Apple Filing Protocol(またはAppleTalk Filing Protocol、AFP)は、アップルが開発した、Mac OS、OS Xのファイル共有 (AppleShare) のためのプロトコルである。初期はAppleTalkの複数のプロトコルのうちのひとつとして存在した。 AFP 3.0以降ではAppleTalkではなくTCP/IP上で動くプロトコル (AFP over TCP) になっている。Mac OSやOS Xでは、「パーソナルファイル共有」または単に「ファイル共有」の設定を行なえば、AFPサーバとして動作させることができる。ただし、同時接続10ユーザ迄、10ボリューム迄、10フォルダ迄といった制限がある。旧Mac OSでは別途購入のソフトウェアAppleShareをインストールすることで大規模なAFPサーバとして動作させることができた。OS Xの場合は、サーバ版であるOS X Serverにて大規模AFPサーバを構成できる。こうしたAFPによるファイル共有のことをAppleShareと呼ぶ場合がある。Mac OS X v10.5以降ではバックアップのためのソフトウェアTime Machineが追加されたが、これを使ってネットワーク上のドライブにバックアップする場合、通常はAFPが利用される。Mac以外でもAFPを実装するソフトウェアがいくつかあり、異なるOSとの間でファイル共有を実現することができる。これの具体例に関しては下の「実装例」に記述する。極めて古いMacはAppleTalkのAFPのみをサポートするため、最近のTCP/IPのみのAFPサーバには接続できない。また、その逆に最近のMacは極めて古いAFPサーバに接続できないという問題がある。しかしながら、AppleTalk自体が過去のものになりつつあるため、近年はさほど問題視されない。Mac OSのローカルファイルシステムであるHFSやHFS+は、独自のファイル属性やリソースフォーク、タイプ/クリエータ等を有しており、Mac OSの仕様変更、仕様拡張と共に進化してきた。AFPもこれと同等の機能を提供するために度重なるバージョンアップを繰り返してきている。Mac OS 9迄は、AFPがOS標準サポートの唯一のファイル共有サービスであったが、OS XではAFPの他に、SMB (CIFS)、NFS、FTP、WebDAVといったさまざまなファイルサービスも利用できるようになった。しかし、これらを用いた場合、HFSやHFS+独自のメタデータは欠落するか、またはAppleDouble Header Fileとして別ファイルで扱われることになる(このファイル名は「._」で始まる)。このため、AFPはOS Xにとって重要な意味をもつファイル共有プロトコルと言えた。しかしながら、OS XのSMBのサーバ及びクライアント機能の実装も改良が続けられ、メタデータは代替データストリームとして保存できるようになった。OS X MavericksはSMB2の機能を実装し、AFPよりもSMB2を優先するようになった。ただしTime Machineに関してはAFPのままである。Mac OS以外のオペレーティングシステム (OS) でAFPを実装する場合、HFS、HFS+特有の情報をどのようにして保存するかが問題となる。Microsoft Windows Server 2003迄のバージョンのSFM (Service for Macintosh) ではNTFSの代替データストリームを用いていたが、Windows Server 2008以降ではSFM自体が廃止されている。UNIX上でAFPを実装するnetatalkでは、.AppleDoubleという名称のディレクトリをつくり、この中にAppleDouble Header fileを保存する仕様である。データフォークのみを扱う実装も実在する。リリースされなかった。初期のMac OSでは、ネットワーク機能はAppleTalkと呼ばれる独自のプロトコル群を用いていた。これについては書籍「Inside AppleTalk」や「Inside Macintosh」に各種仕様が載っている。AFP 1.1および2.0はこれに載っているプロトコルのひとつであった。この時点での正式名称はAppleTalk Filing Protocolである。AFP 2.1および2.2はアップルによるドキュメント「AppleTalk Filing Protocol Version 2.1 and 2.2」で仕様が公開されている。AppleTalkとTCP/IPの両方をサポートする。AFP 2.1がAppleTalkベースであり、AFP 2.2がTCP/IPベースである。TCP上でAFPを使うためのData Stream Interface (DSI)の仕様もこの文書に載っている。AFP 2.1では、サーバメッセージ (FPGetSrvrMsg)、ファイルID (FPCreateID, FPDeleteID, FPResolveID, FPExchangeFiles)、ファイル名検索 (FPCatSearch)といったコマンドが追加され、ファイルのアクセス権の概念が導入された。また、ユーザ認証方法(UAM)として双方向乱数交換(Two-Way Random Number Exchange)が導入された。AFP 2.2ではTCP/IPのサポートのためにサーバ情報取得(FPGetSrvrInfo)、ボリューム情報取得(FPGetVolParms,FPOpenVOL)が拡張されている。AFP 2.3は、クライアントがスリープに入ることをサーバに通知するコマンド(FPZzzzz)が追加されたのみである。現在のアップルのドキュメントは、主にOS XのためのAFP 3.xを解説している。ついにAppleTalkのサポートがなくなり、TCP/IPベースのみとなった。AFPはApple Filing Protocolの略とされ、AppleTalkという名称が削除された格好である。AFP 3.0では、UNIXスタイルのPOSIXパーミッションモデル、Unicodeファイル名(AFPName)のサポートが追加され、最大共有数と最大ファイルサイズ(2GiB以上)が拡張された。AFP 3.1では、ディレクトリリストの拡張 (FPEnumerateExt2)、サーバおよびクライアントのクラッシュへの対応、再接続への対応、ユーザ認証方法の追加 (Kerberos,DHX2,Reconnect)、IPv6対応、Unicodeサーバ名等が追加されている。AFP 3.2では、ACL対応 (FPAccess, FPGetACL,FPSetACL)、拡張属性 (FPGetExtAttr, FPListExtAttrs, FPRemoveExtAttr)、Time Machine対応(FPSyncDir,FPSyncFork)、ファイル名の大文字小文字の区別する拡張 (kCaseSensitive) 等が追加された。AFP 3.3では、サーバからの返答をキャッシュする機能(AFP Replay Cache)が追加された。AFP 3.4では、任意の名前の拡張属性が存在しなかった場合のエラーコードが変更されたのみである。AppleTalkベースとTCP/IPベースの差異は、OSI参照モデルを適用すると理解しやすい。AppleTalkの場合、AFP over ASP over ATP over DDPという構造となる。TCP/IPの場合、AFP over DSI over TCP over IPという構造となる。つまりASPをDSIに置き換えることにより、AppleTalkとの差異を吸収した。DSIのデフォルトのポート番号は548であり、IANAではこのポートにafpovertcpというキーワードを与えている。ポート番号は変更することもできる。AppleTalkベースと区別するためにAFP over TCPと称する場合もある。AFPでは、3種類のファイル名を扱うことができる。Short NameとLong Nameは最初のAFP 1.1から定義されているが、現在Short Nameをサポートする実装は稀であろう。Mac OS 9迄はファイル名に31バイトの制限があり、一般には「短いファイル名」と呼ばれているが、仕様上は「Long Name」であることに注意されたい。ファイル名に使われる文字コードはMac OSの言語によって異なる。日本語版のMac OS(或は漢字Talk)ではMacJapaneseが使われる。OS XのためのAFP 3.xでは、AFPNameが使えるようになった。ファイル名に使われる文字コードはUnicodeであるため、さまざまな言語を混ぜて使うことができる。31バイトを越えることができるため、一般に「長いファイル名」と呼ばれるのはこれである。ファイル名に使えない文字は制御文字NULLとコロン「:」の2文字である。大文字小文字の区別は元々なかったが、AFP 3.2から区別する機能も追加された。AFPでは各コマンドに番号を与えており、アップルのサイトで公開されている文書で確認できる。Mac OS X v10.5以降は76という番号が振られたコマンドを発行するが、これはSpotlightのためのFPSpotlightRPCというコマンドであることだけが公開されている。アップルのプライベートなコマンドであり詳細は非公開である。AFPサーバのブラウジングは、AFPとは別のプロトコルで行なわれる。初期はAppleTalkのNBP (Name Binding Protocol)を用いて行なわれた。NBP over AppleTalkにてサーバを発見し、AFP over AppleTalkでファイル共有を実現したわけである。その後、AFPがTCP/IPに移植されたため、NBPにてサーバを発見してからAFP over TCPで接続することが可能になった。更にTCP/IPのポート427を用いるService Location Protocol (SLP) でブラウジングが可能となった。この時点でAppleTalkの必要性が薄らいだわけである。Mac OS X v10.2以降ではBonjour (Zeroconf) が導入された。Mac OS X v10.5ではAppleTalkとSLPによるAFPサーバのブラウジング機能が削除され、Bonjourのみで可能となっている。こうしたプロトコルの変更の結果、新しいMacから古いMacが発見できない、またはその逆といった問題が発生する。この場合はIPアドレスやhostnameを直接指定することで接続ができる。
出典:wikipedia
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