丸ノ内線(まるのうちせん)は、東京地下鉄(東京メトロ)が運営する鉄道路線。東京都豊島区の池袋駅 - 杉並区の荻窪駅間を結ぶ本線と、中野区の中野坂上駅 - 杉並区の方南町駅間を結ぶ分岐線(通称 方南町支線)から構成される。鉄道要覧における名称は4号線丸ノ内線および4号線丸ノ内線分岐線である。なお、新宿 - 荻窪間と中野坂上 - 方南町間は開業当時は荻窪線と呼ばれていた。路線名の由来は、東京駅付近の地名である丸の内より。1970年の町名変更により千代田区の「丸ノ内」は「丸の内」と表記されるようになったが、地下鉄線の表記はそれ以降も「丸ノ内線」のまま変更されていない。車体および路線図や乗り換え案内で使用されるラインカラーは「レッド」(赤)である。方南町支線の車両には誤乗車防止のため帯に「ブラック」(黒)が付加されている。路線記号は本線がM 、方南町支線がm 。本線は池袋駅から東京駅を経て新宿駅まで山手線の内側をU字形に走行し、新宿からはそのまま直線的に荻窪駅まで走るルートをとる。方南町支線は、本線の中野坂上駅から分岐し、方南町駅まで至る。方南町支線の途中に車両基地があり、本線の列車も入出庫のため走行する。使用車両は本線が02系6両編成(車両基地への入出庫列車のみ方南町支線も走行)、方南町支線が同3両編成である。他路線との営業車両による直通運転は行われていないが、赤坂見附駅の国会議事堂前駅側に銀座線との渡り線があり、同線車両の点検整備や留置のために中野工場や中野検車区小石川分室へ回送される列車が通る。過去には同線車両による隅田川花火大会(「花火ライナー」、荻窪発浅草行)などのイベント臨時列車運行時に利用されることがあった。ただし、銀座線のトンネルは丸ノ内線のトンネルより小さいため、物理的な理由で丸ノ内線の車両が銀座線に入線することはない。東京地下鉄の路線では銀座線とこの丸ノ内線のみ標準軌で、第三軌条集電方式を採用している。このため、駅や分岐器の前後にデッドセクションが存在するが、丸ノ内線では02系以前から、銀座線より方南町支線用に転用された2000形をのぞいて車両に電動発電機 (MG) を搭載することで室内灯の消灯を防止していた。なお、丸ノ内線の建設以降は郊外各線との直通を行うため架空線式で建設されたため、東京の地下鉄としては最後の第三軌条方式の路線となった。茗荷谷 - 後楽園間、御茶ノ水 - 淡路町間の神田川橋梁、四ツ谷駅と地上区間がこまめに存在することも特徴の一つである。また、地下鉄は用地買収の都合から公道の地下を通す場合が多いが、当路線は私有地の地下を通っている部分が多い。サンシャイン60通りのように、地下鉄の完成した後から、その上部に道路が整備された例もある。本路線は、ほぼすべての区間が開削工法によって建設されているが、霞ケ関 - 赤坂見附間の 230 m ほどの区間は日本の地下鉄としては初めてシールド工法で掘削を実施した。これは霞ケ関駅の付近のトンネルは約15 mと深く、当時の開削工法では建設が困難であったためである。掘削にあたっては、最初に側壁導坑を築造し、それを土台に半円形のルーフシールドマシンで掘削するものである。この構造は「半円形ルーフシールドトンネル」と呼ばれるものであるが、その後は円形シールド工法が主流となったため、この方式による掘削は駅ホーム部で採用例があるのみで、駅間では行われていない。1925年(大正14年)3月30日に内務省が告示した東京都市計画高速度交通機関路線網の5路線のうちの第4号線新宿 - 四谷見附 - 日比谷 - 築地 - 蛎殻町 - 御徒町 - 本郷三丁目 - 竹早町(文京区小日向付近) - 大塚間 20.0 km に位置付けられたルートを前身とする路線である。1942年(昭和17年)6月に赤坂見附 - 四谷見附(弁慶濠)間 1.2 km の建設に着手したが、太平洋戦争の戦局悪化により1944年6月に工事中止となっていた。その後1946年(昭和21年)12月7日に従来の計画を改訂した「東京復興都市計画高速鉄道網」が告示され、この時の第4号線は中野区富士見町 - 新宿 - 四谷 - 赤坂見附 - 永田町 - 日比谷 - 東京 - 神田 - 御茶ノ水 - 本郷三丁目 - 富坂町 - 池袋 - 豊島区向原町の 22.1 km である。1949年(昭和24年)12月12日、営団は第4号線のうち池袋 - 神田間 7.7 km の建設を決定し、1951年(昭和26年)3月30日、池袋駅東口で起工式が開催された。1953年(昭和28年)11月4日には、国鉄神田駅付近を経由することが予算的、工期的、技術的に困難なことが明らかとなり、大手町を経由するルートへの変更を告示する。東京 - 御茶ノ水間は中央線によって結ばれている。1962年(昭和37年)の都市交通審議会答申第6号において、東京4号線は「荻窪および方南町の各方面より中野坂上、新宿、赤坂見附、西銀座(現・銀座駅)、春日町、池袋および向原(小竹向原駅)の各方面を経て成増方面に至る路線」として示された。その後、1968年(昭和43年)の同答申第10号では、終点が成増から池袋へと短縮され、池袋以西は8号線として分離された。このうち、最初に開業した池袋 - 御茶ノ水間は営団地下鉄(現・東京地下鉄)銀座線、大阪市営地下鉄御堂筋線・四つ橋線に次ぐ日本4番目の地下鉄として開業した。その後、丸の内経由で新宿方面へ順次延伸され、1959年までに全通、さらに丸ノ内線の延長線として荻窪線が建設され、1962年までに全線開業し、同線の車庫(中野検車区)への回送線も兼ねた方南町支線が建設され、同年に全通、1972年に荻窪線を丸ノ内線に編入して現在の路線網を形成した。1995年3月20日に霞ケ関駅などで発生した無差別テロ事件「地下鉄サリン事件」の現場となった路線の一つであり、多数の死傷者を出している。1990年代後半に荻窪から練馬区を経由し、朝霞方面への延伸に関する陳情が東京都議会で出されていたが、計画が具体化することなく結局消滅した。山手線の新宿駅 - 池袋駅間が開いたU字型の路線のため、山手線内部での比較的短距離の流動が多く、これに沿ったダイヤになっており、本線と支線の列車は中野坂上駅で相互連絡するようにダイヤが組まれている。全線を通した所要時分は本線で49分40秒、支線では6分25秒となっている。平日朝ラッシュ時・夕ラッシュ時は自動放送の中で英語放送と乗り換えの案内が省略される。平日は新宿駅 - 池袋駅間において、朝夕ラッシュ時約1分半 - 2分間隔(日本一の高密度運転間隔)、日中4分間隔で運行されている。池袋駅 - 荻窪駅間の直通運転と、池袋駅 - 新宿駅間の区間運転を基本とする(日中は12分に池袋駅 - 荻窪駅間直通2本、池袋駅 - 新宿駅間区間運転1本)。朝夕と深夜には車両基地への入出庫のため池袋駅 - 中野富士見町駅間の支線直通列車や茗荷谷駅・後楽園駅・中野坂上駅が始発・終着となる列車が設定されている。なお、新宿駅折り返しの列車は2017年度から方南町駅発着に延長する予定である。大晦日 - 元旦の終夜運転は池袋駅 - 荻窪駅間の全線で実施されるが、この時間帯には後楽園駅が最寄りの東京ドームでコンサートイベントが行われることから、2010年代前半頃よりその対応として、一部時間帯で終夜運転列車を増発しているが、この増発列車の一部は茗荷谷駅 - 銀座駅間の運転であるため、終夜運転実施時の年1回のみではあるが、銀座駅発着が設定されている(銀座駅では非常渡り線を使用して折り返し)。車両は02系の本線用6両編成を使用する。平日朝夕ラッシュ時は約4分間隔、日中は5 - 12分間隔で運行されている。基本は中野坂上駅 - 方南町駅間を往復する運転である。また、朝夕と深夜に池袋駅 - 中野富士見町駅間の列車、朝に中野富士見町発方南町行きの列車、その他入出庫の関係で1往復のみ荻窪駅 - 中野富士見町駅間の列車(早朝は荻窪行き、終電は中野富士見町行き。ともに中野坂上駅で方向転換を行う)がある。車両は基本的に方南町支線専用車である02系80番台3両編成が使われるが、本線から中野富士見町との間を直通する列車(中野検車区との入出区のための運用)は本線用の車両が使用される。このため方南町支線内の駅は、方南町駅以外ではすべて6両編成分のホーム有効長を確保し、ホームドアにも対応している。現在運用中の支線専用02系80番台は、開業以来初めて方南町支線専用に製造された車両で、本線とのサービス格差をなくす目的で1996年に登場した。それまでは本線との直通列車を除き、銀座線で使われていた100形(1968年5月運用終了)、2000形(1993年7月運用終了)、本線運用から外れた500形(1996年7月運用終了)といったすべて非冷房の中古車両が永らく主力として使用されていた。本路線は開業以来、保安装置に打子式ATS装置を使用し、最高速度は 65 km/h とし、1981年(昭和56年)11月以降所要時分は本線49分50秒、方南町支線7分00秒で運転されてきた。その後、西新宿駅開業時により本線は50分40秒に増加した。そして、1998年(平成10年)3月7日には全線での新CS-ATC化を踏まえたダイヤ改正を実施し、本線では最高速度を 75 km/h に向上させ、所要時分は本線48分15秒、方南町支線6分20秒に短縮した。さらに2001年(平成13年)2月には本線において、ブレーキ操作の信頼性を図るため、定位置停止装置 (TASC) の使用を開始した。続いて方南町支線においても2002年(平成14年)11月からTASCの使用を開始している。その後、後述するホームドアの設置に伴い、全線での所要時間に見直しがあり、2007年(平成19年)8月30日のダイヤ改正では1分25秒増加した49分40秒となった。方南町支線も現在は6分25秒となっている。当路線の全駅に可動式ホーム柵(ホームドア)が設置されている。ホーム柵は京三製作所製である。2004年(平成16年)5月8日に方南町支線(中野坂上 - 方南町間)にホーム柵を設置し、同年7月31日には中野坂上 - 方南町間で運行される3両編成の区間列車に限ってワンマン運転を開始した。池袋 - 荻窪間については、2006年6月の荻窪駅と南阿佐ヶ谷駅を皮切りに、翌年9月までに本線全25駅に順次設置され、設置された駅から順次稼動を開始した。ただし、銀座駅と御茶ノ水駅は、一度はホーム柵を設置したものの、車両とホームの隙間を調整する工事を行うこととなったため、正式稼働は2008年(平成20年)3月23日からとなった。ホーム柵設置当初は、車掌が柵の線路側にあるボタンの操作によりホーム柵の開閉を行い(ホーム柵を開けた後車両のドア開放 閉扉時は逆順)、案内放送に「ホームドアを使用しています」を加えた。2007年(平成19年)12月1日より(御茶ノ水・銀座の両駅は翌年3月23日より)、車両ドアと柵が連動して開閉するようになり、車掌は車両側のドアスイッチのみを操作していた。東京地下鉄では本線へのホーム柵設置について、「乗客の安全性向上のため」との見解を示していた。本線用車両(6両編成)では2005年(平成17年)2月からホームドア連動・ワンマン運転対応改造を実施してきており、2007年(平成19年)8月までに全編成の対応改造を完了した。この時点でホームドア連動、車上CCTV(ホーム監視用モニター)の設置や自動放送装置・車内表示器の改修などが実施された。その後、2007年(平成19年)11月から2009年(平成21年)1月かけてATO運転を実施するための改造工事が実施された。そして、ATO対応改造車が出揃った2008年(平成20年)12月27日からはTASC運転からATO運転への切り換えが実施された。その後、2009年(平成21年)3月28日より、丸ノ内線全線でワンマン運転を開始した。この間、2008年6月14日より車外メロディが使用開始された。この時点でATO運転を開始したのは本線の池袋 - 荻窪間全線と方南町支線の中野坂上 - 中野富士見町間を走行する6両編成列車とされた。その後、2010年5月には中野坂上 - 方南町間を走行する3両編成の区間列車においてもATO運転が開始され、丸ノ内線全線全列車においてATO運転が実施されている。発車メロディの使用中止となった理由は不明である。2012年2月1日より、再び駅別発車メロディの使用を開始した。ただし、四ツ谷駅と池袋駅では放送装置の改修が追いつかなかったため、2月1日の使用開始後数日で使用が休止したが、3月になってから再度使用開始した。また、ラッシュ時には、今まで通りの車外メロディを使用する。車外メロディの内容はA線(荻窪・中野富士見町方面)が「街並みはるか」、B線(池袋方面)が「舞フラワー」である。ただし、茗荷谷駅ではが、2009年12月21日より早朝・深夜の時間帯(22:00 - 翌日7:30)をのぞき営団時代からの発車ブザーの使用を再開した。これには発車メロディの鳴動システムが流用されており、乗務員が運転台の乗降促進を「車上側」から「ホーム側」に切り替えて操作している。曲名は株式会社スイッチの音源リストおよび同社が運営する「鉄道モバイル」による。池袋 - 御茶ノ水間が開業した1954年(昭和29年)1月20日当日の池袋駅は見物目的の客が多数押し寄せて大変な混雑となり、営団地下鉄側が臨時出札口を設けて対応にあたるほどで午前10時の時点で池袋駅から乗車した者の数は1万5千人を越えていた。またこの日、神田の商店連合会ではその開通を祝って花火を打ち上げたり神田川に屋形船を運航させたりして大騒ぎだったと当時の新聞に掲載されている 。「丸ノ内線建築史」によると、四ツ谷 - 赤坂見附の設計図には、カーブの半径が「182.11」と記載されている。この数値を戦前のマイル法に換算すると、ちょうど200ヤードになる。この区間は戦時中の1942年に建設が開始されている(メートル法表記採用は戦後から)。他の東京メトロ路線では、駅ホームでの接近放送はすべて「まもなく」が文頭に来るが、当路線では「お待たせ致しました」を文頭にした、旧型の接近自動放送が現在でも使用されている。またJR線接続駅のうち池袋、御茶ノ水、荻窪で、「国鉄線」を「○○線」と各路線名に言い換えた国鉄分割民営化当初の台詞を継続している。新宿駅 - 新宿三丁目駅は駅間が300mしかなく、東京メトロの中で一番駅間が短い区間であると同時に、距離に対する運賃が最も高い区間となっている(ICカード使用の場合、6 km まで大人165円・子供82円の初乗り運賃なので、8.25円分の距離に対して165円を払うことになる)。
出典:wikipedia
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