『霧の山荘』(きりのさんそう)は、横溝正史の中編推理小説。「金田一耕助シリーズ」の一つ。本作は、『面白倶楽部』昭和33年11月号に発表された『霧の別荘』を改稿したものである。角川文庫『悪魔の降誕祭』(ISBN 4-04-355503-2)に収録されている。本作は死体消失の謎を題材としているが、犯人の真の狙いはその裏に仕組まれたアリバイトリックと、ある人物を罪に陥れることにある(後述の#犯行動機に関する考察参照)。昭和33年9月、K高原のPホテルに滞在していた金田一耕助を、江馬容子という女が訪ねてきた。容子は、「自分の伯母である、元映画スターの紅葉(西田)照子が、30年前に起こった迷宮入り事件の犯人に最近会ったと言いだし、不安がっている。ついては伯母に会い、相談にのってやって欲しい。」と奇妙な依頼を金田一に持ちかける。この奇妙な依頼に応じ、照子の待つM原にある別荘へ向かった金田一は、しかし途中で道に迷ってしまった。途方に暮れる金田一を迎えに来た、派手なアロハを着た若い男は照子の使いの者と名乗り、金田一を目的の別荘に案内する。しかし建物には鍵がかかっており、呼び出しにも返事がない。不審に思った2人がカーテンの隙間から中を窺うと、そこには身につけた浴衣を赤黒い液体で染めた照子が倒れていた。アロハを着た若い男が石につまずき生爪をはがして歩けなくなったため、金田一が別荘の管理人を呼びに行き、警察にも通報してもらったが、戻ってみるとアロハの男も死体も消えてしまっていた。ところが翌朝、K署の捜査主任・岡田警部補から、照子の死体が発見されたと連絡が入る。一緒に避暑を過ごそうとPホテルに来ていた等々力警部とともに金田一が別荘に急行すると、別荘の裏の潅木林の中に裸にされた照子の死体が横たわっていた。横溝正史は金田一シリーズを通して舞台となる地名をアルファベットで抽象的にあらわすことが時々見られるが、この作品も同様である。「K高原」の「K」は「軽井沢」、「Pホテル」の「P」は「プリンス」というのが今のところ横溝正史研究者の通説となっている。また、本作の事件の捜査主任として登場する岡田警部補は、本作の前に『香水心中』で軽井沢署の捜査主任として登場している。容子と武彦は、照子の亡夫の兄弟姉妹の子であり、照子の法定相続人となることはありえない。照子の法定相続人は姉の房子のみである。房子には照子殺害の無実の容疑が掛けられているが、たとえ殺人罪が確定しても、その相続欠格によって相続人不存在(房子の唯一の子は死亡しており代襲もない)となり、照子の財産は国庫に帰属することになるにすぎない。容子と武彦にとって有利な遺言への言及もなく、現実の法律に従う限りこの事件の動機を遺産目的とすることはできない。しかし、その他の動機を見いだすことも困難である。配偶者の兄弟姉妹の子を社会通念では甥姪と呼ぶこともあること、また実の甥姪が法定相続人となる場合もあることなどからくる、作者横溝の勘違いではないか。『名探偵・金田一耕助シリーズ・霧の山荘』は、TBS系列の2時間ドラマ「月曜ロードショー」(毎週月曜日21:00 - 22:54)で1985年5月27日に放送された。
出典:wikipedia
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