暫定2車線(ざんていにしゃせん)は、4車線で計画された道路のうちの2車線のみを暫定的に供用すること、およびその区間の道路の形態。車線を4車線とする場合に比べて、限られた期間や費用で建設できるため、供用時に交通量があまり見込まれない道路において採用されることが多い。なお車線数は、法令上、往復合計の車線数で数えることになっている(道路構造令第5条第2項、第28条など)。近年、道路の片側の車線数をいうことがあるが、間違いである。4車線以上で計画された道路について、当面の交通量が少ない場合に、2車線のみを暫定的に供用させたものが暫定2車線道路である。一般的には開通時に交通量が見込めない場合に採用されることが多いが、上信越自動車道の碓氷軽井沢IC - 更埴JCT間のように交通量が見込めながらも(長野オリンピック開催に間に合わせるため)早期開通を優先させるために採用された例もある。日本では高速道路においても一般道路においてもしばしば採用されている。計画が4車線であるバイパス道路(道路構造令第3条第2項の、第3種1級や第3種2級の道路など)では、街路事業や大都市内の道路でない限り、暫定2車線で供用されることがむしろ普通である。高速道路の場合は最高速度が50-80km/hに制限されるが、大半の区間が70km/hに制限されている。ただ、将来的には4車線への拡幅を前提とした設計のため用地費は縮減できず、通常の2車線の道路と比べるとコストが割高となるが、初期投資額が抑えられるメリットがある。また、トラックなどの低速車を追い越しするため、付加追越車線が設置されることがある。交通量が少ないなどの理由で4車線化されていない区間が、有料道路の無料開放などによる交通量の急激な増加によって渋滞や事故が頻発してしまう問題が見られる。このように、高速道路で追い越しが常時できない2車線で運用されることは世界的にも珍しく、制限速度も欧米の国道及び地方道の郊外区間(約80 - 110km/h)よりも低く、このような道路形態が高速道路と呼ばれるのは日本など一部の国のみである。類似の例として6車線で計画された区間で片側を暫定4車線として供用する場合があり、神戸淡路鳴門自動車道大鳴門橋両端にある門崎高架橋及び亀浦高架橋で採用されている。門崎高架橋及び亀浦高架橋は3車線分の空間に4車線を設けているため車線幅が狭く、この高架橋がある淡路島南IC-鳴門北IC間は高速道路ながら70km/h制限となっている。淡路IC-津名一宮ICや新名神高速道路も6車線で計画され、暫定4車線で供用しているが、こちらは両側暫定方式(6車線化の際に追越車線となる部分および中央分離帯は盛土または暫定緑化)である。なお、将来の交通量が少ない場合には、完成2車線(かんせいにしゃせん)という形態がある。これは、4車線への拡幅を前提としない方式であることを強調するために使われる用語であり、「暫定2車線」の概念とは異なるものである(後述)。この他、メンテナンスや事故復旧などの工事のために、工事期間中に限り暫定2車線供用とする場合もある。通常の暫定2車線はこの形式である。用地は、その全部を、すなわち歩道分などを含めて4車線分を買収するが、2車線分(下り線または上り線)のみを建設して、完成後は往復で2車線対面通行として供用する。4車線へ拡幅する場合は、改めて片側(上り線または下り線)を建設する。橋・トンネル・高架橋をあらかじめ4車線分作っておく必要がないので、はじめから4車線で供用する場合に比べて工期や工費の削減効果が期待でき、将来的に4車線にする場合でも既存区間の大規模な改修工事を余儀なくされることは少ないため、地方における高速道路の大半で用いられている。4車線移行の過渡期には、一期線・二期線それぞれを片側ずつ供用しながら一期線の改修を実施するが、拡幅対象区間の一部または全線で二期線での対面通行を実施した区間も存在する。高規格の高速自動車国道は追越距離が過大となるため、中央線にセンターポール(ガイドポスト)が設置されている。初期の未設置時は、対向車相互の正面衝突事故が発生する危険性が高く、重大な死亡事故も発生している。近年の高速自動車国道はトンネルなど単調な直線区間が多く、高速道路催眠現象による正面衝突事故の抑止効果も期待される。4車線にしたときの上下線の路肩と走行車線となる部分を建設し、上下線の追越車線および中央分離帯となる部分を盛土などで残す(時には暫定緑化してしまう)方式。未施工部分が大きな自然の中央分離帯・緩衝帯となるため、制限速度を片側暫定より高い80km/hに設定している区間が多い。安全性が高く整備効果の発現率も高い反面、用地取得と土工部分が全幅にわたるため、工費削減効果が少ない。また橋梁やトンネルは、両側暫定方式では工費も工期もほとんど削減できないため片側暫定方式とすることが多く、制限速度など走行条件の変化が頻繁に発生する問題がある。一般道路では、高速道路とは異なる理由から多用される。4車線以上の道路を計画しているが、当面はまとまった区間を開通する予定がなく、一部区間のみ用地の買収が終了したような場合、または用地買収は終了したが部分開通から全線開通までの当面の間は交通量があまり多くないと見込まれる場合、当該区間の歩道と両側車線のみを暫定開通させるのである。これは、一般道路では沿道の土地や建物へのアクセスを確保する必要があるためである。このような例は、現道がない場所に新規に建設する広幅員の道路や、ニュータウンなど開発区域内で先行して用地を確保する場合、既存の国道のバイパス道路計画にみられる。またこのときに暫定開通した両側車線は後に本線が開通した際には、側道として転用されることがよくある。まず4車線にしたときに追越車線にあたる部分を建設して、完成後は片側1車線で供用する方式。4車線に拡幅するときは、走行車線に当たる部分を建設する。採用例は少ない。橋の上で2車線を4車線に拡幅しても橋脚が1本で済み、また必ずしも対面通行にしなくても良いという特徴がある。一方、両側暫定方式の場合と同様、トンネルでは片側暫定方式に切り替えなければならない。供用中の区間として、能越自動車道穴水道路、西九州自動車道佐世保道路の一部区間がある。センターポールを設置している対面通行区間であっても、何らかの理由により車両が逸脱し、正面衝突死傷事故が発生している。国土交通省の「第5回有料道路部会 高速道路ストックの機能強化の課題(2007年4月7日)」によれば、とある。以下は、近年報道された対面通行区間における正面衝突事故の一部である。2010年現在、高速道路無料化の社会実験やETC割引制度#休日特別割引が実施されているため、片側暫定方式の高速道路においても交通量が増加している。橋・トンネル・高架橋などはあらかじめ6車線分作っておく必要があり、暫定4車線ではあまりコスト削減は期待できないものである。もしも、4車線の規格で高速本線を建設した場合、トンネルの掘り直し、高架・橋の大改修工事、ガードレールの付け直しや舗装、暫定緑化された盛土の排除が必要になり、はじめから6車線で供用開始するよりも余計に費用がかかるためである。完成2車線(かんせいにしゃせん)は、高規格幹線道路などにおいて、2車線でありながら正規の中央分離帯(完全な中央分離帯)を設置して往復の交通を分離したものである。停車車両や事故車両があっても通行が可能なように路肩幅が比較的広くなっている。路肩幅員1.75m、車線幅員3.5m、中央帯1.5mで全体幅員が12.0mとするのが標準であり、路肩幅員+車線幅員+中央帯の側帯(0.25m)=5.5mを確保して、大型トラック同士のすれ違いを可能としている。正面衝突の危険がないため、規制速度が80km/h〜100km/hとすることが可能になっていて、安全性にも優れる。必要に応じて登坂車線や追越車線を付加し、通過車両の流れが円滑になるよう設計される。国土交通省道路局によれば、4車線構造に比べ、3-4割のコスト縮減、2-3割の工期短縮できるとされる。しかし、将来の拡幅(4車線化)を前提とした構造の暫定2車線区間と比較して車線増設が困難であり、交通量が増加した場合の改築費用が割高となる。そのため将来にわたって交通量が少なく、2車線で十分と判断される路線で採用される。当面の交通量を処理するための暫定措置として、片側2車線区間の車線や路肩、中央分離帯の幅員を切り詰めて片側3車線道路として供用する形態を暫定3車線と呼ぶ。狭くなった路肩の幅員が車幅を下回る場合は400 - 500m程度の間隔で非常駐車帯を設けている。2011年10月21日より、東名高速道路の豊田JCT⇔美合PA(上り線はさらに音羽蒲郡IC手前まで)が暫定3車線化され、規制速度60km/hで供用された。2016年2月13日にバイパス道路となる新東名高速道路が開通し、2016年10月の東名集中工事で片側2車線に戻された。2012年12月には東名阪自動車道の一部区間の暫定3車線化が行われ、2018年の新名神高速道路延伸後に片側2車線に戻すこととされている。韓国では4車線を前提とした2車線高速道路と呼ばれていた。かつてはセンターポールすら設置されたことがなかったが(韓国道路公社20年史)、事故防止のため、センターポールが一部の区間に設置されている。1978年末時点では総延長1,224.6km中752.8kmであったが、1992年から高速道路の全区間において4車線化の事業が始まり、すでに開業した区間だけでなく暫定2車線の新規路線(事業中も含め)においても4車線化の事業が実施された。事業は2015年12月22日88オリンピック高速道路の4車線拡張、移設が完成したことにより終了され、これに持ち韓国から2車線の高速道路は消滅した。2+1車線。これは双方向の車線を交互に増減させ、建設費や道幅の圧縮を狙ったもの。
出典:wikipedia
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