《浄められた夜》(きよめられたよる)または《浄夜》(じょうや、独語:"Verklärte Nacht")作品4は、1899年にシェーンベルクがウィーンで作曲した弦楽六重奏曲。シェーンベルクの初期作品の中では、《グレの歌》と並んで最も有名かつ最も重要な作品の一つであり、その後たびたび弦楽合奏用に編曲や改訂が繰り返され、シェーンベルクの主な収入源となった。リヒャルト・デーメルの同名の詩「浄夜」に基づき、月下の男女の語らいが題材となっている。室内楽のための音詩という、きわめて特異なジャンルを開拓したことでも有名である。1902年にウィーンで、ロゼー弦楽四重奏団とフランツ・イェリネク、フランツ・シュミットによる初演が行われた際、半音階を多用した当時としては斬新な響きや、調性の浮遊するパッセージ、さらには、あけすけに性を主題とするデーメル作品を出典に作曲する姿勢をめぐって、波紋を呼んだ。シェーンベルクは、こんにちでは20世紀前半における無調音楽や十二音技法の開拓者として有名であり、これらがしばしば理解しにくいために、初期作品の美しい響きは多くの聴き手に意外の感を与える。初期のシェーンベルクはドイツの後期ロマン派音楽の流れから出発し、ブラームスとワーグナーの両者から多大な影響を受けている。ワーグナーからの影響はトリスタン和音を拡張した高度な半音階技法に如実に見出され、ブラームスからの影響は小節線や拍節感の拘束から逃れようとする不規則な楽節構造や、綿密な動機労作に歴然としている。作品を通して、シェーンベルクは豊かな音楽性を発揮しており、将来の無調性の開発を匂わせるような部分は、ごくわずかな部分に留まっている。演奏時間にして約30分の単一楽章で作曲されているが、デーメルの詩に対応して、5つの部分から構成されている。それぞれの部分の主題は、原典に見出される物語や筋書きを音楽にうつしとったものである。すなわち本作は、室内楽のための標題音楽のすぐれた作例の一つにほかならない。楽曲構成はさまざまな解釈が提出されており、ロンド形式とする説や、ソナタ形式よる2つの異なる楽章を連鎖させたものとする説がある。シェーンベルク自身は、この作品の構造について示唆するような発言を残さなかった。1917年に最初の弦楽合奏版が作られ、その後にコントラバス・パートを手直しした1943年版も作成された。弦楽合奏版は、バレエ音楽に転用されることもある。この作品が日本に紹介されたのは1936年のことであり、弦楽合奏版が9月30日、日比谷公会堂にてヨーゼフ・ローゼンシュトックと新交響楽団(現NHK交響楽団)により日本初演されている。戦前の日本語文献にシェーンベルクについて触れたものはいくつかあるが、作品が演奏されることは稀であった(「月に憑かれたピエロ」や「ワルシャワの生き残り」など、無調・十二音時代のシェーンベルク作品が日本で演奏されたのは1950年代から1970年代になってのことである)。
出典:wikipedia
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