した、待機二重系システムを採用した。定格容量は4.5kVA(交流50Hz)、12kW(直流)である。空気圧縮機は、スクリュー式であるMH1112-C1600MFを2基搭載する。1基当たりの容量は1,600L/minである。集電装置は、シングルアーム型パンタグラフ PS109 をMc車後位寄りに1基搭載する。折り畳み高さを4,100mmとすることで、仙山線にも走行可能としている。保安装置はATS-Psを搭載する。前述のように、走行機器に関しては二重系構造となり、一方が故障しても健全な機器に切り替えることでなるべく運行が続けられるような配慮がなされている。JR東日本仙台地区の在来線で日本国有鉄道(国鉄)時代から使用されてきた455系・457系・717系・417系などの国鉄形電車の置き換え目的で製造された。それらの国鉄形車両は2扉車だったため、ラッシュ時において駅での乗降手間取りに伴う列車の遅延が続出していたので(特に元急行形でデッキ付き片開き扉であった455系・457系で顕著だった)、3扉の本系列の投入によって、乗降の円滑化と列車の遅延防止も図られた。また、仙山線や常磐線で逼迫していた輸送量の改善も図られた。一方、701系で採用されたオールロングシート構造は本系列では採用されなかったため、昼間時における着席率や居住性の確保も図られた。第1編成は2006年(平成18年)11月に落成した。翌2007年10月までの1年間で2両編成39本の計78両が導入され、上記の旧型車117両を置き換えた。旧型車から新型車への置き換え過程では一部で混乱が生じた。同年2月1日より東北本線で、3月17日から常磐線で、4月22日から仙山線でそれぞれ営業運転を開始した。本区分は地域輸送に専用することを目的とし、大型荷物置場は設置されていない。車体装飾帯の色は701系(仙台地区仕様車)や719系(同)と同様の緑+赤+白である。2010年には増備車2両編成5本の計10両が川崎重工業で落成し、同年9月7日から9日にかけて仙台まで甲種輸送された。これらの増備車は同年10月より701系と共通運用されており、ワンマン運転も実施している。2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)では、常磐線新地駅に停車していた0番台(244M、2両編成2本・P1編成(クモハE721-1+クハE720-1)+P19編成(クモハE721-19+クハE720-19))が大津波によって流され、大破した。当該車両は同月12日付で廃車となり、同年4月14日より数日間にわたり現地で解体された。これらの車両の代替新造は2016年現在行われていない。仙台空港線との直通運転専用の車両で、2両編成4本の計8両が存在する。空港へのアクセスを担うために大型荷物置場が設置されている他、ワンマン運転装置やホーム監視モニタなど仙台空港線を運行するにあたって特有の設備を有することから、車両番号が500番台に区分されている。第1編成は2006年2月に川崎重工業で落成し、その後同年9月から10月にかけて第2・3編成が川崎重工業、第4編成が東急車輛製造で製造された。仙台空港線の開業日である2007年3月18日から営業運転を開始した。営業運転開始は0番台車が先行しているが、車両が落成したのは500番台車が先である。開始当初はワンマン運転であっても行先表示器には列車の行き先のみ(快速運転の場合は種別も併記)を表示していたが、後に「ワンマン」を併記するようになった。500番台車は0番台車と異なり、JR東日本仙台支社のシンボルカラーである緑と空をイメージさせる青の装飾帯を車体にまとう。座席表地は0番台車と同じく青を基調としたものである。また、発車メロディ(Water Crown)を車外スピーカーより放送することが可能である。(0番台のワンマン編成の発車メロディもWater Crownである。)2016年秋より仙台地区で運用される719系0番台の置き換えを目的に導入が計画されている番台で、0番台をベースにマイナーチェンジがなされている。本番台は本系列では初めての4両固定編成となり0番台による4両編成と比べ定員が増加している。車内はLED照明を採用、車体装飾帯色も0番台の赤色であった部分を「さくら色」に変更している。今後19本・76両が総合車両製作所新津事業所と横浜事業所で製造される。なお、中間車38両は新津事業所で、先頭車38両は横浜事業所で製造される予定となっている。導入時期は2016年11月頃~2017年3月の間が予定されている。SAT721系は、仙台空港鉄道の自社発注車で、同社は2両編成3本の計6両を保有している。仙台方が制御電動車のSAT721形、仙台空港方が制御車のSAT720形で、車両番号は100番台(101 - 103)が付与されている。全車2006年11月川崎重工業製で、2007年3月18日から営業運転を開始した。外部塗色は正面の運転台周りと側面の上下に青色帯、正面と側面下部に黄色の細帯をまとっている。座席表地は赤を基調とした配色で、枕部は着席単位に分割されない布地である。他の仕様はE721系500番台と同一で、同車と共通運用されている。車両管理業務は、JR東日本の仙台車両センターに委託されている。青い森703系は、青い森鉄道が輸送力増強を目的にE721系をベースとして新造した交流電車である。形式は目時方が制御車の青い森702形、青森方は制御電動車の青い森703形となっており、2両編成で運転される。車体・走行機器はE721系と同じだが、先頭車上部の前照灯が、HIDからLED(発光ダイオード)を用いたものに変更され、左右1つずつだった前照灯が、本形式ではロービームとハイビームが2灯にわかれた形状となり、尾灯を含めると左右にライト類が各3つ連装した形となっている。運転設備は500番台に準じたワンマン仕様になっており、両替機能付き運賃箱を設置してワンマン運転を行うことができる。車内設備・内装・座席配置はE721系と同じであるが、青い森703形の連結面側の車端部は優先席となっており、腰掛の色が一般席とは異なっている。同社で運転されている青い森701系に準じ、同社のイメージキャラクターである「モーリー」があしらわれているが、ピンク色の「モーリー」が1両に1箇所追加されている。2013年10月に2編成の導入計画が明らかとなり、2013年11月26日から27日にかけて総合車両製作所横浜事業所より甲種輸送された。総合車両製作所横浜事業所で2013年3月に2両編成2本が製造され、2014年3月15日から営業運転を開始した。車両番号は11, 12となっている。本系列はJR・仙台空港鉄道所属車が仙台車両センターに、青い森鉄道所属車が青い森鉄道運輸管理所に配置されている。仕様上は4編成8両まで連結しての運転が可能であるが、通常の営業運転では6両編成が最大である。運用範囲は以下のとおりである。2010年10月20日より、701系電車との併結運転が開始された。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。