学閥(がくばつ)とは、特定の職域や組織において、ある学校の出身者同士が形成する校友組織や互助組織。その領域において大きな勢力を発揮することも多く、有力な学閥(旧制大学等)に属している者は組織の中で優遇されることも多い。= 概要 =学閥には、組織の長の出身学校によって規定される場合や、長年の慣例から強化・維持されている場合などがある。もっとも、学閥に係わるのは、必ずしも東京にある旧制大学等の伝統校や学力上位校(世界ランキング等)に限らず、ある地域や職種において影響力が強い学校であることもある。学閥の勢力が強まり、周囲への支配色を持つまでになると「学閥支配」といった言い方がされることもある。大学(大学院)の学閥の他、地方を中心に名門高校出身者の学閥がある。学閥の結束力は卒業後の卒業生同士の各界への連絡網にある。在学中からのOB訪問、同窓によるリクルート活動、職場内での校友活動(有力学閥には、職場、職域ごとに校友会支部の連絡先がある)を通じての仕事の優先的斡旋、出世の為の派閥活動などに効果がある。学閥は世界中に存在し、アメリカでは、アイビー・プラスが個別の大学(アイビー・リーグ)を越えた横断的な学閥として、共同の卒業生同士の会合を行う。日本の旧帝国大学構成校は、全国七大学総合体育大会を行い、卒業後、旧帝国大学のグループである学士会が会員に対して學士會会報を出し、会員氏名録を整備し、会員間の連絡を強固に結びつけている。= 政界 =中央政界では内閣総理大臣を輩出していることが重要視される。各大学の国会議員数の統計も指針となる。東京にある大学(主に旧制大学)の国会議員輩出数が、地方国公立大学と地方私立大学を圧倒している。地方政界では、地方議員数、知事や市長などの首長を輩出していることへの各大学・高校の実績が評価される。2016年から18歳選挙権が認められたことから、各政党が立候補者を選ぶ際、高校生の投票行動も評価対象に組み込まれている。そのため、候補者の学閥は高校名も重視される。公立高校は、旧制中学校などからの伝統校が有力である。私立高校は、各地域において局地的に強い支持基盤を持つ高校が実績をあげている。作新学院(栃木県)、常総学院(茨城県)、桐蔭学園(神奈川県)など県におけるマンモス校が選挙時には有力である。そのほか、私立高校の場合、全国的に、関西大学、近畿大学、慶應義塾大学、東海大学、日本大学、立命館大学、早稲田大学等の大規模私立大学の系列校や、旧制大学系列校は校友会組織が機能している為、選挙時には有力である。準国政選挙の位置付けがなされる東京都議会議員選挙は、東京に付属校を有する私立大学が優位に選挙戦を勝ち進めていくことから、東京都議会議員の出身大学常連校は日本大学、早稲田大学、創価大学、慶應義塾大学、明治大学、中央大学、東海大学、立教大学、法政大学、青山学院大学、専修大学等の大学が並ぶ。= 官界 =中央官庁における国家公務員総合職については、東京大学を頂点とする学閥がある。総合職の採用大学では、東京大学出身者が官僚の採用者数で実績がある。官界では東京大学の学閥だけ特別に力がある。それは東京大学が明治政府以来、国家有為の人材を育成する目的で設立された高等教育機関だからである。東京大学出身者は各自有する資質に加え、学閥があることから周囲の期待もあり、その能力に見合った職へ極めて有利に処遇され、それぞれの官僚の出世を左右している。その他の大学卒業生は採用者数の関係で旧帝国大学が有利となるが、私立大学は早慶含めて差異はない。私立大学は、統計上、試験に合格しても、その後採用される可能性は低い。その地域にある国公立大学、特に七帝五官の難関国立大学の学閥が有力であり、特に都道府県庁や政令市の市役所でその傾向が強い。。私立大学では中央大学、早稲田大学、明治大学などが全国的に勢力を張っている。地方自治体幹部職員・出身大学ランキングでは、1位中央大学(116人)、2位東京大学(93人)、3位京都大学(85人)、4位早稲田大学(68人)、5位明治大学(60人)、6位日本大学(58人)、6位立命館大学(58人)、8位法政大学(37人)、9位東北大学(33人)、10位九州大学(28人)となっている。裁判官(判事補)・検察官(検事)の採用大学・法科大学院は上位校が多く、東京大学卒業者などが人事で優遇される(所謂赤レンガ組)傾向がある。歴代の最高裁判所長官は東京大学と京都大学出身者が占めている。= 財界 =財界の学閥では、中小企業の経営者数の統計から、上場企業の経営者や役員数の統計が、マスコミによる報道や、教育関係雑誌や経済関係雑誌の調査で輩出上位の大学が明らかにされている。中小企業における学閥は全国中小企業団体中央会等の人事も参考資料とされる。学閥勢力の強弱が時代によって変動があるものの、学閥の特集として、社長数や役員数などの旧制大学を中心とした学閥勢力の統計がマスコミによって発表されている。金融機関への就職者数が多い大学は役員等会社組織中枢部への卒業生割合が高い。例年、慶應義塾大学、東京大学、京都大学、一橋大学、早稲田大学、大阪大学、神戸大学、九州大学、東北大学、北海道大学、筑波大学、広島大学、大阪市立大学、同志社大学、関西学院大学、学習院大学などがランキング上位を占め、以下、国立大学・私立大学ともに旧制大学が続く。多くの企業は入社試験段階で大学名(学閥)による選択(学歴フィルター)がなされ、国立では七帝五官と私立では早慶上智等が優位となり、指定校とされる大学以外の学生は選考から排除される(応募書類を送付しても返信のないまま不採用とされるなど)。内部昇進による役員や重要管理職就任も一部の特定大学が固める傾向がある。もっとも、より柔軟な上場企業も少なくなく、特に、理系の場合は職能による専門性が高いことからこれらの傾向には該当しない。また、近年は、東京大学・東京工業大学・早稲田大学・慶應義塾大学へ留学生した中国人が卒業後、上場企業へ入社するケースが一般的となっている。なお、私立大学文系出身者が役員になる場合は、内部昇進よりも外部から社外取締役や監査役等へ就任する場合が多い。この場合は、士業(法曹、公認会計士)等が就くことが多い。ゆえに、私立大学文系は、司法試験や公認会計士試験の合格者を増やした大学が役員数を増加させ、その一方で、司法試験や公認会計士試験の合格者を減らした大学は役員数を将来にわたり減少させる。例年、日本大学、慶應義塾大学、早稲田大学など大規模私立大学がランキングを占めている。これらのランキングは、起業した卒業生の数、同族会社経営者の子息の数などにより、決まる。中小企業における内部昇進の可能性は乏しく、役員の出身母体は親会社、金融機関、取引先等からの受け入れが多い。= その他の分野 =日本医師会会長や、日本医師連盟から組織内候補として国会議員の輩出が有力視される。旧帝国大学、慶應義塾大学等の卒業生で学閥を形成している。日本歯科医師会会長や、日本歯科医師連盟から組織内候補として国会議員を輩出が有力視される。日本歯科大学(日本歯科大学校友会)、日本大学(日本大学歯学部校友会、日本大学松戸歯学部校友会)が学閥を形成している。日本薬剤師会会長や、日本薬剤師連盟から組織内候補として国会議員を輩出が有力視される。研究・製薬については東京大学薬学部が指導的立場にある。一般的には、学閥は単科大学よりも総合大学の方が様々な学問領域と密接に結びつき有利となる。医学部等関連分野との連携が望ましいため、単科大学よりも総合大学が人脈形成等の面からも有利となる。もっとも、薬剤師という職域に関しては、長年にわたり、薬科大学が信頼を勝ち得て政界等で地位を築いている。教育界では、教育委員会の最高権力者である教育長を輩出が有力視されるほか、教育委員会の幹部職員や各学校、特に名門校や大規模校の校長の輩出数が指標となる。以前は筑波大学や広島大学出身者が強力な学閥を形成し、また、各都道府県ではその県の国立教育大学出身者の学閥が強かった。近年は、教員採用の出身大学における私立大学の台頭が目覚ましく、採用段階における国立大学優位の傾向は無くなった。2015年、大学通信調べでは、高校教員採用ランキング1位日本大学(146名)、2位広島大学(130名)、3位早稲田大学(128名)、4位大阪教育大学(111名)、5位筑波大学(108名)、6位日本体育大学(107名)、7位立命館大学(92名)、8位大阪体育大学(86名)、9位東京理科大学(82名)、10位近畿大学(71名)となっている。巨額な予算、複雑な許認可を背景とし、携わる労働人口も多く、重層的な下請構造があることから利害関係が絡むため、学閥が生まれている。官公庁においては事務職と技術職が採用ルート・出世ルートともに明確に分かれており、さらに、技術職は道路畑、水道畑など入庁時から専門が分かれ、人事系統も異なる。中央官庁における人事は、国家公務員総合職土木職相当(工学区分)採用では東京大学が圧倒的に優勢である一方、地方行政庁における「土木・建築職」採用人事は各地の旧帝国大学や東京工業大学、各都道府県内の国立大学の土木学科・建築学科卒業生優位となる。特記すべき学閥として、官立の旧制大学では北海道大学、東京大学、京都大学、九州大学の四校、私立大学では、日本大学、早稲田大学の二校、合計六校が全国的に有力学閥となっている。また、東京理工系4大学、東京理科大学、なども活躍している。= 国立大学 =旧帝国大学卒業生で構成される。学士会会員が利用できる学士会館には、宿泊施設やレストラン等が入居している。東京大学出身者の学閥。旧制大学。官界。・学界・政界・法曹界・財界一般。国会議員に占める卒業生は136人。上場企業トップに占める卒業生は210名(2位)、同役員数は1912名(2位)。会社四季報未上場版社長数に占める卒業生は151名(3位)。東京商工リサーチ2015年「全国社長出身大学」12位4,075人。東京大学医学部出身者の学閥。医療界。京都大学出身者の学閥。旧制大学。政界、官公庁、財界一般。国会議員に占める卒業生は31人。上場企業トップに占める卒業生は107名(4位)、同役員数は971名(4位)。会社四季報未上場版社長数に占める卒業生は98名(5位)。東京商工リサーチ2015年「全国社長出身大学」12位4,075人。京都大学技術士会。京大建築会。京都大学東京オフィスは、京都大学卒業生の東京での交流等の場に使われる。一橋大学出身者の学閥。財界一般。国会議員に占める卒業生は5人。上場企業トップに占める卒業生は53名(10位)、同役員数は594名(7位)。会社四季報未上場版社長数に占める卒業生は54名(11位)。東京商工リサーチ2015年「全国社長出身大学」61位。一橋大学校友会である如水会は如水会館持ち、一橋大学卒業生が利用できる。神戸大学社会科学系学部出身者の学閥。財界一般。国会議員に占める卒業生は7人。上場企業トップに占める卒業生は36名(16位)、同役員数は376名(12位)。会社四季報未上場版社長数に占める卒業生は45名(16位)。東京商工リサーチ2015年「全国社長出身大学」37位。木南会/神戸大学建築系同窓会。神戸大学東京オフィスや、帝国劇場の地下2階の神戸大学東京六甲クラブは、神戸大学卒業生の東京での交流等の場所に使われる。筑波大学(旧師範学校・旧東京教育大学)出身者の学閥。教育界(茗渓会)、スポーツ界。国会議員に占める卒業生は5人。上場企業トップに占める卒業生はランキング未掲載、同役員数は65名(59位)。会社四季報未上場会社版 社長数ランキング未掲載。スポーツ界にも学閥を持ち、柔道では派閥があり、東海大学派閥、明治大学派閥に次ぐ。琉球大学出身者の学閥。琉球大学出身者が沖縄の政界、沖縄電力や銀行や建設大手等の財界、沖縄県庁等の官界、マスコミ、学識者の中枢を占め、沖縄社会の意思決定に関わっている。日本経済新聞那覇支局長だった大久保潤は「これほど一つの大学出身者が社会を支配している県は他にはない」と論評している。= 私立大学 =早稲田大学出身者の学閥。旧制大学。出版業界やマスコミ業界やスポーツ界で大きな力を持つ。政界(国会稲門会)、財界、文学界、法曹界、スポーツ界など。国会議員に占める卒業生は70人。上場企業トップに占める卒業生は191名(3位)、同役員数は1874名(3位)。会社四季報未上場版社長数に占める卒業生は276名(2位)。東京商工リサーチ2015年「全国社長出身大学」3位12,201人。早稲田大学技術士稲門会。稲門建築会。不動産稲門会。大隈会館は早稲田大学校友等の利用に使われる。慶應義塾大学出身者の学閥。旧制大学。公認会計士・政界・財界一般やスポーツ界など。「社中協力」を校是とする。国会議員に占める卒業生は81人。上場企業トップに占める卒業生は297名(1位)、同役員数は2204名(1位)。会社四季報未上場版社長数に占める卒業生は378名(1位)。東京商工リサーチ2015年「全国社長出身大学」2位13,072人。慶應技術士会。不動産三田会。三田法曹会。交詢社は慶應義塾大学出身の実業家社交クラブとして利用される。慶應義塾大学医学部出身者の学閥。医療界では鉄門閥と双璧を成す。 北里大学や 東海大学等の医学部とも関係が深い。中央大学出身者の学閥。旧制大学。主に法曹界や公認会計士、政界(中央大学学員会国会白門支部)、財界やスポーツ界など。国会議員に占める卒業生は30人。上場企業トップに占める卒業生は65名(7位)、同役員数は933名(5位)。会社四季報未上場版社長数に占める卒業生は86名(6位)。東京商工リサーチ2015年「全国社長出身大学」5位9,128人。地方官庁事務職に強く、かつては東京都庁事務職(大学卒採用)合格者643名中231名(35.9%)となったこともある。中大技術士会。中央大学不動産建設白門会。駿河台記念館は多目的な施設であり、交流等の場所に使われる。同志社大学出身者の学閥。旧制大学。関西財界やスポーツ界が中心。国会議員に占める卒業生は3人。上場企業トップに占める卒業生は58名(9位)、同役員数は436名(10位)。会社四季報未上場版社長数に占める卒業生は61名(8位)。同志社大学東京R・Eクローバー倶楽部。同志社大学東京オフィスは情報の発信などをしている。関西大学出身者の学閥。旧制大学。法曹界、財界一般やスポーツ界。千里山建築会。関大法曹界、関西大学経済人倶楽部などがある。関西学院大学出身者の学閥。旧制大学。関西財界やスポーツ界など。国会議員に占める卒業生は4人。上場企業トップに占める卒業生は50名(11位)、同役員数は393名(11位)。会社四季報未上場版社長数に占める卒業生は54名(11位)。東京商工リサーチ2015年「全国社長出身大学」16位3,459人。関西学院大学東京丸の内キャンパスは関西学院大学学生、教職員、同窓会の東京での交流等の場所に使われる。丸の内1-7-12 サピアタワー10階にある(なお、関西大学東京センターは、同じくサピアタワー9階にあり、立命館大学東京キャンパスは、同じくサピアタワー8階にある)。日本大学出身者の学閥。旧制大学。政界。・官公庁(特に建築土木分野等)・財界・芸能界。・スポーツ界(角界、野球等)など。国会議員に占める卒業生は31人。上場企業トップに占める卒業生は85名(5位)、同役員数は589名(8位)。会社四季報未上場版社長数に占める卒業生は115名(4位)。東京商工リサーチ2015年「全国社長出身大学」1位24,136人。不動産土木建築業界、医療界など。地方官庁技術職(特に土木建築)に強く、かつては東京都庁技術職(大学卒採用)合格者311名中152名(48.9%)となったこともある。桜門技術士会。日本大学桜門建築会(桜建会)。日本大学不動産建設桜門会。桜門会館は東京都千代田区にあり、日本大学卒業生(校友)の活動拠点となっている。東海大学出身者の学閥。旧制大学。政界、財界、官公庁、スポーツ界(柔道等)。卒業生が多いことから校友会組織が大規模となっている。その他、不動産土木建築業、医療界など。国会議員に占める卒業生は3人。上場企業トップに占める卒業生は34名(17位)、同役員数は174名(25位)。会社四季報未上場版社長数に占める卒業生は40名(17位)。東京商工リサーチ2015年「全国社長出身大学」8位5,835人。望星技術士会。東海大学建築会。東海大学不動産建設望星会。首相官邸付近(霞が関)に、フランス料理店などが入居する東海大学校友会館をもつ。創価大学出身者の学閥。創価学会を支える学閥であり、公明党との関係が深い。中央政界、地方政界、官公庁(外務省、法務省等)、経済界、教育界(教員採用実績)、スポーツ界など。国会議員に占める卒業生は18人。上場企業役員に占める卒業生は23名(124位)。近畿大学出身者の学閥。政財界やスポーツ界など広い分野に及ぶ。校友会組織の規模が系列校が豊富なことから規模も大きい。近畿大学技術士会。近畿大学東京センターは、近畿大学の東京での拠点であり、交流等の場所に使われる。龍谷大学出身者の学閥。旧制大学。浄土真宗本願寺派。財界やスポーツ界。国会議員に占める卒業生は1人。龍谷大学東京オフィスでは、龍谷大学在学生、卒業生等の東京での交流等の目的にも提供される。國學院大学出身者の学閥。旧制大学。神職養成機関でもあり、神社内派閥を二分する。法曹界。財界。スポーツ界など。国会議員に占める卒業生は2人。上場企業役員に占める卒業生は56名(72位)。会社四季報未上場版社長数に占める卒業生は5名(83位)。國學院大學院友会館は國學院大學の同窓会館として機能している。拓殖大学出身者の学閥。旧制大学。拓殖大学学友会。政界、財界、官界(外務省、警察、自衛隊等)、スポーツ界。戦前、卒業生の多くは台湾や朝鮮などの植民地開拓で活躍した。国会議員に占める卒業生は2人。日本体育大学出身者の学閥。体育教員の出身大学としては大規模なものとなっている。スポーツ界では影響力を有する。
出典:wikipedia
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