ペイ・パー・ビュー(、略称はPPV)は、有料コンテンツに料金を支払って視聴するシステムであり、定額制(月額、年額など)に対するシステムである。放送では、主に衛星放送やケーブルテレビで利用されており、1番組ごとに視聴料金を支払って、テレビやパソコンで番組を視聴する。放送される番組は、スポーツ、映画、音楽、アニメ、ポルノなど多岐に渡る。類似する課金方法として、1日単位で課金するペイ・パー・デイ("Pay Per Day, PPD")や、一連の番組群をセットにしたペイ・パー・シリーズ("Pay Per Series, PPS")がある。アメリカではペイ・パー・ビューが総合格闘技、プロレス、ボクシング、コンサート、映画等の放送で利用されているが、近年はUFC、WWE、ボクシングの3つでペイ・パー・ビュー全体総売上げの大半を占めている。1番組の視聴料金は視聴コンテンツによって差が大きく約4ドルから約60ドルである。アメリカで最初にペイ・パー・ビューが誕生したのは1951年に電話線を使用したシステムであったが、テスト放送を行っただけで本放送の許可を得ることは出来なかった。現在でも利用されているケーブルを使用したシステムは1972年に誕生した、1990年に入ると衛星放送を使用したシステムもペイ・パー・ビューで利用出来るようになった。1975年10月のモハメド・アリ対ジョー・フレージャーで初めてボクシングがペイ・パー・ビューで放送された。1980年のロベルト・デュラン対シュガー・レイ・レナードではペイ・パー・ビューが10ドルで販売され、15万5千件の販売件数を記録した。1983年10月16日のテネシー大学対アラバマ大学で初めてアメリカンフットボールがペイ・パー・ビューで放送された。現在のような環境が定着し始めたのはHBO、SHOWTIME、In Demand、Integrated Sports Mediaなどの会社がレッスルマニアやボクシングなどのスポーツイベントや、コンサートなどを生中継するようになった1980年代後半からである。ボクシングのペイ・パー・ビュー放送は、HBOがほぼ独占しており、49ドル99セントから69ドル99セントの価格設定で販売されている。多少のばらつきはあるが1年につき4~7イベントがペイ・パー・ビューで放送されており、販売件数が100万件を越える人気のイベントもあれば10万件以下のイベントもある、そのような極端な例を除けば1イベント当たりの平均販売件数は30万~40万件である。ペイ・パー・ビューのビジネスモデルは最終収益からケーブル放送と衛星放送の配給会社が約50%、そしてHBOが5~10%をそれぞれ受け取り、残った分がプロモーターの取り分となるのが慣例となっているが、プロモーターは自身の収益増を狙い自前のオンラインサイトでペイ・パー・ビューを販売する道を模索しており、2012年12月のマニー・パッキャオ対ファン・マヌエル・マルケス第4戦ではペイ・パー・ビューを自前のオンラインサイトで配信して3千件を販売した。HBOはHBOを契約している視聴者向けに通常のボクシング中継も放送しているが、人気ボクサーになると試合がペイ・パー・ビューで放送されるようになり、より多くのファイトマネーを稼ぐことが出来るようになる。その為、ペイ・パー・ビューで試合が放送されることはボクサーにとって一種のステータスとなっている。HBOは1999年にペイ・パー・ビューを合計400万件(総額2億ドル)、2006年に11イベントで合計370万件(総額1億7700万ドル)販売している。2007年には8イベントで合計480万件(総額2億5500万ドル)を販売してこれが現在の年間最多販売記録となっている。2008年は9イベントで合計380万件(総額1億9200万ドル)、2009年は3イベントで合計320万件(総額1億6700万ドル)、2010年は6イベントで合計375万件(総額2億ドル)、2011年は7イベントで合計450万件(総額2億6200万ドル)、2012年は4イベントで合計400万件(総額2億3800万ドル)、2013年はHBOとSHOWTIME合わせて4イベントで合計397万件(総額2億5200万ドル)を販売した。1イベントでの最多販売記録は、2015年5月2日に行われたフロイド・メイウェザー・ジュニア対マニー・パッキャオの440万件である。それまでの最多販売記録は2007年5月5日に行なわれたオスカー・デ・ラ・ホーヤ対フロイド・メイウェザー・ジュニアの240万件(総額1億3440万ドル)であった。歴代ボクサー累計販売件数は、1位オスカー・デ・ラ・ホーヤが18イベントで1408万件(総額7億ドル)、2位フロイド・メイウェザー・ジュニアが1264万件(総額7億5600万ドル)、3位イベンダー・ホリフィールドが14イベントで1258万件(総額5億4800万ドル)、4位マイク・タイソンが12イベントで1240万件(総額5億4500万ドル)、5位マニー・パッキャオが1219万件(総額6億6100万ドル)となっている。ペイ・パー・ビューは莫大な収益を生み出す一方で、視聴者が高額なペイ・パー・ビュー視聴料金を支払える人達に限定されてしまうという問題も抱えている。HBOスポーツ元社長のロス・グリーンバーグは「ペイ・パー・ビューの発展はボクシングにおける最大の経済問題だ。ペイ・パー・ビューがこのスポーツを助けているとは言えない、視聴者を限定することでこのスポーツに損害を与えている」と述べている。またHBOがペイ・パー・ビューで大きな利益を得る事はないのでHBOは積極的ではないが、プロモーターと選手達が大金を稼ぐことが出来るペイ・パー・ビュー放送を強く要求すると述べている。2013年、HBOと並びアメリカの2大ボクシング放送局であるSHOWTIMEにフロイド・メイウェザー・ジュニアがHBOから移籍してきたことで、SHOWTIMEがマイク・タイソンのキャリア後期以来定期的なペイ・パー・ビュー放送をスタートした(他の選手のペイ・パー・ビュー放送も随時やっていた)。女子ボクシングの最多記録は2001年のレイラ・アリ対ジャッキー・フレージャー・ライドの12万5千件。49ドル99セントから59ドル99セントの価格設定で販売している。UFCがペイ・パー・ビューに参入したのは比較的遅かったが、2006年に10イベントで522万件(総額2億2300万ドル)を販売、年間売上でWWEに肩を並べ、ボクシングを上回った。2007年は11イベントで493万件、2009年は13イベントで775万件を販売している。UFCの年間最多販売記録は14イベントで914万件(4億1100万ドル)を販売した2010年である。ペイ・パー・ビュー業界の専門家は「UFCはペイ・パー・ビュー業界を生き返らせた」と語っている。WWEは月1回の頻度で特番としてペイ・パー・ビュー大会を開催している。日本では、長くケーブルテレビでのペイ・パー・ビューは行なわれず、1996年に東経128度CSデジタル放送のパーフェクTV!(後の東経124・128度CSデジタル放送のスカパー!プレミアムサービス)開局に伴いペイ・パー・ビュー放送が始まった。続けて、1997年に開局したCS放送のディレクTV(2000年に閉局)もペイ・パー・ビューを行った。こうしてケーブルテレビが主流であったアメリカとは異なり、日本では衛星放送が主導する形で行なわれている。ただし東経110度CSデジタル放送のスカパー!ではペイ・パー・ビュー放送が行われていない(ただしペイ・パー・シリーズ(PPS)は行われているため、1番組のみのPPSという事実上PPVと同等のものも存在する)。ケーブルテレビでペイ・パー・ビュー放送が行なわれるようになったのは放送のデジタル化に伴ってであり、2004年4月になって、J:COMがデジタル放送サービスの一つとして始めた。日本での販売件数の記録は、2002年8月に行われた格闘技イベントDynamite!の約10万件と言われる。近年ではUSTREAMやニコニコ生放送などインターネット動画サイトでのペイ・パー・ビューも行われている。衛星やケーブルテレビは視聴環境が限られることや、ペイ・パー・ビューでの1大ジャンルといえる格闘技の人気が低迷していることから、日本ではペイ・パー・ビューが盛んに行われていない。アメリカではペイ・パー・ビューで放送されているWWE、UFC、プロレス、ボクシングも、日本ではWOWOWなどの専門チャンネルで放送されている。一方でWWEは団体側からの要請で日本でもペイ・パー・ビュー放送に変更された(それまではJ SKY SPORTS(現:J SPORTS)でのレギュラー放送枠でペイ・パー・ビュー大会も放送されていた)。現在、新日本プロレスが月1回、DRAGON GATEが年5回ペイ・パー・ビュー大会を行っているが、スカパー!とインターネットの同時放送として視聴者拡大を図っている。また、インターネットペイ・パー・ビューのみ行う団体もある(IGFなど)。スカパー!プレミアムサービスの場合、通常は1ヶ月単位で視聴料金を支払うが、ペイ・パー・ビューの場合は番組単位で料金を支払う。ペイ・パー・ビューの視聴情報はチューナーに蓄積され、そこに接続したインターネット回線あるいは電話回線を通して定期的にスカパーJSATへ送られ、その情報を基に加入者へ料金を請求する。J:COMデジタル(デジタルケーブルテレビ)の場合には、チューナー内蔵のケーブルモデムにより視聴情報が送信される。なお、東経110度BS・CSデジタル放送では当初WOWOWが193chの「WOWOW3」で行っていたが、現在は行われていない。また、スカパー!ではペイ・パー・ビューを行わない方針である(格闘技など一部コンテンツのペイ・パー・シリーズ(PPS)のみスカチャンで実施。かつてプラット・ワンにはCS-WOWOWのPPVチャンネル「WOWOW PPV」が存在した。)。2007年9月より株式会社アクトビラ(旧:テレビポータルサービス。2007年9月1日より現社名)が動画コンテンツの配信サービスを開始しており、その中でペイ・パー・ビュー方式の動画配信サービスである、アクトビラ ビデオとアクトビラ ビデオフルを提供している。その他にもヴィジョネア株式会社がペイ・パー・ビュー方式のDVDメディアである、PPV-DVDを提供している。ウェブサイトでは主に、学術雑誌の電子ジャーナルで、購読制と併用して採用されている。購読すれば紙の雑誌を買った場合のように雑誌全体を読めるのに対し、ペイ・パー・ビューでは論文1編ごとの課金となる。専門の研究者の場合は所属機関(大学、企業など)が購読しているので、ペイ・パー・ビューは、専門外の論文を読みたい場合や、在野の研究者が使うことになる。ペイ・パー・ビュー広告では、広告が閲覧されるごとに広告料が発生する。コンテンツのペイ・パー・ビューと違い、ペイの主体(広告主)とビューの主体(広告閲覧者)は異なる。ペイ・パー・ビュー以外の料金システムには、閲覧されるだけでなく広告がクリックされないと広告料が発生しないペイ・パー・クリック、購入が必要なアフィリエイトなどがある。ペイ・パー・ビューはこれらより広告効果が不確かなため、廃れつつある。
出典:wikipedia
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