リュッチェンス級駆逐艦()とは、西ドイツ海軍および統一ドイツ海軍(以後、ドイツ海軍)のミサイル駆逐艦である。103型駆逐艦(Klasse 103)とも表記される。1960年代中ごろまでに西ドイツ海軍に配備された大型水上戦闘艦は、アメリカから供与された(フレッチャー級駆逐艦)と、イギリスから供与された(ハント級駆逐艦3隻、ブラックスワン級スループ1隻、改ブラックスワン級スループ3隻、計7隻)のほか、西ドイツが独自に建造したケルン級フリゲートとハンブルク級駆逐艦が存在した。しかし、このうち外国からの供与艦は第二次世界大戦時に建造されたものであり、国内で建造された艦艇も対潜水艦戦を重視して設計されていたので、いずれも対空兵装は高角砲と機関砲程度しか装備しておらず、防空能力に難点があった。ちょうどそのころ、アメリカではチャールズ・F・アダムズ級ミサイル駆逐艦の最後の3隻の発注を、建造途中にもかかわらずアメリカ海軍がキャンセルしたので、西ドイツ海軍はこの3隻を引き取って完成させ、受領した。以上の経緯から、リュッチェンス級の基本的な艦の性能と形状はチャールズ・F・アダムズ級そのものであるが、以下の改良がくわえられている。1970年代後半に第一次近代化改修を受けた際、2基の主砲をMk.42 mod.7から同mod.10に換装するとともに、ターター・システムをデジタルコンピュータを採用したターター-D システムに変更した。特に後者の結果、より高性能なRIM-66 スタンダードSM-1MR 艦隊防空ミサイルを運用可能となる。この改修を受けて以降は、103A型(Klasse 103A)と表記される。1980年代に第二次近代化改修が行われた際には、砲射撃指揮装置(GFCS)もアナログ式のMk.68からデジタル式のMk.86に更新された。これに伴い、砲射撃指揮レーダーはAN/SPG-53からAN/SPG-60に更新されるとともに、前部マストにAN/SPQ-9低空警戒レーダーが追加された。AN/SPG-60は、必要に応じて3つめのSAM用イルミネーターとしても用いられた。この改修を受けて以降は、103B型(Klasse 103B)と表記される。さらに1990年代にも、冷戦終結後の紛争に適応するための近代化改修が行われた。近接防御用にRIM-116 RAM専用の21連装発射機を2基搭載したほか、デコイ射出用のMk 36 SRBOCの6連装発射機も2基搭載した。さらに臨検などの任務に対応可能なように、左右両舷に1門ずつのラインメタル Rh202 20mm機関砲を搭載した。リュッチェンス級駆逐艦は3隻とも、キールを母港とする第1駆逐艦戦隊()に配備され、ドイツ艦隊の最有力の防空艦として長く活躍した。しかし一方で、本質的に1960年代の技術で建造された艦であるため、射撃指揮システムやミサイル発射装置などの性能上、多数の経空脅威への対処能力に限界があった。さらに機関が蒸気タービンであるため、ケルン級や新型のブレーメン級、ブランデンブルク級などのようにガスタービンエンジンを装備した艦艇に比べて急加速が効かず、整備性も低かった。このため、多数目標同時対応を可能とするNAAWSを搭載したザクセン級フリゲートの就役に伴い、順次に退役を開始した。第1駆逐艦戦隊は2003年12月に「リュッチェンス」の退役に伴って解隊されたが、その伝統は2000年に新たに編成された第1フリゲート戦隊(:ザクセン級フリゲート3隻で編成)が引き継いだ。2006年1月には第1フリゲート戦隊が解隊されたため、艦艇と伝統は第2フリゲート戦隊(:1988年10月1日付で編成)が引き継いでいる。なおリュッチェンス級は、2014年現在において、ドイツ海軍が装備・運用した最後の駆逐艦であるとともに、ドイツ海軍において蒸気タービン推進機関を装備した最後の艦艇である。
出典:wikipedia
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