パイオニア株式会社(Pioneer Corporation)は、東京都文京区に本社を置く、日本の電機メーカーである。創業者である松本望がアメリカ製のダイナミックスピーカーを聴き「いつか必ず自分の手で純国産のスピーカー(ユニット)を作りたい」と、1937年(昭和12年)に日本国産初のダイナミックスピーカー(「A-8」型)を自らの手で開発したことより始まった。「パイオニア」とは、そのスピーカーの商標であった。翌年、福音商会電機製作所を設立し、販売を開始した。なお松本は後に印刷会社も興し、この会社は「フクイン(旧称・福音印刷)」としてパイオニア製品の取扱説明書やカタログの印刷を担当している。1961年(昭和36年)には商標であったパイオニアを社名とした。その後、世界初のセパレート型ステレオを発売し、オーディオブーム全盛の頃には山水電気(サンスイ、2014年7月に破産)、トリオ(後のケンウッド、現・JVCケンウッド)と並びオーディオ御三家(俗にいうサン・トリ・パイ)と呼ばれており、特にオーディオファンからはスピーカーのパイオニアで親しまれた。ホームオーディオを含むホームAV事業は、2013年7月から2015年2月までは完全子会社のパイオニアホームエレクトロニクス株式会社が取り扱っていたが、同社の全株式はオンキヨーに譲渡され、2015年3月よりオンキヨーの完全子会社のオンキヨー&パイオニアに移管した。なお、事業移管後もパイオニアのブランドはこれまで通り維持される。ソニー、パナソニック、日立製作所、東芝、三菱電機などと比べると規模は小さいが、自社の得意分野への「選択と集中」を早期から進めており、尤も、個々の事業においては優れた技術力とブランド力を持つ。また、カーナビ、およびカーオーディオ等のカーエレクトロニクス関連、PC用光学ドライブ(2016年現在はほぼBD/DVD対応のマルチドライブのみ)については他社へのOEM供給も行なっている。構造改革の一環として、2009年11月に本社機能を東京都目黒区から神奈川県川崎市の川崎事業所へ移転し、目黒旧本社は2010年7月に88億円で売却された。さらに2015年10月、経営体制のスリム化を目的に、川崎の本社不動産を売却し、本社を再度東京へ移転することが発表された。その後、2016年3月7日に東京都文京区の文京グリーンコートへ移転した。文京区が本社となるのは1964年以来、およそ52年ぶりのことである。2000年代半ばにかけ、ホームエレクトロニクス事業としてPDP(プラズマテレビ)、DVDレコーダー、PC用DVDマルチドライブ、Blu-ray Discプレイヤー、PC用BDマルチドライブなどを手がけていた。また「カロッツェリア」ブランドで車載用AV機器(カーナビゲーション、カーオーディオ)を展開している。これらホームエレクトロニクスおよびカーエレクトロニクス事業が売上の2本柱であり、2006年(平成18年)3月期の売上はそれぞれ3,546億円、3,305億円で合計して90%以上を占めていた。しかし、その後の経営危機によりディスプレイ事業から撤退、光ディスク事業のシャープとの合弁化により(それぞれ後述)、2013年3月期現在においてはカーエレクトロニクスが3,126億円、ホームエレクトロニクスが959億円と、カーエレクトロニクス事業に経営資源をシフトさせた。プロフェッショナル向けオーディオブランドとしてTAD(Technical Audio Devices)を持ち、多くのスタジオにモニタースピーカーなどを納入している。一般向け高級オーディオブランド Exclusive と並び、オーディオマニアには著名である。欧米市場では1970年代初頭までCENTREXというブランド名が使われた(日本国内ではパイオニアのみのブランド展開)。家庭用オーディオ機器でも、中-高級品の価格帯で強い販売力を維持していたが、1980年代には「プライベート」ブランドで他社に先駆けて小型コンポを投入。若者をターゲットにすることでシェアを伸ばした。1990年ごろまでは、アナログディスクプレーヤー、アンプ、チューナー、スピーカー、カセットデッキ、DATなど、ほぼ全種類の民生用オーディオ機器を生産していたが、バブル崩壊により他のメーカーと同様に大きく販売を落とし、生産機種の大幅な整理を行なった。AV機器を含むホームオーディオ機器事業は、先述の通り2013年7月1日から2015年3月1日までは同社の完全子会社(当時)のパイオニアホームエレクトロニクスが取り扱っていたが、2015年3月2日よりオンキヨーの完全子会社のオンキヨー&パイオニアが取り扱うこととなった。車載用のオーディオとしては、1975年11月世界初のコンポーネントカーステレオを発売しシェアを伸ばした(日本初のカーラジオ(1948年)、カーステレオ(1963年)としてはクラリオンが先に開発・発売)。1970年代末に発売されたフェラーリ・512BBでは、純正カーステレオに採用されており、後にF1フェラーリチームへスポンサー参加するきっかけとなっている。日本車への純正カーオーディオの供給も盛んであり、日本国内全メーカーへ供給経験がある。なおパイオニア/カロッツェリアともにオーディオ、カーナビゲーション、スピーカー、ウーファーの型番の最後にZy、ZZと入る場合純正オプションを表している。日本車だと日産自動車、三菱自動車、マツダ、富士重工業、ダイハツ工業、スズキにラインナップされている。配線は各社用に加工されており2000年代前半までの機種では最大出力を落とすなどの配慮もなされた。その後GPS搭載の世界初カーナビゲーションシステムを開発した。DVD搭載型、HDD搭載型を開発して、カロッツェリアのブランド名で、カーコンポーネント事業では世界トップの技術とシェアを持つ企業に成長した。日本ではレーザーディスクの盟主としても知られており、日本ビクターの開発したVHDに日本国内の主要電機メーカーのほとんどが賛同した不利な状況にもかかわらず、当時の社長で「パイオニア中興の祖」とされる石塚庸三が、創業者松本望はじめとする社内の反対派を押し切り販売導入に漕ぎ着けた。初期には一時的な販売不振に陥ったが、最終的にはレーザーディスクがシェア争いに勝利した(DVD普及後、レーザーディスク事業はプレーヤーの少量生産のみの実質撤退)。その過程で商品化された「絵の出るレコード」レーザーディスク・カラオケはバブル期に一世を風靡しパイオニアのドル箱事業に成長し会社の屋台骨を支えた。カラオケ以外の娯楽分野では100円を入れてビデオクリップを見る「Laser Jukebox」や Visualに特化したゲーム用「Laser Active」があった。 またレーザーディスクのランダムアクセス機能を活用した業務用機器も多数開発され全世界の博物館や企業で映像送出用機器として使用された。 米国では小中学校向けの視聴覚教材として採用され、Appleコンピューターとの協業で全米の学校に普及が進みAppleとの関係が構築された。 その後も、DVD-RやDVD-RWを開発するなど、光ディスク事業においても技術力を保持し続けていた。2009年(平成21年)1月に、LDプレーヤーの生産を終了した。DVDメディアの製造販売からは早期に撤退しており、むしろDVD業界におけるパイオニアの功績は高い技術力を反映したPC用DVDドライブにあったと言われる。DVDドライブ黎明期からプロも認める高性能なドライブを発売すると同時に性能を落とした廉価普及版も投入し、パイオニアはDVDドライブのスタンダードとなっていった。また、パソコン周辺機器メーカーのバッファローやロジテック、アイ・オー・データ向けの内蔵・外付けDVDドライブに、DVDドライブをOEM納入している。パイオニア製ドライブの書き込み品質が良かったのは、ドライブ自体の高性能さとあわせディスク(特に太陽誘電製造及びOEM供給したDVD-Rディスク)との相性の良さがあったからといわれる。だが2007年DVR-A12シリーズでピックアップの不具合によるリコールを招き、以前からユーザーの間では話題になっていたため対応が遅いと批判を浴びた。同時期に光ディスクドライブ市場の急激な価格低下に苦しみ、2007年9月、シャープと資本業務提携を行い、合弁会社「パイオニアデジタルデザインアンドマニュファクチャリング株式会社」に移行した。しかしこの提携は2014年8月に解消され、パイオニアデジタルデザインアンドマニュファクチャリングはパイオニア単独の子会社となった。Blu-ray Disc(BD)においては、HD DVDとの規格争いがあった頃からBD陣営に属し、最も初期からドライブの出荷を開始したメーカーの一つである。DVDと同様にOEM向けのBDドライブ生産(主に外付けポータブル用、およびウルトラブックなどの薄型モバイルタイプを除くノートパソコン内蔵用が多い)で高いシェアを持つ。民生用DVDレコーダーを世界で最初に発売したメーカーであり、パナソニックや東芝と共に旧御三家の一つとして数えられていた。当時は画質・音質へのこだわりや充実した編集機能により一定の支持を受けていたが、後の低価格化競争によって利益を圧迫される状態が続いていた。2006年(平成18年)6月にはDVDレコーダーの新規開発を中止すると報道されたが、パイオニアはこの時点ではこれを否定した。しかし、2007年(平成19年)には新機種が発売されないまま既存モデルが相次いで生産終了し、2008年4月に発表されたモデルはシャープからのOEMとなった。その後、新製品は一切発表されることなく、事実上の完全撤退となった。ディスプレイ分野ではレーザーディスクやBeta hi-fi式ビデオデッキ Hi-Vista(ソニーからパイオニア仕様にカスタマイズされたOEM)などのAV製品と共にCRT方式のコンポビジュアルシステム SEED シリーズで家庭用モニター市場に参入。同社オーディオ機器とのデザイン統合性を持たせ、チューナーやテレビゲームパックなどの拡張ユニットがあり、他社との差別化を図った。また、CRT方式のリアプロジェクションテレビ(パネルは他社製)を日本国外向けに販売する程度で大きなシェアは持っていなかったが、1997年(平成9年)12月に世界で初めて民生用高精細50インチ型ワイドプラズマテレビを発売した(42型ワイドプラズマテレビは同年11月に富士通ゼネラルが世界で初めて発売)。パネルを自社生産できる数少ない日本メーカーの一つであり(ただしチューナーは他社からのOEM)、擬似輪郭や消費電力などのプラズマテレビの弱点の数々を克服した独自の映像技術や、お家芸であるオーディオ技術を搭載した高音質も高く評価されていた。かつては43V型と50V型のみを製造していたが、NECプラズマディスプレイの買収により、61V型もラインナップに加えた。当初は、先行メーカーであり多数の関連特許を取得。2006年にはサムスン電子のディスプレイが2件のアメリカ国内で申請した特許に抵触しているとして、テキサス州東部地区連邦地方裁判所に提訴。基本的な特許ということもあり、2008年10月29日の判決では合計5,900万ドルの損害賠償を得ている。 一方、日本国内では、液晶テレビの低価格化に圧され、2007年(平成19年)8月から高級路線に特化した新ブランドKUROを展開したが、ライバルである松下電器産業(現・パナソニック)にはシェアで遠く及ぶことができずに2008年(平成20年)3月7日にはプラズマパネルの自社生産を中止することを発表した。これと同時に、パイオニアのPDP技術者の大半をパナソニックのPDP部門に転籍させ、パナソニックからパネルを調達し組み立てと自社ブランド販売のみに専念する予定であると発表した。しかし世界金融危機による世界経済の急激な落ち込みを受けて、ついに、2009年2月12日にディスプレイ事業からの撤退を発表した。なお、2008年にはシャープから液晶パネルの供給を受け自社ブランドの液晶テレビ参入を予定していたが、実現しないままディスプレイ事業撤退を迎えた。パイオニアは有機ELディスプレイも古くから研究開発しており、カーオーディオの照明や液晶のバックライト、携帯電話の背面、カーオーディオの単色ディスプレイ用などで既に製品化している。2005年(平成17年)には京都大学、三菱化学、ロームと共にフレキシブルな有機ELディスプレイの試作に成功した。なお、2016年現在も一部中国市場で発売されている同社ブランドの液晶テレビ、スマートフォン、デジタルカメラなどは販売店に対しての商標ライセンス貸与による中国メーカー製造品であり、メーカーとしてのパイオニアとはブランド以外の関わり合いが一切ない。1970年代より、アンサホンという商品名で留守番電話を開発・製造する。1980年代には、無線機器の技術を応用して家庭用コードレス電話機の製造へ進出。シェアを伸ばした。電話機事業は、パイオニアが出資し、後に完全子会社となったパイオニアコミュニケーションズが承継した後、パイオニアコミュニケーションズを吸収合併したパイオニアホームエレクトロニクスを経て現在はホームAV事業同様、オンキヨー&パイオニアが取り扱っている。1990年代にはDDIセルラーグループ(セルラー、現・KDDI/沖縄セルラー電話連合(各auブランド))および日本移動通信(IDO、現・KDDI(auブランド))向け、J-PHONE(デジタルツーカー向けを含む。現・SoftBank)向けに携帯電話機の供給も行っていた。特に携帯初の全面タッチパネル式のDP-211は、付属のペンで手書き入力も可能で、またオプションのカーオーディオに取り付ければハンズフリーにも対応するという、時代を先取りした商品であったが、デザインの点で人気を得ることは無く、携帯電話事業は撤退することとなった。なお、その兄弟機種であるDP-211swは、携帯初の文字メッセージサービス(旧スカイウォーカー、現スカイメール)対応機種であった。1983年(昭和58年)レーザーディスクと組み合わせ、画像をスーパーインポーズさせてゲームが楽しめるMSXパソコンを発売する。1995年(平成7年)から数年間、アップルコンピュータからライセンスを受けてデスクトップ型のMacintosh互換機を発売していたが、アップルの方針転換により2機種を発売したのみに終わる。(2016年7月現在)※以下は、オンキヨーの完全子会社のオンキヨー&パイオニア(旧・パイオニアホームエレクトロニクス)が取り扱うパイオニアブランドの製品。
出典:wikipedia
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