軽装甲機動車(けいそうこうきどうしゃ)は、陸上自衛隊と航空自衛隊に配備されている装輪装甲車である。製造は小松製作所。防衛省は、略称をLAV(Light Armoured Vehicle)、愛称を「ライトアーマー」としており、保有する部隊内では略称をもとに「ラヴ」とも呼ばれている。普通科などの隊員の防御力と移動力を向上させるのが目的の装甲車であり、性能や想定する任務は、歩兵機動車(Infantry mobility vehicle, IMV)に類する。固定武装は無いが、乗員が天井ハッチから身を乗り出して5.56mm機関銃MINIMIや01式軽対戦車誘導弾などの火器を使用できる設計になっている。車体は装甲化され、避弾経始も考慮されているが、具体的な防弾・防爆性能は公開されていない。小型かつ軽量であるためC-1 輸送機、C-130H 輸送機、CH-47J/JA 輸送ヘリコプターなどで空輸することが可能となっている。平成9年度から「小型装甲車」の名称で開発が開始され、平成12年度に部隊使用承認された。コスト低減を目的に、比較的短い周期でモデルチェンジされる民生部品が多用されたため制式化はされておらず、○○式という名称は付けられていない。政策評価においては、*) 従来の隊員の機動力がトラックや高機動車等の非装甲車両であったことから、装甲防護力が脆弱であるため脅威下における戦闘には適さなかったが、軽装甲機動車の整備が進むことによりゲリラや特殊部隊等に対応するために必要な機動力と防護力の強化を実現できた、*) 遠隔地や島嶼部に展開する場合、従来の装甲車両は空輸性に制約があり迅速に集中・展開させることが困難であったが、軽装甲機動車の整備が進むことにより遠隔地や島嶼部への展開能力を向上することができた、*) イラクやハイチなど我が国とは大きく異なる過酷な環境下においても、その性能を十分に発揮しており、これらの任務の遂行に寄与している、と評価されている。部隊では、汎用車である1/2tトラック(通称ジープ)の代わりとしても使用されている。そのため、使用部隊からは「車体が大きくて重い」、「防弾性向上のためにフロントガラスが2分割され、中央にピラーが走っているために視界(特に左方の)が悪い」、「エンジンの騒音とタイヤの振動が大きく、椅子の悪さも相俟って、長距離移動時の疲労がジープより更に大きい」、「目立つため、コンビニなどに立寄るのが憚られる」などの、ジープと比較しての不満が出ている。乗車人数が少ないので、同じ人数を運ぶためにはより多くの車両が必要となる。そのため、東日本大震災の際には、災害派遣されたLAVをメインに装備する部隊が、駐車スペースの確保に苦労するという事態も生じた。ただし、エアコンの効きはジープより良好であると言われている。また、燃費が悪いため、燃料補給や整備の負担が大きいとの声もある。一方、戦闘車両としては、車内が狭いために4名分の装備が収まらないという問題が指摘されている。また、重心が高く横転しやすいとの指摘があるのに対しては「最近の装輪装甲車両全般がその傾向にある」としながらも、不整地走行能力は他の装輪装甲車両と比較しても悪いと評価する自衛官もいる。自衛隊の海外活動では頻繁に使用されており、現在までにイラク派遣、ハイチPKO、南スーダンPKO、ソマリア沖海賊の対策部隊派遣などに参加している。固有の武装は備えていないが、一部の車両には車体上面ハッチに全周旋回可能なターレットと防楯付き銃架が取り付けられており、5.56mm機関銃MINIMIや89式5.56mm小銃を据え付けて射撃することができる。ターレットの下にはブランコのような形をしたベルトが取り付けられており、射手はここに座って射撃を行う。ただし、機銃に空薬莢受けを付けないと、排出されたベルトリンクがターレットのガイドレールに詰まり動かなくなるという問題も指摘されている。上面ハッチからは01式軽対戦車誘導弾(軽MAT)を発射する事も可能。各駐屯地で行われる創立記念行事での訓練展示では、過去に87式対戦車誘導弾の発射機や84mm無反動砲を上面ハッチ上から構える隊員が確認された事もある。しかし、ハッチのサイズが充分ではないため、カールグスタフなどを取り出すのは大変であるという現場の声もある。制式装備ではないが、2006年1月に行われた「平成18年度第1空挺団降下訓練始め」や、2010年10月に行われた「中部方面隊創隊50周年記念行事」において、部隊で独自に改造(両者の改造方法は異なる)を行い、12.7mm重機関銃M2を搭載した軽装甲機動車が登場したことがある。これらの改造は車体に直接銃架が設置されているため、全周射撃は不可能である。平成21年度(2009年度)から平成23年度(2011年度)まで、将来的に本車に搭載する可能性もあるリモートウェポンステーションの研究が行われた。防衛庁(当時)の技術研究本部と小松製作所によって開発が行われ、小松製作所が生産している。陸上自衛隊では、平成27年度(2015年)補正予算までに1,818両を調達しており、全国の普通科部隊と機甲科偵察部隊(偵察隊)への配備が進んでいる。調達ペースは数百両で生産を終了した60式装甲車や73式装甲車と比べて非常に早い。航空自衛隊も基地警備隊向けに導入を行っており、平成27年度(2015年)予算までに119両を調達している。車体は陸上自衛隊のものと異なりオリーブドラブ一色で塗装されている。現在生産されているタイプは陸上自衛隊イラク派遣で使用されたもの(後述)と同型のワイヤーカッターと予備タイヤ用ラックが追加されている。調達価格は平成13年度約3,500万円、平成17年度約3,100万円、平成22年度約3,000万円。開発段階において、車両の構成品をユニット化したことによる部品点数と工数の削減および民生部品の活用により、1両当たり約630万円の調達価格の低減を実現している。いくつか納入時の仕様によって大別されるイラク人道復興支援活動部隊で使用された車両には以下の改造が行われており、警備やパトロールの際の隊員の安全性が向上している。これらの改修作業は、設計から取り付けまで3ヶ月程度で行われた。派遣部隊が戦闘や治安維持を目的としない人道復興支援活動部隊であることを強調し、武装勢力の攻撃対象とされるのを避けるため車体の随所に日章旗が描かれ、英語とアラビア語で「Japan」「اليابان」と表記された。塗装も他国軍のような砂漠迷彩ではなく、オリーブドラブ一色に塗り替えられていた。現在、この改造(国籍表示などを除く)が施された車両は国際活動教育隊に配備されているが、防弾ガラスや予備タイヤ用ラックなど一部の改造が施された車両は全国に配備されている。2010年から行われている自衛隊ハイチPKO派遣においてもこの改造車が使用されているが、この任務で使用されている車両には国際連合を意味するUNの文字が車体に貼り付けられている。海賊対処のためジブチに派遣されている部隊に配備されている車両は、上面ハッチ周囲の装甲板に屋根を追加するなどの現地改造が施されている。2004年(平成16年)にタミヤがイラク派遣仕様を1/35スケールでプラモデル化しており、後にタミヤ、京商がそれぞれラジコンカーを発売、タカラトミーから2006年にトミカ、2008年にはCAULとしても販売された。また、トミカハイパーシリーズ内には軽装甲機動車をベースとした架空車両として、救急車仕様の「山岳救急処置車」と、消防車仕様の「機動耐熱救助車」がラインナップされている。
出典:wikipedia
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