ジビエ()とは、狩猟によって、食材として捕獲された野生の鳥獣である。主にフランス料理での用語。主に畜産との対比として使われる。狩猟肉。本来はハンターが捕獲した完全に野生のもの(、ソヴァージュ)を指すが、供給が安定しない、また入手困難で高価になってしまうといった理由で、飼育してから一定期間野に放ったり、また生きたまま捕獲して餌付けしたものもドゥミ・ソヴァージュ(、半野生)と呼び、ジビエとして流通している。近年ではフランス料理に限らず、狩猟から供給される鳥獣肉を使った料理にジビエと入れるケースがある。ジビエを珍味と称して生食するのは感染症や肝炎のリスクが有り、大変危険である。ジビエのハンティングには、大変気を遣う。銃弾によって可食部分が大きく損傷してしまったり、内臓が飛び散って味が悪くなってしまってはいけない。ジビエ特有の獣臭は血抜きの技術に大きく左右され、血が残っているほど臭いは強くなる。逃げ回った獣は体温が上昇しており、なるべく早く肉を冷やさないと急速に腐敗する。そのため仕止めた後も血抜きや解体といった処理を迅速かつ適切に行う必要がある。解体は内臓を摘出し、一旦きれいな水で肉を冷却し、皮を剥いで脱骨や精肉をする。通常は獲ってすぐに食べるのではなく、数日から1か月程かけて熟成(、フザンダージュ)させてから調理する。野生の鳥獣は冬に備えて体に栄養を蓄えるため、秋がジビエの旬となる。これはジビエの胃の内容物を調べることでよくわかる。冬季にはジビエの餌となる果実などが減少するため、年越し頃から一般に肉質は低下する。また、繁殖期前は脂が乗り味が良くなるが、繁殖期を過ぎると一気に味が落ちる。夏バテをしやすい動物もいる。旬を見極めるには知識が必要だが、古くから狩猟によって食料を得てきたヨーロッパの人々にとっては、身近であると同時に無くてはならない食材である。日本で一般的に肉食が広まったのは明治時代以降とされているが、それ以前にも狩猟・肉食の文化はあった。マタギやシカリといった猟師がシカやクマ、イノシシを獲っていたし、海から離れた山岳地ではツグミやキジなどの野鳥も食べられていた。ウサギを一羽二羽と数えるのも、鳥と偽りながら食べられていた名残である。江戸時代の江戸においては近郊の農村から仕入れたその手の肉を取り扱うももんじ屋と呼ばれる店が存在していた。そうした意味においては、日本人もジビエを食べてきたといえる。フレンチ食材としてのジビエは、1990年代の中頃から日本に輸入されるようになった。ピジョン(鳩)、コルヴェール、ペルドロー、フザン、リエーヴル、シュヴルイエなどがフランスから入ってきている。ただし全てがフランス産という訳ではなく、ベルギー、イタリア、スペイン、ドイツ、さらにはオーストリアなどで獲れたジビエがいったんフランスに集められる。これは日本における検疫の都合によるものである。テレビ番組「料理の鉄人」で「ジビエ対決」が組まれるなど、知名度が上がるにつれて、ジビエ料理を出すレストランも増えてきている。現在日本ではジビエを入手するには専門の業者・肉屋に依頼する方法が一般的だが、国内の猟師とつながりのある肉屋、または食肉処理施設を持つ猟師から直接買い付ける方法もある。ジビエの品質は年齢や性別など肉質が不揃いで当たり外れがあり、実際に捌いてみないと確認できない事も多い。また、費用や労力がかかる上に安定供給できない効率の悪い商材のため、相場感も独特である。ジビエの流通では信頼関係や目利き、経験が重要となる。日本国内の多くの都道府県では、農作物のシカによる食害に悩まされていることから、生息密度をコントロールするために、鳥獣被害対策実施隊を組織すると共に地元猟友会の協力を得て毎年一定量の「有害鳥獣駆除」を行っている。しかし捕獲された野生動物肉が食肉として利用されることは少ない。例えば2006年に長野県で駆除されたニホンジカ約9,200頭のうち、食肉となったのは820頭で僅か9%に過ぎない。大半はハンターに自家消費されたり、山中に埋設されたりしている。そうした中、平成20年2月の「鳥獣による農林水産業等に係る被害防止のための特別措置に関する法律」が施行された以降は捕獲したシカを「モミジ鍋」ばかりではなくジビエとして消費を拡大し、特産物として地域振興につなげようという動きも多い。長野県大鹿村などでの取り組みが代表例としてあげられるが、近年は全国各地の自治体も取り組み始めている。獣肉を単に肉屋や地域特産物販売所に並べるだけでは地域振興にはならず、「販路の確保」と「調理法の普及」が重要であると指摘されている。前述の様な背景から、ジビエ料理の普及拡大を通じ鳥獣被害を減らすことで地域振興を目論んだ日本ジビエ振興協議会が組織され流通加工技術の向上と情報交換のため、2015年には第一回ジビエサミットが開催された。解体までに獣医師による病原微生物や寄生虫の検査が行われておらずリスクの高い肉と指摘されている。寄生虫症、E型肝炎ウイルスや病原性大腸菌などの食中毒原因病原体に汚染されているため生で食用とした場合、感染症を発症する恐れがある事から厚生労働省は「よく加熱して食べる」様、注意を促している。また、人だけで無くペットに対しても獣生肉を与える事を止める様指摘している獣医師もいる。
出典:wikipedia
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