エアバスA380()は、欧州エアバス社のターボファン4発の超大型旅客機である。世界初の総2階建てジェット旅客機である。完成披露の時点ではボーイング747を抜いて、史上最大・世界最大の旅客機である。初飛行は2005年4月27日。初期の構想から初飛行まで16年の歳月を要した。初飛行から10年後の2015年末時点で、エアバス社は中東や東南アジア地域を中心に300機を超える受注を獲得しており、この時点でA380プロジェクト全体としての損益分岐点に到達し、計画全体での黒字化に成功したと発表された。2016年10月現在、4発ワイドボディ旅客機としては同社の民間航空機部門で唯一生産されている機体である。A380は1990年初頭にA3XXとして開発が始まった。エアバス社のほかにもボーイング社やマクドネル・ダグラス社が次世代大型旅客機として ボーイング747-Xとマクドネル・ダグラス MD-12を計画していたが、いずれも開発は凍結された。この後、ボーイング社は総2階建のNLAの開発を試みるが、これも中止された。スホーイによるKR-860の計画があった。かつてロッキード社も総2階建旅客機を計画したが、構想の段階で終わっている。エアバスはボーイング747に対抗できる輸送力を持つ機体として、1989年からUHCA(ウルトラ・ハイ・キャパシティ・エアクラフト)構想の実現に向けての作業を開始した。ボーイング社はこれに過敏に反応し、1991年に747改良型など3種の計画を発表し、UHCA阻止の動きに出た(詳しくはボーイング747-8の開発の経緯を参照)。この動きに対し、エアバスを構成する(当時)アエロスパシアル、DASA、BAe、CASAの4社はボーイング社と共同で、1993年1月にUHCAとは別にVLCT(ベリー・ラージ・コマーシャル・トランスポート)と呼ぶ大型輸送機構想を発表したが、ライバル同士の意見がかみ合わず、エアバスは1994年6月、UHCAをA3XX(530席 - 570席の100型と630席 - 680席の200型の構想)として計画に着手したことを発表し、VLCTは中止された。ボーイング社はこれに対抗し、同年に747-500Xと747-600Xを発表、対決する構えを見せた(747X計画)。747X計画はさまざまに変遷する流動的なものであったが、その間にもボーイング社はエアバス社に対する露骨なネガティブキャンペーンを繰り広げ、A3XXのイメージダウンを図った(ソニック・クルーザーを参照)。しかしエアバスは計画を進めた。2000年12月19日、エアバスは62機の受注を獲得したことから、A3XXをA380として開発に入ったことを発表した。ボーイング社は翌年に747X計画を延期し、ソニック・クルーザー計画を発表したものの、2003年には計画を凍結し、その開発能力を中型機ボーイング787へと注力していった。しかし、その後ボーイング社は、A380と777-300ERやA340-600の間を埋めるという理由で、747-400ER、747-8型(計画名 747Advanced)などの大型機の開発を開始している。A380の1号機は2005年1月18日にトゥールーズの本社工場で完成披露の式典が行われた。6月1日にエアバス社は、「納入を2か月から6か月遅らせる」と発表した。問題は主翼の強度不足と機内配線による重量オーバーだった。前者は直ちに改善されたが、後者の解決は困難であった。A380の最大定員853席すべてに個別に引かれた電線は延べ約563kmにおよび、接続や収納に予想以上の時間を要していることと、サービスの一環として座席に配したオーディオ機器の配線によって重量が予想以上に増え、対応に時間がかかった。18日の時点でアメリカン・インターナショナル・グループ (AIG) のリース部門・インターナショナル・リース・ファイナンス (International Lease Finance Corporation, ILFC) を含む16の航空会社がA380型機を発注しており、その数は27機の貨物機を含め159機にのぼった。エアバス社CEOのノエル・フォルジャールは「この航空機を500機販売する」という期待を表明している。予定ではローンチカスタマーのシンガポール航空は2006年の第4四半期 - 同年末に最初のA380型機を受け取り、カンタス航空は2007年4月、エミレーツ航空は2008年より前にA380型機の引渡しを受けることになっていた。A380型機の最初の路線就航は2006年末のロンドン発シンガポール経由シドニー行シンガポール航空便、続いて同じくシンガポール航空によるシンガポール発香港経由サンフランシスコ行、シンガポールから東京経由ロサンゼルス行、パリ、フランクフルトへの直行便が就航する予定であった。また、カンタス航空はA380型機をロサンゼルス - シドニー便に投入すると公表した。また、この頃にはエアバス社は月に4機のペースで引き渡しを行うと表明していた。しかし、2006年6月13日、エアバス社は引渡しが再び6 - 7か月遅れることを発表した。理由は生産上の遅れとしているが、顧客ごとに異なる内装仕様に対応するため、機内の配線設置に手間取っていることが原因とされている。社内で使用しているCADソフトCATIAが、ドイツとスペインではバージョン4を使っていたのに対し、イギリスとフランスではバージョン5に変更していた事でデータの共有に問題が起き、ケーブルの長さが設計変更に対応していなかったという。なお、引渡し機数に関しても計画の年25機(2009年から年45機)から2007年は9機、2008年以降も予定より5 - 9機縮小するとした。これにより、さらに大幅な受領の遅れが生じるため、航空会社の心証が悪化した。エアバス社は、影響を受ける航空会社各社に対し大規模な補償交渉を行なったほか、安価なリースパッケージを提供することで旅客機型のキャンセルを回避しようとした。また、引き渡し延期をめぐっては、エアバス親会社のEADS株の急落に加え、EADS・エアバス両社幹部がこの発表前に大量の株を売却したインサイダー問題が発覚しており、EADS社元CEOノエル・フォルジャールが逮捕、その他10人がフランス当局によって告発されている。さらに、2006年9月21日には、EADSが3度目となる納入スケジュールの遅れを発表。続く10月3日には最大の発注元であるエミレーツ航空が、「エアバスからA380計画がさらに10か月遅れ、機体引き渡しは2008年8月になるとの連絡を受けた」という声明を出している。エミレーツ航空は同声明の中で「当社にとって極めて深刻な問題で(契約に関する)すべての選択肢を見直している」としていたが、その後2007年5月14日に4機の追加発注を受けたことで契約のキャンセルは回避された。その後、2007年6月22日に行われたパリ航空ショーにおいて、8機が追加発注され、さらに2013年11月のドバイのエアーショーにて50機の追加発注が決定し合計140機となり、同機における最大のカスタマーとなっている。2006年11月7日、貨物型の導入を予定していたフェデックスが、発注をキャンセルしたことを明らかにした。次いで2007年3月2日に、貨物型の導入を予定していたユナイテッド・パーセル・サービス (UPS) は、エアバスが再建計画の一環として旅客機の生産を優先すると発表したことで、引き渡しがさらに遅れることを懸念し、発注をキャンセルした。さらには旅客・貨物の両型式を発注していたILFCも貨物型だけ注文をキャンセルし、旅客型のみの納入を受けることを明らかにしている。エアバス社はこの時点でオプションを含め80機あった貨物型の受注を全て失い、貨物型の開発を一時中断した。旅客型の受注件数は基本設計から半世紀が経過し、大型化に限界があるボーイング747の発展形であるボーイング747-8の受注件数を上回っているが、貨物型はボーイング747-8に大きく遅れをとることとなった。2005年4月27日にフランスのトゥールーズで初飛行した。2006年11月からA380 MSN002(ロールス・ロイス トレント 900型を装備、製造番号2:F-WXXL)を用い、世界の空港の滑走路、誘導路、PBB(パッセンジャー・ボーディング・ブリッジ)が適合するかどうかのテストと、PRの一環として世界周遊飛行を行った。行程はトゥールーズから出発し、4回に分けて10都市を回るもので、1回目の飛行では、シンガポール(11月14日)、大韓民国・ソウル(11月15日)に寄港。2回目に香港(11月18日)と成田(11月19日 - 11月20日)、3回目は中華人民共和国を中心として、広州(11月22日)、北京、および上海(11月23日)に飛行。4回目では、南アフリカ・ヨハネスブルグ(11月26日)に立ち寄り、南極点上空を通過して、オーストラリア・シドニー(11月28日)に寄港。太平洋を横断してカナダ・バンクーバー(11月29日)に飛行したあと、北極点上空を通過しトゥールーズに戻った。この飛行の成功により、12月12日に欧州航空安全庁 (EASA) および米国連邦航空局 (FAA) の型式証明を同時に取得した。この際、FAAがアメリカ機に義務付けている燃料タンク爆発防止装置の装備がなされていないことを指摘した。欧州機では装備義務はなく、エアバスもアメリカ機(ボーイング機)との構造の違いを主張し、装備の必要はないとしている。ただし、アメリカの航空会社に採用される場合はFAA基準が適用される可能性がある。同機は「ワールド・ツアー2007」の一環としてA380 MSN007(製造者連番7:F-WWJB)で2007年6月4日に成田空港に再度飛来し、6月6日にシドニーに向かった。また、A380 MSN009(製造者連番9:F-WWEA)を用いて、エンジン・アライアンス社製GP7000エンジンを搭載したA380の型式証明取得のため、テスト飛行を行った。2007年9月26日から、コロンビアのボゴタを振り出しに、北米・南米・中近東へ断続的にテストフライトを行い、10月18日に関西空港に寄港、その後トゥールーズに戻った。このエンジンを搭載したA380-861型は2007年12月に型式証明を取得した。2007年10月15日、初飛行以来30か月間のテストを経て、最初の納入先であるシンガポール航空に機体が引き渡された。同年10月16日にパイロットや技術者などのシンガポール航空関係者が乗り込みエアバス本社(トゥールーズ)からシンガポールに向けて飛び立った。そして同年10月25日よりSQ380便としてシンガポール - シドニー間に就航した。この初号便の座席はeBayによるインターネットオークションで販売され、売り上げは慈善団体に寄付される。また「現在運航している世界最大の旅客機」がボーイング747からA380に代わった。結果として、最初の納入は当初予定から1年半遅れた。2007年11月末での受注数は193機であるが、一説によれば遅れに伴う補償費用や生産設備の稼働率低下、人海戦術に伴う人件費増大等によってエアバスは60億ユーロ(約1兆円)のプロジェクト経費増大を来たしており、さらに米ドルに対するユーロ高傾向もあってA380の採算ラインは、当初の270機から、420機程度にまで悪化していると言われる。2007年11月12日、エアバス社はサウジアラビア王子のアル・ワリードがA380をプライベート機として購入するため売買契約を結んだと発表した。2つのダイニングやゲームルーム、主寝室などを備え、機体に3億ドル、改装費に1億ドル。ミサイル防衛システムも含まれている。エアバス社では"The Flying Palace"(空飛ぶ宮殿)と呼んでいる。この機体は元々エティハド航空向けに納入予定であった飛行試験2号機であることが明らかになっている。シンガポール航空による定期就航が始まったことにより、A380 の順調なスタートにこぎ着けたと思われたが、エアバスは2008年5月13日、量産計画を再調整し、ウェーブ1(量産化前段階)からウェーブ2(量産移行後)においての引き渡し計画を修正する発表を行った。その結果、2006年に計画された急激な量産化は達成不可能となったことが確認されウェーブ2への移行に若干の遅れが生じた。これは、ウェーブ1における作業が予想以上に時間を要したことが原因としている。今後の展望として、同日、エアバス社は次の通り発表した。これ以降の引き渡し機数については、今後顧客との話し合いによって決まるとしている。その後2008年9月のカンタス航空向け初号機、製造通算14号機の引き渡しに先立ち、エアバス社は2008年と2009年の引き渡し数は12機と21機を堅持、2010年については30機から40機の間になると公表した。2008年12月30日に2008年の12機目となるエミレーツ航空向け4号機が引き渡された。なお、2008年後半に顕在化した世界金融危機のため、エアライン各社は引き渡しペースの鈍化をエアバス社に要望し、それに応える形で2009年5月には2009年中の引き渡し数を14機に削減するむね再度発表されている。2008年7月28日、エアバス社のハンブルク施設に新設されたユルゲン・トーマス・デリバリーセンターでエミレーツ航空に対してA380-861が引き渡された。A380の航空会社への引渡しはこれが6機目で、これまでの5機はいずれもシンガポール航空に引き渡されていたことから、エミレーツ航空はA380を受領した二番目の航空会社である。今回の引渡し機は同年8月1日にドバイ - ニューヨーク(ジョン・F・ケネディ)線で初就航した。そのほかに長距離路線の就航先として、ロンドン、シドニー、オークランドがあるが、今後の機数の増加によって就航都市は増えていく予定である。2009年3月、エミレーツ航空は、採算の悪化を受け、ドバイ - ニューヨーク(ジョン・F・ケネディ)線からA380の撤退を決定し、ボーイング777-300ERに変更した。同機は商業運航の合間にクルーと整備員の訓練研修を兼ねて飛行していたが、同年9月に入り原因不明の電子機器トラブルが発生し飛行作業を中断した。商業運航が再開されたのは同年9月12日であった。2008年9月19日、豪カンタス航空に同社向けA380-842(製造通算14号機)が引き渡され、同年9月21日にシドニーに到着した。同航空では約一か月間慣熟訓練を行ない、同年10月20日にメルボルン - ロサンゼルス線で商業運航を開始した。2013年3月14日、通算100号機のA380がマレーシア航空へ引き渡された。マレーシア航空にとっては6機目の機体。しかしながら2015年5月、同社は会社の業績不振の影響もあって近い将来にA380を放出することを示唆している。放出が正式に決定すれば、A380オペレータとして初めての退役となる見込み。また、双発機の大型化・性能向上などに伴う大型4発機の受注低迷も相まって、2014年、2015年と2年連続して、航空会社からの新規受注を1件も獲得できず、2016年以降も見通しを立てられていない。今後もこの傾向が続くようであれば、2018年にも生産を打ち切る可能性があると示唆している。2016年7月12日には、2018年以降の生産ペースを年27機から12機へ大幅に引き下げると発表した。一方で、エンジンを一新した「A380neo」の開発も視野に入れており、近い将来、それについての可否が決定する見込み。主な就航路線(2016年6月現在)(注)都市名が同じ場合、空港は同じとする。日本路線は、2008年5月20日にシンガポール航空がシンガポール - 東京/成田線で運航を開始したのが最初である。だが、悪天候により中部国際空港へ回避着陸(ダイバート)し、その後4時間ほど遅れて成田に到着した。なお、当日は成田空港開港30周年の日であった。その後は、2010年6月12日到着便よりルフトハンザドイツ航空がフランクフルト - 東京/成田線(2016年6月現在、成田には乗り入れておらず、2014年3月の羽田線復帰に伴い、事実上の撤退となっている)で、2011年6月17日より大韓航空がソウル/仁川 - 東京/成田線(往路:KE701・復路:702便)でそれぞれ運航開始。同年7月1日よりシンガポール航空がシンガポール - 東京/成田 - ロサンゼルス線でボーイング777-300ERに代わり運航開始し、以遠権のフライトで初めて就航した。2012年7月1日よりエミレーツ航空がドバイ - 東京/成田線に就航。この就航により、成田空港の第2ターミナルビルに初めてA380が発着(ゲートは66番)することとなった(2016年6月現在、成田には乗り入れておらず、羽田線乗り入れに伴い、事実上の撤退となっている)。一方で、2010年9月2日到着便よりエールフランスがパリ - 東京/成田線で運航開始したものの、2014年5月11日をもってボーイング777-300ERに機材変更された(2016年6月現在、成田には乗り入れておらず、2014年3月の羽田線復帰に伴い、事実上の撤退となっている)。大韓航空もデイリー運航から曜日限定運航に切り替え、2012年4月以降は全便他機材に切り替えたが、2012年10月28日から2013年3月30日まではA380での運航が復活している(往路:KE705・復路:706便。ただし、他の機材により運航される場合がある)。シンガポール航空では2012年8月10日 - 8月15日に、大阪就航40周年を記念してシンガポール - 大阪/関西(往路:SQ618・復路:SQ619便)線で運航し、関西国際空港に定期旅客便として初めてA380が就航した。なお、当路線では2013年・2014年にも8月中旬に運航している。また、2014年8月9日・8月13日には名古屋就航25周年を記念してシンガポール - 名古屋/中部(往路:SQ672・復路:SQ671便)線でも運航し、中部国際空港にも定期旅客便として初めてA380が就航した。2013年1月1日からは、タイ国際航空がバンコク - 東京/成田線で運航開始(往路:TG676・復路:TG677便)。
さらに同年12月1日からは、東京/成田線で午前出発便もA380に変更(往路:TG641便・復路:TG640便)、またバンコク - 大阪/関西線(往路:TG622・復路:TG623便)でも運航開始。2015年5月からB747-400に機材変更し運航していたが、2016年5月16日から再投入された。アシアナ航空が、2014年6月13日からソウル/仁川 - 東京/成田線(往路:OZ102・復路:OZ101便)、同年7月29日からソウル/仁川 - 大阪/関西線(往路:OZ112・復路:OZ111便)で、同年8月19日まで一時的に投入された。そして、2016年10月30日から11月9日の間、ソウル/仁川 - 東京/成田線(往路:OZ102・復路:OZ101便)で期間限定投入される予定で、2年ぶりに日本に同社のA380が飛来することとなる。シンガポール航空が路線計画変遷に伴い、2016年10月22日をもってロサンゼルス-東京/成田線-シンガポール線(SQ11/12)におけるA380の運航が終了する予定。同路線は翌日よりB777-300ERとなるが、東京/成田線-シンガポール線(SQ637/638)がA380になるとの発表もない。また同社は羽田線も有していることから、A380は東京/成田線から撤退となる見込み。これらが予定通り行われれば、日本に定期的に乗り入れる外資系のA380はタイ国際航空のみとなる。この後、大阪/関西線については同年12月4日から2017年始にかけて期間限定で運用される予定。上記のように同機が初就航当時は積極的に乗り入れを希望するエアラインが多数有ったものの、2016年10月現在は撤退あるいはデイリーから季節限定あるいは期間限定に切り替えとするエアラインが増えつつあるのが現状である。日本はA380と同じく大型旅客機と呼ばれているボーイング747を世界で最も多く導入していることから、日本航空 (JAL) や、全日本空輸 (ANA) がA380を導入する可能性があると言われていた。2010年10月、羽田にデモフライトした際、エアバス側の意向で新千歳空港での適合テストも行なわれた。スカイマークは国際線参入の一環として2010年11月8日に同機の購入について基本合意し、2011年2月17日に6機(うち2機はオプション)の購入契約を正式に締結した。この正式契約成立により、日本の航空会社として初めてエアバスA380が導入され、同時に日本籍で初めてエアバス社製・四発ワイドボディ機が登録されることになり、契約通りに進めば2014年に2機を導入する予定であり、ロンドンやフランクフルト、ニューヨークへ就航させるほか、2018年以降にも9機追加導入する計画を明らかにしていた。スカイマークカラーに塗られた機体の試験飛行も行われていたが、スカイマーク側が経営の悪化を理由に契約変更を申し出たところエアバス側が拒否して購入契約が決裂。購入キャンセルについて交渉中であることが明らかにされた。2014年7月28日、2014年前期に円安に伴う燃料費高騰や格安航空会社 (LCC) の台頭などによって経営が赤字に転落した状況から、スカイマーク側がエアバスに「2機の導入延期、および4機の契約解除」とする案を打診。するとエアバス側はスカイマークに「大手航空会社の傘下」に入ることを要求し、さらにこれを拒否して契約をキャンセルした場合は「違約金」を請求することになる、とブルームバーグが報道。これを受けてスカイマークは「当社の経営の主体性を揺るがすような主張は受け入れられない」とする声明を発表。しかし、上記の声明を受けてエアバス側は「スカイマークとの協議および同社の機体に対する姿勢を受け」て契約協議の終了を通知。さらに「すべての権利及び権利侵害における救済措置を保持している」として、最大700億円規模の違約金を請求される事態となったが販売する予定だった機体を別の航空会社に売る目処がついたこともあって2014年10月に最低200億円まで減額に合意する方針と朝日新聞が報道したが、スカイマーク側の経営不振による資金不足もあり、2014年12月の時点でスカイマークが契約解除された機体がまだ他社に納入されていないことが会員制写真投稿サイトのAirliners.netで確認されており、違約金交渉が最終合意された事実はなく、12月19日になってエアバス側が英国商事裁判所に対し、訴訟の準備を開始した旨、報道され、スカイマーク広報も追認した。ANAは、当初A380導入の是非について2008年内に結論を出す予定であったが、2008年12月に世界経済の悪化を受け「ボーイング747-8とともに大型機の導入計画を一時凍結する」と発表した。理由は世界の金融不況に伴うもので、「新大型機検討委員会は廃止されずに時期を見て再開させる」とされていた。しばらく話の進展がなかったが2014年3月27日、同社は5機種の機材発注を同時決定した。その発注した5機種のうち、大型機として既存のボーイング777-300ERに加え、ボーイング777-9Xが新たに加わることとなった。2014年3月31日をもって同社からボーイング747が全機退役したにもかかわらず導入の話の進展がなかったことに加えて、「新大型機1種」は777-9Xとして選定された。2016年1月にANAの親会社ANAホールディングス(HD)が、A380型機を3機導入すると日本経済新聞より報道された。この機体が過去にスカイマークがエアバスに発注していた6機中、製造済み2機を含むのか、もしくは新規発注機材であるのか詳細は明かされてないが、2018年頃に納入される予定でANAのハワイ路線に投入され、成功すれば追加発注につながる可能性もあると報じられている。2016年1月29日、ANAHDはA380型機を3機導入することを正式に発表した。リゾート路線を拡充する機材となる予定である。A380型機は、低翼で後退角を持った主翼、通常形式の尾翼、主翼パイロンに装着したエンジンなどの一般的なジェット旅客機と同じ特徴を持っている。A380型機は基本型の旅客仕様-800型が最初に販売された。ボーイング747と違い、2階席も通路が2つある。2階建ての客室の1階(主デッキ)は最大幅6.58mで、ボーイング747-400の主デッキ客室最大幅より45.7cm広い。また上部デッキの客室最大幅は5.92mでエアバス社の従来のワイドボディ機の客室最大幅5.62mよりわずかに広い。エアバス社はその客室の大きさからラウンジやバー、免税品店やシャワールームなどを設けることも可能としており、実際にエミレーツ航空はファーストクラス利用者向けのシャワールームを設置した。しかし、飛行中は不測の乱気流で機体が大きく揺れることがあり、乗客が怪我や死亡する危険を最小限にするには、乗客が常に立ち歩く状態は好ましくない。作ったとしてもすぐに廃れるだろうという意見もあるが、在来機において既にバーは実現されている。また、逆にボーイング747の開発の際ではそのような接客設備の採用が検討され、ラウンジはいくつかの航空会社において実現したものの、座席数を増やすためにその後廃止された。キャビンの総面積はB747-400の約1.5倍、座席数はファースト・ビジネス・エコノミーの3クラスからなる標準座席仕様で同じく約1.3倍である。エアバス社では「従来の大型機と比べて同じ座席仕様でありながら、1人当たりの占有面積が広くなる」を同機のセールスポイントとしている。機内が総2階建て構造であることから、客室の最前部と最後部にそれぞれ直線式と螺旋式の階段が設けられ、最前部の階段では大人2人が楽にすれ違える幅がとられている。民間旅客部門では今までにない座席数である。例としてエール・オーストラルはモノクラス仕様で計840座席とし、世界最多有償座席数として記録が更新される計画もあったが、発注はキャンセルされた。2クラス仕様では2015年11月4日にエミレーツ航空が中距離2クラス仕様・615席(ビジネス58席・エコノミー席557席)を受領した事で、2クラス仕様における世界最多有償座席数であったANAのボーイング747-400D(2014年3月31日をもって全機退役)の569席を上回り、記録を更新した。2016年7月現在、2クラスで世界最多の有償座席数そして世界初の600席台有償提供である。標準座席仕様では、2011年11月現在、エールフランスが538席として、有償提供をしている。3クラス仕様における初の500席台であり、世界最多有償座席数の記録を更新している。また、一部の他の航空会社でも標準座席仕様で500席台とする予定である。2000年代後半以降では、ワンランク上のエコノミークラス(プレミアムエコノミーなど)を導入して4クラス仕様とする航空会社があるが、エールフランスが507席として、有償提供をしている。この仕様においても初の500席台であり、世界最多有償座席数の記録を更新している。操縦室と乗務員休憩区画などは2階建て客室部分の前にあり、メインデッキと呼ばれる1階とアッパーデッキと呼ばれる2階の間の1階より少し上がった中2階の高さに位置している。これは視界の確保と他のエアバス機との互換性のことも考えての設計である。操縦室は予備席も含めて5つの座席が備わる。2人乗務による操縦を行えるように、最前部左の機長席とその右の副操縦席の2座席を取り巻き操縦装置類が配置されている。操縦室後半には間隔を開けて2つまたは3つの座席が備わっている。本機はLCD(液晶ディスプレイ)を用いたグラスコックピットを備えている。ただし、エアバス社の従来のグラスコックピットと違う点は、一辺8インチの正方形のLCD6面から、縦8インチ横6インチの縦長のLCDが8面へと増えたことであるこれにより、コックピットに持ち込む書類の数の削減が可能となる。操舵形態は同社ではエアバスA320以来採用されているサイドスティック方式である。垂直尾翼前縁頂点部に機外カメラを取り付けることが可能となっている。機内のモニターでは、高さ24mからの映像が映し出される。この機外カメラの取り付けは、航空会社によるオプションである。2社が製造するエンジンから1種類を選ぶことができる。これらはいずれも主翼下面にパイロンを介して左右に2つずつ合計4基が取りつけられる高バイパス比ターボファンエンジンである。1つはロールス・ロイス・ホールディングス製トレント 900、もう1つはエンジン・アライアンス(GE・P&Wの合弁企業)製GP7270である。トレント 900はA380が初飛行した時のエンジンであり、最初は数多く販売されたが、その後GP7200の販売も伸びてきており、トレント 900の発注と肩を並べるまでになっている。エンジンのメーカ別にA380の型式がロールスロイス トレント900シリーズはA380-84X、エンジン・アライアンス GP7200シリーズはA380-86Xと表され区別できる。着陸滑走時には、ボーイング747などの4発機はエンジン4基全ての逆噴射装置を使用するが、A380では内側の第2と第3エンジンの2基分のみを使用する。操縦席のリバース操作レバーも、第2と第3エンジンの部分のみである。なお、計画当初A380はブレーキ性能が十分とのことで逆噴射装置を採用する予定はなかった。重量軽減と信頼性向上のため、逆噴射装置では民間機では初となる電気で作動するETRAS (Electrical Thrust Reverser Actuation System) を採用している低騒音で低二酸化炭素排出量を実現し、世界一運航規制の厳しいロンドン・ヒースロー空港でも24時間運用が可能である。このことから広告では「環境にやさしい飛行機」であることを売りにしている。巨体を支える降着装置のタイヤは、ノーズギア2本、ボディギア12本(6輪ボギー×2)、ウイングギア8本(4輪ボギー×2)の計22本である。なお、ボーイング747のタイヤはノーズギア2本、ボディギア8本、ウイングギア8本の計18本、ボーイング777ではノーズギア2本、ボディギア12本の計14本である。国際民間航空機関(ICAO)では、A380型機などの新大型航空機に対応する新たな飛行場等級「コードF」を設定し、滑走路や誘導路など基本施設の整備について細かな基準を設けている。それまではボーイング747-400型機などの大型ジェット機を想定したコードEが最高ランクであった。旅客取扱施設においては、総2階建てという新型機の特性から、固定ゲートを利用して航空機に搭乗する際のボーディングブリッジ(搭乗橋)の仕様が大きな課題となる。エアバス社によれば、現在世界の空港で広く採用されている1機あたり2本の搭乗橋で十分対応可能であるが、アッパーデッキに直結できる3本目の搭乗橋を設置すれば、乗降に必要な時間も短縮されるため、乗客の利便性がさらに向上するとしている。このほか、ゲートラウンジの拡張や駐機中の航空機に電気や空調を供給する地上動力施設(GPU)の能力アップなどが必要となる。日本の空港では、成田国際空港が2013年時点で第1ターミナルビルの15番・26番・45番・46番、第2ターミナルビルの66番・67番・68番が同機対応である。また、東京国際空港は、国際線ターミナルの107番スポットが該当する(ただし、こちらは2013年時点では定期乗り入れはないが成田空港閉鎖などによる代替着陸などによる運用実績はある。現状原則、国交省は同空港で混雑する日中の乗り入れを許可しない方針である。詳細は当該項目を参照)。さらに、2014年10月24日より関西国際空港第1ターミナル北ウイング11番ゲートにアッパーデッキ対応の搭乗橋を設置した。また、南ウイング31番ゲートに同年12月末までに設置予定。首都圏以外でも2014年11月時点で中部国際空港、新千歳空港(国際線ターミナルのみ対応)が運用可能空港となっている。シドニー空港などではA380に対応するため、地盤を固めたり、ボーディングブリッジを減らしたりなどの処置を行った。そのためスポット運用がぎりぎりになり、他機がスポットが空くのを待つという光景も見受けられたり、2014年にブラジルでFIFAワールドカップが開催され、需要の増加が予想されるサンパウロ国際空港へエールフランスが大会期間中、同型機の就航を計画していたが、ブラジル航空当局が事前に同空港を調査したところ前述の飛行場等級コードFの規定を一部満たせていない可能性があり、改修工事の目途も立たないことから当局は大会期間中の同型機の同空港への就航は認可しない方針であることが分かったりしていて充分な改修に対応できていない空港もある。このように今後、総2階席を持つ旅客機が増える見込みがあれば空港側の改修なども広がりが期待できるが、規定を満たせない空港が対応しない限り路線数も増やせないため、未知数である。A380の生産には、日本企業の21社が参加している。2002年4月に床下・垂直尾翼の部材担当として東邦テナックス、ジャムコ、住友金属工業、東レの4社が参入、6月に三菱重工業(前・後部カーゴドア)、富士重工業(垂直尾翼前縁・翼端、フェアリング)、日本飛行機(水平尾翼端)、10月に新明和工業、横浜ゴム、日機装が、2003年2月に横河電機、カシオ計算機、牧野フライス製作所が、6月にブリヂストン、三菱レイヨンが参加を決定した。とくに日本の炭素繊維の技術に目が向けられフレームなどの主要な部分に多用されている。A380は就航中、他に開発が計画・研究されている派生型がいくつかある。旅客仕様の基本型で、2007年10月25日にシンガポール航空が商業飛行を開始した。当面はこの型のみの販売・引渡しを行うことにしており、など、段階的な性能向上プログラムも検討されている。これらの改良を取り入れた第一段階の生産機は2012年頃から納入されると考えられている。この機体はエアバス社のエンジン換装型新型機プログラムと同様に、A380もA320neoやA321neoなどといった一連の「neoシリーズ」に加わる事となり、「A380neo」として改良が施された新型機となる。2016年にはUAEのエミレーツ航空が、改良機構想の「A380neo」に関する発表を行っており、同社はエンジン換装などが施されない場合でも、アビオニクスを中心とした改良機を追加発注する用意があるとしている。2015年6月に2機の発注を検討していることが報道されたユナイテッド航空も含めると、A380-800型機を導入した航空会社数は世界全体で14社となる。この発注が実現に至った場合、ユナイテッド航空がアメリカ合衆国の航空会社として初めてのA380-800型機発注となる。アジアではシンガポール共和国のフラッグキャリアであるシンガポール航空が、A380シリーズ全体でのローンチカスタマーとして初号機を受領し、シンガポール発欧米路線やオセアニア路線などで活躍している他、保有機材数としてもアジア地区最多の機数を有している。その他にタイ国際航空などが、繁盛期ごとの臨時定期便で日本国成田国際空港への定期乗り入れを行っている。2016年1月29日には日本の全日本空輸(ANA)が3機を発注することを決定。2018~2019年に納入される予定。順調に納入されればANAが日本初のA380を保有する航空会社となり、世界では15社目の発注航空会社となる。また、同社のフリートでは2014年3月31日以来、四発エンジン旅客機が再び加わることとなる。2016年5月のエミレーツ航空からの発表として、ドバイ国際空港に本拠地を置く世界最大のA380オペレーターである同社は、A380シリーズをさらに購入する意思があると国際通信社を通じて報じた。現状ではエミレーツ航空はA380-800型機の最大の顧客で、2016年3月には日本のスカイマーク向けに製造途中だった機材を引き受ける形で2機追加購入する契約を結び、計142機を発注している。現在は約70機のA380-800型機を世界各地を結ぶ国際線の主要超大型機材として運航しているが、これにさらに60機の追加発注を行う用意があるとしている。 ロイター通信は、エミレーツ航空CEOのコメントとして、発注は通算で「確定発注200機以上」になるとのコメントを紹介しており、すでにエアバス社からの発表によって、計画全体で黒字化の達成を発表されている超大型機A380プロジェクトをさらに後押しする事になると共に、これを以て総二階建機の生産体制が2020年代まで継続する事になる。貨物機型も貨物航空会社へ提案されている。貨物機型については重量物が運べないのでそれほどメリットがないとされ、ボーイング社はA380Fより777Fや747-8Fのほうがロスが少ないと説明している。世界最大の旅客・貨物機だけに貨物容積は広いが、機体の大きさのわりに搭載量は少なく、高速貨物輸送用途ではライバルとなる747貨物型に比べると不利な点が多い。また、ノーズ部が開かないため長い貨物が積めなかったり、専用ローダーがないと2階へ搭載できない欠点がある。このように、747貨物型では可能だったことが不可能になるだけでなく、747貨物型では必要のなかった設備の追加も必要なことから経済性では問題となり、貨物機としてはあまり関心を集めていない。受注状況の例としては、エミレーツ航空など旅客型はA380を発注しているが、貨物型は747-8Fを発注している。比較的軽い貨物を扱うFedExとUPS、ILFCはA380を一度、発注したが、旅客型の納入遅延をうけ、納入遅延を懸念してFedExが発注をキャンセルし、続いて2007年3月にUPS、ILFCが発注キャンセルした。このためエアバス社は受注を失い、2009年現在、貨物機の開発は中断している。しかし、発注する会社が出てくれば開発は再開される予定である。以下の派生型はいずれも発注している航空会社はない。(2016年4月12日現在)
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。