弱電(じゃくでん)とは電気(電力)の利用方法として、通信・制御・情報に関する分野を指す語である。工学の分野としては(強電が電気工学に対応するのに対し)電子工学が対応する。学会には電子情報通信学会(元は電子通信学会)がある。弱電は、動力としての電気(電力)を供給する強電の対義語で、主に電気的な信号を伝えたり、あるいはその電気信号で何らかの機器を制御することなどを指し、設備では電線のうち動力としての電力を供給するものを強電線、信号を伝えるためのものを弱電線として扱う。こういった分野の最も原初的なものは、館内放送などとしてのPublic Address(PA: 公衆伝達)設備に係わる音響インピーダンスの高いハイインピーダンススピーカーと放送設備本体、そしてそれらを接続する電線である。こういった設備は施設の利便性を上げる機能を担っている。また電話など通信のための経路も古くからある弱電設備である。今日の弱電では、前述の放送・電信電話設備以外に火災報知機関連や照明制御・空気調和制御関連、機械警備のための各種保安機器に類するものが挙げられ、また施設によっては建物付帯の映像機器に絡むものなど多岐に渡る。更にインテリジェントビルに見られるようなコンピュータネットワークへの対応も弱電の範疇で扱われる。弱電関連で、強電とは最も異なる側面は、ノイズに対する考え方である。強電でも接続される機器側で想定外の電圧・電流の変動があった場合はそれら機器が異常な動作をするため問題視されるが、こと弱電で通信経路にノイズが入ることはことのほか問題視される。電気的なノイズは、ノイズ以外の正常な電気信号との比率(SN比)で表せられるが、これは正常な電気信号に対してノイズが無視できるほどの小ささであるなら問題がない。しかし正常な電気信号に対して無視できないほど大きなノイズは、正常な電気信号による通信を妨げるために問題視される。これは例えるなら、前者が「オーケストラ演奏中に飛んでいる蚊の羽音」、後者は「会話している傍で暴走族がエンジンを空ぶかししている」のに似ている。前者は全く無視できるが、後者は無視できないので会話が困難である。弱電においても、ノイズが主体となる電気信号を妨げるため、これを防ぐ様々な方法が取り入れられている。前述の例における「話しているそばで空ぶかししている暴走族」では、その対応がいくつか考えられる。考えられる対応としては、暴走族を追い払うか、暴走族の居ないところ(手近な喫茶店の中とか)に移動するか、エンジンの爆音に負けない大声で喋るかである。弱電においてもその考えは替わるところが無く、ノイズの発生源となる強電線や機器を弱電線から離して設置したり、電磁シールドで覆ってノイズの影響を軽減したり、あるいは「ノイズに負けないくらい大きな電力で音響機器を動作させる」や「途中で信号を補強してやる」などがある。また、信号の形態を変換し、暴走族のそばで手旗信号で意思を伝え合うように、デジタル化でノイズを分離しやすくしたり、光通信のように全く別形態の通信に置き換えてしまうなども考えられる。こういった工夫を凝らすことも弱電の範疇である。なお電気的ノイズは電線を延ばす距離に比例してその全体的な影響も大きくなるが、電気信号は信号を出す側の出力に寄って一定で、むしろ電線の延長距離分だけ電気抵抗が増し、信号が届きにくい。このため電気抵抗が高い電気伝導体に効率よく電流を通すためには、単純に電圧を高めることで対応可能で、音響分野では館内設備にハイインピーダンス音響機器を使って放送することが行なわれている。他の通信分野でも、送信側にアンプまたはブースターを配し、受信側にアッテネータを置くことで、その途中経路ではノイズより強い信号でSN比を信号側に有利になるようにしている。
出典:wikipedia
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