リモコンキーIDとは、地上デジタルテレビ放送などにおいて放送局単位で決められているリモコンの押しボタン(ワンタッチボタン)用の番号である。「リモコンキー識別番号」「リモコン番号」とも呼ばれる。理論上はアナログテレビ放送で使われてきた「チャンネルポジション」とほぼ同じものであり、これをもって「デジタル放送○チャンネル」とするテレビ局も多い。一方、「リモコン番号○番」とするテレビ局も少なからず存在する。テレビ視聴におけるリモコンのチャンネルキー番号は、それを選択することで放送チャンネルを1つ選ぶものである。アナログ放送では国際協定や各国の放送法制で定義されている周波数帯域チャンネル1つ分が放送チャンネル1つ分に対応しているが、デジタル放送においては1つの周波数帯域チャンネルで複数の放送チャンネル(番組)を配信できるようになった。また地上デジタル放送は従来のアナログ放送と異なり全てのチャンネルがUHFでの送信として行われることになったため、リモコンの番号と送信チャンネル(その放送を送信している実際の周波数帯域チャンネル)を一致させることに不都合が生じてきた。これらの事情を総合的に解決する方法として考案・策定されたのがリモコンキーIDであり、このIDに従ってリモコン操作上の番号が決定する。基本的に地上波・衛星波を問わずデジタルテレビ放送ではこのリモコンキーIDに関する情報(SI情報)を放送波の中に含めて送信し、受信機で地域設定などの情報と突き合わせて受信した周波数の放送を特定のリモコンの番号に割り当てることができる。日本の衛星波や韓国では番号を全国レベルで揃えているため、基本的に機器出荷の時点で情報を固定的に記憶させている。しかし、その後の変更についてはプログラム書き換えで対応するか、視聴者が手動で設定するかしかない。なお複数(地上波・BS・CSなど)のデジタルチューナーを搭載した統合型チューナーの場合は、それぞれで別に定義された同じ数値のリモコンキーIDを持つことになる(例:同じリモコンキーID「1」でも、地上波は「011ch」、BSは「101ch」。そして、後者の「101ch」に対応する地上波のリモコンキーIDは「10」)が、同じリモコンチャンネル番号に異なる複数の放送ネットワークのチャンネルが設定されている(受信されている)場合はその機器の仕様に基づいて選択可能になっている。また指定されたリモコンキーIDと異なる番号にしたいときは、機器の設定を手動で変更する必要がある。日本では2000年12月1日にBS放送のデジタル化が始まった際にこのシステムが導入された。当時日本放送協会 (NHK) は3波体制を取っていたことから「1」「2」「3」を占め、「4」から「12」までが民間に割り当てられた。その際、地上波民放キー局系BSデジタル局を「4」から「8」までに固め、衛星波独立局を残りの「9」以降に配置した。この思想は丁度3年後に始まった地上波のデジタル化にも影響を与え、東京都(関東広域圏の民放キー局)では基本的にBS衛星波の割り当て思想がそのまま持ち込まれ、地上波キー局系BSデジタル局と親会社(当時。現在は厳密にはグループ(兄弟)会社)の地上波キー局の番号が一致した。その時点(2003年12月1日)でのNHKを含めたBS局と東京の地上波キー局のIDとアナログ親局は以下の通りである。(TOKYO MXは厳密にはキー局ではないが在京6局として便宜上カッコつきで記載。なお2003年の時点では放送大学はデジタル化していない)しかしこれを全国に広げるにあたって、次項のような軋轢が生じた。以下、5大民放ネットワークは特に指定のない限り次の通り表記する。デジタルテレビ放送では映像も音声もコンピュータで扱えるデータの形式で送信されることから、このリモコンボタン番号を統一しようという動きが持ち上がった。統一作業は日本電子機械工業会(現・電子情報技術産業協会)が中心となり国(総務省)や各放送業者も加わって何度も話し合われた上で決定した。原則として全国で現在のネットワーク系列局の番号を統一しようということであったが、「アナログ放送親局と同じチャンネル番号を維持したい」という一部の放送局などの反対を受けて実現しなかった。このため、全国共通でID「2」が割り当てられたNHK Eテレ以外は地域によって番号が異なる局が出ることになったが、「同一都道府県内では同一番号」の原則は維持された。実際、地上アナログ放送の親局がVHF波の局ではそれと同じチャンネル番号のIDとなった局も存在する。ここでは東京以外の事例を述べる。アナログ放送の親局がVHF波で、親局チャンネルとIDが異なる局を以下に述べる。ただしキー局・準キー局に合わせたケースや特殊ケースを除く。上記以外で「9」以降のIDを割り当てられた基幹放送局は、独立局の2ケースと特殊な1ケース以外には「12」の放送大学(関東圏)のケースしかなく、「11」のIDを使用する地上波無線放送局は存在しない。上記の影響で地上アナログ放送の親局がUHF波の放送局は同系列のキー局にIDを合わせたり、中にはVHF波・UHF波にかかわらずキー局・準キー局と異なるIDを割り当てられたりしたケースもある。フジ系に関しては、大半の局で「8」に揃えられた。これは、フジ系が5大民放ネットワークの中では唯一関東(フジテレビ)と関西(関西テレビ)で互いに地上アナログ放送親局が同じ8chで、更にフジテレビが大株主となっていた沖縄テレビも同じく親局が8chだったことが大きい。またFNSに属するほとんどの加盟局が、他の民放ネットワークと比べてもフジテレビのカラーが非常に強いため地方人の間でも地元のFNS加盟局のチャンネル(ケーブルテレビ等でのVHF変換も含む)が8でないにもかかわらず「フジテレビ=8チャンネル」というイメージが非常に強い上、フジテレビが他の在京民放局よりも自身のチャンネル番号に強いこだわりがあったため結果的に全国ほぼ全ての系列局のIDを「8」で統一することができた。但し、それでも上表の通り、地域事情でこれによらなかったケースは存在している。なおテレビ西日本は他のフジ系列局とは事情が異なり、親局のチャンネルだった「9」がIDとしては一般的でなかったことや、創業地である北九州市八幡(やはた)の頭文字にちなんだ「8」(フジテレビの「8」という意味ではない)を希望したため大半の系列局と一致しただけである(また当初TNCの親局だった北九州局はytvと同じ10chであった)。岡山県・香川県は2県を1エリアとして民放の在京キー局系列を全てカバー(NHKは各県に独立して放送局がある)する独特の運用体制だが、在京キー局系列とNHK以外にいわゆる独立テレビ局などのローカル局はなくIDは関東広域圏と同じである(物理的な放送周波数は異なる。電波相互乗り入れの項目も参照のこと)。独立テレビ局では、以下のようになった。関東広域圏ではTOKYO MX以外の独立系局がIDを「3」で統一しているが、MXは広域放送と同じ場所(東京スカイツリー)から送信している関係上スピルオーバーが大きく他の独立系局とIDが重複しない「9」を採用している。一方、近畿広域圏ではIDをNHKと在阪5局が使わない「3」「5」「9」の3つに振り分けて隣接する府県の独立テレビ局のIDが重複しないようにしている(これで「3」を割り当てられたサンテレビは偶然にも局名とIDが一致した)。放送対象地域外の放送を受信しその放送を視聴したい場合でかつIDが重複した場合は放送対象地域内の放送をまず割り当てた後、IDの重複する局一覧を表示して視聴者が手動でリモコン番号を選択出来るような動作がARIB TR-B14によって例示されている。この場合は論理(3桁)チャンネル番号に枝番が付くことになる。この方法を応用して、使い慣れたアナログ放送や前在住地域のリモコン番号に調整している視聴者も存在する。ただし複数の物理チャンネルが受信できてもIDと放送局名がまったく同じ場合は枝番が付かない。自主放送(コミュニティチャンネルなど)の地上デジタルパススルー方式の送信が2006年より一部のケーブルテレビ (CATV) 局で始まった。このような放送に対し、割り当てられるリモコンキーIDは1つの局に1つのみということとなった。そして各都道府県にケーブルテレビ局はあまたあり番組編成も異なっているが、IDは各都道府県で統一することとなった。IDは地上波テレビ局が採用していない「11」や採用している地上波テレビ局が少数である「9」「10」「12」を使用している。アナログ放送終了後は一部地区で2つ目のID割り当てが行われている。2013年10月現在リモコンキーIDと物理チャンネル・使用周波数の関係はテレビ周波数チャンネルを参照のこと。基幹放送局は『ARIB TR-B14 地上デジタルテレビジョン放送運用規定』第3.8版(一般社団法人電波産業会)で規定されているものに一部補足したものを示す。またCATV自主放送については日本ケーブルテレビ連盟によって規定されたものを示す。『ARIB TR-B15 BS/広帯域CSデジタルテレビジョン放送運用規定 技術資料』4.6版(社団法人電波産業会)の「ワンタッチボタンの機能を搭載する場合、参考となるボタン割り当ての例」を示す。この資料ではその通り“ワンタッチキーの割り当て例”が提示されているだけで、「実装については商品企画マターとする」とされている。但し日本では大多数のチューナーでチャンネル設定を容易にするために実装されているシステムによって下表の通りプリセットされているのが常であり、下表の“割り当て例”が事実上地上波同様の“ID”になっている。独立ラジオ放送・独立データ放送についてはIDが割り当てられておらず、2007年12月1日のBS11とTwellV(当時)の開局に伴いIDが全て埋まったため2011年10月1日以降に開局した放送局へはテレビ放送でもIDが割り当てられていない。チャンネル名の太字はチャンネル名とIDが関連付けされていることを示す。便宜上、チャンネルの変遷についても記述している。韓国は国土が狭いということもあり、デジタル放送を始めるにあたりリモコンキーID設定を全国で揃えた。その際基準としたのは首都・ソウルにおけるチャンネルであった。アナログ時代のチャンネルは以下の通りで、全てVHF。これを基準とし、地上波はボタン6番から11番までに固めることとした。KBS、MBC、SBS(国内系列民放を含む)の4つのチャンネルはソウル局のアナログチャンネル番号をそのまま適用し、EBSには「10」を、日本のテレビ神奈川のような首都圏の独立局であるOBS京仁テレビには「8」を、それぞれ割り当てた。
出典:wikipedia
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