『シベリア超特急』(シベリアちょうとっきゅう)は、マイク・ミズノ(水野晴郎)が監督する劇映画および演劇の作品シリーズ。略称の『シベ超』(シベちょう)は、みうらじゅんによるもの。本作品では映画評論家水野晴郎自身が出演の他、監督・原作・脚本・製作・主題歌の作詞をこなしている。2008年現在、映画は5本、舞台は2本製作されている。物語は第二次世界大戦前後に満州国に向かうシベリア超特急(シベリア鉄道)列車内における殺人事件の解明である。水野晴郎演じる“マレーの虎”日本陸軍大将・山下奉文が密室となっている走行中の列車内を不動のまま事件を解決に導く安楽椅子探偵の形をとっている。物語そのものはフィクションであるが、1941年にヨーロッパ視察を終えた帰りにシベリア鉄道で帰国した山下の実際の行動をストーリーの基本設定としている。監督の水野によると、「アルフレッド・ヒッチコック作品をモチーフにした密室劇を描いたサスペンス映画である」とのこと。またタイトルはヒッチコックの『バルカン超特急』のもじりである。作品では、水野による「階段落ち」「長回し」など名作映画へのオマージュと反戦のメッセージが色濃く反映されている。シリーズ各作品のラストにおいて、それぞれに「ドンデン返し」が用意されているため、冒頭で「ネタバレ厳禁」という主旨のテロップが表示されるのが恒例となっている。『ラスト・サムライ』の演技で、渡辺謙がアカデミー賞ノミネートされた時、水野晴郎は「私も頑張るぞ」と意味深なコメントを残している。生前の水野は、日本全国で「シベ超」の興行を行う「シベ超祭り」を精力的に開催していた。「ファイナル」と銘打った新作の製作も進められていたが、水野が2008年6月に逝去したことで一時的に制作が途絶えていた。その後水野の一番弟子でありシリーズへのレギュラー出演者でもある西田和昭が脚本・監督を行う事で2014年初頭にクランクインすることが明らかになっており、片岡愛之助、荒木レナなどの起用が予定される。総じてB級映画と評される。製作費が低予算であることと、下記の点がその理由とされる。B級映画愛好者を中心にカルト映画ともいえる高い人気を誇っており、公開年次はB級映画愛好者でもあるみうらじゅんなどの高い評価を受けた(1996年、第3回みうらじゅん賞映画賞受賞)ため、第2作以降は集客力を高めるに至ったという。映画そのものの評価とは別に、寺島しのぶ、大塚千弘、尾上松也、片岡愛之助ら、当シリーズ出演後にブレイクを果たした俳優も見られる。第1作。1941年、走行中のシベリア超特急の車内で発生した殺人事件の解決に山下閣下が乗り出す。1996年の劇場公開版以外に、水野自ら再編集したバージョンが、いくつか存在する(後述)。基本的には、「ラストのどんでん返しの扱い」と「劇場公開版ではカットした未公開シーンの追加」の2点がバージョンの相違となっている。また、ソフト化されたものでも6バージョンが存在し、TVなどで放送される際には、その局のバージョンを依頼され再編集をしたことから、最終的には水野自身もバージョンの違いを把握していなかった。西田和昭は、劇場公開版の編集は市川崑が担当したと語っているが、確かではない。水野に「監督ってのはパクリから入るんだ」「でもオリジナルを超える作品を作ったらその人は天才になる」などのアドバイスを与えていたことはあったとのこと。また、李蘭が倒れる際の俯瞰シーンでドレスの裾が広がるシーンがあるが、そのシーンのドレスはスカート部分の裾が通常の3倍必要であり、コスチュームデザイナーのコシノジュンコが思案の挙句自分のデザインスタジオの縫製担当に頼めずに、自らミシンを使い縫製までしている。ミシンを使ったのは10年振りと語っていた。第2作。爆破事件でシベリア超特急が止まってしまい、乗客は菊富士ホテルに宿泊することになった。そこで、起きた殺人事件を一人の老人が語り出す。映画の序盤には、水野曰く「ブライアン・デ・パルマに挑戦した」長回しシーンが登場するほか、中盤にはやはりデ・パルマの手法で知られる画面分割も登場する。寺島しのぶ及び第7回国民的美少女コンテストグランプリ・須藤温子の映画デビュー作。尾上松也(2代目)も(水野自身を投影した)少年役で出演している。前作で佐伯大尉役を務めた西田和昭がNHK大河ドラマ『八代将軍吉宗』出演のためにスケジュールが合わず、代わりに竹田高利 が演じている。また、2005年に発売されたDVD-BOXでは、西田と中野ダンキチの出演シーンが追加されている。第3作。『2』を上回る長さの長回しシーンが序盤にあるが、その中に「とんでもない大NG」がある。次男の不祥事により女優業を休止していた三田佳子の復帰作。ほかにも宇津井健や内藤武敏といった大物俳優を起用し、「シベ超」ブームの高まりを象徴する作品である。なお、前作で出演を見合わせた西田が佐伯大尉役で復帰している。2003年1月18日に新宿シアターアプルで1度限りで上演された舞台版。本作は、みうらじゅんの「シベ超の舞台が見たい」という発言がきっかけで制作された。映画「シベリア超特急4」制作開始の寸前、監督の水野晴郎が何者かによって殺される。その謎を解き明かそうと、関係者達は台本通りに「シベ超4」を演じる。ビデオ収録したものが劇場公開された。これまでの映画3作に出演した俳優・女優が総出演するほか、大御所・丹波哲郎を招聘した「感謝祭」「学芸会」的内容で、ミステリー要素は薄められ、コメディ色が強い。水野がセリフを完全に忘れてしまい出演者に指摘されたり、丹波の出演シーンが丹波と水野のトークショーになるなど、芝居としては破綻気味だが、「お約束」といえる水野が反戦メッセージを語るシーンや西田のロープアクションもしっかり入れられ、ファンを大いに喜ばせた。第4作。シベ超ムーブメントの退潮を色濃く反映した作品である。源義経が隠したとされる財宝を記した地図が何者かに盗まれる。主人公達は地図を追ってシベリア超特急へ。『3』をさらに上回る長さの長回しシーン、万里の長城を用いた壮大な階段落ちシーンがある。岡田眞澄の映画としては最後の作品。CGなどを導入するなど意欲的な部分も多く見られるものの、スタジオセットに予算を投下したことで、キャスティングが小粒になったことは否めない。(当時は)知名度に劣る歌舞伎俳優の起用も多いが、主演の片岡愛之助はのちにドラマ『半沢直樹』で大ブレイクすることになる。舞台版の再演。『6』の製作が予定されていたこと、上演されたのが7月だったこと、水野が宣伝担当だった『007シリーズ』のパロディとして「00・7」となった。コンセプトとしては『4』と同じで、映画版のキャストが集合している。version1「ベルリンからの密使」とversion2「W佐伯大尉」が上演され、二つの舞台の映像を水野が再構成したDVD「シベリア超特急7」が発売されている。ファンでしか分からないような小ネタを散りばめた上、佐伯大尉役を演じた西田・竹田による「W佐伯」の滑稽なシーンや、水野によく似た「謎のレスラー・シベリアンタイガー」が登場するなど、完全にコメディ志向の舞台となっている。秋田書店「サスペリアミステリー」誌において、2006年3月特大号より2008年7月特大号まで長尾文子作画によるコミカライズが長期連載された。シリーズ完結編である「シベリア超特急FINAL」においては、水野晴郎の面影を残しつつも端正な美青年である、若き日の山下奉文陸軍中佐が活躍。エピローグでは敗戦から軍事裁判、山下大将の死後までが描かれている。影丸穣也のアシスタント出身であり、高い作画能力を持つ長尾によって描かれた山下奉文大将は、水野晴郎に酷似しながらも耽美的なアレンジがほどこされている。
出典:wikipedia
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