『ガンヘッド』("GUNHED")は、1989年7月22日に公開された日本映画。配給は東宝。本作は、『機動戦士ガンダム』などアニメによる巨大ロボットものを得意としたサンライズと、実写特撮ものにかけては長い歴史と経験を持つ東宝映画がタッグを組んだSF映画である。また、出資者によりメディアミックス展開が図られた。実写で巨大ロボットの活躍を描いた映画であり、「巨大ロボットによる屋内劇」という他に類を見ない特撮映画作品である。公開当時は「史上初の実写巨大ロボットムービー」を宣伝文句にしていた。1987年頃より『ガンヘッド』のロボットのキャラクターをサンライズ側が打ち出して、東宝に持ち込む形で企画された。当初の監督候補は長谷川和彦だったが企画段階で降板し、アメリカで映画を学び『スター・ウォーズ』の日本語版演出でSFの経験がある原田眞人を起用された。特技監督は、1984年にSF映画『さよならジュピター』を手がけ、後に『ゴジラ』シリーズの特撮を長く任されることになる川北紘一である。主役ロボットのガンヘッドはアニメ畑の河森正治がデザインした。企画当初は大河原邦男によるデザインが進行しており、大河原稿と初期企画案『機動戦都市コマンドポリス』や『モビルファイター・ゼロ(戦闘機兵0)』のストーリーを元にアニメーターの吉田徹がイメージボードを数点描き起こしている。この後同じ吉田の手で、サンライズの山田哲久プロデューサーやブレーンスタッフのアイデアを河森の準備稿デザインで描いたイメージボードも制作された。河森のデザイン決定稿を元にしたイメージボードは、イラストレーター幡池裕行の手で映画本編のシナリオを元に描かれた。ガンヘッドは高さ6メートルの実物大全身プロップも製作されたことでも話題になった。実物大プロップは、宣伝と人物との絡みシーン撮影に使用されている。プロップ製作は『さよならジュピター』に続いて小川正晴率いるオガワモデリングが担当した。実物大モデルをはじめ各種サイズで製作された。撮影には主に1/8スケールモデルが使用され、戦車形態、直立形態、変形用モデルがシーンにより使い分けられている。1/3相当スケールのガンヘッドの上半身のみの着ぐるみはクライマックスのエアロボットとの格闘戦シーンで使用されており、DVD収録のメイキングで確認できる。エアロボットは、初期稿を河森正治が担当したがギミックや構造が操演面で難があると判断された為、河森稿で提示されたコンセプトをスタジオOXが受け継いでラフデザインを数点起こしている。さらにスタジオOX稿を一部継承する形で美術デザイン担当の大澤哲三がデザインし、最終デザインはプロップ製作と共に東宝美術部が担当した。冒頭、過去の場面での銃器類は『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』に登場する悪の組織「赤イ竹」用のプロップが使用されている。ロボットアニメの実写版を期待したサンライズ、SF映画を意図した原田眞人、特撮ものならではのロボットものにしたかった川北紘一とそれぞれの狙いが異なったが、結局、東宝のプロデューサーもサンライズのプロデューサーも川北の方向性で撮影中もシナリオを直していった。しかし、完成した作品には「分かりづらい」「印象が薄い」「画面が暗くて何をやっているか分からない」と不評の声も聞かれた。一方、特撮を評価する声もあった。劇場公開版では、外国人俳優が多数出演し、劇中では登場人物がそれぞれ日本語と英語とで会話、字幕スーパーがついていた。TBSでの地上波オンエア版ではナレーションも含めて全て日本語に吹き替えられており、ニムは戸田恵子が演じた。また日本人キャストの声も全て再録されており、主役の高嶋の演技力が向上している事、一部のセリフが変更されて明解になっている事、加えて放映時の画質が良好だった事から、このテレビバージョンを支持する声もある。興行は芳しくなく、映画雑誌『キネマ旬報』では「惨敗」「企画の失敗」とまで言われた。一方、本多俊之による音楽は、公開後20年近く経過した現在もなおニュース、ワイドショーや、ドキュメンタリー番組といった報道番組全般で使われ続けている。本作の公開のころには、すでに1984年版『ゴジラ』に続くゴジラ映画の新作が製作中で、公募されたストーリーの候補の一つとして、ゴジラと巨大コンピューターと戦い、コンピュータが戦車もどきのメカになるという案があった。しかし、『ガンヘッド』が興行面で失敗したことで却下となり、最終的にはもう一つの案である新しい怪獣を登場させることで落ち着き、後の『ゴジラvsビオランテ』となった。同作には、川北紘一をはじめとする『ガンヘッド』の特撮スタッフの多くがそのまま参加した。『ガンヘッド』の綴りは「GUNHED」であり、「GUN unit of Heavy Eliminate Device」の略称という設定になっている。また、「ガンヘッド」という名称はメカニカル・デザインを担当した河森正治がデザイン画に書き込んでいた仮称が、そのまま採用されたものである。ただし、綴りは「GUN-HEAD」であり、そのままだと直訳で"銃頭"と受け取られてしまうため、海外展開を考慮して「GUNHED」が代用されるようになった。こういった経緯から映画公開以前は「GUNHEAD」、映画公開以降は「GUNHED」となっている。河森は「GUN-HEAD」を名称未定メカの仮称として度々使用しており、OVA『破邪大星ダンガイオー』の主役ロボットであるダンガイオーのデザイン画にも「GUN-HEAD」と書き込んでいた。DVDが2007年2月23日に東宝より発売された。標準価格6,300円で、品番はTDV-17037D。片面2層の本編ディスクに映像がビスタサイズで収められ、映像特典として予告編やメイキング、静止画資料集も収録される。音声は劇場公開版のみ、字幕も公開時の手書きの物で、テレビ吹替版は収録されていない。封入特典はサウンドトラックCDの復刻版。解説書も付属する。このDVD発売を記念してDVDの発売日に新宿ロフトプラスワンで、川北特技監督らが出演のイベントが開催された。1990年代にアメリカでもVHSが発売になっているが、アメリカ人のテイストに合わないと大幅に再編集された。これに憤慨した原田は監督のクレジットから名前を削除し、DGA(全米映画TV監督組合)が定める偽名クレジット「アラン・スミシー」とした。なお、原田は日本映画監督協会員だがDGAとは全く関係ない。2004年にアメリカのADV FilmsからDVDが発売。DVD版の本篇はタイトル・スタッフクレジットの違いと日本語字幕が無い事以外は日本版と変わっていない。2025年、無人島8JOに建設された全自動のロボット工場を司る巨大コンピューター「カイロン5」が人類に宣戦布告。人類は鎮圧のため自動戦闘ロボット「ガンヘッド」の部隊を送り込むが守護神「エアロボット」の前に全滅、島は封鎖された。13年後、カイロンのCPUを盗むべく島に侵入したトレジャーハンター「Bバンガー」の面々は、連邦政府の研究所から超電導物質テキスメキシウムを奪って逃亡していた生体ロボット「バイオドロイド」の襲撃をうける。生き残ったのはメカニックに強い青年ブルックリンと、バイオドロイドを追ってきた女性レンジャー・ニムの2人のみ。島に生き残っていた子供セヴンとイレヴンに助けられる2人。やがてカイロン5の恐るべき陰謀を知ったブルックリンは、残骸の中に生き残っていたガンヘッド507号機を有人型に修復、カイロンとエアロボットに戦いを挑む。※映画クレジット順※映画クレジット順世界設定や時代設定は後述のように、映画版とは大きく異なる。『正伝』が映画版のノベライズに相当し、『1』と『2』はその前史に当たるため、主人公も映画版とは異なる。また、エログロ描写も盛り込まれている。ちなみに、『正伝』の後に『完結編』が発売される予定だったが、映画版の興行成績の不振を受けてか見送られた。會川の弁によると、『完結編』は2巻と『正伝』の間に来るエピソードで、ガンヘッド大隊がカイロン5と戦うという、映画版における「ロボット戦争」に相当する物語だったそうである。発売から27年後の2016年9月16日にはKADOKAWAから電子書籍化され、BOOK☆WALKERをはじめとする各所での販売が開始された。『1』『2』はそれぞれ前編・後編の続きもの。ガンヘッドは活躍シーンが少なく、物語のカギの1つでもある「ゼロタイプ」に至っては敵メカとして登場するうえ、それを巡ってアウトローの主人公「ライナー・真島」が立ち回るハードボイルドの物語が描かれる。舞台は、人類が移住した惑星の1つ「出雲」。この時代、人類はコンピュータネットワーク「ステーション」によって事実上の統治・管理下に置かれている。人種や思想の違いを人類が争いを起こす根源の1つと判断したステーションは人種隔離政策を進めており、「出雲」には日系人が多く住む。真島は、揉め事などの処理を生業とする私設警察官である。謎の美女「ユウ・砂時」の依頼を受け、出雲正規軍の開発した新兵器「ゼロタイプ」奪取に関わった真島は、出雲を巡る陰謀に巻き込まれていく。ゼロタイプはガンヘッドのプロトタイプであり、戦闘力に優れるばかりかあらゆる攻撃の威力を軽減する特殊装甲を持つなど、人機を超越した圧倒的な存在として描かれている。また、ステーションに依存しない(映画版でカイロン5にもタイタンにも影響されない意味での)独立戦闘兵器としてのガンヘッドが、独自の側面から描かれている。本作のガンヘッドは味方ではなく、一貫して敵側の機体である。武装はレーザーなどを多く搭載する。『正伝』は映画版のノベライズに当たるが、上記の『1』『2』の世界観を継承しているため、背景設定やキャラクター描写が一部異なる。人類が出雲などの移民惑星へ大挙して移住したことにより、結果的に荒廃した地球が舞台。地球も移民惑星同様ステーションの管理下にあり、カイロン5もステーションを構成するスーパーコンピュータの1つだったという設定である。ステーションの存在意義は「地球にとってもっとも良い環境保護を実施する」ことであるため、人間は本質的には地球にとって有害性を持つ存在でしかない。ステーションは、人類を「食糧供給から思想統制に及ぶ幅広い分野で管理しなければならない種である」との結論に基づき、彼らを抑圧している。また、人類の暴力性を危険視しているが、基本的には「人類の敵」ではなく「地球の味方」である。人類はステーションの目を逃れて隠れ住みながら、その一部はレンジャーズなどのレジスタンスを組織し、ステーション端末へのゲリラ戦を続けている。基本的にはレンジャーズの人類解放戦は限定的に成功しているが、ステーションからの食糧供給能力なども破壊することで慢性的な食糧不足といった問題も噴出しているため、人類の中でもレンジャーズの活動の功罪については微妙な位置付けとなっている。小説版の世界ではあらゆるコンピュータがステーションの管理下に置かれているため、人類の使用可能な戦闘兵器は大幅に制限されているが、ガンヘッドシリーズは偶然にもステーションの管理から外れる存在として製造されたため、反ステーション組織レンジャーズたちは抗戦に利用していた。なぜ、そのような個体が存在するかについては説明されていないが、『2』の終盤でその謎の一部について明かされる描写がある。レジスタンスの攻撃でいくつものエネルギー源を失い、スタンバイ状態で眠っていたカイロン5は、Bバンガーがテキスメキシウムを奪取したため、異常を察知して目覚める。エネルギー低下により他ステーション端末との通信が失われた結果、人類による他ステーション端末の破壊活動で残ったのは自分だけであると誤認したカイロン5は、人類を管理不可能な存在であると判断して人類壊滅プログラムの起動を決定する。ブルックリンたちは生き残るため、ガンヘッドと共にカイロン5と戦いを繰り広げる。ブルックリンは幼い頃に遭遇したある出来事による銃器恐怖症というトラウマを抱えているうえ、カイロン5や8JOとは非常に強い関わりを持っている。ニムはレンジャーズに所属して映画版同様の戦闘能力を持つ一方、ビジョネイル(キーボードなどのデバイスを介さずにコンピュータとリンクし、対話できる能力の持ち主。漫画版を担当した麻宮の代表作『サイレントメビウス』にも、同様の能力者が登場する。)という設定になっている。Bバンガーの面々は映画版の俳優陣に準じた外見で、挿絵に描かれている。ただし、ベベの外見だけはやや漫画版寄りとなっているほか、ボクサーが臆病な面を覗かせたりボンベイが非常に凶暴な性格で描かれるなど、作中ではその役割や性格描写に若干の差異がある。セブンとイレブンは登場せず、代わりに2人の特徴を併せ持った「キーワード」と呼ばれる子供が登場するが、彼女にはブルックリンの妹と解釈できるような描写や、カイロンタワーのメンテナンス技術者の娘との描写がある。「キーワード」の意味は作中で重要な意味を持っているが、カイロン5から基本的に手厚く保護養育されていることとも関係がある。エアロボットは映画版や漫画版での機体に相当する1号機だけでなく、さらに凶悪な外見と機能に加えてスタンディングモードへの変形機構すら備えた2号機も登場する。角川書店からは映画を中心に小説やコミックの紹介も含めたムック(ニュータイプ100%)、ホビージャパンからは映画の紹介に加え独自のメカニック解析・解説を主体としたムック、ケイブンシャからはガンヘッド・バリエーションの解説等の記事も多数掲載した子供向け書籍シリーズ「ケイブンシャの大百科」、バンダイからは映画のストーリーや各種設定等の紹介書籍と特撮に関して解説した書籍が発売された。公開当時、バンダイからガンヘッドのプラモデルの発売がアナウンスされていたが実現せず、23年を経た2012年10月にようやくコトブキヤから1/35スケールのプラモデルが発売された。全関節可動でG1/G2モードの変形も再現され、ブルックリンのフィギュア2体が付属する。本作の準備中の初期企画案『機動戦都市コマンドポリス』は、アメリカ映画『ロボコップ』や日本のアニメ『機動警察パトレイバー』と設定が競合するために没となった。『ガンヘッド』と同時期公開になったアニメ映画『機動警察パトレイバー the Movie』の劇中の方舟のシーンが、本作の「閉鎖空間からの敵中突破」という状況に類似していることを、『パトレイバー』側のスタッフの出渕裕は心配したが、映画館で本作を鑑賞した結果、その出来に「これなら大丈夫」と安堵したという逸話がある。ガンヘッドのコックピット内の操縦シーンはブルックリンのアップが多いが、これは撮影中にブルックリン役の高嶋政宏がコックピット内の操作アームを壊してしまったためである(壊してしまうシーンがそのまま収録されている)。修復も試みられたが、完全な修復は困難だったために操縦シーンは大幅にカットされ、その後は高嶋をアップで映しながらコックピット内の撮影が続行された。原田監督は、ブルックリンの属するトレジャーハンター集団の名称を映画『ワイルドバンチ』のタイトルにもなった無法者一味をイメージして《Bバンチ(B-Bunch)》にしようと考えていたが、諸事情からその名称は使われなかった。結果的にはバンチョー役のミッキー・カーチスが歌手活動中にリーダーとして率いたバンド「バンガーズ」にちなみ、《Bバンガー(B-Banger)》となっている。1992年11月25日には、TBSの水曜ロードショーでテレビ初放送された。内容はテレビ放送用に改変されており、放送時間は92分になっている。英語の台詞はすべて日本語に置き換えられ、吹き替えはニムを戸田恵子、ガンヘッドやナレーションを郷里大輔が担当した。ラストにはメリー・アンが上昇するカットが挿入されているが、これはアバンのメリー・アンが着地するシーンを逆再生したものである。
出典:wikipedia
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