統一モデリング言語(とういつモデリングげんご、UML、英: Unified Modeling Language)は、主にオブジェクト指向分析や設計のための、記法の統一がはかられた(Unified)モデリング言語(Modeling Language)である。仕様記述言語であるなどとされることもあるが、統一されているのは構文に相当する記法だけで、仕様を表現するような意味が形式的に与えられていない図もあるので、形式仕様記述言語ではない。最初期の版はラショナルにおいて、グラディ・ブーチ、イヴァー・ヤコブソン、ジェームズ・ランボーの3人が策定した。この3人はスリーアミーゴスと呼ばれている。現在は (OMG) が管理しており、現在最も普及していると主張されている。2015年7月現在の最新版は UML 2.5 であり、ISO/IEC 19501:2005 として UML 1.4.2 を、また、ISO/IEC 19505-1:2012 ならびに ISO/IEC 19505-2:2012 として UML 2.4.1 を標準化している。UML 2.0 以降では、ダイアグラム(図法)が13種類もあり(#UMLのダイアグラムを参照)、各種の図法を必要に応じて使い分けなければならない。よく使う図としては、ユースケース図、状態遷移機械図(ステートマシン図)、シーケンス図、クラス図などがある。UMLはデザインパターンを説明するために良く使われている。UMLの公式な定義は、OMG が (MOF)のメタモデルを使って行っている。他のMOFベースの仕様と同様、UMLメタモデルとUMLモデルは XMI でシリアライズできる。UML はソフトウェアを中心とするシステムの仕様を記述し、視覚化し、構築し、文書化するために設計された。UML はソフトウェアのモデリングだけに利用する訳ではない。ビジネスプロセスのモデリングやシステム工学的モデリングにも使われ、組織の構造図を表現するのにも使うことができる。(SysML)は、UML 2.0 プロファイルとして定義されたシステム工学用のドメイン固有モデリング言語である。UML は、モデル駆動工学(MDE) やモデル駆動型アーキテクチャ (MDA) といったモデル駆動型の技術が発展するきっかけとなった。クラス、コンポーネント、汎化、集約といった概念の視覚的な記法について業界の合意を得るようになったことで、ソフトウェア開発者は設計や構造(アーキテクチャ)に集中できるようになった。UMLモデルは、OMG が対応する QVT などの変換言語を使って、他の表現(Javaなど)に自動的に変換できる場合がある。UMLには拡張性があり、プロファイルやステレオタイプといった機構でカスタマイズできる。プロトタイプによる拡張の意味論は UML 2.0 で改善している。UML 自体は手法(方法論)ではなく、開発当時に主流だったオブジェクト指向ソフトウェア開発手法群(OMT、Booch法、OOSE/Objectory など)と互換になるよう設計している。その後、UMLが普及するに従って、それらの技法を新たな図を利用するよう変更している。また、UMLに基づいた新たな手法も登場している。よく知られている例としてはラショナル統一プロセス (RUP) がある。他にも Abstraction Method、DSDM などがあり、それぞれ異なった目的に特化している傾向がある。UML図は、システムの静的な構造を示す構造図と、システムの振る舞いを示す振る舞い図に分類される。振る舞い図の中で、オブジェクト間のメッセージのやり取りに着目したものを特に相互作用図と呼ぶ。構造図では、システムの静的な構造をモデルで表現する。振る舞い図では、システムの振る舞いをモデルで表現する。相互作用図は、振る舞い図の一種であり、オブジェクトに間のデータ(メッセージ)の受け渡しをモデル化する。1994年、ラショナルはゼネラル・エレクトリックからジェームズ・ランボーを雇った。その後同社は今日の2つのオブジェクト指向モデリング技法を生み出すこととなった。それは、ランボーのオブジェクトモデル化技法(OMT, オブジェクト指向分析 (OOA) の一種)と、グラディ・ブーチのBooch法(オブジェクト指向設計 (OOD) の一種)である。ランボーとブーチは共同で彼らの技法を統一する作業を開始した。間もなくイヴァー・ヤコブソンが加わった。オブジェクト指向ソフトウェア工学(OOSE)の開発者である。ヤコブソンは1995年に自身の会社である Objectory AB が買収されたことにより、ラショナルに合流した。この3人の方法論者をスリーアミーゴスと呼ぶ。1996年、ラショナルはあまりにも多様なモデリング言語が存在しているとオブジェクト技術の採用が遅れてしまうと判断し、彼らの統合作業をオープンな統一モデリング言語の開発に方向転換した。OOPSLA '96 においてオブジェクト技術系の競合企業が集まってこれに関する話し合いが行われ、ランボーのOMT記法で使われていた四角形でクラスを表す技法がブーチの雲でクラスを表す技法に勝った。スリーアミーゴスの技術リーダーシップの下、UMLパートナーズという国際コンソーシアムが1996年に結成され、統一モデリング言語(、UML)仕様が完成し、OMG RFP に対する応答として提案された。UMLパートナーズの UML 1.0 仕様ドラフト版がOMGに提案されたのは、1997年1月であった。同月、UMLパートナーズはセマンティクス・タスク・フォースを結成し、仕様の意味論的側面の仕上げと他の標準化作業との整合作業を行った。その結果は UML 1.1 としてOMGに1997年8月に提出され、1997年11月に採用された。モデリング記法としては、OMTの記法がほぼ踏襲された(例えば、クラスやオブジェクトを矩形で表すなど)。ブーチの「雲」記法は除外されたものの、ブーチ法に特有な低レベルな設計の詳細を記述する機能が採用されている。ヤコブソンの Objectory からユースケース図が採用され、ブーチのコンポーネント図も採用された。しかし、意味論的な統合という観点では UML 1.1 は弱く、その点が大きく改善されたのは UML 2.0 であった。他のオブジェクト指向手法の概念をUMLに緩やかに統合し、ほぼあらゆるオブジェクト指向手法に対応するものとなっている。例えば、CRCカード(1989年頃、ケント・ベックとウォード・カニンガムが考案)およびオブジェクト指向役割分析法(OORam)が考慮されている。他にも当時の様々なオブジェクト指向技法が寄与している。トニー・ヴァッサーマンとペーター・ピルヒャーの「オブジェクト指向構造設計(OOSD)」記法、Ray Buhr の「によるシステム設計」、アーチー・ボウウェンのユースケースとタイミング解析、Paul Ward のデータ解析、David Harel の「状態図」などである。このとき、彼らはリアルタイムシステム領域もカバーしようとしていた。結果として、UMLは単一プロセスのアプリケーションから分散システムまで、様々な工学的問題に使えるツールとなり、巨大な仕様を抱えることになった。UML は UML 1.1 以降も進化し続けている。いくつかのマイナーバージョン(UML 1.3, 1.4, 1.5)はバグや問題点を修正したものだが、UML 2.0 では大きく進化した。これが現在のOMG標準である。UML 2.0 の最初の部分は、新しい図とモデリング要素を説明した高次構造(スーパーストラクチャ)であり、2004年10月にOMGにより採用された。他の部分はインフラストラクチャと呼ばれ、 (OCL、オブジェクト制約言語) と図の関係を示したものであり、順次採用され、2005年11月に完成した。「」最終版が使用可能であると宣言され、OMGの形式仕様ライブラリに追加されている。UML仕様の他の部分として「」、「」、「」を採用している。よく知られているUMLツールの多くは UML 2.0 のほとんどに対応している。一部、あまり使われない機能を実装していないことがある。UMLはモデリング標準として広く認知され使われているが、以下のような問題点をよく指摘される。バートランド・メイヤーとエドワード・ヨードンが American Programmer 誌に書いた "UML: The Positive Spin" という記事は、UMLをパロディ形式(UMLをテーマとしてその長所を書かなければならなくなった学生が書いた論文という体裁)で厳密に批判したものである。Eiffel Software のアーカイブ・サイトにある。
出典:wikipedia
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