SuperH(スーパーエイチ)は、日立製作所(後のルネサス エレクトロニクス)が開発した組み込み機器用32ビットRISCマイクロコンピュータである。主にマイクロコントローラタイプのSH-1/SH-2、マイクロプロセッサタイプのSH-3/SH-4の4シリーズが製品化されている。現在はそれぞれ上位シリーズであるSH-2A, SH-4Aが追加されている。また派生シリーズとして携帯電話のアプリケーションプロセッサ向けSH-Mobile、64ビットCPUコアであるSH-5がラインナップされている。立ち上げ当初から消費電力あたりの性能 (MIPS/W)の向上を標榜していたことが特徴の一つである(現在で言うユビキタスコンピューティング社会における普及を目指した)。1992年に最初の製品であるSH-1 (SH-7034:HD6417034)が発表され、組み込み用途の32ビットRISCマイクロコンピュータとして先鞭をつけた。その後SH-2が家庭用ゲーム機のセガサターン、自動車用ECUなどに、SH-3がクラリオンのカーナビゲーション、や小惑星探査機はやぶさなどに、SH-4がドリームキャストに採用されたこともあり、メジャープロセッサとして認知された。また、DSPを含む製品を発表した。STマイクロエレクトロニクスと共同開発したSH-5をIPコアで発表した後、性能を向上させる方向から一転(Windows CEベースのPDAがPocket PC 2002からARMアーキテクチャに一本化されたことと、セガ(後のセガゲームス)が家庭用ゲーム機のハードの開発から撤退したこと、RISCプロセッサのブームが一段落したこと、等も挙げられる)、携帯電話を中心にターゲットを絞ったSH-Mobileシリーズを展開し、日本の携帯電話各キャリアやウィルコムの機器に採用されている。CPUコアはアドレス長、データ長はともに32ビットだが、インストラクションセットは16ビット固定長命令であり、32ビットCPUでありながらコード効率を向上、組み込み用32ビットマイコンとして成功させた(その後ARMやMIPSなどもこれに倣い、Thumb命令などの16ビット命令体系を取り込んだ)。ビットフィールドを削減し16ビット語長に抑えるため、汎用レジスタは16本、2オペランド命令が基調となる。またインデックス修飾のオフセットはバイト単位ではなく命令で指定するデータ長でスケーリングされ、さらに32ビット絶対アドレスや16 / 32ビット相対アドレスの指定は4bit / 8bitのディスプレースメント相対によるロード命令によって値を取得する必要がある。CPUコアには汎用レジスタ16本のほかにグローバルベースレジスタ、ベクタベースレジスタ、サブルーチン呼び出し用のプロシジャレジスタなどを持つ。周辺ユニットとして、タイマや割り込みコントローラ、シリアルインタフェース、ROM / RAM、DMAコントローラ、I/Oポートなどが内蔵されている。各SHシリーズは基本的に数字の若いシリーズとオブジェクトレベルで互換性がある。ただし、条件分岐は1bitのT(真 / 偽)フラグを比較命令でセットし、条件分岐命令で分岐する。これは演算毎に自動でキャリーやゼロなどの複数のフラグがセットされ、条件分岐命令ではそのフラグを参照するアーキテクチャと、条件分岐命令で指定したレジスタのゼロ / 非ゼロや偶数・奇数によって直接分岐するアーキテクチャの折衷案といえる。また、分岐命令は多くが遅延スロットをもつ遅延分岐命令となっている。シリーズ番号は初期の番号を記す。SH-Mobileは、SuperHアーキテクチャのCPUコアに加え、マルチメディア処理回路や基地局とのデジタル信号を処理するベースバンド回路を加えた携帯電話向けのシステムLSI製品である。以後は、ハイエンド・ミドルレンジ・ローエンド向けと分離したシリーズ展開を行っている。このほかにもSH-Mobile3Aなどの製品があり、ワンセグの送受信に最適化するなどの機能強化が図られている。また、携帯電話以外での使用を前提としたSH-MobileRもあり、これはPNDなどで使用されている。SH-MobileをベースにW-CDMAおよびGSM対応のベースバンド回路を統合した製品で、NTTドコモおよび複数の携帯電話メーカーと共同で開発された。ベースバンドプロセッサおよびOSが動作するアプリケーションプロセッサにはARMアーキテクチャを採用し、SH-4およびPowerVR等の各種IPはマルチメディア等の高負荷処理を担当する。最初のバージョンのSH-Mobile G1は2006年5月に量産出荷が始まった。富士通、三菱電機、シャープの3社が2006年のドコモの夏モデルから採用し、1年2カ月で1000万個を出荷した。第二世代となるSH-Mobile G2は、下り最大3.6MbpsのHSDPA、GPRS、EDGEの対応に加え、OSやミドルウェア、ドライバなどの一体化を行った。このバージョンのものから、富士通、三菱電機、シャープの3社が開発に加わった。2006年9月にサンプル出荷を開始し、2007年第3四半期から量産出荷を行っている。第三世代SH-Mobile G3は、下り最大7.2MbpsのHSDPA(カテゴリー8)に対応し、このバージョンのものからソニー エリクソンが開発に参加した。2007年10月にサンプル出荷を開始している。2008年10月には、SH-Mobile G4の開発開始を発表している。45nmプロセスを採用し、新たにHSUPA、HD画像処理への対応を予定している。
出典:wikipedia
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