フィギュアスケートの採点法(フィギュアスケートのさいてんほう)では、フィギュアスケート競技における採点法について説明する。採点法は大きくは、2003年シーズンから用いられているISUジャッジングシステムと2002年シーズンまで用いられていた6.0システムに分けられる。ISUジャッジングシステム=コード・オブ・ポイント (CoP;Code of Points) は、国際スケート連盟 (ISU) が規定しているフィギュアスケート競技の採点法。6.0システムに対する呼称として、「"new judging system(新採点システム)"」と記載されることもあったが、2007年以降にISUが公開した文書にこの呼称は使われていない。近年では「"International Judging System"」とも呼称されている。ISUジャッジングシステム策定以前、毎年行われるISU総会において6.0システムに替わる採点法の素案やアイデアが提案されることは珍しくなく、1994年よりISU会長に就任しているオッタビオ・チンクアンタも採点法としての規定性が大きく欠ける6.0システムによる競技運営が限界に近づいていることを懸念していたが、採点法の大幅変更は基本的に足踏みを続けていた。そのような状況においてソルトレイクシティオリンピックにおけるフィギュアスケート・スキャンダルが発生、競技から主観性を極力排除することを目的に、現在の採点法であるISUジャッジングシステムへと繋がる採点法改革の流れは一気に加速した。ISUが新たな採点法の最初の素案を開示したのは、問題となったペア競技が行われたわずか一週間後というスピード開示であった。ISUジャッジングシステムの原型となったルールは2003-2004シーズンのISUグランプリシリーズにて試験導入され、その後の2004年6月の総会で賛成多数で可決、2004-2005シーズンより正式に導入された。ISUジャッジングシステムでは各種目毎に技術点、構成点、ディダクション(減点)を算出し、それらを合計した総合得点によって勝敗が決する。なお総合得点が同点だった場合は、フリースケーティングまたはフリーダンスの得点が高い選手が上位に、それぞれの種目においては同点だった場合は構成点の高いほうが上位となり、構成点も同点の場合には同一順位とされる。技術点は選手が実行した各規定要素に対して与えられる得点の合計点である。各要素の得点は基礎点とGOEによって以下の手順で算出される。なお規定要素は各種目毎のページ(シングルスケーティング、ペアスケーティング、アイスダンス、シンクロナイズドスケーティング)を参照のこと。基礎点は実行した技の評価の基礎となる得点である。各要素の基礎点は「要素の入り方」、「回転数」、「レベル」によって算出される。その名の通り、各要素を開始時の動作。ジャンプ要素やリフト要素では踏み切り、スピン要素ではフライングであるか否かに該当する。ジャンプ要素及びツイストリフトで選手が実行した回転の数。ジャンプ要素の回転数は、ジャンプの空中での軌道を基準とし、踏み切り動作から離氷後に再びスケート靴のブレードが氷に触れるまでの間に何回転したかによって決まる。ツイストリフトの回転数は、女性の踏み切り動作から女性の体が男性に支えられるまでに何回転したかによって決まる。ジャンプ同様に回転数が判定されるペア競技のツイストリフトに関してはアンダーローテーションに該当する判定は無く、回転の不足分が1/2回転以上の場合のみダウングレードが適用される。ジャンプ要素以外の全ての要素ではレベルによる判定が行われる。各要素のレベルは、要素の実行に際して、ISUが規定する工夫がいくつ含まれているかによって決まる。行われた工夫が基準を満たしているかどうかを技術審判が判定し、認められた場合のみレベル獲得要件として数えられる。GOE(Grade of Execution)は、演技審判によって0をベースとし-3から+3の7段階で評価された各要素のできばえである。要素毎にそれぞれ評価の観点(着眼点)が設定されている。プラス評価の対象についてはやや抽象的な表現がされているが、マイナス評価の対象については具体的に定められている。演技審判は以下の手順でGOEを決める。上記の手順から分かるように、要素の中にマイナス評価の対象となるものが見られても、同時にプラス評価の対象となるものがあれば、結果的にプラス評価となることがある。構成点は演技審判が以下の項目をそれぞれ10点満点、0.25点刻みで評価し、その評価数値に項目ごとの係数を掛けて算出された得点の合計点である。各項目毎の係数は、総合得点を算出するときおよそ技術点と構成点が同じぐらいになるように設定している(一般的に、女子シングルやペアの技術点は3回転アクセルや4回転ジャンプを取り入れる選手が多い男子シングルより低くなるよう設定している)。しばしば芸術点と呼称されることもあるが、旧採点(厳密には1995年以前の採点法)で取り入れられていた芸術点(artistic impression)とは異なり、芸術性の評価を行うものではない。フィギュアスケート競技では実施が禁止されている違反行為が存在する。違反行為の有無は技術審判によって判断され、規定による減点ディダクションが適用される。以下では大会等でしばしば見られる違反行為の例とそれによって発生するディダクションを挙げる。いわゆる転倒も厳密には要素の失敗やミスではなく「(スケーターがスケートのコントロールを失い)エッジ以外の部分で体重の大部分を支える」という違反行為に該当する。フィギュアスケート競技では実施が有効とされない無効要素が存在する。無効要素には無条件で無効と判定されるものの他に、回数制限などにより無効と判定されるものも存在する。以下では大会等でしばしば見られる無効要素の例を挙げる。フィギュアスケート競技会における審判には、以下の人員がいる。1名。国際スケート連盟主催の全ての競技会のイベントレフェリーは国際スケート連盟会長が任命する。1名。1 - 2名。国際スケート連盟主催の全ての競技会の技術審判は国際スケート連盟会長が任命する。イベントレフェリー及び技術審判は異なる加盟国から選ばれる。最大9名。国際スケート連盟主催の競技会であっても演技審判に任命者は競技会毎に異なる。以下の競技会の演技審判は国際スケート連盟会長が任命する。以下の競技会の演技審判は開催国のスケート連盟が任命する。2016年6月改定の採点基準(国際スケート連盟コミュニケーション第2000号)による。2016年6月改定の採点基準(国際スケート連盟コミュニケーション第2015号)による。このISUジャッジングシステムの元では、各選手の最高成績はパーソナルベストとして記録される。ただし、ISU主催の特定の国際大会でのみ認定され、国内チャンピオンを決める全国選手権レベルではISUに公式認定されない。シーズンごとの各選手の最高成績をいう。グランプリシリーズに欠員が出た際に、派遣選手決定に影響を与える。以下は、ISUジャッジングシステムが作られて以来記録された最高成績である。シーズンごとに行われる、ルール改定では区別されずに認定される。ISUはISU主催の国際大会でのみ世界記録を認定し、国内選手権では認定しない。しかし、ISUジャッジングシステムはシーズンごとに細かな改訂がされており同一条件のものとして比較できるものではない。国際スケート連盟では、採点システムでの集計記録として残しているものであって、「世界記録」としては認めていないとしている。単に「6.0システム」といった場合は、6点満点で採点する何種類かの採点方法の総称となる。初期のものは1901年から採用された。それ以前は1点刻みの5点満点で採点されていた。6.0システムのことを100年続いた採点法と表現する者もいるが、これは「6点満点で採点する」という観点だけに立った場合のことである。6点満点で採点するという観点以外では、時代や地域毎に様々な採点思想による採点がなされてきた。例えば、後述する「ショートプログラムの技術点の減点規定」や「フリースケーティングの評価の観点」の他、ルール違反に対する減点といった基本的な規定が明確化された。競技者の順位は、単純な総得点を比較するのではなく、席次(各審判員の採点から算出された各競技者の順位)を比較して決定していた。1998年以前は席次数方式が、それ以降はワン・バイ・ワン(ObO;One by One)が、広く用いられていた。技術点(ショートプログラムではrequired elements、フリースケーティングではtechnical merit)とプレゼンテーションという2つの点数があり、それぞれ6.0点満点で採点する。採点の基準は、日本スケート連盟フィギュア競技規則によると以下のようになっており、小数点第1位までで得点をつけた。行う要素の数と種類が定められているショートプログラムの技術点で、ミスの程度に応じた減点規定が定められた。そして定められた要素を、ミスなく高いレベルで実行できたものを6.0満点として、減点方式で採点するようになった。男女シングルのショートプログラムの技術点の具体的な減点規定は、以下の通りである。フリースケーティングは行う要素の数と種類に自由度が高い。そのため、ショートプログラムのような減点方式で採られず、他の選手よりも難しい技を成功させること、よい演技をすることが求められ、以下のような観点から評価がなされた。席次数(プレースナンバー)方式は、1998年まで用いられた順位決定法で、絶対多数(過半数以上)の審判員が他の競技者より良いと採点した競技者が上位となるようにした方式である。各競技者の順位は、絶対多数の審判員から得た順位(席次)が小さい競技者を上位とし、同順位の競技者が複数いる場合は次の優先順で決定する。この方式は、ある審判員が極端な採点をしても、その採点が順位に及ぼす影響を少なくしている。例えば、競技者が9名の審判員から1位を2名、2位を4名、3位を3名から得たとき、絶対多数の審判員から支持された席次、支持された審判員の人数、支持された審判員の席次の合計、審判員全員の席次の合計は、それぞれ2、6(=2 + 4)、10(=1×2 + 2×4)、19(=1×2 + 2×4 + 3×3)となる。下記の順位表では選手A行の右側の欄に「6/2, 10, 19」と記載している。最終的な順位は、1980年までは各種目の総得点に対する席次から順位を決定していた。1980年からは順位点が導入され、各種目の順位に応じて順位点を与え、各種目の順位点の合計が少ない競技者が上位とすることによって最終的な順位を決定していた。ワン・バイ・ワン方式では順位を得点の合計を単純に比較するのではなく、それぞれのジャッジがつけた点数をマトリクス化して(相対評価)決定する。具体的には次のような手順である。そして、順位に応じて順位点(factored placement scores)を与え、各種目の順位点の合計によって最終的な順位を決定する。6.0システムは、滑走順の早い選手に高い得点を与えてしまうと、後の滑走者がさらに良い演技をした場合に得点が飽和してしまうため、滑走順が遅い選手ほど高得点が出やすく、滑走順の早い選手には得点を抑えてつける傾向がある。しかし、得点の合計がそのまま順位に連動するものではないので、滑走順による得点の差が試合結果(最終的な順位)に直接影響するわけではない。
出典:wikipedia
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