『ゴッドファーザー PART III』(ゴッドファーザー パート スリー、原題: "The Godfather Part III")は、1990年に公開されたアメリカ合衆国の映画。監督はフランシス・フォード・コッポラ。前作より16年を経て製作された。マフィアのボスとして絶大な権力を握ったマイケルの最晩年の物語である。本作品でのマイケルには『Part I』や『Part II』の時のような冷酷さや非情さが消え、物語は彼の懺悔と苦悩を中心に描かれている。1970年代後半から1980年代に明らかになったバチカンにおける金融スキャンダルと、それに関連して起きたと噂されている1978年のヨハネ・パウロ1世の「急死」や、1982年に発生し世界を揺るがす大スキャンダルとなったロベルト・カルヴィ暗殺事件といった実在の事件がほぼそのままに近い形で作品に織り込まれている。当初のタイトルが『マイケル・コルレオーネの死』と予定されていたように(パラマウント側が却下)、本作は三部作(トリロジー)の最終作ではなく、全二部作に対する後日談として位置づけられている。1979年のニューヨーク、ファミリーのドンとなったマイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)は、父の名を取った「ヴィトー・コルレオーネ財団」の名の下、「シシリー復興のための資金」との名目で行った多額の寄付が功を奏してバチカンより叙勲され、同時にバチカン内の資金運営を掌るアメリカ人のギルディ大司教との関係を得る。そして、それをきっかけとして違法なビジネスを長年行ってきた一族の活動から引退を決意するとともに、合法ビジネスへの全面的な転換を試みる。その後、寄付の窓口的役割を果たしたギルディ大司教と、その関係者による横領による莫大な損失金の穴埋めと引き換えに、バチカンと関係の深い、ヨーロッパを中心に活動する投資会社「インターナショナル・インモビリアーレ」の株の25%の取得、そして同社の経営権の奪取への後援を得ることで、合法ビジネスへの路線変更を試みる。だが、マイケルの後継者はマイケルの息子のアンソニーではなかった。アンソニーは、「優しい伯父」であったフレドの粛清がトラウマとなり、一貫してファミリーとそのビジネスを嫌悪し、大学を中退してオペラ歌手の道を進もうとしていたのだ。その上、マイケルは甥っ子にあたる長兄ソニーの遺児ヴィンセント(正妻の子ではなく愛人の子)と、マイケルのファミリーの違法ビジネスの大部分を引き継いだが、旧来のファミリーからは低い評価しか受けていない新興ボスのジョーイ・ザザの対立を和らげようとするものの、ヴィンセントの後見役となったマイケルと、ジョーイ・ザザの確執は悪化し、アトランティック・シティのカジノホテル「パラッツォ・アズーリ」のペントハウスで行われた友好ファミリーの幹部会の最中に、ジョーイ・ザザの手下がヘリコプターを使い襲撃を行う。マイケルはヴィンセントの助けでからくも難を逃れたものの、この襲撃により多くの友好ファミリーの幹部が暗殺されてしまう。実はこの襲撃は、ジョーイ・ザザが単独で行ったわけではなく、自らも深い利権関係を持つバチカンとの関係を深めていたマイケルの追い落としを狙ったドン・アルトベッロの肝煎りで行われたものであった。またこの頃、ドン・アルトベッロの友人でイタリア政界の大物、かつ「インターナショナル・インモビリアーレ」の経営陣の1人で、ギルディ大司教をはじめとするバチカン内にも強い影響力を持つドン・ルケージによって、マイケルの「インターナショナル・インモビリアーレ」の経営権の奪取は激しい妨害を受けた上、マイケルが投資した資金がギルディ大司教が資金運用を委託していたアンブロシアーノ銀行頭取のフレデリック・カインジックに横領されてしまう。さらにマイケルには、糖尿病という病魔が忍び寄っていた。病状は進行し、時には低血糖発作により崩れ落ちてしまうという深刻な状態に陥ってしまう。そこに加わる、過去幾度も犯した数々のおぞましい罪。特に次兄フレドの粛清がマイケルの心を侵食し、想像を絶する罪悪感に苛まれ、苦しみ続ける。しかし事態は一刻の猶予も許さなかった。マイケルの妹、コニーの支援を受けたヴィンセントは、マイケルの承認を受けないまま、アトランティック・シティの襲撃の復讐とばかりにジョーイ・ザザを射殺してしまう。その後は、ドン・アルトベッロやドン・ルケージ、さらに後に新法王となり、ギルディ大司教による汚職を一掃するなどバチカン内の改革を進めようとした、ランベルト枢機卿をはじめとするバチカンを巻き込んだ全面戦争へと突入する。上記のように、本作品は1978年の教皇ヨハネ・パウロ1世の毒殺が強く疑われている急死と、1982年に発生し世界を揺るがす大スキャンダルとなったロベルト・カルヴィ暗殺事件という、多くの共通の関係者を持つ2つの大事件を作品内にほぼそのままに取り入れることで、現実におけるバチカンとイタリア政界、マフィアの3者の癒着、腐敗体質を批判している。その中で、下記のように2つの事件に登場した複数の実在の人物をモデルとしてあてはめている。劇中において、コンクラーヴェの結果「教皇ヨハネ・パウロ1世」となり、バチカン内の腐敗体質の浄化を行おうとしたにもかかわらず就任後に毒殺された「ランベルト枢機卿」については、枢機卿時代の名前こそ違うが、教皇に選ばれた後の名前は実在のものと同じ「ヨハネ・パウロ1世」となっている。それだけではなく、劇中のコンクラーヴェにおける他の教皇候補者の名前(「ジュゼッペ・シーリ枢機卿」と「アロイーシオ・ロシャイデル枢機卿」)と、その得票数もコンクラーヴェ実際のものと同じであるというように、あからさまにモデルとしてあてはめている。なお実際に、本物のヨハネ・パウロ1世も、就任後にカルヴィやマルチンクス、ジェッリ、アンドレオッティらによるバチカンとイタリア政界、マフィアの癒着によるバチカンの腐敗体質を改めようとしたものの、就任後わずか33日に不可解な状況下で自分の居室で死去し、その後証拠隠滅が図られたことから毒殺による暗殺が疑われている。さらにジェッリが代表を務め、カルヴィやマルチンクスが会員となっており、カルヴィ暗殺やヨハネ・パウロ1世の「暗殺」にかかわったとされる極右秘密結社「ロッジP2」の名前が、実際に劇中で出てくるほか、劇中においてバチカンと関係の深い投資会社として登場した「インターナショナル・インモビリアーレ」社も、イタリアに実在する不動産を中心とした投資会社で、バチカン銀行が大株主であった「インモビリアーレ」社をモデルにしたとされている。なお、コッポラは、当時パラマウント映画の親会社でコングロマリットの「ガルフ-ウェスタン社」の大株主であったバチカン銀行の主力行であった関係で、パラマウントの社屋を訪れていたカルヴィを目撃したと語っている。マフィアとイタリア政界、バチカンの不明朗な関係と腐敗が巻き起こしたスキャンダルを、ほぼそのまま内容に取り込むことであからさまに批判したことや、衰えたマイケルの懺悔や苦悩ばかりに焦点を当てた内容が災いし、アカデミー賞には7部門でノミネートされながらも結局受賞には至らなかった。批評家たちからの評価も芳しくないまま、興行的にも前作に届かぬ結果となった。コッポラは後に「私自身を満足させたがために、観客の期待を裏切る結果になった」と弁解している。前二作で重要な役割を演じたロバート・デュヴァル(トム・ヘイゲン役)には出演料の問題などでオファーを断られ、既に死去したという設定にされたこともキャラクターバランスを欠いて作品の低評価を招いた。それに関してコッポラは「大きな損失だった」と回顧している。特にキャリアがないままに主要な助演女優に抜擢されたこともあり、事実上のスケープ・ゴートにされたメアリー・コルレオーネ役のソフィア・コッポラ(監督であるフランシス・フォード・コッポラの娘)に対する批判は苛烈なもので、ソフィアは同年度のゴールデンラズベリー賞の最低助演女優賞・最低新人賞を受賞してしまう。しかし、同作品を評価する声もあり、著名な映画評論家であるロジャー・イーバートは、本作品に星3つ半のスコアを与えた。これは過去にイーバートが『Part II』に与えた星3つを上回る評価である。
出典:wikipedia
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