理想気体(りそうきたい、)または完全気体(かんぜんきたい、)は、圧力が温度と体積の逆数(密度)に比例し、内部エネルギーが温度に比例するような気体の理論モデルである。統計力学においては、気体の構成粒子(分子や原子など)の体積と、構成粒子間の相互作用をともに無視できるとした系である。実際にはどんな気体分子にも体積があり、分子間力も働いているので理想気体とは若干異なる性質を持つ。そのような理想気体でない気体は実在気体または不完全気体と呼ばれる。実在気体も、低圧で高温の状態では理想気体に近い振る舞いをする。標準状態では多くの実在気体は理想気体とみなしてよい。温度 、体積 、物質量 の平衡状態における、理想気体の圧力 はで表される。ここで、比例係数 は気体定数と呼ばれている。物質量をSI単位のモルで量った場合は、気体定数は気体の種類によらない普遍定数となる。モルで量った時の気体定数は特にモル気体定数と呼ばれる。また、統計力学において、気体の構成粒子の存在を前提とする場合に、物質量を粒子数で量った場合には比例定数は記号 で表され、ボルツマン定数と呼ばれる。温度 、物質量 の平衡状態における、理想気体の内部エネルギー はで表される。ここで、比例係数 は自由度の 1/2 に相当する定数である。単原子分子なら 、二原子分子なら である。理想気体の状態方程式と熱力学的な関係式から、内部エネルギーが体積に依存しないことが示される。しかし、内部エネルギーが温度に比例することまでは示されない。理想気体の状態方程式を満足するが、内部エネルギーが温度に比例しない気体は半理想気体、あるいは半完全気体と呼ばれる。これに対し、状態方程式を満たし、かつ内部エネルギーが温度に比例する気体を狭義の理想気体という。理想気体に成立する法則として代表的なものには次のものがあげられる。理想気体のエンタルピー はで表される。理想気体の定積比熱容量 はで表され、定圧比熱容量 はで表される。二つの比熱容量の差はとなる。この関係はマイヤーの関係式と呼ばれる。また、二つの比熱容量の比 は比熱比と呼ばれとなる。理想気体のエントロピー はとなる。なお、理想気体のエントロピーの形は、熱力学第三法則を満たさない。準静的な断熱過程においては、エントロピーが一定となる。このときの関係がある。これらはポアソンの法則と呼ばれる。理想気体の性質は、容器内壁以外でポテンシャルがゼロであるようなハミルトニアンを用いることで統計力学により再現される。理想気体は分子同士や容器内壁と衝突してもその衝突前と衝突後で運動エネルギーの和は変わらない(完全弾性衝突)。理想気体は高温、低圧の状態に近づくにつれて厳密に成り立つようになる極限法則であり、あくまで想像上の存在、またはモデルである。事実、実在気体では、理想気体とは異なった性質を持つ。これは理想気体が以下の性質を持つと仮定しているためである。
出典:wikipedia
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