交響曲第44番ホ短調Hob.I-44は、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンが作曲した交響曲のひとつ。演奏時間は約20分自筆楽譜が消失しているため、正確な作曲年は不明だが、1771年もしくは1772年に作曲されたと考えられている。この時期は俗にハイドンの「シュトゥルム・ウント・ドラング期」と呼ばれる時期にあたっている。ハイドンはこの曲の緩徐楽章を自分の葬儀の際に演奏してほしいと述べていたといわれている。そして実際1809年のハイドン追悼の記念行事にてこの楽章が演奏されたという。この曲の「悲しみ」（Trauer）という通称はそこに由来している。ホ短調という調性自体、当時の交響曲にはほとんど用いられた例がなく、その後の使用例は1885年のブラームスの交響曲第4番まで待たなければならない。実際、ブラームスはウィーン楽友協会芸術監督（1872年～1875年）を務めた際に、指揮者として交響曲はこの1曲のみ演奏しており、何らかの影響を与えた可能性がある。オーボエ2、ホルン2、弦五部（低音にファゴットやチェンバロを重ねる場合あり）8度平行カノンによる厳粛なメヌエット。美しい緩徐楽章。この楽章のみ弦楽器は弱音器を付ける。43番 -- 44番 -- 45番

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