『大長編ドラえもん』(だいちょうへんドラえもん)は、藤子・F・不二雄による日本の児童・SF漫画作品。長編アニメ映画の原作として1980年(昭和55年)より毎年1編が執筆された『ドラえもん』の長編作品で、映画公開に先行して『月刊コロコロコミック』で連載された。通常の『ドラえもん』が掲載1回毎の完結を基本としているのに対し、『大長編』は映画1作の原作となる1つの長編を数回に分けて連載され、ドラえもん・野比のび太・源静香・剛田武(ジャイアン)・骨川スネ夫の5人が編毎に異なる様々な冒険に立ち向かう様が描かれる。単行本も『ドラえもん』からと独立した『大長編ドラえもん』として発行されている。1996年(平成8年)の藤子Fの死後も藤子・F・不二雄プロが2004年(平成16年)まで続編を制作し、単行本も続巻として発行された。ただし藤子プロ制作の巻は「まんが版▷映画シリーズ」として、藤子F本人が執筆した巻とは区別されている。オリジナルの単行本は藤子Fが執筆した17巻に「まんが版▷映画シリーズ」7巻を合わせた全24巻が〈てんとう虫(コロコロ)コミックス〉より発行されている。タイトルには必ず「のび太」の枕詞が入るのが特徴。『月刊コロコロコミック』1980年(昭和55年)1月号より第1編となる「のび太の恐竜」の連載を開始。同編は1975年(昭和50年)に短編作品として発表されていた既存の短編に加筆し、映画原作用の長編にしたものであった。同年9月より連載を開始した第2編「のび太の宇宙開拓史」以降は全て描き下ろしとなる。概ね毎年9月号か10月号に連載を始めて、映画上映が近い3月号か4月号に完結するもので1シリーズ5-6回程度の連載だった。当初は単行本化はされずに『コロコロ』増刊の〈カラーコミックス〉として1編ずつをまとめたものが発行された。〈てんとう虫コミックス〉での単行本の発行が開始されたのは1983年(昭和58年)からであり、最初に単行本化されたのは同年に連載が終了したVOL.4「のび太の海底鬼岩城」。以降の作品は原則として連載終了の同年に単行本が発行されている。(詳細は#単行本を参照)第1編以降、3月の映画公開に先行して『コロコロ』で連載というスケジュールで毎年発表が続けられたが、1988年(昭和63年)公開となった『ドラえもん のび太のパラレル西遊記』は藤子Fの体調不良のために原作漫画が執筆されていない。このため、映画第10作の原作となる「のび太の日本誕生」は『大長編ドラえもん』では第9編となり、以降の作品では映画と漫画の通算数に1つのずれが生じている。また、1991年(平成3年)から1992年(平成4年)にかけて連載されたVOL.12「のび太と雲の王国」は藤子Fの体調不良のために最終2話が連載当時には執筆されず、『コロコロ』には藤子・F・不二雄プロによる「完全ビジュアル版イラストストーリー」(イラストと文章)が掲載された。連載同年の単行本発行もされずにいたが、1994年(平成6年)に完結編が『ドラえもんクラブ』に掲載され、同年に単行本も発行された。このため、例年通りに発行されたVOL.13「のび太とブリキの迷宮」よりも遅い単行本化となっている。「完全ビジュアル版イラストストーリー」は映画と漫画のどちらの物語展開とも異なる内容だが、単行本や関連書籍には未収録となっている。1996年(平成8年)、VOL.17「のび太のねじ巻き都市冒険記」の執筆中に藤子Fが死去。同編が遺作となった。自身でペン入れまで行ったのは最初のカラー3ページのみで、残りは藤子Fのネーム・原案を元に藤子プロが制作した。この「のび太のねじ巻き都市冒険記」までが藤子・F・不二雄の作品とされている。原作者である藤子Fの死後も毎年3月の新作映画公開は続けられた。これに伴い、漫画も藤子・F・不二雄プロによって生前と同様に映画公開に先行する形で『月刊コロコロコミック』に発表が続けられ、単行本も『大長編ドラえもん』の続巻として発行された。ただし、藤子プロ名義の単行本には「まんが版▷映画シリーズ」というシリーズ名が追加され、藤子F本人が執筆したものとは区別されている。この形での連載・単行本化は、映画第25作目で第1期最後の映画となった『ドラえもん のび太のワンニャン時空伝』公開の2004年(平成16年)まで続けられた。声優を交替して『ドラえもん のび太の恐竜2006』(2006年公開)から始まった第2期映画の漫画版は、『大長編ドラえもん』の続巻ではなく「映画ストーリー」シリーズとして個別に発行されており、VOL.24「のび太のワンニャン時空伝」が『大長編ドラえもん』の最終巻となった。「のび太と奇跡の島」以降は『月刊コロコロコミック』での連載を「大長編ドラえもん」として扱っているが、単行本は「映画ストーリー」シリーズになっている。『大長編ドラえもん まんが版▷映画シリーズ』では単行本表紙に記載される著者は藤子・F・不二雄プロのみであったが、「映画ストーリー」シリーズでは原作:藤子・F・不二雄プロ、作画:岡田康則として実際の執筆者の名前も記載されるようになった。同シリーズとしては「のび太の新魔界大冒険 〜7人の魔法使い〜」、「のび太と緑の巨人伝」、「のび太の人魚大海戦」「のび太と奇跡の島」「のび太のひみつ道具博物館」「のび太の宇宙英雄記」が発売されており、「のび太と奇跡の島」からは作画がむぎわらしんたろうに交代している。なお、『ドラえもん のび太の恐竜2006』の漫画版は執筆されておらず、『ドラえもん のび太の恐竜2006DS オリジナルコミック』という『ドラえもん のび太の恐竜2006 DS』を題材にした漫画140ページと攻略情報50ページが合わさった191ページの単行本が発売されている。また、『ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史』以降のリメイク作品は『月刊コロコロコミック』にて本編のアナザーストーリーが掲載されたがいずれも単行本化はされていない。『大長編ドラえもん』は映画化を前提に描かれており、1話完結が原則となる短編に比べて物語の規模が大きいのが特徴。短編では狭い町内を舞台に数人の友達だけで物語が進むことが多いが、このシリーズでは大昔の地球や他の惑星といった非日常の世界を舞台に、その世界の住人や強力な敵などさまざまな人物が登場する。いつもはダメな少年のび太が大長編では大活躍し、ジャイアンにおいては、いじめっ子としてよりも頼れるいいやつとしての表現が顕著になるイメージが持たれているが、それは非日常的な冒険世界に突入してからであり、それまでは短編同様、我がままで乱暴な性格である(「のび太の宇宙開拓史」「のび太の創世日記」など)。また、スネ夫もジャイアンと似た特性があるが、5人の中で一番の弱虫として扱われることも少なくなく(「のび太の恐竜」「のび太の南海大冒険」など)、スネ夫がトラブルメーカーの作品もある(「のび太と竜の騎士」、「のび太とふしぎ風使い」など)。一方で、持ち前の蘊蓄や観察力、技術力を発揮し、参謀や技師として活躍する作品も多い(「のび太の宇宙小戦争」「のび太とブリキの迷宮」など)。ヒロインの静香については、短編以上に穏和な少女として描かれており、敵に対し、平和的解決を図ったりする場面が多い(「のび太と鉄人兵団」「のび太と雲の王国」など)。また、短編以上にのび太に気があるような描写が目立っており、それは後作ほど顕著である(「のび太と鉄人兵団」「のび太のドラビアンナイト」「のび太と夢幻三剣士」「のび太の創世日記」「のび太とねじ巻き都市冒険記」など)。主人公であるドラえもんの出番は若干喰われ気味であるが、頭脳でリーダーシップをとる指揮官としてのポジションは確保している。また、静香がのび太に対して使用する呼称は一貫して「のび太さん」となっている。このシリーズでは主要メンバーがドラえもん、のび太、ジャイアン、スネ夫、静香の5人に固定されており、その話のゲストキャラとの協力で危機を解決し、他の人物が問題解決に介入することはほとんどない(「のび太の魔界大冒険」『ドラえもん のび太のパラレル西遊記』ではドラミが問題解決に介入している。また、アニメ第2作2期シリーズの劇場作品においては『ドラえもん のび太の恐竜2006』『ドラえもん 新・のび太の大魔境 〜ペコと5人の探検隊〜』を除いて登場し、冒険に参加したり協力をしている)。こうした事情のため、短編とは人間関係がやや異なる。例えば、短編ではジャイアンやスネ夫がのび太をバカにしたり仲間はずれにした(ここまでは大長編でも導入によく使われる)仕返しに、2人(特にジャイアン)を仲間はずれにして、しずかや他の町の同級生たちと道具で遊ぶことがある。しかし、大長編ではジャイアンを締め出そうとして失敗することはあっても、結局は仲間になる。逆に、短編なら不特定多数の町の子供を誘うような場合でも、大長編では「いつもの5人」以外の町の子供は仲間に入れようとせず、興味を持たれると嘘をついてまでして追い返している(「のび太の日本誕生」、「のび太と雲の王国」)。「のび太とアニマル惑星」では、原作にはあった出木杉の登場シーンがまるまるカットされたこともある。のび太たちの親は、基本的にはのび太たちの冒険に気付いていない。ただし、「のび太の宇宙小戦争」にてピリカ星のパピを匿った時は、のび太の両親も受け入れているため、異星人を認知したことになる。また、遺作となった「のび太のねじ巻き都市冒険記」では、のび太たちが過去に「危険な大冒険」をしていたことに気付いており、母親達が揃って、のび太たちがまたそのようなことに身を投じていないか様子を見に来る描写がある。この他、「のび太の海底鬼岩城」では、のび太はドラえもん達と一緒に海底探検に行く際、ママには「海水浴に行く」とごまかしていたが、ママはテレビで海底火山の噴火のニュースを聞き、のび太たちが噴火に巻き込まれるのではないかと危惧した場面がある。藤子プロの作品では、「のび太と奇跡の島」では特殊な形でのび太の父・野比のび助が冒険に参加するが、彼はその後に冒険の記憶を失っている。それ以外の大人達は基本的にストーリーの本筋には関与せず、また冒険の内容を知ることもないが、「のび太の大魔境」「のび太と竜の騎士」では、神成がドラえもんの道具を破壊して結果的に妨害する役割を果たしている。「のび太の創世日記」では、異世界の日記は夏休みの自由研究として書かれた物なので、先生への提出を前提としていることになる。この他ゲストキャラとして、「のび太と雲の王国」では密猟者達、「のび太のねじ巻き都市冒険記」では前科百犯の熊虎鬼五郎が登場したことがある。頻繁に登場するひみつ道具は、どこでもドア、タケコプター、ひらりマント、空気砲、ショックガン、スモールライト、通りぬけフープ、桃太郎印のきびだんご、テキオー灯などで、大長編でのみ使用される新しい道具も少なくない。逆に、便利過ぎて簡単に問題が解決してしまうような道具や、強力過ぎて簡単に敵を全滅させられるような兵器は登場しない傾向が強い。本節では『大長編ドラえもん』の各単行本及び『大長編』をまとめて収録した単行本に類する雑誌増刊の概説を記載する。各単行本の書誌情報については#書誌情報を参照。いずれも通常の『ドラえもん』とは独立した『大長編ドラえもん』の単行本として発行。原則として1つの長編毎に1冊としてまとめられているが、『大長編ドラえもん大全集』と〈藤子・F・不二雄大全集〉の2つは例外的に1冊に複数の長編を収録している。以下特記のない限り、書名は『大長編ドラえもん』。中央公論社の〈中公コミックス 藤子不二雄ランド〉を除き、発行は全て小学館。特記のない限り、著者は藤子・F・不二雄。中央公論社の〈中公コミックス 藤子不二雄ランド〉を除き、発行は全て小学館。以下の出典は『小学館:コミック』(小学館)内のページ。書誌情報の発売日の出典としている。
出典:wikipedia
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