ウィンダム("WINDOM" )は、トヨタ自動車が1991年から2006年にかけて販売した前輪駆動(FF)の中型高級車(Dセグメント)である。日本国外では、同社が展開する高級ブランド「レクサス」の中級モデル「ES」として販売される一方、国内では日本名「ウィンダム」としてトヨタブランド(トヨタカローラ店)で販売された。2005年には日本国内でもレクサスブランドの展開が開始されたが、本車種についてはセルシオやアリストなどとは異なりレクサスへの移行はなされず、2006年1月を以って国内販売を終了し海外専売モデルとなり、同時に「ウィンダム」の名称(商標)も消滅した。バブル景気で日本国内の高級車市場が拡大する中、大ヒットした三菱自動車工業の「ディアマンテ」に刺激を受けたトヨタ自動車が、従前の同社のラインアップから少々逸脱した新しいコンセプト(FF、V型エンジン)に基づき、北米市場をメインマーケットとし1991年9月に登場した(初代・2代目モデルはピラードハードトップ)。当時日本国内のトヨタ販売チャネルにおける2,500~3,000ccクラスの中大型セダンとして、トヨタ店には「セルシオ」・「クラウン」、トヨペット店には「セルシオ」・「マークII」、オート店には「アリスト」・「チェイサー」、「ビスタ店」では「アリスト」・「クレスタ」がそれぞれ存在したのに対し、大衆車中心のカローラ店には当時ミディアムクラスのセダンがなかったため、ラインアップの穴を埋める意味もあった。発売以降カローラ店の最上級車種であったが、2006年1月29日をもって日本国内での販売を終了し、本車と同じくカローラ店専売車種の「カムリ」またはSAIに統合。そもそも初代ESがそうであったように本車のルーツがカムリプロミネントであったので、元に戻ったといえる。1991年9月発売。前身はカムリ・プロミネント(V20系)。セプター(米国版カムリ)のプラットフォームをベースに作られたピラードハードトップ型で、車体の大きさは当時のクラウンとほぼ同じ。しかし、全高を抑えたピラードハードトップ型であり、またヘッドライトには4灯式のプロジェクターヘッドランプが採用されるなど、非常にスタイリッシュなプロポーションであった。エンジンは北米仕様であるレクサス・ESと同様の「3VZ-FE」型V型6気筒2,958cc、グレードは当初「3.0」「3.0G」のみであった。駆動方式は前輪駆動のみで、カムリ・プロミネントとプラットフォームが共用なのにもかかわらず、プロミネントで設定のあった4WSは設定されなかった。テレビCMでは一般的な芸能人のタイアップを廃し、アメリカ人の実業家、大学教授、国際線の機長、NBAのヘッドコーチ(フィル・ジャクソン)など、レクサスが想定する顧客層(高収入・高学歴のホワイトカラー)が北米仕様のES300に乗車する様子の最後に「レクサスES300=日本名ウィンダム」というナレーションを入れ「Are You WINDOM?」というシンプルなキャッチコピーで締めくくるなど、北米での高評価を意識した特徴的な構成だった。ほぼキープコンセプトでのモデルチェンジである。初代と同様にカムリ(XV20系)のプラットフォームをベースに作られたピラードハードトップ型。エクステリアのイメージは初代のものを色濃く残している。ヘッドライトはプロジェクター式を廃止、当時普及しつつあったマルチリフレクター式ハロゲンランプが採用された。このモデルからGグレードにカーナビゲーションシステムや、新開発のスカイフック・コントロール・サスペンション等が標準装備になった。エンジンはアバロン(MCX10)に搭載されていた「1MZ-FE」型V6 2,994cc(MCV20)と新開発の「2MZ-FE」型V6 2,496cc(MCV21)を搭載する。グレードは「3.0G」「3.0X」「2.5G」「2.5X」のほか、1999年のマイナーチェンジ以降は、黒で統一した室内と専用16インチアルミホイールなどで差別化をした「クルージングエディション」がGグレードに追加された。駆動方式は前輪駆動のみ。安全性能は大きく改善され、運転席/助手席エアバッグを全車標準装備とし、室内には衝撃吸収素材(前期モデルのカタログではソフトインテリアと称していた)を採用、車体は衝突安全ボディー「GOA」を採用した。特別仕様車として、3.0Xをベースにパール+シルバーの専用ツートンボディカラー、純正の黒革シート、ムーンルーフを装備した「ブラックレザーパッケージ」が限定販売された。また、後述の「コーチエディション」も限定発売された。この代も、輸出仕様「レクサスES300(MCV20L)」は2.5リッターエンジンの設定は無く、3リッターエンジンのみであった。1999年(前期型)、2000年、2001年には3.0Gと2.5Gをベースにアメリカのブランドコーチの皮革でシート縫製を行った特別限定車「コーチエディション」を発売。専用ボディカラーのスパークリングゴールドメタリックの設定やゴールドエンブレム、鏡面光沢メッキ仕様のアルミホイール、専用柄の木目調パネル(2000年と2001年モデルのみ)になるほか、契約者にはコーチブランドのボストン/トートバッグやセルラーホンケース等が贈呈された。最後の2001年には「コーチクルージングエディション」も兼ねて発売された。先代同様、従来のトヨタ車の雰囲気から少々逸脱した異軸性をもつFF高級セダンとして、日本国内において当初ある程度の販売台数を保っていたが、モデル後半には徐々に販売台数が低下しつつあった。トヨタ車全体としては、最後の4ドアハードトップにあたる。カムリ(CV30系)と共通のプラットフォームを使用する。この代より他のトヨタ製大型セダン同様ドアサッシュのあるセダン型となり、初代~2代目との大きな相違点となった。ホイールベースは50mm延長、全高もほぼ50mm高くなり、特にリヤシートの居住性が増して頭上空間のゆとりに向上が見られた。全幅は1,810mmとなり、クラウンマジェスタはおろか、セルシオにも迫る広さを手に入れた。新型発売にあたって、広告では「新しく生まれ変わったレクサスクオリティ」(なお、PVを収録したVHSテープのタイトルは「進化し続けるレクサス思想~あくなき完璧さの追求」であった。)と称して、品質の向上もアピールした。初代から定評のあった静粛性においては新防音材「NCL」を採用し、遮音から吸音をメインにすることで全回転域のエンジンノイズやロードノイズが低減した。また、ボンネットやフェンダー、ドアにゴム製の見切りシールを採用し、ルーフやピラーには発泡剤を充填することで風切り音も低減。より広くて静かな室内空間へと変化した。エクステリアはそれまでの「低く長く」から「高く長く」と大きく変化し、ピラードハードトップ特有のウィンダムのスタイリッシュさに見慣れてしまった層には、やや野暮ったさを感じさせるデザインとなった。ホイールベースの延長に対し全長は2代目とほぼ変わらないので、前後のオーバーハングが削られたことになる。それでも、全長に対してホイールベースの比率は小さく、前後オーバーハングの長い特徴的なフォルムは維持されている。ボディに厚みが増したことによりルックスの表情も大きく変化し、彫りの深さと曲面を多用した彫刻的な造形が表現された。リヤビューも大きく変化し、それまでのセルシオルックから一転、シャープさとスポーティーさを両立した大胆な構えとなった。サイドウインドウのグラフィックは160系アリストと共通するものがあり、レクサスブランドの証を表現したと言える。初代~2代目と比較すると明らかに一回り大きく変化したので車格感が大幅に増し、それまでの"マークII以上、クラウン未満"という印象が覆された。その豊満で大味なプロポーションは「造形美」ととるか「野暮」ととるかの賛否両論に別れた。インテリアは独立3眼メーターを筆頭とし、ゲート式のシフトレバーを採用することでスポーティーな印象となった。シフトレバー部分からドアトリムまで緩やかに繋がる木目調パネルは流麗にデザインされ、包み込まれる感じが一層向上した。新しく採用された赤木目調パネルはバイオリンのような濃厚な色を放ち、華やかでありながらとても落ち着いた室内空間を演出している。独立3眼メーター周りの木目調パネルを意図的に減らしてるのは、夕日などが当たってメーターの視認性を妨げない工夫といえる。センタークラスターのボタン配置は左右対称で非常にシンプルであるが、誰が操作しても馴染みやすく、戸惑うことのない造りになっている。スカイフックTEMSのダイヤル位置においては、先代の場合シフトレバーの下部にあり、カップホルダーを開くとダイヤルが隠れて使用できない欠点があったが、シフトレバーの左側へ配置変更することでその欠点は改善された。リヤにはエアコン吹き出し口の追加や60mm広がったセンターアームレストを採用することにより、同乗者の快適性も考慮。シートはボリュームアップすると共にヒップポイントを上げ、むち打ち症対策のWIL コンセプトに対応することで快適性と安全性の両面を確立した。さらに、リヤシートにはヘッドレストを3名分備え、北米方式の3点支持式チャイルドシートCRSも装着できる固定アンカーを装着し、SRSカーテンシールドエアバッグと相まって安全性の高さは揺るぎない。なお、衝撃の大きさに合わせて最適な展開をするデュアルステージ式となった前席SRSエアバッグ、SRSカーテンシールドエアバッグ、SRSサイドエアバッグの全てが全車標準装備となった。また、自動防眩ECミラーや雨天感知式ワイパー・拡散式ウォッシャーノズル、ヒーター付きレインクリアリングミラーなどといった、運転するにおいて高い視認性確保が期待できる装備を積極的に採用した。一定のスピードでこれまで以上にゆったりと開くカップホルダーや灰皿、プッシュオープン式のコートフック、サンバイザーと独立したON/OFF切り替えスイッチ付きのバニティランプ、全ドアのカーテシランプに加え、室内の足元照明(ギアをPレンジ以外にすると減光する)を採用するなど細部の演出も向上。オートエアコンは左右独立温度調整が可能となるなど、インテリアの居心地の良さや安全性はエクステリアと同様に大きく変化した。エンジンは2.5リッターが廃止となり従来の1MZ-FE型 V6 3リッターエンジンのみになる。グレードは「3.0G」「3.0X」。2代目同様、GグレードにはマルチAVステーションとスカイフックTEMSの進化系H∞TEMSが標準となる。最上級グレードのG-リミテッドエディションには、木目調+本革巻きのステアリングホイールとシフトレバーノブ、電動リヤサンシェード、クルーズコントロール、TRC、VSCが追加装備され、外観には専用エンブレムを装着した。また、室内を黒で統一したブラックセレクションを全グレードに設定、価格は据え置きでクールな室内が選べるようになった。特別仕様車や限定車の販売はなかった。トランスミッションは4速ATから5速AT(5 Super ECT)になる。駆動方式は前輪駆動のみ。輸出仕様となるレクサス・ESの名称は、当初は「1MZ-FE」型V6 3リッターエンジン搭載の「ES300」(MCV30L)のみであったが、その後北アメリカ・中南米・韓国・台湾向けが「ES330」となり、「3MZ-FE」型V6 3,310ccを搭載(MCV31L)、東南アジア・オセアニア・中東向けが「ES300」となり、従来通り「1MZ-FE」型V6 3リッターエンジン(MCV30L)を搭載している。このモデルの最初のカタログには、背景に2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件によって破壊された世界貿易センタービルが写っていたが、事件後すぐにカタログが改訂され、そのページは背景が差し替えられた。差し替えられたカタログは表紙が改訂前(初版)と同じであったが、わずか1ヶ月で別の表紙に改訂された。この改訂により、1度目の改訂時に差し替えられなかった別の背景も差し替えられた。また、ページ後半の背景写真数点が初代と2代目のカタログにあったものと同一であった。2005年に入ると、月販100台を割り込むなど販売不振が深刻化。さらにこの年の8月30日には日本国内でもレクサスブランドの展開が開始されたが、2006年1月30日にモデルチェンジしたカムリ(ACV40系)と統合する形(元々ウィンダム/ES自体がカムリから枝分かれした車種であることを考えると、元に戻ったとも言える。)で販売終了となり、同時にカローラ店から6気筒エンジンを搭載したセダンが消滅した。2011年から販売されているXV50系カムリは日本仕様車は2.5リッターHV(AVV50)のみであるところを見ても、カムリがウィンダムのポジションに移行しようとしていることが見て取れる。ただし、同店を含むトヨタディーラー全店で販売されるSAIやレクサス店専売のHS250hの方が車格自体はそれぞれカムリに及ばないものの、販売価格はそれぞれカムリよりもさらに高額な価格設定である。英語で「勝つ」と言う意味の「WIN」と、「状態」を意味する「DOM」を組み合わせ、「勝っている状態」と言う意味を込めて作られた造語。
出典:wikipedia
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