『デビルマン』は、永井豪により1972年から1973年にかけて製作された日本の漫画作品、およびこれと同時期に制作・放送されたTVアニメ。変身ヒーローもの企画として、永井豪が自作品『魔王ダンテ』(「ぼくらマガジン」連載)をベースに「悪魔をヒーローとした作品」として基本設定を行い、漫画版は永井豪が執筆し、『週刊少年マガジン』の1972年25号(6月11日号)から1973年27号(6月24日号)にかけて全53話で連載された。同時期に、NETテレビではテレビアニメ版で脚本担当の辻真先がオリジナルストーリーを構成した。両作には「漫画作品のアニメ化」もしくは「アニメ作品のコミカライズ」といった関係はなく、永井自身が指摘しているような「同一の基本設定を使用して描かれた2つの作品」という関係に近い。漫画版のテーマは「ホラー」であり、購読者層をやや高めに設定したこともあって連載を経るごとに黙示録的な世界観へと変遷していったのに対し、アニメ版は、低年齢層の視聴者を取り込みやすい勧善懲悪のヒーローものの体裁を取っている。不動明は、居候先の牧村家の娘、美樹と仲良く学校に通う大人しい少年であったが、ある日親友の飛鳥了から、地球の先住人類「デーモン(悪魔)」が復活し、地球を人類から奪い返そうとしていることを知らされる。デーモンを研究していた了の父は、デーモンに合体されたため、心を支配される前に自殺したのだ。了は明に、デーモンの超能力を取り入れて戦わなくては人類に勝ち目はないと、デーモンと合体する話を持ちかけてくる。人間の正義の心がまさればデーモンに心を支配されることはないというのだ。合体能力を持つデーモンだが、人間と合体するには人間が理性を捨て去ったときという難しい条件があった。しかし、明は悪魔の力と人間の心を持つデビルマンとなることに成功する。デーモンたちは、デビルマンを倒すために次々と刺客を送ってくるが、明はそれらを倒していく。しかしやがてデーモンは人類すべてに宣戦布告し、総攻撃を仕掛けてくる。デーモンによる無差別合体という自爆攻撃に人類がパニック状態となる中、明は了の制止を振り払い、単身、デーモンとの戦いに赴くものの、力尽き倒れる。しかしなぜか、とどめを刺されようとした時、デーモンの神、大魔神サタンの「デビルマンを殺すな」という意思がデーモンたちに伝えられ、明は解放される。一人の力では戦えないと悟った明は、無差別合体で死なずにデビルマン化した者たちを集め、デビルマン軍団を組織しようと考える。しかし「悪魔の正体は現代生活に不満を持つ人間である」と高名な科学者が発表したため、悪魔狩りの名の下、罪のない人々が政府により殺戮されていく事態となる。一方、自分の恐れた通りに事が進みすぎることに不審を抱いた了は、自宅に戻り、事の発端を再確認しようとする。そこで了が知ったのは、飛鳥了という少年はすでに死んでいるということだった。数日後、了はテレビで、明がデーモンと合体した瞬間の映像を公開し、無数の悪魔が人間になりすましているので、殺せと人々を扇動する。正体がばれ、牧村の家を出ざるを得なくなった明は、裏切った了を問い詰めるが、了が、明とデーモンを合体させたのは、人類を守らせるためでなく、次のデーモンの時代に共に生きたかったためだと答えたので、明は了が大魔神サタンであることを悟る。サタンは自らの記憶を消し、人間になりきることによって人間の弱点をつかみ、デーモンたちに作戦立案の材料を与えていたのだ。ただひとつの誤算は両性具有のサタンが明を愛したことで、その結果、デーモンの敵となるデビルマンが誕生してしまったことだった。牧村夫妻は、悪魔特捜隊による拷問で惨殺され、美樹も暴徒と化した町の住人たちに惨殺される。最後の希望だった恋人も奪われ、人間に失望した明は、デビルマン軍団を率い、地上の覇権を賭け、サタン率いるデーモン軍団との決戦を決意する。サタンもまた、明との決戦は避けられないことを分かっていた。20年ののち、人類は滅亡し、デビルマン軍団とデーモン軍団との最終決戦・アーマゲドンが始まる。やがて戦いは終わり、半身を失った明に、サタンは語る。かつて地球を支配していたデーモンは創造主たる神に滅ぼされようとしたが、それに反発したサタンがデーモン側について戦い、勝ち、次の神との戦いのために永い眠りについたこと。目覚めたとき、人類が地球を荒らしていたので許せず、それを滅ぼそうと決めたこと。しかしそれは、神が行おうとした愚考と同じことでしかなかったこと。サタンは明に謝罪する。そのとき、まさに「天使の軍団」がそこに迫りきていたが、サタンはただ明の死に静かに涙する。作中で名前が登場しなかった人物は、『永井豪ワールド 悪魔事典』(1991年、バンダイ)に準拠する。『豪華愛蔵版 デビルマン』全五巻(1987年9月 - 12月、講談社)については、「愛蔵版」と表記する。本作はテレビアニメと連動した企画であったため、テレビアニメの終了に伴い、漫画では「闇の蜘蛛」編が終わった辺りで、掲載誌側の強い意向により、連載期間を残り2ヵ月半と制限されてしまった。一方、永井はもう2-3年をかけ、デーモン軍団の決戦・最終戦争までを描ききりたかった。このため「アニメが終わったからこそ本当のデビルマンが描ける」などと掲載誌側を説得しようとするが、それは叶わなかった。このため本作に全力を傾けるため少年チャンピオンに連載していたあばしり一家を終了させ、さらに物語をなんとか終結に持っていくため、展開をかなり駆け足とせざるを得なくなった。その後掲載誌との交渉は重ねられ、増ページのほか、はじめ2ヵ月の延長、のちに「過激・残虐な描写を一部自粛する」ことを条件に、2回の延長が行われたと永井は語っている。またページ数の都合から、日本の強さを象徴する(後述)主人公「デビルマン」の最後のヒーローらしい大活躍が削られ、ヒロインの美樹の護衛の活躍も描写しきれない事などから、話を収束させるために美樹を殺すと言う選択に至ったと言う。『激マン!』6巻で語られているように、本作は永井にとって非常に力を要し、疲れる作品であったという。またサタンの正体が了であることは、連載の終盤まで決まっていなかった。なお最終回についても全てを描ききれた訳でなく、『激マン!』最終巻あとがきでの永井の回想によれば、最終ページのあと、天使の軍団の光の玉に明の遺体とサタンも消滅させられ、さらに『創世記』に曰く所の「光あれ」と逆の行為が行われ、光さえもなくなってしまった闇の中で聖書が閉じられる、といったイメージが持たれていたと言う。だが永井は2014年現在、当時描いた最終回に納得しており、この最終回案はそれ以上のものにはならないと語る。よって『激マン!』執筆時に最終回後の加筆を行うと言う案も打診されたのであるが、永井はこれを行わなかった。連載開始当時の永井はギャグ漫画で人気を博していたが、本来はストーリー漫画、特にSF志望であり、ギャグ漫画家となったのはなりゆきであった。1971年、『魔王ダンテ』でストーリー漫画の連載の機会を得たがこれは掲載誌が廃刊となってしまう。デビルマンは同作をベースとしたものであり、週刊少年マガジンでのオモライくんの連載を終了させ、捲土重来を期した作品である。連載開始当初永井は本作も含め当時4本の週刊連載を抱えていたが、ストーリー漫画はギャグ漫画の倍くらいの時間がかかることから週刊連載を徐々に減らし、本作の終盤には週刊連載は本作とマジンガーZのみとした。なお本作は解る人だけ解れば良いと言う「裏設定」が存在している。「デビルマン」は日本がまた戦争に巻き込まれた時に、日本を守る為に徴兵され出征していく若者の姿であり、また日本の軍事力の象徴でもある。よってデビルマンとデーモンとの戦いは日本と他国との戦争を暗示しているものである。そして一般市民の犠牲者はテロによる犠牲者である。またデビルマン軍団対デーモン軍団による最終戦争、世界大戦も無意味なものである。所詮は創造主の掌の上でのできごとであり、全てを無に帰す事の出来る創造主の前では勝者などおらず、全て無と帰するだけなのである。またデビルマンとシレーヌとの戦いにおいて、永井は「少年誌初のセックスシーン」にチャレンジしたく、「人間同士ではなく悪魔同士だ」と、デビルマンにシレーヌをレイプさせようとしたが、これにはあくまで「少年」誌である、などと、掲載誌側からストップがかかってしまったと言う。この強烈なストーリーは当時の読者のみならず、後世の作家にも影響を与えている。例えば『新世紀エヴァンゲリオン』での庵野秀明はデビルマンからの影響をインタビュー で語っており、『甦るデビルマン』では大槻ケンヂらがデビルマンから受けた影響を語っている。永井自身も『デビルマン』の印象は非常に強かったようであり、その後の作品群にはデビルマンが直接・間接に影響しているものが多々見受けられる。『デビルマン』執筆終了直後、に連載を開始した『バイオレンスジャック』がその長大な物語のラストにて永井自身も含め誰も思いもしない「実は『デビルマン』の続編であった」ことに帰着された。さらに『デビルマンレディー』(以降『レディー』と表記)が執筆された。こちらも当初は続編とは言明されてはいなかったが、物語の中盤からデビルマン不動明が登場している。作中にて、正編の後日談であり、デビルマン軍団とデーモン軍団の最終戦争後、神々によって再生された世界であることが明かされている。その後、永井豪原作の『AMON デビルマン黙示録』(マガジンZ:講談社)が、衣谷遊の作画で発表され、ビデオアニメ化されている。また、『デビルマン』に対するトリビュートコミックとして、多くの漫画家による『ネオデビルマン』も発表された。(1996年 - 1999年、コミックガンマ:竹書房?モーニング新マグナム増刊:講談社)本作は単行本化の際に加筆修正が行われている。その後も新装丁での刊行に合わせて加筆修正されており、合計4つのバージョンが存在する。加筆を繰り返した理由について、永井は当時の制作事情を挙げている。多忙だった上にベテランのアシスタントが独立したため、若いスタッフに頼らざるを得ず、出来上がりに不満があったものの、直す時間がなかったため、そのまま発表せざるを得ず、無念の思いがあったという。NETでの放送について。NETでの放送時間が26分である為、放送時間が26分用(キー局バージョン)と30分用(ローカル局バージョン)が作られた。ヒマラヤの氷の中にいたデーモン族が復活。魔王ゼノンの命令で人間界を滅ぼす為に来た悪魔・デビルマン(普段は高校生・不動明の姿をしている)。牧村の娘・美樹を愛したことで、美樹を守る為にデーモン族と戦うことを決意する。デビルマンの容姿は生物として描かれた漫画版よりも整ったフォルムでデザインされ、ベルトやショートパンツ状の衣服を配して、変身ヒーローらしさを強調している。等身大から約30mまでの巨大化が可能で、基本的には相手の妖獣に合わせたサイズで応戦している。デビルマンと対決しなかった主な妖獣ほかテレビアニメ版とは違い、永井の漫画の展開に比較的忠実なOVAが講談社を中心として製作、発売された。デビルマン誕生までを描いた『誕生編』、妖鳥シレーヌ及び魔獣ジンメンとの戦いを描いた『妖鳥死麗濡編』の2本が発売。テレビアニメ版も担当した小松原一男がキャラクターデザインを担当し、完結編となる3巻の発売も告知されたが、未完に終わった。完結篇「アーマゲドン編」(ハルマゲドン編)も企画され、OVAとしては破格の1億2千万円の予算まで用意されたが、監督がその予算に納得せず、実現に至らなかった。番外編として同一スタッフによる『CBキャラ 永井豪ワールド(ちびきゃら ながいごう わーるど)』「オレは悪魔だ デビルマン!」なども製作されている。2003年になってバンダイビジュアルより誕生編・妖鳥死麗濡編がセットとなった「OVA COLLECTION」(DVD)が発売されている。2000年5月24日発売。
出典:wikipedia
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