相鉄9000系電車(そうてつ9000けいでんしゃ)は、1993年(平成5年)から導入された相模鉄道の通勤形電車。解説の便宜上、個別の編成について記述する場合は編成中の横浜側の先頭車(1号車)のクハ9700形の番号を取り、「9701F」(Formation = 編成)のように書くことによって各編成を表すことにする。本系列は、老朽化の進む大量の6000系電車を置き換えるために8000系電車と並行して1993年(平成5年)から2001年(平成13年)にかけて10両編成7本(70両)が製造された。本系列は8000系よりも後に登場しているが、本系列を製造している間にも8000系を引き続き製造し、並行して導入していったことが特筆される。車両の製造は全車両が東急車輛製造が担当しており、それまで新造車を日立製作所のみに発注してきた相鉄としては異例であった。また、現在のところ、自社開発車両としては最後の型式で、次に導入された新型式10000系電車はJR東日本の車両を全面的にベースにしている。相鉄では従来、屋根上の冷房装置は大きいものを一つだけ乗せる集中式のみ採用してきたが、小さいものを複載せる集約分散式を初めて採用した。先頭車の連結器には車体と同色のカバーをかぶせることによって、車体との一体感を出すなどの視覚的工夫がみられる。しかし2015年(平成27年)から開始されたリニューアルでは連結器カバーが撤去された。相鉄の従来車と同じく車体はアルミニウム合金製であるが、従来のクリアラッカー塗装に対して、本系列ではカラー塗装されている。基調とする色は白色で当初は純白に近い色のフッ素樹脂系塗料が採用されたが、それが汚れやすいことが判明したため、後に現行の少々グレーがかった色を基調とする塗装へと変更された。上述の白色に赤色帯でアクセントをつけている。また、先頭車側面片側の赤色帯は、相鉄(Sotetsu)の頭文字を表す“S”をデザインしていた。デザインは8000系を基本としており、前面の左右非対称、統一カラー導入以前の赤帯のアクセント、車体と一体感のある排障器、ブラックフェイスといわれる1980年代より流行している前面窓周りを黒く塗り前面窓を大きく見せるデザイン、幅の広い車体とその裾を絞っている点、10両編成で導入となった点、ライト類の配置など共通する個所も多い。このうち、ライト類については前照灯と尾灯の他に急行灯が設置されているが、現在は使われていない。また、2015年(平成27年)のリニューアルによって急行灯は撤去された。基本的に8000系に準ずる。相鉄では初めて床材が色分けされ、中央部が大理石模様となった。また、車椅子スペースを両先頭車に設置されたのも相鉄初である。座席はロングシートを基本とするが、8000系と同様に10両編成中の2両にはセミクロスシートを採用している。これらの座席の生地の色はオレンジ色で、優先席部は青色(登場時は灰色)である。7人掛けのロングシート部分は3+1+3人分に濃淡で色分けされており、着席区分を分けるようにされた。窓は従来の車両と同じくパワーウィンドウ仕様でボタン操作一つで開閉が可能である。モーターの制御装置は東洋電機製造製の回生ブレーキ付GTO素子VVVFインバーターを採用した(当初のGTOインバータ制御器の容量は4500V/4000A)(2015年現在は全車両とも後述のように日立製インバータに更新されている)。動力車はモハ9100形とモハ9200形でユニットを組む2両1組のユニット構成となっており、前者には2両分8個のモーターを制御するVVVF装置が、後者には車内照明や冷房装置の電源用として電動発電機(MG)とブレーキやドアの開閉に用いる圧縮空気を生産する空気圧縮機(CP)を搭載する。主電動機(走行用モーター)には2代目5000系電車で採用されたものとほぼ同じ東洋電機製造製のTDK-6140系(出力180kW)を採用、10両編成で10両のうち6両が動力車であるために編成全体での出力は実に4320kWとなり、相鉄で一番パワフルな編成となっている。車軸への動力伝達は相鉄伝統の直角カルダン駆動方式、台車は東急車輛製造のもので電動車がTS-907型、付随車がTS-908型を名乗り、どちらもディスクブレーキを車輪外側に装備するなど従来からの独自路線は健在である。なお、完全新造ではなくMGについては6000系からの廃車発生品を用いることで導入コストの削減を図っている。モニタ装置を装備しており、車両の運用の管理や扉の開閉状況などが確認できるようになっている。マスターコントローラーとブレーキハンドルを備える2ハンドルといわれるシステムである。全ての編成に自動列車停止装置(ATS)、列車無線とデッドマン装置が備えられている。2000年代半ばに発表された神奈川東部方面線計画により、相鉄線で用いられているATSと列車無線をJR仕様のものに変更する予定である。また、運転士の体調が急変した時に列車の暴走を防ぐ装置として、デッドマン装置に加えてJR仕様のEB装置が追加で設置された(後述)。9701F - 9707F本系列で変更になっている箇所については8000系も同等の変更がなされている。1992年に製造された9701F(入線は1993年)と、1993年に製造された9702Fが該当する。行先表示器は幕式、車両妻部にLED式の案内表示器が設置(3行)されているが、ドアチャイムは当初設置されていなかった(その後2次車も含め設置済み、後述)。なお、案内表示器は8000系のものを改良したもので、従来より文字を小さくするとともに2行での大きな文字にも対応できる装置である。大文字では明朝体を表示する。1995年に製造された9703Fが該当する。この編成より行先表示器がLED式に変更された他は1次車と同じである。1996年に製造された9704Fと9705Fが該当する。この編成より車内の案内表示器が客用ドア上部に変更(1行・千鳥配置)された。1999年に製造された9706Fと2001年に製造された9707Fが該当する。3次車とほぼ同じだが、パンタグラフがシングルアーム式となった。また、ドアの動作音が若干静かになっている。なお、9706Fはいずみ野線いずみ中央駅 - 湘南台駅間の開業に合わせて製造された。このグループは後年にシングルアーム式のパンタグラフに換装された編成とはパンタグラフの集電舟の本数が異なっていたが、9706Fは2010年3月に、9707Fは2007年10月に他編成と同一のものに換装された。以下の更新工事が施されている。とくに車内設備については後に登場した10000系電車や11000系電車に準じるように改造されている。ただし、編成において施工内容の異なるものがある。2014年4月27日ダイヤ改正で新たに特急新設やダイヤパターンが大きく変わったため、9701Fと9702Fについては、同年3月 - 4月頃に種別幕が交換された。快速が緑から青に、各停が黒・青からグレーに変更した。またフォントの大きさが小さくなった。前述のように神奈川東部方面線計画が進んでいることによりJR仕様のものに変更される予定である。2013年より制御装置が日立製作所製のIGBT素子(3300V,1500A)を使用し、2レベル速度センサレスベクトル制御を採用したVVVFインバータ(VFI-HR2820Q)に順次更新されており、停止時まで回生ブレーキが動作する全電気ブレーキも採用した他、スナバレス主回路とし冷媒は純水を用いたヒートパイプ冷却方式としている。停車時には東急5050系に似た磁励音を発する。この更新については、「安全報告書2014」の中で、車両性能の向上、安定輸送の確保とされている。具体的には、神奈川東部方面線計画に伴う保安装置の変更に際して、従来のGTO素子によるVVVFインバータ制御装置では誘導障害対策が必要なことが判明したこと、相鉄車両に搭載されているVVVFインバータ制御装置が形式ごとに異っており、メーカーも日立、東洋電機製造、三菱電機の3社に渡り、予備品対応で苦慮していたため、同時期に製造され以後に同様の更新が想定される8000系との機器共通化を図る前提とし、主要な予備品の共通化を図ることにしたことによる。2015年以降は8000系と同様の更新を9000系にも施しているが、更新工事を行っていた9703Fは、相鉄創立100年に向けての「デザインブランドアッププロジェクト」に基づき内装と外装が大幅に更新された。今後は7編成の内の6編成がリニューアルされる予定(リニューアル第2編成目は9705Fとなる予定)である。また、変更部分が多いため、形式番号の末尾に「R」を付けて区別しているが、形式番号自体に変更はない。2016年4月9日には9000系最初のリニューアル編成である9703Fと従来の二つの塗装(9706Fと9705F)の3編成が並び、相模大塚留置線において『9000系リニューアル車両デビュー記念撮影会 in 相模大塚』と題した撮影会が行われた。その翌日の4月10日にはいずみ野線40周年記念特別列車としていずみ野発の臨時列車二俣川行きが運転された。なお、この臨時列車は途中駅は通過となり、駅自動放送はいずみ野始発二俣川行きの特急電車と扱われた。その後、湘南台駅10:36発「各駅停車・横浜行き」より一般の営業運転を開始した。主な変更点は以下の通りとなっている。なお、以下の他にも細かい変更点は多数存在する。このリニューアルが評価され、2016年にグッドデザイン賞を受賞した。他形式と共通運用で、通常は特急、急行、快速、各停の10両編成の運用に充当されている。都合によっては、8両編成の運用を10両編成のまま代走することもある。種別・行先表示は以下に示す。 幕車(9701F 9702F) 3色LED車(9704F 9705F 9706F 9707F) その他にも通特表示や相鉄のゆるキャラのそうにゃんを表示することもできる。
出典:wikipedia
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