『OVERMANキングゲイナー』(オーバーマンキングゲイナー)は、2002年9月7日から2003年3月22日までWOWOW(有料枠)で放送されたロボットアニメ。サンライズ製作。全26話。富野由悠季総監督とサンライズ井荻スタジオ母体による『∀ガンダム』以来2年半ぶりのTVアニメシリーズ。『機動戦士ガンダム』を代表作としながら、『無敵超人ザンボット3』、『伝説巨神イデオン』、『聖戦士ダンバイン』など「主要人物の大半が死ぬ」悲惨そのものの結末が多かった富野監督作品は『機動戦士Vガンダム』で一つの区切りとなり、それ以降の『ブレンパワード』、『∀ガンダム』では滅多に人が死ぬ描写がなく、敵味方が戦いを通じて融和していく作品となっている。アニメファンの間では前期作品を黒富野、後期作品を白富野と称されており、『キングゲイナー』は白富野を代表する作品。富野自身が務めることが多かったストーリー構成を若い脚本家の大河内一楼に任せながらも、大河内が「人間地雷」を主軸にした人が死ぬ話を提案したところ「もう悲惨な話はいいよ」と諭すなど、自ら始めたシリアスな作風のロボットアニメとは異なる明るく楽しいエンターテイメント作品を目指している。富野は「この作品のライバルは『クレヨンしんちゃん』」と発言している。さらに『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』を特に指し、「視聴者が、この"アニメというエンターテインメント"の面白さの理解を出来ていないようではいけない」と述べ、キングゲイナーもエンターテイメント性を強く打ち出したものと述べている。エンターテイメント指向はまずオープニングのテーマソングとそのタイトルバックに現れている。テーマソングは現代風に洗練されてこそいるが1970年代から1980年代のロボットアニメでは普通であった「主要ロボットの名前を連呼する」スタイルである。そしてタイトルバックもイントロ部分から流れるテンポのよい主題歌の歌詞・メロディに合わせて、登場人物がミュージカル風にポーズを取ったり、登場人物や作中に登場するオーバーマンが列を成してモンキーダンスを踊ったりする楽しい映像としている。作品背景を侵略や戦争ではなく「エクソダス」、即ち、環境保護を大義名分とした支配から聖地ヤーパン(Japanのドイツ語読み)への回帰。もっとくだけた言い方をしてしまえば、「支配からとんずらする連中とそれでは困る支配者側の追いかけっこ」と単純明快にして、敵対する相手を殺害する動機や必然性を全くなくしている。また、敵側のシベリア鉄道警備隊から脱落したり寝返る者が多いのも、「所詮は俸給をもらう代わりに現場でキツイ思いをさせられている下っ端」という意識からで、思想的背景や主義とは全く無縁(敢えて言うなら個人的な事情)である。また、作中のロボット、オーバーマンの特殊能力を「盗み取る」「幻を作る」「人びとの本音を露にして争いに至らしめる」といった捻りのあるものとすることで、戦いの場面を単なる力と力のぶつかり合いから展開を愉しませ得るものに発展させている。その位置づけも「実体はなんだかよくわからない過去の遺物」にすぎず、それが生み出された背景や細かい説明もされていない。なお、富野監督作品としては初めてデジタル彩色が用いられた。地球環境が悪化し、人類が「ドームポリス」と呼ばれる天蓋都市での生活を余儀なくされた近未来。シベリアのドームポリス「ウルグスク」に住む少年ゲイナーはドームポリスからの脱出行「エクソダス」に反対していた両親を暗殺されて引き籠もりとなり、自宅でテレビゲームに埋没する孤独な毎日を送っていた。念願であった「ゲームチャンプ」の称号を獲得したゲイナーだったが、ミィヤの祭りの日を前にして、授業中唐突に現れたシベリア鉄道警備隊のアデットに逮捕されてしまう。罪状は自らの忌み嫌う「エクソダス」への共謀罪だった。無実の身で囚われとなったゲイナーはボロ雑巾のように叩きのめされ地下牢に叩き込まれたゲインという青年と知り合う。ゲインの申し出を受け、脱獄したゲイナーはウルグスクの支配者であるメダイユ公爵の愛娘・アナ姫と出会う。彼女を人質にして逃げる算段をつけたゲインに公爵秘蔵のOVERMANを起動させるよう命じられたゲイナーは白いスーツのOVERMANに「キングゲイナー」と命名。ゲインの目論見をよそにキングゲイナーに乗り込んだゲイナーは追っ手として現れたアデットと戦う羽目に陥る。その混乱に乗じて「ウルグスク」は祖先の地・ヤーパンを目指して「エクソダス」を開始した。自らの意思とは裏腹に「エクソダス」に協力することになったゲイナーはそれを阻止せんとするシベリア鉄道警備隊との戦いや「強烈な個性を持った様々な人々」との出会いを通して人間的に成長を遂げていくことになる。富野の監修の下に、キャラクターデザイナーの1人である中村嘉宏が漫画版を連載したが、個々のキャラクター設定などにアニメ版とは若干の違いがある。基本的な動力理論はシルエットマシンと同系統ながらその数倍の性能を持つ発展技術を使うロボット。外装と動力が一体化されたシルエットマシンとは違い、人工筋肉といえるマッスルエンジンで駆動される。基本構造は脊椎動物に類似した骨格と筋肉・神経系からなり、それらを覆う皮膚、さらには専用の「衣服(オーバーコート)」を持つ。オーバーコートは装甲としてだけではなく、オプション機能の装具としても利用される。動力源はシルエットマシンと併せて外装を使った太陽光発電の類(光子を直接エネルギーに変換している?)であることが漫画で明らかにされている。また、アニメ版劇中では「リキュール」と呼ばれる調合を必要とする液体をマッスルエンジンのパッケージ(柔らかく、袋状の莢を持つ)に注入し、手作業で全体に行き渡らせて補充している様子が描かれている。オーバーマンは駆動に際してフォトンマットと呼ばれる高エネルギーを放出(半ば質量を持ったエネルギー放射)する。このフォトンマット放出をコントロールすることで飛行・慣性制御を行い、さらには防御・攻撃に利用することも出来る。ある程度以上のフォトンマット放出は天使の輪や仏像の光背(後光)のようにも見えるフライングリングと呼ばれる光輪を形成する。オーバーマン起動時にはシルエットエンジンを動作させるのと同系統のエネルギーを周囲に大量放出するため、シルエットエンジン側が動作できなくなってしまう「起動干渉」とよばれる現象が発生する。作中世界の基本的な乗用装置の総称。架空のテクノロジーであるシルエットエンジンによって稼働する。動力(エンジン)と外装(シルエット)が一体化された機械装置として描かれる。その原型はドームポリス建造時代に遡り、現代の自動車と同じような感覚で使用される。人型をしていたり、足の生えた乗物(「ホロ付き軽トラ」のような庶民の足レベルで社会に浸透している)として登場する。球形バルーンタイヤを履いた自動車やスクーターも登場するが、これらもシルエットマシンの一種で、自動的にタイヤを変形させることで、ぬかるんだ泥道を疾走したり階段を上るなど、かなりの悪路でも走破できる能力を持つ。これらシルエットマシンは凍結したツンドラ地帯などの苛酷な環境下での移動手段として、ドームポリスの市民生活に必要不可欠な機材となっている。その一方で銃砲を搭載して兵器として運用される。外装がそのまま動力(動力源+駆動系)になっているため、たとえ胴体を真っ二つにされても、上半身だけで動き回る。アニメ版、漫画版の双方でもシルエットエンジンは熱をもっており暖かいことが描写されている。以下では、戦闘用の人型のシルエットマシンを挙げる。現実世界でのビル程の大きさのある巨大シルエットマシン。調査、土木工事、通信などの目的で建造された物で武装はない。劇中ではエクソダスのための都市ユニットの牽引に用いられた。駆動は足のような構造や地面すれすれの滑走、車輪が使われていたりと様々である。5.1chDVD-BOX版では、オーバーマンの飛行音などのSEがTV版から変更された。キングゲイナーがスピンオフ参戦するゲーム『Another Century's Episode 3 THE FINAL』では、この5.1ch版と同じ飛行音が使用されている。コミックフラッパー(メディアファクトリー)連載。中村嘉宏・画。全7巻。第6巻の2007年3月発売から2年半も間が空き、最終巻である第7巻が2009年9月に発売された。富野由悠季の手により、月刊ニュータイプで連載されていた(2002年9月号 - 2003年2月号まで6話)。挿絵は西村キヌ。単行本化はされていない。2007年に電撃ホビーマガジンで連載されたあきまんによるイラストコラム。デザイン決定時からリボルテック化を前提に進められていたブラックオーバーマンは「XAN-斬-(後のキングゲイナー)」として誌上通販となった。2009年3月5日に、バンダイナムコゲームス(バンプレストレーベル)から発売された『スーパーロボット大戦Z スペシャルディスク』で、XANがサンライズ監修の元映像化されている。戦闘シーンの修正絵コンテは監督である富野由悠季が行っている。後にバンダイナムコゲームスから発売された『』にも登場し、ゲイナーの専用機体の1つとして扱われている。キングゲイナーそのもののゲーム化は過去に無いが、スーパーロボット大戦シリーズを筆頭としたバンプレスト(後のバンダイナムコゲームス)作品に何度か登場している。
出典:wikipedia
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