3F爆弾(スリーエフばくだん)とは、水素爆弾(水爆)の外殻にウラン(UまたはU)を用いた核兵器。核分裂(fission)→核融合(fusion)→核分裂(fission)と3段階の核反応を経るため、この名がある。現在実用化されている水素爆弾はこの形式である。「超ウラン爆弾」と言われる事もある。最初に起爆用原子爆弾(原爆)の核分裂が起こり、次に重水素・三重水素 (水素の同位体)が核融合(熱核反応)を起こし、これから出る高速中性子で外側を包んでいるウランが核分裂を起こす。Uの原子核は通常は中性子を当てても核分裂を起こさないが、熱核反応による高速中性子が衝突すると核分裂を起こし、エネルギーを放出する。3F爆弾はこうした3段階の核反応を用いて威力の増強を図った核兵器である。ただし、3F爆弾開発当初はUが用いられていたが、Uでは核分裂連鎖反応の能力が乏しいので、代わりにUをより多く含む濃縮ウランが専ら用いられるようになっている。水爆の原理は原爆開発の初期の頃からエドワード=テラーやスタニスラフ=ウラムらによって研究されて来たが、それは原爆のエネルギーで重水素や三重水素の核融合を起こすだけのもので、外側をウランで覆って更に核分裂反応を追加する事はなく、いわば水爆の原初的な形である。1952年にエニウェトク環礁で実験された最初の水爆はこの形式であった。しかし1954年に太平洋のマーシャル諸島、ビキニ環礁で行なわれた「キャッスル作戦」では3F爆弾が初めて使用され、以後、水爆はこの方式が一般化した。外側にあるウランの核分裂によるエネルギーが加わるので、それがない場合(初期型の水爆)より大きな威力が出せる。300キロトンの核爆弾の場合、起爆用原爆で40キロトン、熱核反応で130キロトン、外側のウランの核分裂で130キロトンの割合になる。むろん、威力がより大きくなれば(例えばメガトン級の場合)核融合のエネルギーの比率が増大して行くが、実用化されている核兵器では核分裂の効果は大きい。3F爆弾は「汚い水爆」と呼ばれる事がある。外側にウランの覆いがない水爆では、放射性降下物の源となるのは主として起爆用の原爆から出る核分裂生成物くらいであるが、3F爆弾では外殻の大量のウランが核分裂を起こして多くの放射性物質を作り出し、また核分裂しなかったウランもあり、それらが爆発によって四散し、広大な範囲に放射能汚染を引き起こすためである。初期型水爆はそのようなことがないので、対比して「きれいな水爆」と言われる。もっとも、初期型の水爆も起爆用に原爆を用いているためそれによる放射能汚染は避けられず、また核融合反応でも膨大な量の中性子が放たれ、それが大気中の窒素原子に衝突してCを生成するなどの影響がある。「きれい」・「汚い」はあくまで相対的な表現で、核兵器が放射線による大きな被害を与える事に変わりはない。起爆用原爆を用いないで核融合を起こす「純粋水爆」は早くから研究されて来たが、核融合に必要な超高温度・超高圧力を得る事ができず、2011年現在、まだ実用化されていない。
出典:wikipedia
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