検疫(けんえき)とは、港湾や空港にて、海外から持ち込まれた、もしくは海外へ持ち出す動物・植物・食品などが、病原体や有害物質に汚染されていないかどうかを確認すること。またこれに例えて、コンピュータウイルス対策ソフトでシステムがウイルスに感染していないか、不正に侵入された形跡はないか確認することも「検疫」と呼ぶことがある。検疫(けんえき)とは、特定の国や施設に出入りする人、輸出入される動物や植物及び食品や飼料等、その他、生物を原材料とする物品や生物が含まれる可能性のある土壌・岩石等を一定期間隔離した状況に置いて、伝染病の病原体などに汚染されているか否かを確認、検査することである。英語の"quarantine"は、イタリア語のヴェネツィア方言"quarantena"および"quaranta giorni" (40日間の意)を語源としている。これは1347年の黒死病大流行以来、疫病がオリエントから来た船より広がることに気づいたヴェネツィア共和国当局では、船内に感染者がいないことを確認するため、疫病の潜伏期間に等しい40日の間、疑わしい船をヴェネツィアやラグーサ港外に強制的に停泊させるという法律があったためである。日本でも、コレラ患者のいる船を40日間沖に留め置く「コレラ船」という言葉があり、夏の季語となっていた。また、近年では外来種を水際で防止するために必要な対策となっている。日本における人や食品の検疫は厚生労働省が、動植物の検疫は農林水産省が担当しており、全国の主要な空港・海港に設置された検疫所(厚生労働省)又は動物検疫所、植物防疫所(共に農林水産省)にて行なわれている。なお日本の植物検疫では、輸出入など外国との関係で行う検疫を植物検疫、国内での病害虫防除も含めて行うことを植物防疫(ぼうえき)という。様々な検疫が各国で行われており、例えば21世紀までイギリスでは狂犬病を予防するために全ての犬を含むほとんどの動物を6ヶ月間拘留するという法律が施行されていた。現在では、正しく予防接種が行われているという証明書を提出することで拘留を免れることができる。検疫、特にその後の長期間の隔離は、その有効性や必然性が疑問視される場合には人権問題になることがある。野菜や果物など農作物については、国内に生息しない害虫や病原菌を持ち込む可能性のある植物などについては、国・地域と品目を特定して持ち込みを許さない場合がある。また、国内の一部に存在する病害虫の場合であっても、国内の他地域への移動を禁じていたり、検査しないと移動できなかったりする。たとえば日本ではサツマイモの大害虫として知られているアリモドキゾウムシは南西諸島の一部に生息する。このため、この地域から日本国内の他の地域への未消毒のサツマイモ類の持ち込みは禁止されている。同時に、野生植物のグンバイヒルガオもアリモドキゾウムシの寄主になるため同様である。また、柑橘類などは検査を受けなければ持ち込みが出来ない。検疫は元来は上記のように病原体や害虫などの有害生物の侵入を防ぐ意味を持つものであった。しかし、近年では、生物多様性の観点からの検疫も行われる。典型的な例はオーストラリアで、雑草の種子が含まれている可能性のある品目など、国外から生きて動植物が入ることを厳しく制限している。これは、オーストラリアの生物相が世界の他の地域に比べて特異であり、これまでに国内に持ち込まれた他地域の生物が大被害を与えた例が多々あることと共に、国内の特異な生物相を保護することを目ざしての措置である。なお、ガラパゴス諸島ではさらに厳格な措置がもうけられ、島に立ち入る際には足を洗わなければならない。競馬においては、馬が国外のレースに出走する場合も多く(国際競走)、その際は検疫厩舎で出国時と帰国時に定められた検疫を受けなければならない。日本(=日本国外のレースに出走する日本の馬、あるいは日本のレースに出走する日本国外の馬)においては、検疫期間は通常7日間で、成田空港などを利用する際は千葉県にある日本中央競馬会(JRA)の競馬学校で、関西空港などを利用する際は兵庫県にある三木ホースランドパークで検疫が行われることが多い。まれに競馬場で行われる場合もある。日本における検疫の手続は検疫法(昭和26年6月6日法律第201号)などの法令による。検疫法は国内に常在しない感染症の病原体が国内に侵入することを防止することなどを目的として制定されているものである(検疫法第1条)。なお、日本国内での感染症予防や感染症患者に対する一般的な措置については「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症予防法)の項目を参照。検疫の対象になる、検疫感染症については、検疫法第2条の各号で次のようなものが指定されている(検疫法第2条の1号から3号までの区分により隔離や停留などの内容が異なる)。検疫感染症の疑似症及び無症状病原体保有者に対する検疫法の適用基準については検疫法第2条の2に定めがある。検疫所長は検疫法第2条1号・2号に掲げる感染症患者を隔離し、また、検疫官に感染症患者を隔離させることができる(検疫法第14条1項1号)。日本の検疫法上の隔離の措置は、既に検疫感染症にかかっていることが明らかとなった患者を対象とする措置である。検疫所長は外国で検疫法第2条1号・2号に掲げる感染症が発生し、その病原体が国内に侵入し、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときには、検疫法第2条1号・2号に掲げる感染症の病原体に感染したおそれのある者を停留し、また、検疫官に感染したおそれのある者を停留させることができる(検疫法第14条1項2号)。日本の検疫法上の停留の措置は、検疫感染症に感染しているおそれのある者を対象とする措置である。出入国管理及び難民認定法により感染症予防法の一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症又は新感染症の所見がある外国人(特別永住者を除く)は日本に上陸できない(出入国管理及び難民認定法第5条1項1号)。感染症を人に感染させるおそれが高いものとして政令で定める指定動物については、感染症の発生の状況などから厚生労働省令や農林水産省令で定める地域を発送地あるいは経由地とする輸入には厚生労働大臣及び農林水産大臣の許可を要する(感染症法第54条)。現在、指定動物にはイタチアナグマ、コウモリ、サル、タヌキ、ハクビシン、プレーリードッグ、ヤワゲネズミが指定されている(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令第13条)。指定動物の輸入には輸入検疫手続を要する(感染症法第55条・第56条)。また、上の指定動物を除く動物のうち、感染症を人に感染させるおそれがあるものとして厚生労働省令で定める動物やその死体のうち感染症を人に感染させるおそれがあるものとして厚生労働省令で定める動物については輸入届出を要する(感染症法第57条)。届出の対象となる動物等は感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則に定められている。特定の家畜の輸出入には家畜伝染病予防法上の農林水産大臣の許可、農林水産大臣への届出、輸出入検疫などを要する(家畜伝染予防法第36条~第46条)。植物防疫法の定めにより、イモゾウムシやサツマイモノメイガなどの害虫の拡散を防ぐため国内間でも検疫が行われ、沖縄県全域、奄美群島、トカラ列島、小笠原諸島からは、サツマイモやグンバイヒルガオ等のヒルガオ科植物の生茎葉及び生塊根等の持ち出しは禁止されている。従って、空港などで該当する物品を所持していると没収される。ただし加工品にはこのような制限は無い。現地の港および空港に、これらの注意を促す掲示やポスターがあるので、当地を訪問の際には参照されたい。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。