ネクタイ()とは、男性の洋装で、首の周りに装飾として巻く布のことである。多くの場合、ワイシャツの襟の下を通し、喉の前で結び目を作って体の前に下げる。首に巻く細い方を小剣(スモールチップ)、前方に下げる太い方を大剣(ブレード)という。制服として女性がネクタイを着用する場合や、カジュアルなファッションアイテムとしてネクタイを着用する場合もある。ネクタイの起源については諸説ある。現在のネクタイの原型ができたのは17世紀頃とされる。ネクタイの起源として伝わる有名な説として、ルイ13世を守るためにクロアチアの兵士()がフランスを訪れた際、彼らが首に巻いていたスカーフが起源である、というものがある。彼らは無事な帰還を祈って妻や恋人から贈られたスカーフを首に巻いたが、それを見たルイ14世が興味を示し、側近の者に「あれは何だ?」とに尋ねたところ、側近の者はクロアチアの兵士について尋ねられたと勘違いし、「クロアチア兵(クラバット)です」と答えたため、その布をクラバット()と呼ぶようになったという逸話である。この説には、14世紀にはすでにフランスでcravateという語は使われていたという反論がある。どちらにせよ、1660年ごろに人気のあったクラバットは、単に幅広のネッカチーフを首に巻いたものに過ぎなかった。現在でもフランス語などではネクタイを "cravate" と呼ぶ。またこれから18世紀にかけて、クラバットに限らず首に布を巻くスタイルは兵装としても用いられ、一般に広まった。この形のクラバットは第一次世界大戦頃までの一般的な男性の正装となる。19世紀後半にイギリスでクラバットの結び目のみを残したものが作られた。これがボウ(蝶ネクタイ)である。アスコット競馬場に集まる際の服装としてアスコットタイ、ダービー・タイが生まれ、正装になったのもこの頃である。同時期に、現在の主流となるネクタイと同じ形であるフォア・イン・ハンド・タイが生まれる。ネクタイの基本的な結びかたのひとつであるプレーンノットを別名フォア・イン・ハンド(four-in-hand)というのはここからきている。フォア・イン・ハンドの発祥については諸説ある。ひとつは、フォア・イン・ハンドは、4頭立ての馬車のことであるため、御者の間でこのネクタイが使われたことから広まったという説である。また、オスカー・ワイルドがこのネクタイを考案したという説もある。また、ネッククロス(顎布)と呼ばれるひも状のネクタイがあり、19世紀初めに、当時の社交界の伊達男、ジョージ・ブライアン・ブランメルによって広められたという説(イギリス)がある。19世紀の7月王政以降、フランスの男性衣料は着やすさなどの機能性を重視した単純化への傾向を強めた。また、階級間の服装の平準化が進み、誰も彼もが一様に黒い帽子、黒の上下に白のシャツという「からす男」とも揶揄されるファッションが流行した。そんなモードの中で、ネクタイは男性衣料のなかで贅沢ができる数少ない場所のひとつとなった。バルザックの『お洒落の生理学』を始め、多くのネクタイ論の本が出版された。当時の人々はネクタイをすることは紳士の最低限の務めと考え、ネクタイを見ればその人の社会的地位、育ち、政治的意見までひと目で分かると考えていた。ダンディズム論の論客ロジェ・ケンプによれば、1830年代にはすでに72種類のタイの結び方が考案されていたという。ユニークで複雑過ぎるネクタイは、それを結ぶことのできる時間的な余裕や忍耐力を表す、上流階級同士の相互確認の暗号として機能していた。かつてネクタイには小剣・小剣通し・裏地や芯地が存在しないか薄く、一枚の生地を三つ巻きにした作りになっており背広の中で位置がずれやすかった。その為ズレを防ぐためネクタイピンが生まれた。現在は小剣・小剣通し・裏地や芯地が存在するため着用がしやすくネクタイピンが付けられることも少なくなっていった。小剣通しはタグが兼ねていることも多い。裏地は表地と違う織物や柄が使われていることも多い。長さの主流は、現在139cm±1cmといったところ(メーカーにより多少の差はある)。輸入品は160cm辺りとやや長くなっている。背広のラペルの幅とワイシャツの衿の幅、ネクタイの大剣の幅を合わせると見た目も揃う。制服警察官や軍人用のネクタイは、ネクタイを掴まれたとき、首が絞まることを防ぐため、結び目は形だけで、首周りは後ろでベルクロによって留める・または襟に金属クリップで引っ掛けるといった様式がとられることが多い。また、こうした結ぶ必要のないネクタイは、ネクタイを結ぶのが苦手なひと向けにも販売されている。ダービータイが多いが、蝶ネクタイやアスコットタイ、リボンタイも予め結ばれた状態の商品も多い。ネクタイにはさまざまな柄があり、時と場合により適切なものを選択しなければならない。海外では特に気を使う人が多い。改まった席ではソリッドやドット、小紋を身につけていることが多く、レジメンタル、あるいはストライプ、クレスト・ロイヤルクレストといったタイは、出身校や所属団体をあらわすこともある為、身につけている人は少ない。小紋の柄にも意味が含まれていることもある。使われている色はソリッドなら1色、ストライプ・レジメンタルなどの柄物なら2色から3色が多く使われる。稀に4色以上使われているネクタイも存在する。そのほか、キャラクター、絵画、周期表などのイラストがプリントされたものがある。絹のものが多いが、ポリエステルやウール、綿、麻や、希に皮革素材のものもある。ニット編みの布を使用したものもある。絹のネクタイは布地をバイアス(斜め45度)に切断することにより、「結び目の締め付けに柔らかさとゆったりとした感じが出る」といわれている。ネクタイには背広やワイシャツ、靴下と同じく織り方がある。多いのは主にこの2種類である。ネクタイには主に青、赤、黄色の三色が使われることが多い、特に寒色である青は良く用いられている。冬になると暖色である赤や黄色が用いられることがある。面接などの目上の人に合うときは、青などの控えめな色を着用し、選挙などの強く自分をアピールしたいときは赤を、協調性をアピールしたいときは黄色を着用すると良いと述べているところもある。共通点は光沢は控えめで、色は濃いめで、やや暗めの色を着用することである。慶事では明るめの色でも良い。色の割合についてはワイシャツやブラウス、背広、ポケットチーフも参考にされたい。以下は礼服に好まれて用いられるネクタイである。等、様々な色が用いられている。ネクタイの結び、あるいは結び目をノット(knot)と呼ぶ。knot は、英語でものを結ぶという動詞、あるいは結び目という意味の名詞である。ネクタイの結び目にはディンプルと呼ばれるくぼみをつけて結ぶのが気が利いているとされている。結び目が小さくなるプレーンノットやスモールノットは太いネクタイに、また逆にウィンザーノットは細いネクタイに適しており、また体格によっても似合うノットは変わってくる。儀礼用のノットやくだけた場にふさわしいノットもある。1990年代後半にケンブリッジ大学のキャヴェンディッシュ研究所の2人の研究員が数学的にネクタイをモデル化し、85通りのノットができると発表している。筆者は、同書のなかで、85通りのノットはすべてが実用的なものではないとして、13の実用的な結びかたを推奨している。よく使われるノットは以下のものである。また、以下のようなノットもある。アスコットタイには「ノンノット」、「ブラインドフォールドノット」、「セミフォーマルノット」が適している。他には蝶ネクタイ、スカーフにも共通した巻き方や独自の巻き方がある。ネクタイの結び目の太さに合ったワイシャツの襟の開きを選ぶことでより着こなしが広がるだろう。ネクタイの厚さ、薄さも考慮する必要がある。ディンプル()とはネクタイの結び目に作る窪みのことである。窪みを作ることによってネクタイの表情を豊かにしお洒落を楽しむことができる。慶事にはディンプルを作るが、弔事には作らない。ディンプルの種類と作り方を記す。ネクタイの結び方の優先順位は、次の順と言われている。フォア・イン・ハンド・タイの主な構成要素は表地、芯地、裏地からなる。通常はそのほかに小剣通しという小さな長方形の布を用いる。これらのセットも販売されている。縫うために、穴糸という太い糸も用いる。構造は表地を筒状に縫い、両端を剣状にして裏地を張り、芯地を閉じ込めた形になっている。表地も芯地も平織りの生地から正バイアス(45°斜め)に採り、締めたときに伸びるようになっている。少数生産の場合の表地は長方形の生地をひとつの対角線から少しずらして斜めに2等分してできた片方の台形を用いる。切断した側から順に斜めに、大剣部、小剣部、中はぎ部を採る。大剣部と小剣部との剣先の方向は逆になる。小山梅吉が1884年10月1日に初めてネクタイを生産したことを記念して、1971年に、ネクタイ業界の業界団体である日本ネクタイ組合連合会が、10月1日を「ネクタイの日」と定めた。
出典:wikipedia
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