アナル・カント (") は、アメリカ合衆国ボストンのグラインドコアバンド。1980年代初期、ボストンのスラッシュメタルバンド"のベーシストだったは、リズム、ビート、リフ、歌詞、楽曲タイトルなど一切の音楽的要素を排除した“アンチ・ミュージック”を志向し、複数のノイズコアバンドを立ち上げていた。しかしメンバーがほぼ固定されていたため、1988年にニュートンでまったく新しいメンバーで結成されたのが、「アナル・カント」である。「Anal Cunt(肛門・女性器)」というバンド名は、"最も不快で、間抜けで、バカげた名前にしたい (To get the most offensive, stupid, dumb, etc. name possible)" というセスの意向による。レコードや多くのメディアでは「AxCx」や「A.C.」と略称表記されることが多いが、こうした検閲に対抗してバンドロゴは、とのそれぞれの頭文字を肛門及び女性器に模したデザインとなっている。結成当初の活動の場は地下室や屋根裏、リビングルームなどで、初ライブはセスの母親の実家で、2人の弟と祖母、母親の友人知人を前に演奏したという。初めて公のライブ演奏が行われたのはブランダイス大学の講堂で、そこで後のメンバーとなるフレッド・オルドネス(当時はShit Scum)らと出会う。実質的なバンド初の1stリリース「88 Song E.P.」は、僅か13分4秒に88曲が収録されているが、すべての楽曲にタイトルはない。のちに契約するイヤーエイク・レコードほか複数のレーベルから契約オファーを受ける。その後全米ツアーを行う。1989年、トータル3時間以上にわたる5643曲を11分に編集した「5643 song EP」をリリース。アナル・カントはアンダーグラウンドシーンで一躍有名になった。1991年、世界初のアコースティック・ノイズコア・レコードと言われる「Unplugged」をリリース。その後ヨーロッパツアーを行う。1993年、イヤーエイク・レコードと契約し、初のスタジオアルバム「Everyone Should Be Killed」をリリース。間もなくギターのオルドネスが解雇され、代わりにポール・クレイネクが加入するが直ぐに脱退。この年、サンフランシスコのライブでセスが観客の女性をマイクで殴り逮捕される。1995年、ギターにジョン・コジックを迎え、2ndスタジオアルバム「Top 40 Hits」をリリース。この頃の楽曲の多くは、ノイズコアからファストコアへとスタイルを変化させていった。1996年、初の日本ツアーを終え、ギタリストにスコット・ハルを迎え3rdスタジオアルバム「40 More Reasons to Hate Us」を発表。スコット・ハル脱退後、ギタリストにジョシュ・マーティンが加入。その後リラプス・レコードとの契約を経て、解散と再結成を繰り返しながら活動を続けていた。(3度の来日経験あり)2003年8月、セス・マーティン・ラインハンの3名でバンドは再結成したが、間もなくマーティンが逮捕されバンドを離脱。代わりにジョン・コジックを再びメンバーに迎え入れ活動再開。2004年の来日ツアー後、ラインハンが脱退し、ジョン・ギルスが再加入する。2004年10月、セスがオーバードースにより昏睡状態に陥る。当初は睡眠薬の過剰摂取と報じられたが、「実際にはアルコール・コカイン・ヘロインとのコンボだった」とのちに本人が証言している。生命維持装置による延命で約2カ月後に意識を回復させたが、脳神経に深刻な損傷を受け半身不随となる。リハビリを続けながら車椅子で活動を再開していたがセスのドラッグ中毒は治らず、2011年6月11日に心臓麻痺で死亡し、バンドは解散した。初期のスタイルは即興性を重視しており、ノイズを掻き鳴らすギターとひたすらブラストビートを繰り出すドラム、そして凄まじい絶叫を轟かせるヴォーカルが絡み合うといったもので、メロディは皆無(曲の長さも5秒から1分弱)、まさに混沌の極みであった。「ノイズ・グラインド」とも呼ばれたこの時期の音楽性は、世界中のグラインドコアバンド、ノイズバンドに影響を及ぼし、現在に至るまで数多くのフォロワーを生み続けている。しかし、度重なるメンバー交代とセス・パットナムの音楽的嗜好の変化によって、フルアルバムを発表する毎にそうした即興性とノイズは次第に影を潜めていき、近年は90年代初頭のグラインド・コア・スタイルに初期の要素を若干含めたものになっていた。アナル・カントの歌詞はミソジニー、ホモフォビア、ナチズム、反ユダヤ主義、レイシズム、シャーデンフロイデといった共通テーマの下に、人気ミュージシャンや著名人に対する誹謗中傷・挑発する内容が殆どを占めている。同じ音楽シーンで活動しているグラインドコア、ハードコア・パンク、デスメタルバンドやそのメンバーを名指しで罵倒したものもあり、トラブルに発展したこともある。特に、元カンニバル・コープス、現シックス・フィート・アンダーのとの確執は有名。セスによると、あくまで歌詞は悪ふざけだとしており、ブラック・ジョークを意識して書かれたものになっている。とはいえ、過激な歌詞に対する批判は多く、ライブ中にその内容に反発した観客との間で殴り合いの喧嘩が起きたことも少なくなかったようである。
出典:wikipedia
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