東京スタジアム(とうきょうスタジアム)は、東京都調布市にある、多目的スポーツ施設。設立当初は主に球技場として使用されていたが、現在は陸上競技場としても利用されている。施設は東京都が所有し、株式会社東京スタジアムが指定管理者として運営管理を行っている。2003年3月1日から味の素がネーミングライツを取得しており、「味の素スタジアム」(あじのもとスタジアム、略称「味スタ」)の呼称を用いている(後述)。2001年3月10日に、調布飛行場跡地で開業。こけら落としはJリーグ ディビジョン1(J1)開幕戦のFC東京と東京Vの対戦(東京ダービー)であった。設計は株式会社日本設計である。2002 FIFAワールドカップでは、サウジアラビア代表の練習場として使用された。また、FIFAワールドカップ・オフィシャルコンサートの開催地となり、「INTERNATIONAL DAY」、「KOREA/JAPAN DAY」と銘打ち、2日間のコンサートが行われた。スポーツ以外にも、野外コンサートやフリーマーケット、自動車メーカーの展示会など各種イベントの会場として使用されている。また、テレビドラマ・コマーシャルの撮影にも使用されており、特に「仮面ライダーシリーズ」、「スーパー戦隊シリーズ」や「相棒」等、東映が製作する作品では外観・スタンド・ピッチ・運営諸室を様々な設定でロケーションに多用している。2011年には平日夜に施設コンコースなどを使用し活動する味の素スタジアム・ランナーズクラブが発足し、2013年からは調布市市民駅伝大会のメイン会場となった。2011年3月11日に発生した東日本大震災では、東京都が被災者の避難場所として当施設を指定し、65世帯・約170人の被災者を約3か月間受け入れた。関東村住宅地区跡地の南端(ほぼ Chofu High Schoolの区画)に位置しており、南には国道20号(甲州街道)及び京王線、北側には調布飛行場、北西は東京外国語大学、警察大学校を挟んだ反対側に西武多摩川線が走っている。ちなみに、スタジアム敷地と国道20号が接する付近には、1964年東京オリンピックの際にマラソン競技の折り返し点となった地点がある。この国道20号線を越えるペデストリアンデッキと一体化したメインゲートを含め、入口が計8箇所用意されている。スタンドは上層(20,600席)、下層(29,370席)の2層からなっており、合計49,970席を擁する。各層とも便宜的にメイン・バック・南サイド・北サイドと区分されているが、構造上は一体化している。スタンド外周には、下層スタンド最上段に直結した開放型のコンコースが設置され、特に制限を設けない限りはコンコースを経由してスタジアムを1周できる。またコンコースから上層スタンドへは、計20ヶ所の階段を用いる。上層スタンドのほぼ全体と下層スタンドの上段は、屋根で覆われている。屋根の素材は、メインスタンド及びバックスタンド部分が半透過のテフロン素材であるが、南北両サイドスタンド部分には全透過のポリカーボネート板を採用し、天然芝への日照を確保している。メインスタンドには、ペアシート・招待席・記者席に加え、VIP室・特別観覧室・放送ブース・レセプションホールなどの施設がある。大型映像装置は、南北両サイドスタンドに2001年開場から2011年までパナソニック製のアストロビジョンが設置されていたが、2012年3月からは三菱電機製のオーロラビジョンに変更となっている。スタンドの外側は、周回車路となっており、それに沿う形で、ほぼ1周が駐車場となっている。バックスタンド下には、東京都教育庁調布庁舎があり、体育館もある。正面のエントランスは、地下と1階の2層に分かれており、1階エントランス横には防災センターが存在する。元来は、第68回国民体育大会(スポーツ祭東京2013、2013年開催)の主会場となることを想定して、陸上競技場として設計された。しかし、補助グラウンドの整備が遅れ、日本陸上競技連盟第一種競技場の公認を得られないため、当面サッカー・ラグビーなど球技専用の競技場として利用されることになり、トラック整備は凍結された。こうした経緯から、天然芝グラウンドとスタンドは、トラックのある競技場程度の距離がある。2010年まで、トラック敷設予定部分には人工芝を敷いてフットサルのコート(8面)として利用された。2011年にトラック設置工事を前提としてピッチを改修し、人工芝に張替えて 、2012年に東京都内では国立霞ヶ丘陸上競技場についで2箇所目、地方自治体(都、区市町村)運営では唯一となる日本陸上競技連盟第1種公認の陸上競技用トラック(1周400m、直線100m9レーン 国際陸上競技連盟クラス2取得予定)の敷設が行われた。なお、各種球技の試合が行われたり、コンサート・物品展示会などイベントが行われる場合は従来どおりトラック付近に人工芝を敷く 場合もある。ただ、陸上競技場としては2012年度の使用が4月のこけら落とし、かつ国体運営リハーサルとして開催した「東京選手権」の1回だけで、陸上競技場として使用する場合はトラックに敷いている人工芝をはがすのに少なくとも3日間程度(その逆も同じ)の時間と、人件費がかかるという理由があるため、利用料が安い西競技場を使う傾向にある。調布市は「メインスタジアムは割高になるので、市民大会クラスはサブグランド(西競技場)で十分」とする一方、東京都陸上競技協会は「国際大会を行える競技場なので、陸上競技場としても使いやすくしてほしい」と唱えている。また、グラウンド面は掘り下げられて周囲の地平面より低くなっているが、これは隣接する調布飛行場に関連した構造物の高さ制限をクリアするためである。命名権により「アミノバイタルフィールド」と呼称。補助グラウンドとは別に(経緯については東京スタジアム補助グラウンドを参照)、2012年4月1日に開設された。命名権適用により「味の素スタジアム西競技場」と呼称される。東京都では、2013年国民体育大会開催を受けて、調布基地跡地の「武蔵野の森総合スポーツ施設」の整備を進め、2009年4月、その基本構想をまとめた。先述の通り、まだ整備されていない陸上競技場の補助トラック設置をはじめ、体育館、プールなどの総合スポーツ施設を味スタの西側にある東京都所有地に整備していくことを柱としている。特に補助競技場は国体とそれに付随したリハーサル大会に間に合わせる必要があるため、少なくとも2012年までの完成が求められていた。その後、前述の通り、メインスタジアムは2011年にトラック敷設を前提とした天然芝・人工芝の張替え工事、2012年には陸上トラックの敷設、補助競技場(西競技場)の設置が行われ、同年4月に行われた国体の運営リハーサルを兼ねた「東京選手権」から陸上トラックの利用が開始された。2013年には同じく国体運営リハーサルを兼ねた「第97回日本陸上競技選手権大会」(兼2013年世界陸上競技選手権大会モスクワ大会日本代表選考会 6月7-9日)の会場として使用された。東京都は2002年秋、日本で初めて公共施設に命名権を導入することを決定した。食品メーカーの味の素KKが取得に名乗りを挙げ、翌2003年3月1日から2008年2月末までの5年間、12億円で契約に合意。東京スタジアムを「味の素スタジアム」、隣接する補助グラウンドを「アミノバイタルフィールド」に呼称を変更した。2007年11月に、東京スタジアム(運営会社)と味の素KKとの間で、2008年3月1日から2014年2月末までの6年間、14億円で命名権契約の更新が行われる。2013年10月には、2014年3月1日から2019年2月末までの5年間、10億円で再び契約を更新した。2013年に開催された第68回国民体育大会および第13回全国障害者スポーツ大会では、開閉会式およびサッカー、陸上競技の会場として使用されたが、両大会では「味の素スタジアム」の呼称が用いられた。この大会には、味の素KKもオフィシャルスポンサーとして名を連ねている。なお、クリーンスタジアム規定が適用されるFIFAやAFC、EAFF主催の国際試合・大会では正式名称を使用する(実例:東アジアサッカー選手権2010、AFCチャンピオンズリーグ2012)。また、2020年に東京五輪が開催されることになり、このスタジアムがサッカーと近代五種、ラグビーの会場として指定されているが、2019年3月以降について再び命名権契約が更新された場合でも、大会中はIOCにより、オリンピックの公式スポンサー以外の企業名は排除されるため、命名権が一時的に外される可能性がある。2001年の開場以来、アーティストによるコンサートを積極的に受け入れ、2002年の「FIFAワールドカップ・オフィシャルコンサート」を含めた、多くの音楽イベントが開催されている。コンサートを開催すると、スタンドが満員となる5万人を集客する場合もある。また、観客席を「アリーナ」と多く称される陸上トラック予定地(人工芝)やピッチ(天然芝)の上に設けて、それ以上の観衆を動員することが可能で、歩合制で入場者に応じた額を受け取るスタジアム運営会社の「東京スタジアム」の経営には欠かせない物となっている。一方音楽業界にとっても、国立霞ヶ丘陸上競技場が周辺住民への騒音問題のために音楽イベントの開催にほとんど応じない事情もあって、同スタジアムは貴重な都内の大型イベント会場として重用されている。スタジアムにとっては重要な音楽ライブの開催だが、保護材の使用にも関わらず機材(ステージなど)や観客が多く立ち入る天然芝のピッチは大きなダメージを受け、その後のJリーグの試合開催までの期間(通常は約1-2週間)では十分に回復しない。そのため、試合中に芝がめくれて危険、凹凸が出来て通常のプレーが出来ないなどの不満が、選手やクラブ側にあった。2008年、ゴールデンウィークの5月3日と4日にX JAPANのhideに対する追悼ライブ「hide memorial summit」(下記参照)が同スタジアムで開催されたが、既に5月6日にJ1第11節の名古屋グランパス戦の開催予定を入れていた、FC東京の運営会社(東京フットボールクラブ株式会社)やサポーターは、事後承諾になった試合2日前の開催に強く反発。クラブは自らの公式サイトで同ライブ後の芝生の状況を報告したが、芝生の状態には問題が残り、サポーターからも批判が出た。これを受け、東京フットボールクラブは、2008年の残り主催試合のうち(年間チケットを除く)観戦チケット発売前の試合、そして2009年以降の試合で同スタジアムの使用中止を検討すると言及した。2008年の残り試合については既に国立競技場など東京都内のスタジアムは使用予定が埋まっているため、暫定移転先として長野県松本市にある長野県松本平広域公園総合球技場(アルウィン)の名前まで挙がった。結果的には株式会社東京スタジアムがが天然芝の張り替えなどの対策を練る(年表参照)ことで事態の収拾が図られた。スポーツ祭東京2013で、電気通信大学が地上一般放送局の免許を受け、ワンセグエリア放送を実施した。
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