護送船団方式(ごそうせんだんほうしき、)とは、行政手法の一つ。軍事戦術として用いられた「護送船団」が船団の中で最も速度の遅い船に速度を合わせて、全体が統制を確保しつつ進んでいくことになぞらえて、日本の特定の業界において経営体力・競争力に最も欠ける事業者(企業)が落伍することなく存続していけるよう、行政官庁がその許認可権限などを駆使して業界全体をコントロールしていくこと。特に、第二次世界大戦後の日本の金融行政において典型的にみられるが、金融業界以外でも様々な業界で行政官庁の強力な行政指導が存在し、これらも「護送船団方式」と表現されることがある。また、。日本においては、第二次世界大戦前の金融恐慌により弱小金融機関の破綻や淘汰が相次ぎ、取り付け騒ぎなどの社会不安を招いたことから、戦後、金融秩序を確立し、また産業界が経済成長を遂げ、民生を安定させていくために必要な低利かつ安定的な資金を供給していくことが課題であった。このため、金融行政を担ってきた大蔵省や金融政策を司る日本銀行は金融業界に対して「金融業界に対する金融安定化・産業保護政策」という「護送船団方式」によって金融機関の倒産(破綻)を防ぎ、経営を安定させ、ひいては預金者の無用な不安を惹起しないよう、他産業に比較し多くの行政指導を行ってきた。例えば、長期信用銀行・外国為替専業銀行・中小企業金融などに典型的に見られる分野調整、店舗規制、新商品規制などを通じ、金融界の過当競争を防いできた。さらには、不良債権の発生等により経営力が低下した金融機関に対しても、破綻(倒産)という措置を取らさず、他の金融機関との合併を強力に指導したため、戦後の日本において金融機関の経営破綻は皆無であった。結果として、第二次世界大戦後から高度成長期、安定成長期に至るまで日本において金融機関の経営破綻は皆無であった。。金融機関の経営陣にとっても、。弱者にとっては庇護を求めるうえで好都合であったほか、強者においても経営の自由度はかなり制約されるものの、他の参入を許さないことによって、結果的に外敵の参入を許さないなどのメリットもあった。また、行政官庁においても金融機関に対して許認可権を盾に強力な指導力を発揮し、いわゆる天下り先の確保などのメリットがあった。一方、行政官庁の意向を過度に忖度するばかりか、官民癒着を生み、金融機関の経営姿勢においても横並び体質がはびこり、顧客に目を向けた金融サービスが行いにくいなどの弊害も指摘された。そもそも護送船団方式は、「落伍者を出さない」(言い換えれば、経営が拙くても破綻はさせない)ことに主眼が置かれ、自由な市場競争により他より優れた商品・サービスを供給したものが勝ち残るという、本来の資本主義経済になじまない部分があったと指摘される。そして、バブル崩壊後の1995年には木津信用組合が倒産をし、また兵庫銀行が戦後初の銀行倒産となり、護送船団方式が揺らぐ。その後、「金融ビッグバン」の進行に伴い、金融庁が設置され、指導行政は緩和された。第二次世界大戦後の日本における地方自治体の行財政運営においても、「護送船団方式」であったと評されることがある。例えば、。財政再建団体へ転落する自治体が相次いだ昭和30年代初めの地方財政の危機の時期を過ぎ、高度経済成長が始まると、都市の税収を地方へという構造は確立された。その結果、都市と地方との負担分担、現役世代と将来世代との負担分担のあり方など、多くの問題が将来は何とかなるとの甘い見通しのもと、先送りされてきた。地方自治体の借金である地方債においても、「暗黙の中央政府保証」が存在するとされ、「国がなんとかしてくれるはず」と安易な将来見通しをもとに、借金を膨らませてきた。国も「自治」の名のもと、ほとんどの場合、それを追認してきた。安定成長を経て、バブル崩壊後のゼロ成長、少子高齢時代、人口減少時代に突入し、国・地方ともに多額の債務(借金)を抱えている。加えて、自己責任を強調する改革、とりわけ三位一体の改革により地方財政は危機を迎えるなど、「護送船団方式」は揺らいでいるかのように見える。しかし、昭和40年代以降の地方自治体の破綻は北海道夕張市が久しぶりで、また、その後は財政再建団体(現:財政再生団体に相当)への転落が続出する状況でもなく、さらに、その夕張市においても、住民負担を伴う厳しい行財政改革を伴っているとはいえ、国と都道府県(夕張市の場合は北海道)が手厚いケアを行い、いわゆる「債務調整」はせず、途方もない債務も数十年単位という超長期で返済していく方針であるなど、緩やかになったとはいえ、最終的には国が面倒をみるという、。日本では金融業界に限らず、様々な業界で行政官庁の強力な行政指導が存在したことから、「国が実質的に地方経済を経営していた」と見る論者もいる。この行政指導による「護送船団方式」が、しばしば外資やエコノミストによってなされるを生む。
出典:wikipedia
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