塩原電車(しおばらでんしゃ)は、かつて栃木県の西那須野駅 - 塩原口駅間14.6kmを結んでいた軽便鉄道の鉄道会社である。1932年に休止の後、1936年に全線廃止された。1935年当時西那須野 - 三島 - 烏森公園 - 三島神社前 - 稲荷山 - 赤田 - 御嶽山道 - 千本松 - 金沢道(1927年7月31日廃止)- 関谷 - 新塩原(1922年7月29日?廃止)- 塩原口西那須野から塩原温泉郷までの道路が土木県令とよばれた三島通庸により改修されたのは1884年の事であった。それ以降塩原への鉄道の計画はいくつかあったがいずれも実現にはいたらなかった。1908年には東京の山本音次郎、伊藤芳次郎、今井鉄次郎らにより西那須停車場-塩原温泉入口関谷までの乗合自動車運転を計画し8月8日から営業を開始した。湯治客の利用で好況であったが9月6日の豪雨により道路が寸断され復旧のめどが立たないため運転は中止となりそのまま東京に引き上げてしまったという。1909年東京市の高嶋鑛橘が発起人総代になり西那須野停車場より関谷までの電気鉄道と電灯事業の計画が具体化し、塩原水力電気株式会社が設立され1910年9月29日特許が下付された。しかしその後水力発電所の建設が不可能と判明し、1911年1月になり動力を蒸気に変更することとし、社名を塩原軌道株式会社に変更した。そして敷設工事が始まったが西那須野停車場付近の住民からは道路を走行する車両の危険性や、ばい煙による火災の懸念から反対運動がおこり、会社に対し迂回の要求をした。折悪しく工事の資材を運搬していた蒸気機関車の火の粉により旅館が被害にあいさらに反対運動は盛んになっていった。こうしたことに知事も無視できず、機関車には無煙炭やコークスを使用すること、機関車は夜明け前や日没後の運転をしないこと、必要な箇所に番人をおくこと、等々の制限を付けた上で1912年7月11日に西那須野 - 関谷間が開業できることとなった。ところが開業後間もなく高嶋社長の不明朗な経理が発覚した。社長は病気を理由に出社せず、1912年12月の株主総会は紛糾し役員の一部は会社を去っていった。その後1914年1月になり小久保六郎が社長となる。また使用している機関車は力不足のため新たに機関車を増備したため、鉄道院から技師が検査のため派遣された。そこで使用していた機関車の動輪が摩耗して不良なこと、機関車の大修繕が必要なこと、踏切板が腐朽しているため交換が必要なこと、問題点の指摘がなされ保守に十分な手がかけられない状況がみられた。新機関車も重量が過大なため橋桁の強度不足を指摘されており、改善が要求されていたが、それに対する返答がなく申請を一旦却下される始末で1920年になりようやく認可された。また営業成績であるが塩原温泉郷までは距離が遠いこともあり利用客が増えず毎年欠損続きであった。1918年になると資本金12万円に対し負債が13万円になるなど会社は存亡の危機を迎えた。この事態に塩原村も憂慮し、有志が同社の株を買収し経営に参画するようになった。そういう時に救いの手を差し伸べてきたのが塩那電気株式会社であった。提携の申出を受け、1920年12月の重役会において電車により運転すること、路線を延長することを決定した。そして塩那電気から給電をうけ1921年に電化され、社名も塩原電車に改められた。1922年には塩原口まで路線を延長し塩原温泉馬返まで連絡バスを運行した。乗客は徐々に増加していき、1924年には申請していた塩原福渡温泉延長の特許が下付された。1925年2月に6代目社長として植竹龍三郎が就任すると1926年6月関谷から矢板への延長を計画し申請(1931年8月却下)した。また電力不足から1928年9月赤川発電所を開設し、塩那電気からの受電を廃止した。こうして梅竹社長時代に増資し設備投資を計ってきた訳であるが金融恐慌により温泉客が急激に減少。さらに福渡温泉の延長計画も多大な建設費がかかることから着工できないままライバルの乗合自動車に客をうわばれていき、やがて1931年に運転を休止。他の事業部門を徐々に切り売りするようになった。そして株主総会で会社解散を決議、1936年1月14日に廃止された。鉄道統計資料とは異同がある。蒸気機関車は開業時アメリカのポーター社製2両。1914年にドイツのクラウス社製を増備(認可は1920年)なお付番は1 - 3ではなくA - Cだった。客車は開業時6両。電化後も使用された。貨車は開業時有蓋貨車3両。無蓋貨車4両電車は電動車を1921年に3両用意し、1922年1両増備。すべて木製単車。1926年にボギー車の付随車を2両増備した。那須塩原市にある大鷹の湯では、1997年よりフォークリフトから改造・復元した「開拓1號」を運転している。なおこの車両を製造するにあたって、京都市電や土佐電気鉄道「維新号」を参考にしている。
出典:wikipedia
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