与那国方言(よなぐにほうげん)または与那国語(よなぐにご)は、琉球語(琉球方言)のうち、沖縄県与那国島で話されている方言(言語)である。地元ではドゥナンムヌイと呼ばれる。国立国語研究所の推計によれば、話者は2010年の時点で393人。当地の住民でも50歳半ばを境に話せる者は稀になり、年少者は話せず理解することもできない。与那国島または国際機関において独自の「言語」として扱われることがある一方で、日本の中央の学説の多くは「方言」として扱う。2009年2月にユネスコにより消滅危機言語の「重大な危険」(severely endangered)と分類された。与那国方言はa、i、uの3母音体系で、日本語と同系の諸言語の中で最も母音数が少ない。そのためそれぞれの具体的音声にはかなりのゆれがある。母音/i/は、[i]~[e]の広がりを持った音であり、[ji]、[ʔi]の異音を持つ。また強調するときには[sagei](酒だよ!)のように[ei]とも発音される。母音/u/も、[u]~[o]のゆれがあり、[ʔu]、[wu]の異音を持つ。助詞[duː](よ)などでは[dɔu]のように広く[ɔu]と発音される。半母音音素のうち、/j/は語頭に立つことができないが、全ての子音と結びつくことができる。/w/は、/ŋ, m, c, r/以外の全ての子音と結びつくことができる。子音では軟口蓋破裂音と歯茎破裂音に、有気音(k, t)と無気喉頭化音(k, t)との区別があるのが大きな特徴である。北琉球方言でも区別があるが、宮古方言・八重山方言では認められない。またこの区別は、与那国方言では語頭のみに認められ、語中ではほとんど無気喉頭化音として実現する(よって本項以下の記述では語中のは省略して表記する)。/c/および/p/も音声的には無気喉頭化音だが、対応する有気音は欠けており弁別的特徴ではない。有声の軟口蓋音は、鼻音の/ŋ/が破裂音/g/と対立している。ŋは琉球語のなかでは与那国方言と奄美の喜界島にしか認められない。また/z/は語例が極めて少なく、語頭において/za/、/zja/として現れるのみで語中・語尾では現れない。拍音素には/N/(撥音)があり、/Q/(促音)は与那国方言に認められない。/N/の音声は、後続の子音に応じて[m, n, ŋ]として現れる。(例)[mmi](爪)、[nta](土)、[ŋkadi](百足)以下は与那国方言に現れる拍の一覧。//に囲まれた部分は音素表記、[]に囲まれた部分は具体的音声である。与那国方言では、日本語(本土方言)のeがiに、oがuになっている。ただしス、ツ、ズに対しては、与那国方言では/i/が対応する。与那国方言では、語中のカ行子音が濁音化し/g/となる。ただしキは/ti/が対応する。(例)[agiruɴ](開ける)、[iti](息)。一方、本来のガ行子音は鼻音/ŋ/となる。(例)[aŋaruɴ](上がる)。ただしギは/gi/または/di/となる。またヤ行子音は与那国方言では主に語頭で/d/が対応している。語中ではjのものもある。(例)[damuɴ](病む)、[uja](親)。南琉球方言に共通する特徴として、ワ行子音は/b/が対応する。(例)[bagaɴ](若い)、[buɴ](居る/をる)。サ行では、日本語のサ・セ・ソは/sa/、/si/、/su/となるが、シ・スは/ci/となる。ザ行子音は/d/となる。(例)[adi](味)、[kidi](傷)。タ行では、日本語のタ・テ・トは/ta/、/ti/、/tu/だがチ・ツは/ci/となる。ハ行子音は/h/となっており、pをとどめている宮古・八重山方言とは異なっている。ただしヒは/ci/となっている。以上のように与那国方言では、日本語のイ段音は子音を変化させている例が多い。ナ行およびマ行では、ナ:/na/、二・ネ:/ni/、ヌ・ノ:/nu/、マ:/ma/、ミ・メ:/mi/、ム・モ:/mu/と対応している。ラ行子音は/r/となるが、リの場合はrが脱落しiとなる。また日本語のロ/ro/に/du/が対応することもある。与那国方言の無気喉頭化音/k/は、語頭のkik・cuk・huk・hok・hikなどの音声環境において、第1拍が無声化の末に脱落し、その代償として第2拍のkに無気喉頭化という特徴が加わったものである。/t/も同様に、sit・hit・hut・kuc、あるいはkiki・cuki・cuti・cikiという音声環境で現れる。(例)[kuɴ](聞く)、[kuruɴ](作る)、[kuriruɴ](ふくれる)、[kuɴ](埃)、[kuɴ](弾く)、[taː](舌)、[tuː](人)、[tiː](聞き)、[tiː](月)。また、kir・kus・sir・hirを含む語では、rがsに音韻変化を起こした後、第1拍の脱落によって第2拍のsがcに変化している。(例)[tsuɴ](着る)、[tsaː](草)、[tsudaːri](白い)、[tsuːma](昼間)。似た変化は、宮古方言で[ffu](黒)、八重山方言で[kisuɴ](着る)のように現れる。与那国方言の/N/は、日本語の語頭のム・ヒ・ツ・ク・フ・シ・イ・ウなどに対応して現れる。(例)[ŋkaʧi](昔)、[ŋgi](髭)、[nni](舟)。祖納方言の「書く」と「起きる」の活用を示す。与那国方言の形容詞は、古い語幹に「さあり」の付いた形に由来し、後に「さ」が脱落したものである。例えば終止形は、「高さありむ」が石垣方言のようなtakasanとなり、「さ」が抜けてtaganとなった。祖納方言の「高い」の活用を示す。(祖納の方言)
出典:wikipedia
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