南海9000系電車(なんかい9000けいでんしゃ)は、南海電気鉄道の一般車両(通勤形電車)の一系列である。本系列は、南海本線系統向けとしては初の採用例となる、オールステンレス製車体を備える20m級両開き4扉通勤車である。長年に渡る特急・急行を中心とする優等列車の運用で車体の老朽化が目立ち始めていた旧1000系の淘汰を名目として、1985年から1988年にかけて高野線用8200系を基本として32両が東急車輛製造で製造された。本系列は以下の2形式3種で構成される。また、編成は以下の通り。8200系で初採用された有限要素法による軽量ステンレス構造車体を備える。但し、同系列と同様に一般的な軽量ステンレス構造車体を備える車両とは異なり、従来通り側板にコルゲーションが施されている。窓配置も従来通りクハがd1D2D2D2D1、モハが2D2D2D2D1(d:乗務員扉、D:客用扉)で、モハは車端部の窓が1枚の方が難波寄りとなる。前面デザインについては、同系列と同様外周部にFRP製の縁飾りが設けられたが、同時期に設計された10000系のデザインに呼応して左右の妻窓の高さが屋根近くまで拡大され、いわゆる額縁スタイルとなっている。車両番号は運転台上部の窓内部にバックがダークグリーンに塗装された上で表記された。もっとも、左右の腰板部に配されたシールドビームによる前照灯や尾灯、それに貫通路上部に設置された行先表示幕などの形状・配置は8200系から何ら変更されていない。また、踏切事故対策としてスカートが装着された。高野線用ステンレス車が無塗装であったのに対し、本系列は南海本線用であり、誤乗防止の観点から一般車の腰板部に塗られていたのと同じグリーンの着色フィルムによる識別帯が前面と側面の窓下に貼付された。これは1993年に関西国際空港開港に伴う新CI戦略による塗装変更でオレンジとブルーの色帯を貼付するように改められ、比較的短期間に終わっている。側面では帯が入る位置が下がったことにより旧帯の剥離跡が目立つ。この際に「NANKAI」のロゴ文字のフォントが変更され、前面窓内の緑色も黒色に変更された。側面の車両番号のプレートは高野線用のステンレス車両とは異なり、銀色の地にブルーの文字である。8200系の設計を踏襲する一般的なロングシート車であるが、全体のカラースキームが暖色系に変更され、座席のモケットは当時南海標準の臙脂色でカーテンは青色だった。座席の仕切りがパイプ製から木目模様の入った仕切り板に変更されている。車椅子スペースは設置されていない。座席モケット,カーテンはCI戦略で座席は灰色にカーテンはベージュ色に交換された。(一部,カーテンは青色の存置された車両もある。)冷房装置は冷凍能力10500kcal/hの三菱電機CU-191を各車4基ずつ搭載し、同系列と同様天井に横流ファンが設置されている。8200系用MB-3280-ACの実績を基に改良が施された三菱電機MB-3280-BC直流複巻式電動機をモハに各4基ずつ装架する。駆動システムは南海本線系通勤車標準のWNドライブ、歯数比は85:16(5.31)である。日立製作所VMC-HTR-20B界磁チョッパ制御器を、モハの奇数車に2基の東洋電機製造PT-4803-A下枠交差式パンタグラフと共に搭載する。この制御器は、型番のVMCが示す通り日立製作所特有のバーニア制御器をベースに界磁制御器をチョッパ制御器で置き換えたものであり、使用線区の線形の相違などもあって、同じ界磁チョッパ制御ながら三菱電機製の制御器を搭載した8200系とは機能や特性がやや異なっている。もっとも、チョッパ制御器の搭載スペースを確保するために主回路構成を簡略化する必要があったことから、バーニアは2組を交互に使用することで緻密且つスムーズな加速を実現していた6000系などのものとは異なり1組のみの搭載となっており、ノッチ進段に伴う衝動を完全に打ち消し切れておらず、やや衝動が目立つ。1986年10月竣工の9507Fからは制御装置に故障記憶モニタが付加され、故障内容のみならず、発生時刻まで記憶できる様にした(1次車も後に付加)。従来通り2枚の板ばねで軸箱を支持する平行支持板式(SU式)のダイレクトマウント空気ばね台車である、住友金属工業FS-392B(モハ)・092(クハ)を装着する。8200系までのHSC系電磁直通空気ブレーキに代えて、本系列では三菱電機MBS-R回生制動併用電気指令式ブレーキに変更された。これにより直通管とブレーキ管の2本の空気管引き通しが不要となり、元空気溜管1本で済むようになったため、空制系の保守作業が大幅に簡素化されている。また、南海線の車両としては初の回生ブレーキ付きの車両であった。また、この変更に伴い運転台のレイアウトも大幅に変更され、マスコンとブレーキを分けた横軸2ハンドル形とされ、デスク上に速度計などの計器を埋め込んだ洗練されたデザインとなった。もっとも、ブレーキ指令の読替装置を搭載していないため、従来のHSC系電磁直通ブレーキを搭載する7000系・7100系や10000系との併結は不可能となっている。
出典:wikipedia
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