『まあだだよ』は、黒澤明監督による1993年公開の日本映画。大映が製作し、東宝の配給により公開された。内田百の随筆を原案に、戦前から戦後にかけての百閒の日常と、彼の教師時代の教え子との交流を描いている。黒澤作品の前・中期に見られる戦闘・アクションシーン等は皆無で、終始穏やかなトーンで話が進行する。キャッチ・コピーは「今、忘れられているとても大切なものがここにある。」。黒澤明の監督生活50周年・通算30作目の記念作品として大きな期待を集めたが、同時期に公開された『ロボコップ3』や『許されざる者』などのヒット作に押され、興行的には失敗となった。この作品の公開後、次回作の脚本を書いている矢先、骨折。闘病後1998年9月6日に黒澤は脳卒中により逝去し、本作が半世紀以上の監督生活を全うした黒澤の遺作となった。2012年現在、日劇東宝(現:TOHOシネマズ日劇スクリーン2)系列で4月期に封切られた最後の実写映画である。法政大学のドイツ語教師・百閒先生は随筆家としての活動に専念するため学校を去ることになり、学生たちは『仰げば尊し』を歌って先生を送る。職を辞したのちも、先生の家には彼を慕う門下生たちが集まり、鍋を囲み酒を酌み交わす。先生には穏やかな文士生活が訪れるはずであった。しかし時代は戦争の只中、先生も空襲で家を失ってしまう。妻と2人、先生は貧しい小屋で年月を過ごすことを余儀なくされるが、戦後門下生たちの取り計らいで新居を構えることを得る。昭和21年、彼らは先生の健康長寿の祝いのために「摩阿陀会」なる催しを開く。なかなか死にそうにない先生に「まあだかい?」と訊ね、先生が「まあだだよ!」と応える会である。月日は経ち、17回目の「摩阿陀会」は先生の喜寿のお祝いも兼ねて盛大に開かれる。門下生たちの頭にも白いものが交り、彼らの孫も参加したこの会で、先生は突然体調を崩してしまう。大事をとって帰ることになるが、かつての教え子たちは昔と同じように『仰げば尊し』を歌って会場を後にする先生を送るのだった。その夜、付き添った門下生たちが控える部屋の奥で、先生はおだやかに眠る。夢の中、かくれんぼをしている少年は、友達に何度も「まあだだよ!」と叫ぶ。少年が見上げた夕焼けの空が、やがて深く彩られ、夜になっていくところで映画は終わる。百閒が「摩阿陀会」について記した著作の中には、多くの人物が実名で登場する。しかし、本映画の登場人物は、百閒の著作に出てくる人物とは一致しない。以下の2人は百閒の著作中にも見られる名前だが、彼らも百閒の著作と映画中の役回りは異なっている。この他、実際には「摩阿陀会」の肝煎(幹事)は多田基、北村孟徳、平山三郎の3人であるが、映画では4人となっている。ただし、映画の肝煎が4人になっているのは、百閒宅の近所に住み、「摩阿陀会」開催時に百閒を会場にエスコートする役を担っていた「平井」という人物を含めているものとも考えられる。この平井は、百閒の随筆「ノラや」の中で、ノラが行方不明になった時に、新聞に折込広告を入れることを提案した人物でもある(映画では桐山が提案している)。
出典:wikipedia
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